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2017年10月08日

映画「惑星ミズサ」の感想…ヨシスケは「もう一度風俗で働いてください」で何を得て、何を失ったのか。

今日は映画「惑星ミズサ」の感想です。

以前観た映画「のぞきめ」にて、入来茉里さん綺麗だわぁと思って、

他に出演してる映画とか観てみたいなと思いました。

しかし、別にそこまで急いで観ようとも思っていなかったのですが、

DMMの「月額リスト」で優先順位低いところに入れていたら、

速攻で送られてきたという…他に借り手がいないから送ってきたんじゃないかと思えた。

という訳で、今回はDMMでのDVDレンタルでの鑑賞です。



映画「惑星ミズサ」は2014年公開の佐藤竜憲監督作品。

数々の映画に携わってきた佐藤竜憲監督初の長編映画。

実はあんまり聞いた事ない名前だったのですが、

この映画を観て「名前は覚えて損はない監督」だと思いました。

まだ1本しか観てませんので、「こんな監督」って書けませんが、

「いわゆる日本映画」が撮れる監督だなと。


この映画「惑星ミズサ」は監督自ら手がけたオリジナルの脚本。

小説の映画化とかマンガの映画化って多いから、

その映画のオリジナルってだけでも何か良いですよね。

しかもお蔵入りになりそうなところをクラウドファンディングを使って、

なんとか公開まで出来たという作品。

ちゃんとDVDにもなって本当に良かったです。


簡単なあらすじですが、

実家のちょうちん屋で手伝いをしてるヨシスケは退屈な毎日を繰り返している事に、

なにか憤りの様なものを感じていた。

そんな中、とある風俗店にて関西弁を話す可愛い風俗嬢ミズサに出会う。

話が盛り上がりいつの間にかエッチな事をする時間も無くなり、何も出来ずに店を出る事に。

後悔の念に囚われていると今度は最終バスを乗り過ごす事に。

仕方がなく歩いて家まで帰る事に。

その帰路の途中で、なんと先ほど出会ったミズサに再び会うのであった…みたいな感じかな。


この映画はそれぞれの心の変化を味わう映画なので、

単純に話だけ見ても「?」ってなってしまう気がします。

ただ、映画中盤から予想しない展開になってしまうのも面白さの1つですが。


キャストですが、

主人公のヨシスケを演じるのは藤岡英樹。

映画「老獄/OLD PRISON」で映画デビューした彼ですが、

凄く若く見えるが実は大人なイケメン。

個人的には昔映画館のバイトで知り合った人に凄い似てる。

少し舞台的な言い回しを感じる時もありますが、

邦画は「いつも同じ俳優」とかになるぐらいなら、

こういう人が積極的に使われていって欲しい。

自分を宇宙人と言う風俗嬢ミズサを演じるのは佐津川愛美。

でましたね佐津川愛美!

