2014年06月21日
【都立中高一貫校】 来年度の適性検査問題を斬る!
★ 適性検査問題の作成方法が大転換!
都立中高一貫校においては、平成27年度(来年度)の適性検査から、「自校で作成した問題」と「全都立中高一貫校が共同で作成した問題」を組み合わせて出題するスタイルになります。
これは、昨年からアナウンスされていたことで、ニュースとしては特段目新しいものではありません。
又、都立高校においても今年度からグループ作成を導入し、西や日比谷など進学指導重点校等も、今回の都立中高一貫校と類似の出題スタイルに、一足先に移行しています。
そして、数日前、各都立中高一貫校から、「来年度の適性検査はこのような問題の組み合わせで出題します」と言うサンプル問題が公表されています。
このように、ニュースとしての目新しさはありませんが、各都立中高一貫校の来年度以降の適性検査問題をどのようにしようとしているかが見えはじめましたので、今回は一部都立中高一貫校のサンプル問題を簡単に見てみたいと思います。
★ 何を目的に適性検査の問題を共同作成するのか?
サンプル問題の中身を見る前に、適性検査の問題を共同作成することの狙いや各校の適性検査における適用範囲・ルールを押さえておきたいと思います。
まず、適性検査の問題を共同作成することの狙いについて、まとめたいと思います。
東京都教育庁が公表している文章を読むと、次の3つに集約できるように思います。
〇 問題の質を向上させること
-----※ 各校の知識・経験が豊富な教員が多く関与することで、
--------質が向上するということ。
〇 教員の指導力を強化すること
-----※ 問題作成に携わる先生の数を絞ることで、先生方の問題
--------作成の体力負荷を減らし、その浮いた体力を違う形で生徒の
--------指導に活かすこと。
〇 結果分析の精度を向上すること
-----※ どのような学校でも、各生徒の入試での成績からの学力
--------推移を記録し、良い生徒を確保するための将来の入試問題の
--------配点や作成に活用している。 問題を共同作成すれば、学校
--------単位でなく、もっとグローバルに都立中高一貫校全体でこの
--------入試成績と学力推移のデータを活かせるということ。
続いて、各校の適性検査における適用範囲・ルールに話を進めましょう。
適性検査と一言で言っても、各都立中高一貫校で、問題だけでなく、そのスタイルが異なります。
小石川・武蔵では、適性検査はT・U・Vと分かれています。
小石川・武蔵以外の都立中高一貫校は、T・Uのみです。
今回の共同作成の範囲は、TとUのみとなり、小石川・武蔵で実施しているVは適用範囲外となります。
小石川・武蔵の両校は、今後もその適性検査スタイルを続ける場合、Vは完全に「自校で作成した問題」となります。
TとUについては、TとUを合わせて4つの大問で構成することとなり、この内、1〜2問を「自校で作成した問題」と差し替えて良いということになります。
4つの大問の配点が均等と仮定すると、「自校で作成した問題」:「全都立中高一貫校が共同で作成した問題」の比率は、「25%:75%」もしくは「50%:50%」となり、最低限、半分は「全都立中高一貫校が共同で作成した問題」を適性検査の問題として採用するように東京都教育庁は各都立中高一貫校に求めているということです。
★ 適性検査サンプル問題
では、実際の適性検査のサンプル問題を見てみましょう。
この場では、小石川と桜修館を例にして見てみたいと思います。
とりあえず、両校のサンプル問題の画面にリンクさせておきますので、時間があれば見てみて下さい。
「小石川のサンプル問題」
「桜修館のサンプル問題」
また、見方ですが、適性検査問題のT、U、Vという順番で、両校を一緒に見ていきたいと思います。
適性検査Tは、国語系の問題となります。
従来、小石川は長文を読解した上で、受検生の意見を書かせる記述中心の問題でした。
桜修館は、かなりユニークで、写真や挿絵等を見せ、受検生にそれに基づく考えを自由に書かせる問題でした。
サンプル問題では、小石川は、「全都立中高一貫校が共同で作成した問題」を使用しています。
