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2017年08月01日
「毒婦高橋お伝」中川信夫若杉嘉津子丹波哲郎
稀代の毒婦高橋お伝は、怪談映画の巨匠中川信夫も1958年に新東宝で映画化している。
道楽亭主の古賀陣十郎と別れた高橋お伝(若杉嘉津子)は今は女スリとして身をやつしていた。
ある日お伝は宝石屋でダイヤを買うふりをしながら、傘の先にダイヤを隠して盗み取るの
だった。しかし店の主人らに疑われ衣服を脱いで無実を主張する。ダイヤは出てこなかったが
宝石屋は釈然としない。
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だが警邏の並河和馬はお伝の貴婦人のようないでたちに騙され、お伝の弁明を信じてしまう。
しかし傘の先にしこまれたダイヤを見て並河は、署まで連行しようとした。
それでもお伝は曲者だった。並河を色仕掛けでたぶらかしてしまったのだ。
お伝には高橋浪之助という夫があったが、病にふせっていた。お伝はこの病身の夫の面倒を
甲斐甲斐しく見ていた。
そんなある日舶来堂という古物商の番頭市三に脅迫され、主人伊兵衛(丹波哲郎)にひき合されて
無理やり仲間に引き入れられる。
舶来堂が古物商というのは表看板で、裏では女をかどあかして売りとばしていたのだ。
伊兵衛はお伝を情婦にして仕事をさせてお伝に才能があったのか、次々と若い女をだまして
いく。
しかしそんなお伝にも気がかりなことがあった。前夫との間にできた一人娘おみつの
ことだった・・・
高橋お伝は日本最後の斬首刑に処せられた女性であり、明治時代稀代の毒婦と呼ばれた
強盗殺人囚である。映画のクライマックスは銃撃戦となり、現実のお伝とはかなり違うが
そこそこ楽しめる。悪徳古物商に若き日の丹波哲郎が扮し、警邏部長に「燃えよ剣」で
近藤勇を演じた舟橋元が演じている。
現実の高橋お伝は強盗殺人容疑で明治12年死刑判決を受けて、市ヶ谷監獄で死刑執行されている。
タグ:中川信夫若杉嘉津子丹波哲郎 新東宝
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2017年07月27日
「東海道お化け道中」本郷功次郎、戸浦六宏、大映
1969年製作の大映映画「東海道おばけ道中」は、妖怪と時代劇を組み合わせた怪奇映画である。
江戸時代、東海道藤川宿にある鬼塚の塚守り甚兵平(左卜全)はやくざにいいがかりをつけられて
殺されてしまう。
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次いで渡世人勘蔵の火車(ひぐるま)組は、不正を暴く書付を巡って、宮守の仁兵衛親分を殺害する。
しかし鬼塚を根城にする妖怪たちが火車組の暴挙をたしなめるが、勘蔵たちはいうことを聞こうとは
しない。
甚兵衛には孫娘の美代がいたが、死の間際に賽吉(戸浦六宏)がいることを知らされる。
美代は東海道を一路上り、一人で浜松の由比宿目指すが、仁兵衛の書付を拾ったために火車組
に追われることになってしまう。しかし旅の途中に銭座の百太郎(本郷功次郎)という
義侠心のある渡世人に助けられ一緒に父を探す旅に出る。
だが火車組は執念深く二人の命を狙ってくるのだった・・・
大映の「妖怪大戦争」「妖怪百物語」と並ぶ妖怪三部作と言われる作品で、丁半ばくち
や人の人情や絵に書いたような悪人を描いており、妖怪そのものの露出はそれほど多くはない。
だが妖怪の造形や効果音などはかなり不気味でそれなりに怖がらせてくれる。
脇役に漫才師の島田洋介や今喜多代、子役に穂積ペペが出ている。
監督は安田公義。音楽は渡辺宙明 出てきる妖怪もぬらりひょん、のっぺらぼう、泥田坊、
ひょうすべなど多彩で楽しませてくれる。
タグ:東海道お化け道中
