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早産による未熟児によく起こる壊死性腸炎 腸内フローラが重要なカギ

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出生体重1500グラム未満の極低出生体重児の命を危険にさらす壊死性腸炎。

腸内でバランスを保ちながら共存する多種多様な細菌群を「腸内フローラ」というが、この腸内フローラが壊死性腸炎の発症に関係するという研究結果が報告された。

□早産による未熟児の小さな命に大きな試練
極低出生体重児は体全体が未成熟の状態で生まれてくる。呼吸器系や免疫系も弱く、母体の外で生きていくにはあまりにも厳しい現実がある。

そのため、出生後さまざまな問題が起こりやすい。例えば、呼吸機能が未成熟のまま生まれてきた赤ちゃんは生後すぐに人工呼吸器が必要になる。また、通常は生後すぐに閉じる心臓の穴(動脈管)が閉じないこともある。その場合は穴を閉鎖する薬を使うが、それでもうまくいかない場合は手術が必要になる。

□早産による未熟児 原因不明の壊死性腸炎
極低出生体重児が起こしやすい病気の一つに「壊死性腸炎」がある。原因ははっきりしていないが、小さな赤ちゃんの腸が未熟なことと、血流の障害や細菌感染が要因となり腸が壊死(局所的に細胞が死滅すること)してしまう病気である。

軽度であれば、抗生剤を投与するなどの内科的処置で済むこともあるが、壊死の範囲が広く抗生剤で対処できないときは、壊死した腸を取り除く手術をしなければならない。

□未熟児の壊死性腸炎 場合によっては一生点滴、ということも
壊死の場所や範囲によって取り除く腸の範囲も異なり、腸を広範囲に取り除く必要がある場合、食べた物を腸で吸収できなくなるので点滴で栄養を補わなければならない。いつ点滴から離脱できるのかは、腸の働きがどれほど残っているかによる。場合によっては一生点滴を背負って生きていくことになる。

□腸内細菌は親から子へ? 生まれたての赤ちゃんは腸内細菌ゼロ!
生まれたばかりの赤ちゃんには腸内細菌がいない。赤ちゃんは無菌状態で生まれてくるのだ。

腸内細菌は周りの環境から赤ちゃんのおなかの中に移り住み、間もなく腸内フローラを形成するのである。そのため、免疫系が弱い極低出生体重児の場合は、腸内細菌を早く定着させるために、親が家で使っているタオルなどを赤ちゃんの隣に置いたりする。

赤ちゃん、特に未熟児にとって腸内細菌の早急な定着が大切だということは、さまざまな研究結果によって示されているのだ。

□早産による未熟児の壊死性腸炎 腸内細菌が克服のカギか!?
米セントルイス小児病院の医師らが行った研究では、壊死性腸炎を起こした乳児の腸内細菌を調べた。腸内細菌のバランス異常が壊死性腸炎の発症に関わっていると考えられたからだ。

その推測は的中し、壊死性腸炎を発症しなかった極低出生体重児と発症した極低出生体重児では、ある特定の腸内細菌の保有率が異なっていた。

□腸内細菌のバランスを整えることが壊死性腸炎の阻止につながる
つまり、腸内細菌のバランスを整えることが壊死性腸炎の阻止につながる可能性が示されたのだ。この発見がこれから生まれてくる小さな赤ちゃんとその家族にとって、大きな助けになることは間違いない。

近年、腸内細菌が私たちの健康にとって非常に大切だということが次々と明らかにされている。私たちはおなかの中に彼らを住まわせる代わりに大きな恩恵を受けているのである。もはや、彼ら抜きでは私たちは健康に生きていくことすらできないだろう。




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