桜修館は、「自校で作成した問題」を使用し、従来同様にユニークな問題となっています。
両校共にサンプル問題は2種類掲示されていますが、2種類とも同様です。
適性検査Uは、算数・社会・理科等の複合問題となります。
従来、小石川は算数など要素に加え、社会等の知識を問う問題も多く見られました。
逆に、桜修館は、内容はほぼ算数で、確率・組合せやグラフを読み取るなど数字への強さを問う問題が中心でした。
サンプル問題では、小石川は、大問3つの内、「全都立中高一貫校が共同で作成した問題」を2問、「自校で作成した問題」を1問を使用しています。
そして、「自校で作成した問題」では、地理をある程度理解していないと回答を導きづらい問題となっています。
桜修館は、大問3つの内、「全都立中高一貫校が共同で作成した問題」を2問、「自校で作成した問題」を1問を使用しています。
そして、「自校で作成した問題」では、やはり表・グラフの読み取りや確率・組合せの問題になっています。
両校共にサンプル問題は2種類掲示されていますが、2種類とも同様です。
適性検査Vは、小石川のみで、桜修館では実施されていません。
理科実験に基づいて、実験結果の予想や結果の理由を考察させる問題が中心です。
サンプル問題では、全て「自校で作成した問題」になっていて、問題の傾向も、従来と大きな差はありません。
★ 最終的にどのようになるか?
本来の入試問題というのは、それぞれの学校が教育方針に基づき、「どのような生徒がほしいか」という考えの元で作成されるものであり、それぞれの学校で独自に作成されて然るべきものです。
これは、都立中高一貫校に限らず、中学・高校・大学の全ての入学試験で言えることです。
今回の適性検査問題の共同作成は、各校の特徴・個性を否定するものと言えるため、私個人としては残念な施策と考えています。
ただ、このようなことを言っても仕方ないので、最後に適性検査はどのようになるかをまとめようと思います。
小石川と桜修館のサンプル問題を見てみました。
小石川・桜修館の両校共に、決められたルールの中で、最大限に自校の特色を出そうとしているのがお判り頂けたと思います。
他の都立中高一貫校分は見れませんでしたが、おそらく、傾向としては大きな差はないだろうと思います。
小石川は、適性検査Uでなるべく知識系の問題を入れ、適性検査Vで小石川の特色でもある理科実験を素材とした問題を出しています。
従来通り、理科に関心が高いながらも学力・知識のバランスが取れた生徒を望んでいるんだと思います。
桜修館は、適性検査Tの独特な作文問題を残し、適性検査Uでは従来通りに数字への強さを問うに最適な確率・組合せの問題を出しています。
同じく従来通り、文章をフリーに書かせることや数字への強さを確認することで、論理力に長けた生徒を求めているということだと思います。
したがって、全ての都立中高一貫校において、問題全体で見るとやや独自性が薄れるかもしれませんが、問題の出題傾向が根本的に変わることはないと思います。
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コメントありがとうございます。
「このような方針では、都立中高一貫校はどこに行っても同じ」という形に収まって行きそうで、本当に残念に思います。
又、確かに、多くの学校で適性検査をVまで行うことになるようですね。
きっちりと見ていないのでわかりませんが、今回から新たにVを導入する学校は、TとUは全て共通問題を使い、独自問題をVだけで行うスタイルにするんだろうと思います。
ひょっとすると、東京教育庁から、そのような指導があったのかもしれません。
(結果として、問題の大部分が共通問題となる。)
その一方で、白鴎や桜修館は、既に3〜4年卒業生を送り出し、相応の実績も上げているので、ある程度の自由度が認められているのかもしれません。Vはありませんが、T・Uで独自問題と半分入れ替えていますので、結果としてVを行う学校よりも独自性を出せています。
私もgogoさんが書いてらっしゃる通り、共同作成によって各学校のカラーが薄まってしまうことを残念だと思っています。
ところで、今回のサンプルを見ると白鷗以外の「高等学校附属」は全校検査Vまで提示しているんですよね・・・
気にし過ぎかもしれませんが・・・