2016年07月31日
【都立中高一貫校】報告書が合否に与えるインパクト 〜 適性検査当日にどの程度正解すれば取り返せるか 〜
★ 報告書を、侮ることなかれ、しかし、恐れることなかれ
いよいよ、明日から8月です。
時が経つのは早いですね・・・。
そう言えば、夏休み前に通知表を貰い、一喜一憂したご家庭も多かったのではないでしょうか。
今日は少し時間がありましたので、報告書の合否へのインパクトを分析してみました。
「自分で言うなよ・・・」と思われるかもしれませんが、どこでも見れるような薄っぺらい視点での分析をした訳ではありません。
都立中高一貫校を狙う子供の学力なども考慮した分析ですので、都立中高一貫校を志望しているご家庭の方々、ぜひご覧下さい!
★ 報告書の位置づけなど
都立中高一貫校を目指して受検勉強を開始しているご家庭では既にご存知とは思いますが、報告書の位置づけや報告書を使用した合否判定の仕組みを、まず簡単に話したいと思います。
都立中高一貫校の合否判定では、私立中学入試とは異なり、各小学校で作成した報告書を使用します。
報告書にて小学校5〜6年⁽※1⁾での科目毎の成績が「3」「2」「1」と点数化され、更に各都立中高一貫校それぞれの比率で適性検査の点数と合算し、合否を決めるという仕組みとなっています。
⁽※1⁾ 区立九段は4〜6年生の成績
とりあえず、都立中高一貫校10校と九段の、合否判定の総合点数に報告書点数が占める割合や成績(「3」「2」「1」)別にもらえる点数の割合を次の表にまとめてみました。
<合否判定する総合点数と報告書点数比率、報告書「3」「2」「1」毎の獲得点数割合>
学校名 | 総合点数 | 内、報告書 の点数 | 報告書比率 | 「3」点数 ⁽※2⁾ | 「2」点数 ⁽※2⁾ | 「1」点数 ⁽※2⁾ |
---|---|---|---|---|---|---|
白鴎 | 1,000 | 300 | 30% | 100% | 50% | 25% |
桜修館 | 1,000 | 300 | 30% | 100% | 68% | 20% |
武蔵 | 1,600 | 400 | 25% | 100% | 80% | 20% |
小石川 | 800 | 200 | 25% | 100% | 80% | 20% |
両国 | 1,000 | 200 | 20% | 100% | 60% | 8% |
富士 | 1,000 | 200 | 20% | 100% | 60% | 20% |
大泉 | 1,000 | 200 | 20% | 100% | 80% | 20% |
南多摩 | 1,000 | 200 | 20% | 100% | 50% | 20% |
立川国 | 1,000 | 200 | 20% | 100% | 50% | 25% |
三鷹 | 1,000 | 200 | 20% | 100% | 50% | 13% |
九段 | 1,000 | 200 | 20% | 100% | 50% | 1% |
まず、報告書比率だけを見ると、報告書重視の学校順は次の通りです。
A.白鴎・桜修館 (30%)
B.武蔵・小石川 (25%)
C.両国・富士・大泉・南多摩・立川国・三鷹・九段 (20%)
しかし、この比率をそのまま鵜呑みにしてよいか?
実は、この表向きの報告書比率だけで、「この学校は、報告書重視だ(もしくは軽視だ)」と捉えるのは危険なのです。
表の右側に記載した報告書「3」「2」「1」毎のもらえる点数の割合が、実は、非常に曲者なのです。
よく考えてみて下さい。
ガチで都立中高一貫校を受検する子供の通知表は、「3」が多くを占め、「1」はまずないはずです。
この報告書「3」「2」「1」毎のもらえる点数の割合と、都立中高一貫校を受検する子供の実情を踏まえて、もっと深く検証をしてみたいと思います。
★ 真の報告書重視/軽視の学校はどこだ?
