『The Suspicions of Mr Whicher
(ウィッチャーの事件簿)
(2011-2014)』
(ウィッチャーの事件簿)
(2011-2014)』
<個人的な評価:10点中8点>
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
HULUで配信されたばかりで、自分はまだ知らなかったサスペンスドラマ。
『最初の刑事:ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件』を原作とした実話ミステリーを映像化した作品。
裕福な家庭やお屋敷が出てて、ヴィクトリア朝時代のサスペンスものって結構好きなので、観る事に。
4話あって、それぞれ違う事件。
思ったより面白かったし、悲しい物語が多かった。
忘れないうちに4話目から。犯人含めて、もろネタバレしますので、注意。
★第4話「夫婦の秘密」/ The Ties That Bind
★個人的な評価:8.5点
これを観るまでは、1話が個人的に一番悲しいのかなと思ったけど、4話の終盤で真相が明らかにされて、泣いた。夫婦の秘密ってこういう事だったんだね。色んな夫婦やカップルが出てきたけど、最後に一番悲しい秘密と結末が明らかにされたね。夫婦と思ってた優しそうな夫婦は、実は近親相姦の兄妹カップルで、故郷の村から追放されて、この町で夫婦として暮らしてたんだね。さすがに親子は無理だけど、兄妹とか私はそういうのに実際に偏見ないけど、やっぱりこの時代でも(今の時代でも)偏見が凄い。1歳違いの妹の方がしっかりもので、兄の事を想っているって判明され、兄は別の女に勝手に片思いして、妹置いて、逃げようとしたのが酷いし切ない。殺人の妹が犯人だったわけだけど、その後、兄の本心(浮気心だと思うけど)を知って、絶望したのかな。自殺。
自殺する前にも、兄の幸せと未来を願っていたのか。
二人は愛し合ってたけど、妹の方が一回り、愛情が深かったな。
兄はたぶん、妹の事を妹として愛してただけ。それと14歳の時に妊娠と流産させてしまった事への責任から一緒にいるのかな。
けど妹の方は、本当に兄が全てだった。最後、自分が愛されてないとわかって絶望しても、彼の幸せを願った。もう自分がいなくなっても、兄は生きていけるだろうってわかったから死んだんだろう。生きている方が兄にとって重荷だから。切ないし哀しい。
妹は、兄に愛されてないと知り、それでも兄の幸せを願い、自分が重荷にならないよう命を絶った。
兄の方は本当に妹の事を愛してなかったのだろうか。さっきいったように妹として愛してただけかもしれないし、実際は本当に妻として愛してたかもしれない。それは本人しかわからないだろう。
でも、妹の死をもってして、妹の愛を知ったと思う。私がこの兄だったら、本当に大切だったのは誰なのか再確認できて後追い自殺するかな。そのまま自分だけ生き残って幸せになれるだろうか。でも、重荷が死んでくれて、せいせいして、その後も平気で生きる人も世の中にはたくさんいるから人それぞれ。この妹は兄がそういうタイプだと知ってたから、自殺をしたのかもしれない。そうしたら、さらに深い愛。実際、そのあと、この兄がどうなったかはわからない。
そして、ジェーン夫人。
この4話の元々の話は、イギリス南西部のウィルトシャーに屋敷を持つヘンリー卿から、妻のジェーンの浮気を探るよう依頼を受けたウィッチャーの話なんだけど、ただの浮気調査だったらすごくつまらないけど、そうじゃなかった。離婚したい為の口実作りだろう。とっても姑息で卑怯で、実際に不倫してたのは、ヘンリー卿の方だし。
それより、この時代の女性の地位の低さに呆れる。
女が相続権を持てない時代だった。親が金持ちでも。だから一人娘の場合は、結婚相手が相続権をもつんだよ。この場合、ヘンリー卿だね。
全て、ジェーンの父親のもので、ジェーンが相続すべきなのに!
