2014年06月15日
【都立中高一貫校】 都立中高一貫校は偏差値でどこまで計れる?
★ 偏差値は羅針盤
この偏差値という数値は、受験生や受験生を持つ保護者にとって、学校選択の羅針盤のような役割を果たしています。
大勢のライバルの中で自分の相対的な立ち位置はどの辺りか、そして目標とする学校との距離感と到達可否を探るための重要な指標ということです。
しかし、「都立中高一貫校は偏差値で計れない」ということを時々聞くことがあると思います。
又、一方で、「私立に近い適性検査を行う都立中高一貫校は、偏差値に適合する」という話も聞きます。
今回、学校選択の羅針盤となる非常に重要な偏差値について、都立中高一貫校の受検にも適応していると言えるのか否かを検証してみたいと思います。
★ 偏差値の基礎
偏差値とはそもそもどのような数値であるかを整理するところから、話を始めましょう。
偏差値をごくごく簡単に表現すると、「試験における平均点を常に50点に補正し、参加者の得点分布に基づいて、各自の得点を再計算した数値」と言えます。
統計学に詳しい方から見ると不十分な表現だろうと思いますが、簡単に誰でもわかるように表現するとこのようになると思います。
そして、このように偏差値を求めることで、次のようなことが可能になります。
@ 試験の難易度・内容に関係なく、試験を受けた母集団の中での自らの成績の状態を客観的に確認できる。
A 試験の難易度・内容に関係なく、過去の試験結果とも比較できるようになり、自らの成績推移を確認できる。
B 進学対象となる学校毎に、過去の入試結果から、合格/不合格の可能性が確認できる。
このように見ると、偏差値というのは非常に優れた指標であることが良くわかると思います。
★ 合格可能性80%などの偏差値算出法
次は、上記のBを少し掘り下げて見たいと思うのですが、学校毎の偏差値というのはどのように算出されているかをご存じでしょうか。
わかり易いところで、四谷大塚などが公表している「合格可能性80%偏差値」や「合格可能性50%偏差値」を例にしたいと思います。
例えば、「合格可能性80%偏差値」は、次のようにして算出されます。
A.当偏差値は、受験生が10人受験すると8人が合格するという水準に置かれる。
B.受験生の合否結果とその受験生が受けた模擬テストの偏差値をベースに算出する。
C.今年の受験動向の見込み(入試日程の変化や模擬試験での志望増減)で、適時補正する。
「A」と「B」をイメージで表現すると次のようになります。
(偏差値) (□:合格者、■:不合格者)
64------|--□□-------------------------(<累計>合2、不0)
63------|--□□□□■------------------(<累計>合6、不1:(合格率)86%) ← 80%偏差値
62------|--□□□□□□■■■---------(<累計>合12、不4:(合格率)75%)
61------|--□□□□□■■■■■■-----(<累計>合17、不10:(合格率)63%)
60------|--□□□■■■■■■■■■---(<累計>合20、不19:(合格率)51%) ← 50%偏差値
59------|--□■■■■■■■■■■■■-(<累計>合21、不31:(合格率)40%)
そして、この状態に、「C」が加味されることになります。
ここでどのような補正が行われているかは、よくわかりません。
主催する塾の意向や試験内容、そして対象の学校でかなり異なると思います。
おそらくですが、受験を推奨すると塾に都合の良い学校には下駄をはかせるなどの配慮をしているでしょう。
又、都立中高一貫校のような学校になりますが、不合格者数がかなり多く、合格者数が少ない学校については、前年度の偏差値から大きく乖離させないなどの大胆な補正をしていると思います。
(男女それぞれで60名強もしくは80名強しか合格者を出さない都立中高一貫校では、上のイメージ図からおおよそ想像頂けると思いますが、80%偏差値が算出不能になる、もしくは相当に現実離れした数値になるケースも出るだろうと思います。)
★ 偏差値の盲点
さて、偏差値が優れた指標であることと、その偏差値の算出方法を説明してきました。
偏差値を信じて、受験対策を進めれば十分か?
当然ながら、十分ではありません。
偏差値の盲点と言えることは、上述の「B」に隠されています。
「B」では、「模擬試験結果(偏差値)」と「入学試験での合否」をつなぎ合わせることで、各学校の偏差値を出しています。
これは、「模擬試験の内容・配点」と「各学校の入試問題の内容・配点」がほぼ同じであるという考え方に基づいているということでもあります。
例えば、四谷大塚の合格可能性80%偏差値などはかなり有名な偏差値ですが、これらは四谷大塚の私立中学を中心とした模擬試験の偏差値です。
この四谷大塚の模擬試験は、算数・国語・理科・社会に試験内容がきっちりと分かれ、算数・国語は150点で理科・社会は100点の配点となっています。
受験する学校の入学試験がこの配点に近く、また問題構成もこれに近ければ、この四谷大塚の合格可能性80%偏差値は、かなり現実に合った指標であると言えることになります。
おそらく、多くの私立中学においては、この四谷大塚の偏差値が適合する指標なんだろうと思います。
しかし、都立中高一貫校においては、上手く合わない学校もあります。
次の記載は、私が過去に分析した小石川と桜修館の教科別配点になります。
(こちらをクリック頂くと、過去の関連記事にリンクします。)
小石川と桜修館の適性検査における配点と問題傾向から、教科別配点に置き直したものです。
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● 小石川 : 報 200 : 国 200 : 算 200 : そ 200 (合計800)
● 桜修館 : 報 300 : 国 200 : 算 450 : そ 50 (合計1,000)
※ 「報」→報告書、「国」→国語・作文、算→算数、そ→社会等知識系
※ 桜修館の適性検査Tはほぼ算数中心の為、算数を9割とした
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これだけで見ても、小石川はかなり四谷大塚の模擬試験の得点配分に近いですが、桜修館はかなりその得点配分と乖離していることがわかります。
例えば、大得意の理科・社会で得点(偏差値)を稼いでいるタイプの子供で考えると、桜修館の適性検査ではなかなか力を発揮できず、四谷大塚の模擬試験で高偏差値を出していても、不合格となることが考えられます。
又、逆のケースもあり、算数は非常にできるものの苦手な理科・社会が足を引っ張る子供では、桜修館の適性検査に適合していて、四谷大塚の模擬試験では偏差値で結果を出せていなくても、合格となることが考えられます。
又、適性検査の内容にも差があります。
小石川は桜修館に比べて、かなり教科別に問題が分けられていて、私立の入試問題に近くなっています。
この点からも、四谷大塚の模擬試験に近いと言えます。
このように、都立中高一貫校の間でも、各塾が公表している偏差値への適応度合に大きな差があるということです。
★ 一番大切なこと
そして最後に、これが最も大切なことです。
各塾が公表している偏差値は、適性検査本番から1年〜数か月前の模擬試験結果から算出した数値です。
平均すると本番から半年程前の模擬試験結果を使っているということになると思います。
受検勉強をする子供達にとって、半年で学力は大きく変わります。
私の息子も、6年生の夏過ぎに1度だけですが四谷大塚の模擬試験を受けたことがありますが、偏差値は50を下回っていた記憶があります(大分前の話ですので、詳細は忘れてしまいましたが・・・)。
とにかく、模擬試験の偏差値だけで、志望する学校をあっさり諦めたり、逆に合格できると過信したりしないことが大切と思います。
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