2017年07月24日
「ぼんち1960年」市川雷蔵、若尾文子、市川昆、山崎豊子
ぼんちと聞いてみなさんは何を思い浮かべるだろうか?漫才のザボンチなら40代以上の方
だろうか。あるいはおかきのぼんちだろうか?山崎豊子原作の「ぼんち」は大阪船場の老舗
足袋問屋のぼんぼんの女性遍歴を中心に描いた長編小説で、市川雷蔵主演で1960年に
映画化されている。
船場の足袋問屋の跡取りの喜久治は5代目で一人息子だった。いつまでも独身では何かと
不自由であり世間体もあるので、祖母きの、母・勢以にすすめられ砂糖問屋から弘子(中村珠緒)
嫁に貰ったのだ。しかし弘子は二人にいびり倒されて実家へ帰るはめになった。
河内屋は養子が続いた家系だったので、嫁姑の力は絶大だったのだ。
喜久治の父喜兵衛(船越英二)も養子だったので、いいたいことも言えずにいたのだ。
しかし喜兵衛は肺炎をこじらせて病の床についてしまう。喜久治はせめてもの親孝行に
喜兵衛のめかけを付き添いと称して家に上げ看病させた。喜兵衛は息子の配慮に感謝
しつつ息を引き取った。
喜久治は弘子との間に息子を授かっていたが、料亭はまゆうの仲居をしていたお福
を嫁姑にくっつけられそうになる。
だが喜久治は芸者のぽん太(若尾文子)に魅かれていたのだ・・・
ぼんちとは器が大きい坊ちゃんという意味だが、原作者はこの映画が気に入らなかった
ようである。監督を市川昆がやり脚本は和田夏十の名コンビで、原作者の意図は
ともかく非常に面白い作品である。老舗の姑の陰湿ないじめや嫉妬心やミエなど
心理描写が実にうまい。
女優陣も山田五十鈴、越路吹雪、草笛光子、京マチコ、若尾文子と実に豪華なのだ。
この映画の特徴として昔の商家で使われていた上品な関西弁を聞くことができることだ。
いまではあまり使われていない大阪の言葉が、かなり正確に再現されているのがうれしい。
俳優たちのセリフもおかしなイントネーションもないので心地よい。
だろうか。あるいはおかきのぼんちだろうか?山崎豊子原作の「ぼんち」は大阪船場の老舗
足袋問屋のぼんぼんの女性遍歴を中心に描いた長編小説で、市川雷蔵主演で1960年に
映画化されている。
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船場の足袋問屋の跡取りの喜久治は5代目で一人息子だった。いつまでも独身では何かと
不自由であり世間体もあるので、祖母きの、母・勢以にすすめられ砂糖問屋から弘子(中村珠緒)
嫁に貰ったのだ。しかし弘子は二人にいびり倒されて実家へ帰るはめになった。
河内屋は養子が続いた家系だったので、嫁姑の力は絶大だったのだ。
喜久治の父喜兵衛(船越英二)も養子だったので、いいたいことも言えずにいたのだ。
しかし喜兵衛は肺炎をこじらせて病の床についてしまう。喜久治はせめてもの親孝行に
喜兵衛のめかけを付き添いと称して家に上げ看病させた。喜兵衛は息子の配慮に感謝
しつつ息を引き取った。
喜久治は弘子との間に息子を授かっていたが、料亭はまゆうの仲居をしていたお福
を嫁姑にくっつけられそうになる。
だが喜久治は芸者のぽん太(若尾文子)に魅かれていたのだ・・・
ぼんちとは器が大きい坊ちゃんという意味だが、原作者はこの映画が気に入らなかった
ようである。監督を市川昆がやり脚本は和田夏十の名コンビで、原作者の意図は
ともかく非常に面白い作品である。老舗の姑の陰湿ないじめや嫉妬心やミエなど
心理描写が実にうまい。
女優陣も山田五十鈴、越路吹雪、草笛光子、京マチコ、若尾文子と実に豪華なのだ。
この映画の特徴として昔の商家で使われていた上品な関西弁を聞くことができることだ。
いまではあまり使われていない大阪の言葉が、かなり正確に再現されているのがうれしい。
俳優たちのセリフもおかしなイントネーションもないので心地よい。
