『記憶の夜(2017)』
<個人的な評価:10点中8点>
下記、あくまでも個人的な感想です。
ネタバレありです。
ネタバレありです。
すごく悲しい家族の話でした。
パラサイトが、喜劇+悲劇なら、これは、ただ悲劇そのもの。
しかもバッドエンド。というか納得はいく終わり方だけど、とにかく悲しかった。救いがない。
少々鬱になるような悲しいエンディング。でも納得いくエンディング。
ふだん、韓国ドラマも韓国映画もほとんど見ないんですが、良い作品なら国を問わず観ます。
パラサイトを面白いと思ったので、彼氏にこれをすすめられて、みたら、かなり良かった。
良かったけど暗い悲しすぎる話だったよ。
少し話変わるけど、WITCHERというダークファンタジーのドラマがあるんですが、Game of Thrones好きだったら、WITCHERも好きになるはず!と言う人もいるけど、私は、そういうわけでもないです。
同じダークファンタジーだけど、全然違う。まあ、ドラゴンが出ていれば何でも好き!っていう人もいるけど私は違いますね。私がGame of Thrones好きな主な理由は、世界観はもちろんだけど、それより家族の話がベースだから。愛する家族の為に自分と家族を守るために、他人を傷つけたり狂っていったりしている。守る対象は自分の子供だったり父親だったり姉だったり弟や兄だったり、自分自身だったり。正当化するつもりはないが理解はできるんです。色んな複雑な家族関係や家族愛や自己愛もある。私も自分大好きだし、自分と自分の家族が一番大事ですからね。そう、だから家族や兄弟の話が好きなんです。ファンタジーでも現代の作品でも。そして親子よりも兄弟間の話が好きですね。
恋愛なんかより、だんぜん、そっちの方が好きだし共感できる。とはいえ、普通のハッピーなCOMEDYや善人一家の話とかは、物足りないから、サスペンスとかあった方がいい。
この『記憶の夜』というのも、家族の物語。
韓国は、もともと、日本より、家族兄弟間の繋がりが強いんですね。中国もそうだけど。
私も母は中華系のシンガポール人だから、家族の繋がりが濃いし、親兄弟や一族(家)を大切にするというのは、もう骨にしみこんでいるんです。だからですかね。観ていると色々思うことあります。
自分がもし同じ立場ならどうしていたか。そう思うことあります。
そしてこの作品、どんでん返しがすごいですよ。
視聴者の私も騙された!!!って感じです。
本当にどんどんネタバレいくんで、これから観るって人は、この先読まないでください絶対に。
まあ、ここまでも、けっこうネタバレしているけどね。バッドエンドって最初から言っちゃったし。
まずは、あらすじから。
あらすじ
引っ越し先でも父・母・兄との4人の温かい家族生活が待っているはずだった。主人公のジンソクは秀才で優しい兄を尊敬していた。大好きな兄だった。しかし、ジンソクは何か違和感を感じていた。デジャブのような何かを感じていた。この家、来たことがあるかのような。そんな中、秀才で尊敬している兄が雨の夜に何者かに誘拐されてしまう。そして、19日後、兄は突然家に帰ってきた。しかも、誘拐されていた間の記憶は失ってしまっていた。一体、兄に何が起こったのか…。
普通にこの一家をこれから新居で襲うサスペンスの物語かと思ってました。
ぜんぜん違った!!!!!
でも、伏線は最初から貼られてた!!
見覚えのある家、引きづる兄の左足、1997年のカレンダー、開かずの部屋、引っ越し業者のセリフ、主人公が服用する薬…。特に私が気にもしてなかったのが、カレンダーと引っ越し業者のセリフ。
引っ越し業者のセリフは、ん?と思ったけど、あまり深く考えなかった。むしろ業者が怪しい人なんじゃないの?とさえ思ってしまった。でも、実は伏線だった。
主人公のナレーションで物語が進行しているが、これこそが最大のミスリード!!
主人公は結局は、“信頼できない語り部”だったのだ。
結論から言いますと、この一家は偽りの家族だった。
ビックリしたのは、主人公のジンソクは催眠をかけられていて、1997年の時を過ごしていたのだ。
兄と思ってた人は実は兄ではなかったし、父も母も実は違っていたのだ。
そして、1997年ではなく、実際は2017年だった!
ジンソクは、21歳ではなく、41歳の中年のおじさんだった!!!!!
