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2023年05月23日

23/05/18(木)に「台東区立一葉記念館」をフリー見学してみた

「国際博物館の日」ということで23/05/18(木)は以下の施設が入館無料だった。
 ・台東区立一葉記念館 [三ノ輪駅1b出口から徒歩約6分] 大人300円

参考:令和5年度「国際博物館の日」に伴う入館無料のご案内
 https://www.taitocity.net/zaidan/ichiyo/oshirase/news/3937/ 


せっかくの機会なので日頃行かない博物館見学へ行ってみた。11時過ぎに三ノ輪駅から歩くと公園の対面に立派な「一葉記念館」が建っていた。目の前の道路は車両通貨禁止となっている。入口に「本日無料入館日」と掲示されており、館内をじっくり見学していると何度も新たな入館者に抜かれていった。

館内は基本写真撮影可だが、一部の展示物と企画展の室内は撮影禁止だ。樋口一葉に関しては日本文学の歴史の中で知っているが作品を読んだ記憶はない。樋口一葉も肺結核により24歳で夭逝したと知り本当に「亡国病」だったのだと再認識した。

1Fのエントランスギャラリーは樋口一葉の両親に関する話で、正直ここまで詳細な情報が必要なのだろうかと思ったが2Fで一葉の進路に関する際の父母の意見相違の理由の理解に役立ものだった。ただ反対側にあるギャラリーの関連ビデオのテレビの音が大きくて気になった。

2Fの展示室1と2で誕生から文壇で認められるまでの24年の生涯を知ることが出来た。子供の頃は幸せだったのに家督を受け継いだ長兄が早世し、その後父も亡くなり一家は赤貧状態となる。この時の苦労が寿命を縮めたのだろうと思う。

その体験があってこそ人間の観察眼が磨かれ「奇跡の14ケ月」に結びついたという話を聞くと「禍福は糾える縄の如し」とは良く言ったものだ。

確かにそれ以前の作品のあらすじを読むと悲恋もの、三角関係恋愛ものが多くまるで昭和の少女漫画の話みたいで昔小説が悪書扱いされた訳だと思ってしまう。

企画展「樋口一葉と和歌 −かなの美−」は一葉が詠み書き記した和歌(短歌)が展示されており、その書の美しさと和歌の才能に感心した。一歌ずつ読んでその情景を思い浮かべて行ったら大変時間の掛かる分量だった。

歌塾「萩の舎」の親友との交流も興味深い。同い年で同じ"なつこ"という親友がいてお互い「ヒのなっちゃん」「イのなっちゃん」と呼んでいたと言う話は年齢相応で微笑ましい。

明治時代の人達の学歴は小学校レベルとしても国学の教養は現代より高く、10台後半ではもう大人として生きていく苦労を背負うのは大変だと思うと同時に現代は寿命が倍になった分、精神的な成人化が30歳前後に遅れていると言われるのも納得だ。

3Fの展示室3では一葉死後の出版物や演劇化といった資料も展示されていた。一葉は遺言で死後自分の日記は焼却して欲しいと妹に言い残したらしいが全て出版されてしまい、しかも展示されて人目に晒されるとはあの世でどう思っていることやら。

1Fのギャラリーの関連ビデオ4本のうち「一葉の生涯(15分)」と「ゆかりの地を巡る(15分)」を見る。展示物のビデオ復習となったが先に見てから展示内容を見た方が理解は深まるように思える。

NHK連続テレビ小説のモデルとして樋口一葉は夭逝してしまうので相応しくないが、妹は長生きして姉の実績を残し伝えていくのでヒロインになれるかもしれない等と考えた。

展示室は4エリアで余り広くないが文字資料ばかりなのでしっかり読みビデオまで見ると3時間近く楽しめる明治・大正時代の文学ファンにとっては満足度の高い記念館だ。
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