さて、前段で、都立中高一貫校を受検する子供の実情を踏まえて検証したいと言いました。
まず、都立中高一貫校を受検する子供というのは、まず報告書に「1」がないと思います。
仮にあっても、不本意の1個程度でしょうか。
このような実情を踏まえ、報告書の「3」と「2」の割合で、学校毎の報告書の点数がどのように変わるかを次の表で見てみたいと思います。
<報告書の「3」と「2」の比率で見る報告書点数>
学校名 | @「3」100% 「2」0%時 の点数 | A「3」75% 「2」25%時 の点数 | B「3」50% 「2」50%時 の点数 | C「3」25% 「2」75%時 の点数 | D「3」0% 「2」100%時 の点数 |
---|---|---|---|---|---|
白鴎 | 300 | 263 | 225 | 188 | 150 |
桜修館 | 300 | 276 | 252 | 228 | 204 |
武蔵 | 400 | 380 | 360 | 340 | 320 |
小石川 | 200 | 190 | 180 | 170 | 160 |
両国 | 200 | 180 | 160 | 140 | 120 |
富士 | 200 | 180 | 160 | 140 | 120 |
大泉 | 200 | 190 | 180 | 170 | 160 |
南多摩 | 200 | 175 | 150 | 125 | 100 |
立川国 | 200 | 175 | 150 | 125 | 100 |
三鷹 | 200 | 175 | 150 | 125 | 100 |
九段 | 200 | 175 | 150 | 125 | 100 |
鋭い方は前段の表を見て頂いた時点でお気づきかもしれませんが、学校毎に相応の差が出ています。
各校の@とDを見比べてもらうとわかりやすいと思います。
白鴎・南多摩・立川国際・三鷹・九段は、報告書の「3」と「2」で、報告書点数に相応の差が出ることに気がつくはずです。
逆に、武蔵・小石川・大泉では、報告書の「3」と「2」で報告書点数にあまり差は出ないです。
武蔵・小石川・大泉の場合、「2」でも与えられる点数が高いためですが、都立中高一貫校を受検する子供の学力を考慮すると、報告書のインパクトが小さいと言えます。
更に検討を進めましょう。
まだ、現レベルでは検討が不十分です。
上の表では、合否を決める総合点数に占める報告書比率を考慮していませんから。
「合否を決める総合点数に占める報告書比率の考慮」では、もっと現実に沿った比較で、「報告書でのビハインドを取り返すには適性検査で何点程度を多く取れば良いか」まで突っ込んで見てみましょう。
まず、私の感覚では、十分に合格が狙える子供の報告書は、”「3」が半分以上を占め、「2」が残りの半分弱で、「1」を取るなどもってのほか” という感じです。
中には、模擬試験などではいつも好成績ながら、どうも小学校の通知表は振るわず、”「3」が1/4程度で、「2」が残り3/4程度” という子供もいるかもしれません。
まあ、厳しい言い方になるかもしれませんが、合格が狙えるのはこの範囲までだと思います。
したがって、ここでは、次のケースを比較する形で、学校毎に報告書のインパクトを見てみましょう。
<比較するケース>
A:「3」が75%、「2」が25%で、「1」が0%
C:「3」が25%、「2」が75%で、「1」が0%
要するに、本番当日の適性検査問題で、Cの子供がAの子供に追いつくには、Aの子供よりも何点分・何%分で多く正解しなければダメなのかという検証です。
上表のACの数字とその差分を算出し、その差分を適性検査点数にて割り、報告書点数のインパクトを検証しましょう。
<報告書の「3」と「2」の比率で見る適性検査でのアドバンテージ/ビハインド>
学校名 | A「3」75% 「2」25%時 の点数 | C「3」25% 「2」75%時 の点数 | CーAの 点数差 | 適性検査 点数 | CーAの 適性検査 点数割合 |
---|---|---|---|---|---|
白鴎 | 263 | 188 | △75 | 700 | 10.7% |
桜修館 | 276 | 228 | △48 | 700 | 6.8% |
武蔵 | 380 | 340 | △40 | 1200 | 3.3% |
小石川 | 190 | 170 | △20 | 600 | 3.3% |
両国 | 180 | 140 | △40 | 800 | 5.0% |
富士 | 180 | 140 | △40 | 800 | 5.0% |
大泉 | 190 | 170 | △20 | 800 | 2.5% |
南多摩 | 175 | 125 | △50 | 800 | 6.3% |
立川国 | 175 | 125 | △50 | 800 | 6.3% |
三鷹 | 175 | 125 | △50 | 800 | 6.3% |
九段 | 175 | 125 | △50 | 800 | 6.3% |
★ 真の報告書のインパクト
