『ドラマスペシャル アガサ・クリスティ
「予告殺人」(2019)』
「予告殺人」(2019)』
<個人的な評価:10点中8.5点>
下記、個人的な感想。
ネタバレあり
下記、個人的な感想。
ネタバレあり
Very entertaining !!
思った以上に良かった。
原作を読んだのは、10年以上前、だいぶ昔で原作の内容はほぼ忘れている。犯人だけは覚えているけど。
もちろん、このドラマ、原作からは改変されているが、特にキャラの名前とか、面白おかしく改変したのが良い。キャラの個性的な名前とか!
(たまに海外ドラマなどの日本語訳、又は日本語作品の英語訳をみると、とんでもない雰囲気ぶち壊しやキャラ崩壊な訳し方が多くて残念だけど、前にも観たアガサ・クリスティのスペシャルドラマ版は、ストーリー自体が、日本語版として、あえてオリジナルとして、改変されていて、そこの具合が、うまいなと思ったので、とってもEntertaining だった。)
まず、館の名前から、リトル・パドックス館 → 小径の館 !
とてもいい訳し方だと思う。
ストーリーもサクサク進んで、面白かった。
本格的な推理もの。
面白いのはキャラの名前。
ちなみに、殺人事件ものは、私は推理をする段階が好き。あと犯人の動機を知るのが好き。
でも、別にリアリティーは求めてない。現実味がある事件とかは逆に好まない。
だから、現実ではありえないでしょ!って設定があるのは、逆に面白いし、ユニーク感がある。
今回も、現実ではありえないような設定だった。
まさに、金田一少年の事件簿に出てくるようなシチュエーション!
館の招待者の名前。(原作のキャラの名前と比べてみると面白い。それっぽい響きだし、漢字名も史実に忠実なのが多い!)
“小径の館”のパーティー参加者
1) 黒岩怜里(くろいわ れいり)通称「レーリィ」
原作:Letitia Blacklock
「小径の館」の当主。
2) 立花詩織(たちばな しおり)通称「リッカ」
原作:Phillipa Haymes
5年半前から「小径の館」の借家人。画家。
3) ミッチー
原作:Mitzi
「小径の館」の家政婦。6年前に6歳の息子が道路に飛び出し怜里の車にはねられて死亡。怜里から多額の見舞金をもらい住み込み家政婦として雇われる。
4) 桃畑鳩児 通称「クックル」
原作:Patrick Simmons
「小径の館」の下宿人。インテリアの工芸家。怜里と楼里のまたいとこ。
5) 桃畑雉香 通称「ケンケン」
原作:Julia Simmons
「小径の館」の下宿人。陶芸家。鳩児の妹。
6) 土田寅美(つちだ とらみ)通称「ドラ」
原作:Dora Bunner
怜里の親友で「小径の館」の同居人。身Dora Bunner,寄りがなく頭痛とリウマチに悩まされている。
これは一例で、まだまだ色んなキャラがいる!
屋敷の主、レーリィは、まさに裕福な上品マダムで美しかった。
面白いことに、原作のミッチーというキャラも外国人なのだが、この日本語バージョンでも、言及はされていないけど、外国人っぽい(フィリピンっぽい訛りと見た目)。そういう所でも原作と似せたのかな。
なにより、この作品はミスリードがうまかった。
思い込み、先入観によるミスリード。
二卵性双生児の男女の双子キャラという、面白い設定が出てきて、誰かを探るうちに...
子供の頃と大人では、見た目も変わるという事を忘れてたし、子供でも、女っぽい服装や男っぽい服装をする人だっているんだって事も忘れてた。
実は男女の双子ではなく、二卵性双生児の姉妹だった。
ただ彼らは犯人ではない!!そのミスリードが、これまた面白いのだ。
犯人は、館の主人レイリーだったわけだけど、彼女の正体は、実はローリー。
まあ、伏線がかなり前からはられてたから、これは、すごくわかりやすかったけど。
動機は切ないなと思う。
嘘に嘘を重ねた犯行。
嘘を隠すために殺人をおかし、その殺人をかくすために、また殺人をおかし、最後は、最愛の親友まで手にかけてしまった。ローリーは本当にドラの事が大好きだったと思う。殺しは全部容認できないけど。
でも、悲しいなと思った。ローリーの事が好きで、ローリーが独り身なのを心配してたから、屋敷によんで一緒に同居して、他にも色んな人達と親交を重ね、新しい人生を歩んでたのに。
いくら姉妹とはいえ、いくら姉が死んだからといって、姉になりすまし、身元を偽るのはやってはいけない犯罪だけどね。でも、気持ちは理解できなくもない。だから悲しい。
ローリーがレイリーになったあとは、真っ当にまじめに生きてたのもわかるから切ない。
あのバカ男さえ現れなければ!!!
ちなみに、レイリーが不倫愛人じゃないのも良い設定。
どんな理由があろうと、不倫女はフィクションでも気分悪くなるから。
レイリーは善良な人で良かった。
前に働いてた資産家の所の愛人ではなく、善良な秘書で、その資産家の奥様と仲が良かったんだね...
しかも、全財産を譲るというのも、資産家の奥様から言い出した事。子供がいないからね。
資産家一家が、金銭的に大変な時に、頭脳明晰なレイリーが経営を助けたから、レイリーのおかげだと。
レイリーも良い人だし、その資産家夫婦も、とても良い夫婦だ。
けど、そのレイリーは、病気になってあっけなく死んでしまったけど、もし健康体だったら、奥様の所にも頻繁に顔を出すだろうに。そして、レイリーは誰にも知られる事なく死んでしまい、ローリーがレイリーになった。だから、ローリーは正体がバレるとやばいから、奥様のお見舞いにもいかなくなったんだね。しょうがない。
ローリーはレイリーと違って、不真面目で、今まで、無駄使いをし、あまり誇れるような人ではないが、姉レイリーになりすましてからは、中身まで姉みたいになろうと努力して、そして、新しい土地に移り住みl本当に姉になった。そう思い込むようになった。
けど、嘘の人生は続かないんだな..
ストーリーとしても、最高だったし、トリックも面白いし、良作だ。
それにしても、レイリーが奥様より早く亡くなってたわけだから、奥様の死後、財産は、まさか、あの双子に?そこらへんは不明だけど...
なんだか、双子からしたら、宝くじが当たった感じだなー、双子は悪い人たちではないけど、ちょっとズルいなと思う。
血縁ってだけで、関りが一切ない、赤の他人のようだもんだし。
死んだ社長も、癌で闘病中の奥様も、双子の母親の事をとっても嫌悪してたし、自分たちの財産が、大嫌いな人の子供にいくってわかったら、どう思うんだろう。子供に母親の罪はないとはいえ、その子供が受取る権利というのは、血縁ってだけだしね。
私が夫妻だったら、財産が嫌いな人の子供にわたるのは絶対イヤだからね。死人に口はなし。
だから遺言はちゃんとしないとなー。
レイリーが先に死ぬ事を考えてなかったんだね。
妻も死んで、レイリーも死んだら、税財産は、〇〇団体に寄付するっていう遺言にすればよかったなと思う私であった。〇〇団体はなんでもいい。夫妻が環境保護かだったら、環境保護団体へ。恵まれない人達にあげたいなら、そういう団体で。動物好きだったら、動物愛護団体へ。普通に国に寄付したいなら、国へ。どっちにしろ、大嫌いな人の子供にあげるよりは良いだろう...と思う。