<個人的な評価:10点中7点>
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
とんでもない映画を観た。日本の映画で、しかもかなり古いが、これは奇想天外な芸術といっていい。
意味わからんけど笑。意味わからないけど、なんかすごい。
恐ろしくも独特。こんな映画は観た事がない。小さい頃に観たらトラウマになってたかもしれない。
一言で表すなら、実際に悪夢を観ているかのようだ。
夢というのは意味不明だ。知り合いが出てくる時があるが、リアルとは違ってなんか変な感じで出てくる。
論理的に説明がつく夢は少ない。
幼い頃、熱で寝込んでた時に、よく変な悪夢を観たものだ。
この作品は、その熱病で悪夢にうなされてた時の感覚を思い出させてくれるかのような映画だ。
白塗りの顔とか、奇妙な見世物小屋とか、恐山の謎の女とか、ずっとなっている柱時計とか。夢になら出てきてもおかしくない。意味不明だけど、意味不明だからこそ夢なのだ。
結局、この作品に意味を見出そうと躍起になって観たわけじゃないので、この映画で感想の論文を書けなんて言われたらできないだろう笑。考察できる理解力はない。
ただ単純に、世界観に引き込まれ、まるで悪夢をみているような感覚に囚われ、最後まで観た。
そして、衝撃的にすごかった。
さきほど、悪夢のような映画といったが、ストーリーの前半は、作中の『私』の過去の思い出やトラウマからきている。だからこそ説明できない描写や意味不明な描写があるのは当たり前だ。
過去の記憶だから、美化されたものもあるし、トラウマのせいで歪んでいるものもあるだろう。
映画の中盤で、前半の映像が、20年前の『私』による記憶改ざんだった事を知らされる。
現在の『私』&20年前の『私』。
2人が退治する場面は面白いし独特な空気感がある。
村に住む人々は実際、みな狂気じみており、サーカス団は変質者の集まりで、憧れの人妻との駆け落ちは実際にはおこらず、その人妻は目の前で愛人の男と心中してしまう。
個人的に、サーカス団の、空気女が印象的だったな笑。
あと、赤ちゃんの娘を川に流したあとに、ひな人形も川に流れてきた場面は印象的。
ちなみに、『私』は、赤ちゃんを川に流したあとに精神的にもおかしくなった出戻り女に、レイプされてしまって童貞を奪われてしまう。恐怖、悲劇。あの描写は女性の私がみてもキツイ。恐ろしい女だ。
しかし、結局、その女と村を出てしまう。
外からやってきたサーカス団も、恐山の麓の村に住む人々も、みんな狂気じみている。
そして『私』も狂気じみていると思う。そんな『私』も成長して大人になる。
「一人の男がはじめて汽車に乗るためには、その男の母親の死体が必要なんだよ」
冒険に母親は邪魔だから、あえて母親を出さない(もしくは死んでいる)とワンピースの尾田先生も言ってたな〜
(私はこれに共感はできないけどね)
この作品のテーマは、『母殺し(親殺しのパラドックス)』でもあるけど、憎いから殺すとかいう意味より、哲学的や心理的な意味で、母親から親離れする意味合いもあるし。
『私』は母をウザがってたが、愛していたのも事実。
「もし、君がタイムマシーンに乗って数百年をさかのぼり、君の三代前のおばあさんを殺したとしたら、現在の君はいなくなると思うか」(親殺しのパラドックス)
母親はウザいけど殺したくないらしい20年前の『私』に見捨てられて、現在の『私』は1人、母親を殺しに向かう。20年前の母親と向き合った『私』。結局、殺せなかったし、母親にあがってご飯たべてな...って言われて、結局、母親と向かって黙々と食事をする。
やがて家の壁が崩壊すると、そこは新宿駅前の一角。
周囲は、人混み。たくさんの人間が行きかう中、今まで作中に出てきた奇妙な登場人物たちも出てきた。
そんな中、『私』と母は黙って食べ続ける。
『私』とは?
すごく独特な映画だったが、面白かった。