2017年07月17日
「アメリカを震撼させた夜(1975)」オーソンウェルズ、ヴィックモロー
「市民ケーン」などで知られる米国の俳優オーソンウエルズは才人としても有名で
若いころラジオでHGウエルズの「宇宙戦争」のドラマ制作にかかわった。
このドラマがあまりに迫真だったのでラジオを聞いていたリスナーが全米でパニックを
起こした事件は教科書などでも取り上げられている。
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1975年の「アメリカを震撼させた夜」は、このときのエピソードを元に制作された
テレビムービーである。
時は1938年欧州ではヒトラーのドイツが戦争を起こし、アメリカも参戦の是非をめぐり
国内は風雲急を告げる情勢だった。
当時23歳のオーソンウエルズ(ポール・シェナー)は、マーキュリー劇団を率いてCBSラジオで
で「宇宙戦争」のドラマの準備に追われていた。
ウエルズはこのドラマをヒンデンブルク号爆発事故の実況録音を参考に臨場感あふれる
物語にしようと奔走していた。
スタジオに劇団やオーケストラを集めた本格的なのもので、生々しい効果音や実況風の
アナウンスを聞いて本物の火星人が襲来したと勘違いした市民が出てきた。
中にはショットガンで武装して火星人狩りに出る自警団まで結成される騒ぎだった。
また金持ちが集まったパーティーでは会場の参加者が放送を聞いて、真に受けて
大パニックになっていた。最初から放送を聞いていてドラマだと知っている
執事が主人に真実を伝えても一切耳を貸さないのである。
離婚を覚悟して妻と言い争っていた中年男(ヴィックモロー)も放送を聞いて
家族を連れて家から逃げ出したのだった・・・
この宇宙戦争のパニック騒ぎは誰もが一度は耳にしたことがあるだろう。
マスコミのもつ威力を思い知らせる事件だった。だがこの当時の緊迫した
世界情勢がこの事件の背景にあった。
最近の研究では実はほとんどパニックはなかったという説もある。
しかし23歳の若さで後世に残るドラマを作ったオーソンウエルズは
大したものである。監督ジョセフサージエント
残念ながら国内未DVDであるが、北米版DVDがアマゾンジャパンで
入手できる。
2017年06月30日
「Mr.オセロマン/2つの顔を持つ男 双頭の男」とんでもホラー、レイミランド
トンデモ映画の代表作のひとつ「Mr.オセロマン/2つの顔を持つ男」は劇場未公開
で日本では「双頭の男」の題名でテレビ放映された。
臓器移植の世界的権威カーシュナー博士(レイミランド)は、重い関節炎で車椅子生活を送り、末期癌で
余命いくばくもなかった。
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しかし博士は自らの運命を、素直に受け入れるような人間ではなかった。
博士は自分の頭脳に絶対的な自信を持っていて、なんとしてもその頭脳をこの世に残した
かったのだ。博士はゴリラを実験台に手術を行っていて、双頭のゴリラを飼っていた。
ゴリラの実験ではゴリラの頭にもう一匹のゴリラの頭を移植して、成功させていた。
博士は助手に命じて死につつある自分の肉体の代わりに、若いドナーを見つけて自分の
頭を移植させようと考えたのだ。
そしてやっと見つけたのが、死刑囚の若い巨体の黒人ジャックだった。ジャックは無実を主張していたが
仕方なく手術に同意した。
そして手術は成功したが、目覚めたジャックは驚いた。なんと自分の肩に壮年の白人の首が
くっついていたからだ。
博士にしてもこの結果は、納得ゆくものではなかった。博士は大の黒人嫌いのレイシスト
だったからだ。二人はお互いに罵倒しあうが、黒人のジャックはなんとか自分の無実を
証明しようと実験室から脱走するのだった・・・