さて、前段の分析結果を見て頂いていかがでしょうか。
報告書が合否に与えるインパクトの大きさで学校を分けると、次のようになりそうです。
<インパクト大> 白鴎
<インパクト中> 桜修館、両国、富士、南多摩、立川国際、三鷹、九段
<インパクト小> 武蔵、小石川、大泉
白鴎については、他の都立一貫校に比べ、突出して報告書のインパクトが大きいです。
「C:「3」が25%、「2」が75%で、「1」が0%」の子供が、「A:「3」が75%、「2」が25%で、「1」が0%」の子供に、適性検査当日に逆転勝ちするには、700満点中75点も多くの点数を取る必要があるということです。
700満点中75点は、おそらく大問1〜1.5問分ぐらいあるように思います。
白鴎の場合、「報告書の点数で先行逃げ切りする」作戦がかなり有利と言えます。
桜修館・両国・富士・南多摩・立川国際・三鷹・九段の場合、各校の適性検査のスタイルでやや異なるものの、おおよそ適性検査の大問0.5問強分程度の差だと思います。
この差が大きいと見るか、小さいと見るかは、微妙です。
算数が抜群にできる、または、大人顔負けの論理構成で文章を書ける子供であれば、この大問0.5問強分程度の差は適性検査であっさりと簡単に取り返せる範囲と思います。
(逆に、報告書が良くても、算数や作文が苦手であれば、折角のアドバンテージもあっさり失うはず。)
報告書のインパクトは、各校の適性検査内容や子供の強み次第で決まってくるということでしょうか。
武蔵・小石川・大泉の場合、明らかに「適性検査当日の出来具合」でほぼ決まります。
そして、このような形になっているのは、東京都教育委員会の作戦だと思います。
都立中高一貫校に、私立中学向けに受験勉強をしてきた子供を多く取り込むためでしょう。(笑)
公立中高一貫校ですから、報告書を無視するようなルールをあからさまに作る訳にはいきません。
したがって、パッと見の表向きは報告書比率を25%⁽大泉は20%⁾としていますが、報告書の「3」と「2」の点数差を小さくすることで、実質的な報告書による合否影響を出にくくしているんだと思います。
さて、何はともあれ、適性検査当日の出来が悪いとどの学校でも合格はできません。
この夏、ぜひ頑張って頂きたいと思います。
あ、あと、報告書で「1」となる科目は極力出さないように頑張りましょう。
どの学校も、「1」に与えられる点数はかなり低いです。
九段なんか、「3」の1%分しか点数をくれませんから。
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以上
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コメントありがとうございます。
出席日数は、直接、報告書に影響しません。
ただ、報告書の点数も、所詮は先生方の微妙なさじ加減でかなり変わってきます。
学校を休みがちで出席日数が少ない背景があると、先生の心象が悪くなり、点数があまりよくならないようなことがあるかもしれません。
報告書については、あまり神経質になる必要はないものの、当然ながら良い結果であるに越したことはなく、学校での勉強もまじめに取り組むことが大切だと思います。
ちなみに、出席日数はどのくらい関係してくるのでしょうか?
コメントありがとうございます。
このブログも、少しお役に立っていると思うと、嬉しいです。
調査書の数字ですが、まあ重いか軽いか、確かに受け止め方次第のように思います。
私の感覚では、白鴎はかなり重く、調査書の点数が良い子供はかなり有利と思います。
しかし、他の学校は、それほどでもないように思います。
適性検査当日のちょっとした出来不出来で、簡単にひっくり返る差の範囲かと思います。
特に、小石川・武蔵・大泉の場合は、「1」さえ取らないように注意しておけば、調査書は全く気にする必要なしだと思います。
では、頑張って下さい。
応援しています。
ここまでの分析、素晴らしいです。
塾でもなかなか出さない数字が出ていて、驚いてしまいました。
とはいえ、調査書の数字は重いな、と感じました。
毎回参考にさせていただいています。ありがとうございます。
コメントありがとうございます。
確かに、Z会には進学塾もあると理解しています。
ただ、リンクしているZ会のホームページは通信教育のものであり、誰が見ても間違うことはありませんので、誤解されることはないと思っています。
通信添削の方ですよね。
都内だと進学Z会という塾もあり
都立中学の合格者数が違うので、
誤解をうむのではと思いました。
コメントありがとうございます。
最近はブログをじっくりと書くことがなくなっていたので、たまには・・・と思い、報告書の分析をしてみました。
少しでもお役に立てたようで、嬉しいです。
これからも、付加価値の高いことを書いていこうと思います(・・・できるかな(笑))。
今回の報告書の分析、とても分かりやすく、自分ではここまで出来ないのでとてもありがたく読ませて頂きました。ありがとうございます。