ジェーンは相続できないから、父親の友達であったヘンリー卿と、政略結婚させられ、でもジェーンは、ヘンリー卿のタイプの女ではなかったから、愛されなかったどころか、愛人つくって不倫しまくり。
ジェーンは本をよく読み、頭がよく、自分の意見をはっきり言う女。そういう部分が、ヘンリー卿の好みにあわなかったのだろう(←ってしるかよ。そもそも、あんたの屋敷じゃないだろ。全てジェーンのものだろうに)
本当に、こういう時代、やるせないね。
男から愛されなければ、生まれがよくても、頭がよくても、金持ちの娘でも、男に姑息な手をつかわれて、女なんかゴミ同然のように捨てられる。頭がよくても、貴族の娘でも、関係ない。というか、高貴な家の娘達の方が、やるせない。男から可愛がってもらえなければ、男を手玉にとった娼婦より下の立場になる事だってある腐った時代。自分の力ではどうしようもない。
私はフェミニストじゃないし、現在、MediaやSNSで暴れてるフェミおばさんは嫌いだし気持ち悪いけど、平等主義なので、権利も、罪も、全て男女平等じゃなければ胸糞悪い。
女ってだけで被害者扱いされたり、女だからって甘やかされたりするのも胸糞悪いし(女だって姑息で卑怯な人はいる)、でも、女だからって相続権がなかったり、仕事できなかったり、仕事あっても給料少なかったりするのも許せない。そう思うと、今の時代は、だいぶ住みやすくなったなと思う。
少なくとも、相続権も男女平等だし、権利も男女平等になってきた。日本はまだ色々おかしい点があるけど、アメリカやイギリスでは基本的に平等だと思う。
そうなったのも、当時のフェミニストたちの女性が頑張ったおかげだろう。当時のフェミニストは男女平等の為に尽くしたからね。
ただ、今のフェミニストはなんかズレてるからね。(なにがなんでも、女を被害者に仕立て上げ、男を悪者にしたい今のフェミは大嫌いだし、みていて恥ずかしい。)
4話目は、ジェーン夫人の問題からみても、当時の社会背景や問題が浮き彫りになるなと思った。
★第3話「名家の秘密」/ Beyond the Pale
★個人的な評価:7点
とにかく、一言、チャールズがムカつく。なんでもかんでも、すぐに撃とうとするな!
不倫相手がいるのかと思いきや、インドで二人の奥さんと一緒に暮らしてただけか。
インド人の方の奥さん、チャールズに酷い扱いされてたけど、金目当てでもなく、復讐をしたいわけでもなく、問題を起こしたいわけでもなく、人の家庭を壊したいわけでもなく、ただ自分の子供達を返してほしかっただけなのに。その切実な願いと説得がすごかった。あと、撃たれてしまったインド人奥さんの弟の方。インド人の奥さんも弟も、「許します」って言えるのが立派。人を許すって難しいけど、大切な事。
最後、一件落着。元々、イギリス人奥さんとインド人奥さんは、インドで一緒に暮らしてたし、険悪な仲ではなかったけど、最後、子供達を返した時に、二人の間に『絆』のようなものを感じた。
自分の子供じゃなくても、イギリス人奥さんは、インド人奥さんの子供達を我が子のように愛した。
それを、インド人奥さんもわかってる。自分の子供達の事を愛してくれてる女性を憎む事なんかできない。特に、心が広い彼女はね。インド人奥さんも、イギリス人奥さんも、心が広い女性たちだなと思った。
この後、イギリス人奥ささん(一応彼女が正妻)に自分の子供ができると良いなと思う。
チャールズは本当に色々と反省すべき。
★第2話「エンジェル通り殺人事件」/ Murder on Angel Lane
★個人的な評価:6.5点
ある夜、ウィッチャーは、エンジェル通りにある場末の酒場でスーザン・スペンサー婦人と出会う。一目で酒場の雰囲気と場違いな彼女は、行方不明になっている16歳の姪メアリ・ドリューを捜していた。捜索を請け負ったウィッチャーだったが、間もなくメアリは変わり果てた死体となって発見される。
メアリって被害者の女には、あんまり良い印象がない。そもそも、ちゃんと、家にいろよ。スペンサー婦人を困らせるな。甘やかされて育ったイメージ。身勝手で恋愛脳すぎる。こんな女でも、スペンサー婦人にとっては、とっても大切な存在だった。実は、娘だったんだね。というと、メアリと相手の男って、従兄妹同士じゃん。言及されてないけど、従兄妹同士だね。こっちも近親相姦か。ああ、従兄妹同士は、あの時代のイギリスでも別に問題にならないんだっけ。(ちなみにリアルの親戚に、従兄妹同士で結婚して子供までいる70代の夫婦を知っている。近親婚の影響かどうかは不明だし、そうは思いたくないけど、その息子は身体がとても弱く、ちょっと障害があって、普通の社会人生活は無理なので、70代夫婦が養ってる。幸い、金が有り余ってるので問題ないけど、この先どうするのかな。とても優しい夫婦で自分の息子が大変なのに、ボランティア活動で沢山人助けしている人達だから、周りの親戚や友人には恵まれてる方だと思う。)
★第1話「ロード・ヒル・ハウス殺人事件」/ The Suspicions of Mr Whicher
★個人的な評価:8.5点
史実を基にしたストーリー。個人的に一番のお気に入り。
1860年、ヴィクトリア朝時代。裕福な家庭の屋敷内で、当主の3歳の息子が無残な惨殺死体となって発見された。幼児が死ぬのは、本当に辛い。フィクションでもイヤだけど、これ、史実におきた事件。
この殺人事件を捜査したのは1842年にスコットランド・ヤード刑事課が創設された際に最初に刑事になった8人のうちのひとりで、ずばぬけた技量を持つ刑事ウィッチャー。しかし、彼をもってしても、家名を守るため非協力的な遺族や、加熱する報道などさまざまな状況が絡み、事件は数奇な道すじをたどった。当時の英国を揺るがし、後に数々の探偵小説が生まれる元となった幼児殺害事件の驚くべき真相を映像化!!