このあらすじだけ見てみるといかにもドロドロした映画に思えるが、見てみるとわかるが
ドタバタコメディ映画である。
しかしラストの首を切り落とされた博士の姿は不気味だ。
CGがない時代なので双頭のシーンは、どことなく違和感があるが撮影は結構大変だったろう。
しかし主演のレイミランドは「X線の目をもつ男」といいこの手のマッドサイエンティストを
演じたら天下一品である。
国内版DVDは未発売だが、北米版DVDは出ています。監督はリーフロスト。
2017年06月26日
「亡霊怪猫屋敷」中川信夫、橘外男、西本正
中川信夫は新東宝で続いて作った怪談映画が1958年の「亡霊怪猫屋敷」である。
橘外男の原作を元に、大蔵貢が制作した怪作である。現代編と時代編の二部形式で現代編が
モノクロで時代編はカラーで製作されている。
大学病院の医師である久住哲一郎(細川俊夫)は妻が結核となったため九州の田舎へ
療養のために引っ越してきた。
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引越し先の屋敷は広い旧家であったが、何か不気味な雰囲気を漂わせていた。
久住はそこで病院を開業したが、ある日奇怪な老婆が訪れてきた。看護婦が応対したが
ふと見ると姿は消えていた。そのすきに老婆は座敷にあがりこみ、休んでいた妻頼子( 江島由里子)
の首を絞めていた。
久住が部屋へ駆けつけると老婆の姿は消えており、妻の錯覚ということでそのことは
済んでしまったのだ。
だがそれからも老婆は久住の家を訪ねて頼子の首をしめ、番犬まで殺害されたことから
久住は深い理由があるのではと考えた。
そして檀那寺・了福寺の和尚に話を聞くと化け猫の祟りに仕業だというのである。
江戸時代この屋敷には大村藩の家老・右堂左近将監が住んでいた。家老は大変な癇癪もち
で些細な事で、家来を手打ちにするような男だったのだ。
ある日家老は碁の師匠竜胆寺小金吾を自宅に招いたが、小金吾が家老の待ったを承知
しないのに腹を立てて、小金吾を斬り殺してしまった。そのうえで小金吾の母宮路を
だまして犯してしまう、
宮路は悲嘆のあまり自決するが、死の間際小金吾がかわいがっていた愛猫の玉に
復讐を託す。玉は宮路の血をなめて、妖怪変化として生まれ変わったのだ。
玉は家老の家に忍び込み、次々に血祭にあげてゆくのだ・・・
五月藤江の化け猫演技が秀逸な作品で、ジャパーニーズゴシックホラーの傑作である。
因果を描けば1級の中川作品だけに最後まで退屈させない。撮影はのちの香港にわたり
ブルースリー作品に参加した西本正である。
中川作品の魅力は縁日の目玉の見世物小屋のようなどくどくしさと、相反する人間心理の描写
のうまさだろうか。しかし異常に短気な家老はどの職場にもいるクラッシャー上司
と似ていないか。現代も本質的には封建時代と変わっていないのだろうか。
タグ:中川信夫、化け猫、
2017年06月25日
「怪談かさねが淵」中川信夫、丹波哲郎、若杉嘉津子、新東宝
怪談映画の巨匠中川信夫が、新東宝で初めて撮った怪談映画が「怪談かさねが淵」である。
あまりにも有名な三遊亭円朝の「真景累ヶ淵」をベースの「月光仮面」の川内康範が脚本
を書いている。時は江戸時代安永2年(1774年)の冬、舞台は上総羽生村。一人の按摩宗悦(岬洋二)
が借金の取り立てに旗本深見新左エ門(中村彰)の家を訪れる。最初は酒など飲みながら
二人は談笑していたが、宗悦が取り立ての催促をすると新左エ門は、いきなり逆上し
お猪口を宗悦の額に投げつける。額が割れ血にまみれた宗悦になおいきりたち、新左エ門は刀を
抜いて宗悦を惨殺する。新左エ門は下男に命じて累ガ淵に死体を沈めるが、宗悦の怨霊にとり憑かれて
妻を切ってしまう。そして怨霊を追って累ガ淵へ行くが、沼に足を取られて死んでしまうのだった。
新左エ門には一人息子新吉があり、下男は子供の将来を案じて江戸一の商家「羽生屋」の軒先