あの引っ越し業者のセリフの意味がわかった。ジンソクは41歳のおじさんなのに、あんな若い人が兄とか、冗談だろって意味ですよね。
トランプ大統領が出てきたよ、作中の中のテレビで笑。
そして、主人公のジンソクはなんと殺人者だった。
遺族はどうしても真実を知りたいがために、すべてを忘れてしまったジンソクを催眠にかけて、あの夜の惨劇を再現しようとしてたのだ。
家族を殺したのに、犯人がそれを忘れるなんて、犯人を殺して復讐したいけど、こんなんじゃ殺してもやりきれない。そんな想いで苦しくて苦しくて、こんな計画を思いついたんだろうな。
でもジンソクも殺人の記憶を思い出すんだけど。
ジンソクはサイコパスや極悪人でもなく、ごくごく普通の家族思いの青年なのが、なんともやりきれない。
交通事故で両親を失い、唯一生き残った兄を救うために、兄の手術費用を稼ぐために、殺人代行の仕事を引き受けてしまった。でも、実際、その場にいくと、やっぱり殺せなかった。けど、アクシデントがおきて、パニックになり殺してしまった。
許せないのは、殺人代行依頼してきた依頼主ですね。
私が個人的に許せないのはこいつですね。
殺人代行依頼してきたのは、なんと兄の主治医のお医者さん。自分の妻を殺害しろと。
まあ、子供だけは殺すな、奥さんだけを殺せって依頼してきた時点で、あ、夫だなってすぐ感づいたけど、まさか主治医だったとは。最低だな。
所詮そうだよね。血のつながった子供はかわいいけど、夫婦なんて結局は赤の他人だから、保険金やら不倫やら色んなどうでもいいくだらない理由で殺せるんだよね、所詮他人だからね。男女間の愛なんて簡単に代行がきくし信用なんかできない。でもね恋人同士ならまだしも、夫婦は違うよね?長年連れ添った夫婦ですよ?
愛する子供達を産んだ母親ですよ?いくら金の為だからといって、殺すって発想がまず理解できない。
だから、その医者が作中で一番のクズです。最低ですね。奥さんを殺す計画たてる暇があるならお前が市ねって思いましたわ。自分に保険金をかけて、死んどけよ!
まあ、この医者も結局あっけなく死んだけどね。
で、残された小さな男の子が成長して、自分で調べて色々わかってたみたいですね。
そう、その男の子が成長して、偽りの一家で、ジンソクが、兄だと思い込んでた人物!!!
母親と姉を殺されてしまった遺族の少年は成長して、色々調べて実は自分の父親が殺人代行依頼をしたんだって真実もわかってたけど。でも、その真実を、実際に殺人犯の口からききたかった。
でもすべてを思い出した殺人者ジンソクは、言わなかった。俺一人の犯行だよって嘘をついた。
でも、彼は知っていた。彼は、ジンソクを結局殺さず、達者でな、と言い残し、去って、そして自殺した。
すごく悲しいエンディングですね。
ジンソクもジンソクで、自害した。
尊敬する兄も救えなかった。他人の家族を滅茶苦茶にしてしまった。少年に苦しい想いをさせてしまった。
もう自分には何もないと思ったのかな。納得いくエンディングだけど悲しすぎるエンディング。
悲しいエンディングだけど、ラスト描写は綺麗でした。夢の中のような描写。
幸せは金では買えないときれいごとを言う人がいるけど、そういう事を言えるような人は、不自由ない環境で育ったからだろうね。すべての幸せが金で買えるとは限らないけど、ほとんどの幸せは金で買えます。そして金がなければ不幸になります。金があれば、ジンソクの兄は手術をうけて助かったし仲良く兄弟で暮らしてたでしょう。金があれば、あの医者だって奥さんを殺そうとしなかった(まあ、この医者はクズだけどね。金なくても普通は殺さないからね笑)
お金って大事ですよ。お金があれば救える命はあるし、お金がなければ救えるものも救えない。
お金があれば使い方次第によるけど心は豊になるし、お金がなくなれば人間は間違いを犯し、悪に手を染めることもある。心優しい人が殺人者になってしまうこともある。
実は、この作品、1997年が舞台となっているのは、韓国で起きた1997年の経済危機を題材としているからです。アジア通貨危機の事を知っているとより映画が楽しめるかもしれませんね。
あとブロマンス好きな管理人の紹介なので鑑賞した
勝手に記憶を失った兄、または本物の兄を、弟の愛で取り戻す話と思ってたら
予想を裏切った!!!!!
これはすごい
誰も救われない
でも良い作品でした(涙
誰も救われない勝者がいない悲しい鬱エンドだったけど
僕はこの映画のオチがすごく好き。
悲しいが完璧な納得いくオチ。
綺麗事で片付けるのではなく、どーんと落ちていくようなオチ。
でもその悲しいエンドになんだか人間の儚さを見た気がする。
復讐者が自殺をするラストは良かった。
悲しいが良かった。勝者はいないから。
最愛の兄を救うために殺しをしてしまった弟が最後、
全てを思い出した後に、せめてもの復讐者を救おうとする。
そこが良かった。
そして復讐者が結局は自分の家族を殺したその「弟」を殺すことができなかったのも悲しいがよかった。殺人者は殺さずに自分は自殺する。
殺人者も自殺する。
最後の夢の部分、もし過去の展開は少しでも違ってたら
この二つの家族は似た者同士で仲良くなれただろうねw
細かいけど伏線もしっかりしてるし、最高のサスペンス。