耳鳴りがするほどの、甲高い煩わしい声が、延々。
暗闇の中に響く、忌々しいほどの生の謳歌。
生まれてからこれまで、ずっとずっとずっとずっとずっとずっと、自分では立ち上がることさえもできずに、脆弱な姿そのままに、泣き喚いている。
ホラーゲームと一口にいっても様々なジャンルが存在するが、本作「母標」では社会問題をテーマとしている点が新しい
その題材とは、「無責任な性交と妊娠」である
「母標」は女子大生が彼氏との無責任なセックスで出来た子供をごみ捨て場に捨てるという、非常にショッキングなシーンからスタートする
効果音として、赤ん坊の声が鳴り響く。恐怖と言うよりは、不安を煽る演出だ
まずここが非常に上手い掴みだった。
女子大生は彼氏に捨てられ孤独になる。
ガスや水道を止められ生活破綻し、縋るように掲示板に相談を投稿するも、無責任、自業自得だと叩かれてしまう
このあたりの描写も妙にリアルだ
だが少しばかりネタバレしてしまうと、実はこの「母標」、劇中劇という設定なのだ
妊婦が見ていたDVDというオチだ
この急転直下でプレイヤーは画面の前でずっこけることになるが、勿論そこは練りこまれたホラーゲーム。
このDVDは大きな舞台装置となっている
果たしてこのDVDが本編にどう絡むのか。あなたの目で見届けて欲しい
社会問題とホラーゲームをミックスしたのは面白かったが、犯人(?)も成人している以上全くの白ではなく自己責任であることは事実だし、被害者の〇と〇〇〇は何も悪くなくね?ということは気になった
他にも、犯人が親や周りの人に縋るも見捨てられる描写があると尚よかった
折角「考えさせられる題材」なのにこれでは「ただの恨み」のお話なので、もっと「かわいそう」なほうがホラーとしてもしっかり煽れるし、より深いストーリーになったかもしれない
評価B+
70点
ホラーゲームとしては猟奇的なシーンが多く、ややグロ寄り。人体を掻っ捌く描写がある
そういった描写に抵抗が無ければ、おすすめの一作です
しっかり怖いよ
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