に置いて拾われるようにしたのだ。
時は流れ20年を経て成長した新吉(和田孝)は、羽生屋で番頭をつとめていた。
立派な男ぶりから羽生屋の一人娘お久は新吉にほれ込んでいた。だが新吉はお久の三味線の師匠
豊志賀(若杉嘉津子)が想いを寄せていたのだ。
しかし豊志賀に横恋慕していた木村陣十郎(丹波哲郎)は、羽生屋の女主人に豊志賀の
関係を密告したため新吉は羽生屋に暇乞いされてしまう。
行き場を失った新吉は豊志賀の家にころがりこみ、ヒモのような生活を送る。
しかしある日三味線のバチが、棚から落ちて豊志賀の顔を直撃し二目とみられない顔
になってしまう。お久は豊志賀を見舞うが嫉妬のあまり、お久に刃物で切りかかるの
だった。幸いお久は無事であったが、お久は気が進まないの男と結婚させられそうに
なっていたので、新吉と駆け落ちを企てる。だが新吉と豊志賀の間には恐ろしい因縁が
あったのだった・・・・
人間の業の深さを描いたら天下一品のいかにも中川信夫らしい秀作である。
物語の冒頭から一挙に観客をひきつけて、最後までハラハラしながら釘づけにする
力技は誰にも真似できない。しかし作品の情景やセットや役者の人物造形も細かく
古きよき日本映画のエッセンスがここにある。ハリウッド映画やCGのような派手さ
はないが怖く悲しい映画だ。
若杉嘉津子のメイクは恐ろしく、子供が見たらトラウマになるのではないか。
中川信夫万歳!!
あまりにも有名な三遊亭円朝の「真景累ヶ淵」をベースの「月光仮面」の川内康範が脚本
を書いている。時は江戸時代安永2年(1774年)の冬、舞台は上総羽生村。一人の按摩宗悦(岬洋二)
が借金の取り立てに旗本深見新左エ門(中村彰)の家を訪れる。最初は酒など飲みながら
二人は談笑していたが、宗悦が取り立ての催促をすると新左エ門は、いきなり逆上し
お猪口を宗悦の額に投げつける。額が割れ血にまみれた宗悦になおいきりたち、新左エ門は刀を
抜いて宗悦を惨殺する。新左エ門は下男に命じて累ガ淵に死体を沈めるが、宗悦の怨霊にとり憑かれて
妻を切ってしまう。そして怨霊を追って累ガ淵へ行くが、沼に足を取られて死んでしまうのだった。
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新左エ門には一人息子新吉があり、下男は子供の将来を案じて江戸一の商家「羽生屋」の軒先
に置いて拾われるようにしたのだ。
時は流れ20年を経て成長した新吉(和田孝)は、羽生屋で番頭をつとめていた。
立派な男ぶりから羽生屋の一人娘お久は新吉にほれ込んでいた。だが新吉はお久の三味線の師匠
豊志賀(若杉嘉津子)が想いを寄せていたのだ。
しかし豊志賀に横恋慕していた木村陣十郎(丹波哲郎)は、羽生屋の女主人に豊志賀の
関係を密告したため新吉は羽生屋に暇乞いされてしまう。
行き場を失った新吉は豊志賀の家にころがりこみ、ヒモのような生活を送る。
しかしある日三味線のバチが、棚から落ちて豊志賀の顔を直撃し二目とみられない顔
になってしまう。お久は豊志賀を見舞うが嫉妬のあまり、お久に刃物で切りかかるの
だった。幸いお久は無事であったが、お久は気が進まないの男と結婚させられそうに
なっていたので、新吉と駆け落ちを企てる。だが新吉と豊志賀の間には恐ろしい因縁が
あったのだった・・・・
人間の業の深さを描いたら天下一品のいかにも中川信夫らしい秀作である。
物語の冒頭から一挙に観客をひきつけて、最後までハラハラしながら釘づけにする
力技は誰にも真似できない。しかし作品の情景やセットや役者の人物造形も細かく
古きよき日本映画のエッセンスがここにある。ハリウッド映画やCGのような派手さ
はないが怖く悲しい映画だ。
若杉嘉津子のメイクは恐ろしく、子供が見たらトラウマになるのではないか。
中川信夫万歳!!