これも結末はわかったけど切ない。
今でも真実は闇の中。姉が弟を庇ったという見方も多いけど、最後まで、弟想いの姉は口をわらなかった。
犯人とされている姉コンスタンスの方は、本当に強い人だなと。精神的にとても強い。
(なんか、このドラマ、どの章でも、女性が本当に精神的に強いなと思った。)
この二人が、一番近親相姦っぽかったけど、そういう類の描写はなく、でも普通の姉弟じゃないなとは思った。裕福な一家とはいえ、辛い家庭環境で、継母の嫌がらせに耐え、支えあって必死に生きてきたから、絆も強いだろう。(夫婦でもカップルでもそうだけど、楽しい日々を一緒に過ごすだけじゃ絆は生まれない。お互い困難を乗り越え、どんな辛い時も支えあって、喧嘩もして、もっとわかりあい、長い年月をかけて、愛も絆も深まる。)この姉弟は、姉の方がしっかり者で、弟を守っている、弟の未来も守っているのが切ない。
人殺しは許されない事だけど、死刑にならなくて良かった。この史実の事件、その後、彼女は刑を終え、弟と再会した。
ドラマは史実通りの判決が描かれた。
その後...
コンスタンス・ケントは死刑判決を受けたが、事件当時未成年であったことと、自ら罪を告白したということが考慮され、終身刑に減刑された。 彼女は20年間ミルバンク刑務所を含む多くの刑務所で服役したのち、1885年、41歳で釈放された。
コンスタンスは1886年前半にオーストラリアに移住し、当時タスマニアで政府の水産検査官の職に就いていた弟ウィリアムと再会。彼女は名前をルース・エミリー・ケーに変え、メルボルンのプラーランにあるアルフレッド病院で看護師として訓練を受けた。その後シドニーのリトル・ベイのコースト病院内にあった女性ハンセン病患者病院の看護師長に任命されている。また、1898年から1909年まではパラマッタ女子工業学校で寮長として働き、1年間は、ニュー・サウス・ウェールズ州のミッタゴンという田舎町に住んでいた。その後、イースト・メートランドでピアス・メモリアル・ナースズ・ホームの寮母となり、1911年から1932年に引退するまでそこに勤めた。
1944年4月10日、コンスタンスはシドニー郊外のストラスフィールドにある私立病院で死去した。享年100歳。(WIKIPEDIAから)
長生き!!そして社会に貢献しまくってる。
弟の方も、実は貢献している。
サヴィル=ケントは、1884年にオーストラリアのタスマニア島の水産局の監督官になり、1889年にクイーンズランド州の水産局長、1892年に西オーストラリア州の水産局長を歴任し1895年までその職を続けた。この間、真珠の養殖の実験に成功し、真球の真珠の製法を開発した。この技術をもとに、日本の西川藤吉らによって真珠養殖は実用化されることになった。(WIKIPEDIA)
幼い無実の子供の殺人は到底肯定できないけど、コンスタンスは、しっかり刑を終えた。
弟も共犯者(というか首謀者の可能性も高い)だったら、姉が刑に服している間、どう過ごしていたのだろう。姉が自分を犠牲にしてまで守ろうとした弟の未来。
彼は犯罪を犯さず、まっとうな青年として、しっかり自分の夢の職業に就くことができ社会に貢献した。しっかり生きた。
あと、この事件、一番悪いのは、この悲しい姉弟の親であった父親。あと継母(不倫女)
本当にクズ親っていつの時代にでもいる。
思ったより、ドロドロしているドラマだったけど、楽しめた。
当時のイギリスの社会情勢や様々な問題も改めて勉強になった。