映画「ヒメアノ〜ル」でもヒロイン役で出てましたが、

やっぱりなんと言っても短編映画「ミステルロココ」でしょう。

結構好きですよ、あの映画。

今回も目のクリクリ感ありますが、印象的なのは関西弁。

関西人じゃないので静岡生まれの彼女の関西弁がちゃんと正しく出来てるのかわかりませんが、

個人的に関西弁ってなんかエロいって思うんですよね。

…そんな事を言ったら関西の方に怒られそうですが。

そして、ヨシスケの同級生ヒカリを演じているのが入来茉里。

彼女が出ているからDMMの月額リストに入れたのですが、

本当にまさかこんなに早く届けられるとは。

今回、そんなにメインで登場する役ではないのですが、

やっぱり綺麗な方でした…あんな人から夜電話があったら飛び出していくだろうに。

その他、松浦祐也、中村義人、リリー・フランキーなどが出ています。


という訳で、映画「惑星ミズサ」の感想ですが、

「ああ…なんか日本映画を観たなあ」という感じです。

今の映画って有名俳優・女優が出て分かりやすいストーリーで、

ちょっとお金かけた映像でパッと見がカッコよければ、

みんな満足でしょうみたいな志の低い映画が溢れていますが、

その中で「ちゃんとストーリーで考えさせる」というのは好感が持てますし、

映像も自然というか田舎というか、なんか(昔の)日本映画って感じがしました。


人によっては「日本映画って地味で暗くて面白くない」って思っちゃいますよね。

実は自分も昔はそう思っていました。

ハリウッド映画みたいにお金がかかってて派手な映画の方がワクワクするとか。

しかし、いつからか日本映画って面白いって思う様になりました。

何がきっかけなのか思い出せないのですが、

ハリウッドみたいな映画の観かた、日本映画の観かたみたなものをする様になったというか。

それぞれの良いところがあるって思う様になったのかな。

明確に「何」って言葉でまだ言う事ができないのですが、

それこそ小津安二郎監督の作品とかで、いつの間にか「泣ける」様になった。

子どもの頃はなんか何にも起きないじゃん…退屈だなあとか思ってたのに。

普通の「暮らし」、そこにこそドラマがあるというか。

まあ、ここら辺はまた考えが纏まったら、改めて書きたいと思います。


とりあえず、この映画「惑星ミズサ」はタイトルやあらすじからは想像できないぐらい、

「日本映画の味」がする映画でした。

上手く説明はできないので一度興味がある人は観てもらいたいです。

ただ、好き嫌いは分かれる映画でもあるかなと思います。


佐藤竜憲監督ですが、先にも書きましたがまだ1つ目の映画なので、

こんな特徴とは書けませんが、丁寧に作っている感じはします。

特にロケーションとかこの映画にハマる場所を探すのは大変だったんじゃないかなと。

日本の田舎風景を三脚でロングショットをしっかり撮る…これだけでもなんか良いですよね。

あと日本家屋の内での画づくりとかは日本映画感あります。

そして、ロングショット(又はミドルサイズ)での1カットが長い映像は、

まさに「あの頃の日本映画」って香りがします。


もちろん、三脚でのフィックスだけでなくシーンによってはカメラが動くのですが、

一番最初にカメラが動き出すのが、風俗でベッドに座ってる2ショットのところ。

若干あそこのドリーは横揺れが気になってしまいましたが、

あのシーンでカメラを動かして2ショットに寄って行くカメラワークは正しい。


他に撮り方についてでは、「初めてミズサの顔が映る時」の肩越しからの顔のカメラワークとか。

いきなりバンッてよりもこういう見せ方の方が可愛さが引き立ちます。

あとはちょうちんの飾りの手ブレかな。

部屋にあんな子と二人きりでムードもあったら動揺しますわ。


あんまり書くとネタバレになってしまうので詳しく書きませんが、

ちょうちんを作るあの機械が映画のファーストカットって考えさせられますね。

ぐるぐるぐるぐる。

でもぐるぐる回ってるようで、実は進んでいるって仕組みでもありますし。

昔、Podcastで聴いてたオーディオドラマ「アンダー・ザ・ブルー」のエンディング曲を思い出した。


物語中盤からのまさかの展開はちょっと面白いのですが、

結末からは色々考えさせられます。

あの「涙の意味」はなんなんだろうかと色々考えさせられます。

ミズサは本当はどうしたかったのだろう、

ヨシスケになんて言ってほしかったのだろうって。

そしてヨシスケは何を失って何を得たのだろうって。


色々考えると、あのしりとりの流れからの「もう一度風俗で働いてください」ってのは笑えるけど、

凄く重い言葉だなあって。


台詞の面白さもある映画だと思います。

世界一リアルなカモノハシとかも良いですが、

やっぱリリー・フランキーの言葉は彼の存在含めると別格です。

「この辺、ドラえもん」「マジ、カリスマだから」とか。

あの胡散臭さは一体なんなんだ!

しかもカッコいいとかあの人の存在そのものが理解不能。


演出については、あんなけダッシュしたんだから

シャツの首本にはべったり汗ジミがあるとかの方が良いなあとか、

最終バスを逃して徒歩であるいて家に帰ったら朝ってのはちょっと…とか、

思うところもなくはないのですが、

家を出て行った父が戻ってきて食卓でごはんを食べるシーンは、

家族って「同じ釜の飯を食う」って大事だなあと思わせます。


ちなみにダークマターってのは宇宙にいっぱいあるものなので、

そこら辺を真面目に考えるとちょっと違うんじゃないのかって話にもなるので、

まあなんか地球がヤバイって程度でいいかなと思います。


あと公衆電話のISDNとかかわいいコックさんとか懐かしい。


で、色々書いて来ましたが、

風俗に行った経験がる人って、

風俗嬢に対して「なんでこんなところで働いてるの?」って思ったり、

そんな彼女をなんとかしてやれたらなあ…なんて考えた事ってないですか?

そう思ったらこの映画を観るて欲しい。

そして結論はやっぱり「もう一度風俗で働いてください」ってところに辿り着いて欲しい。


相手の暮らしを変えるって事は、自分の暮らしも変わる心構えは必要。

違うホラー映画ですが「背負う気あるの?」って事。

もろもろ考えて、ラブストーリーというよりも青春映画だなあって気がしました。


あ、最後に。

ラストカット、良いタイミングで鳥が飛んでったなあって思った。

惑星ミズサ [DVD]






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