2017年06月07日
「少女に何が起こったか2」小泉今日子、賀来千賀子、石立鉄男
雪は東家の人々のいじめを受けながらも、よき指導者大津の協力で次第にピアノの腕を
上げていく。
しかし美津子はそんな雪の存在が面白くないので仲間と一緒にいびり倒すのだった。
しかも毎晩12時の雪の部屋に現れる刑事(石立鉄男)の存在が雪を悩ませる。刑事は
東家が雪の正体を暴こうと雇っていた男で、雪に暴言を浴びせていじめぬくのである。
そして裕之は雪に罠をかけようと、大学で雪にカミソリを買いに行かせてその刃をピアノ
に仕込んで濡れ衣を着せる。雪がライバルの美津子を陥れようとしたとのシナリオで
雪をはめたのだ。
しかしなんとか疑いも晴れたが、美津子との対決であるピアノコンクールの日が迫っていた・・・
このドラマの見どころは、なんといっても主人公雪の対するイビリ、イジメである。
雪が卑劣な攻撃を受けるほど、視聴者は雪に同情し味方したくなるのである。
それにしても刑事役の石立鉄男のいじめはすさまじく、雪の身体を抑えつけて左右に上下に揺さぶって
虐待そのもので、犯人でもないのに現実には許されないものだろう。
また賀来千賀子のいびり演技も堂に入っていて、特に雪を見る目の意地悪さが生々しいものが
ある。
またこのドラマの特徴として効果音がやたら大きいのである。雪をゆさぶったり振り回したりする
ときの効果音が凄すぎて違和感すらあるのだ。
主演の小泉今日子が人気絶頂期のもので演技はうまいとは言えないが、その明るく元気なキャラクター
はやはり魅力がある。
現在小泉はプロデュース業も行っていて、役者としても第一線にある。
この作品を見ると小泉今日子が、いまだ人気があるのかよくわかる。
ただこの作品の主題歌である東京JAPの「摩天楼ブルース」はドラマの内容とまったく合っていない。
ドラマの最後でどんでん返しがあるが、それは見てからのお楽しみということで触れないでおきたい。
上げていく。
しかし美津子はそんな雪の存在が面白くないので仲間と一緒にいびり倒すのだった。
しかも毎晩12時の雪の部屋に現れる刑事(石立鉄男)の存在が雪を悩ませる。刑事は
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東家が雪の正体を暴こうと雇っていた男で、雪に暴言を浴びせていじめぬくのである。
そして裕之は雪に罠をかけようと、大学で雪にカミソリを買いに行かせてその刃をピアノ
に仕込んで濡れ衣を着せる。雪がライバルの美津子を陥れようとしたとのシナリオで
雪をはめたのだ。
しかしなんとか疑いも晴れたが、美津子との対決であるピアノコンクールの日が迫っていた・・・
このドラマの見どころは、なんといっても主人公雪の対するイビリ、イジメである。
雪が卑劣な攻撃を受けるほど、視聴者は雪に同情し味方したくなるのである。
それにしても刑事役の石立鉄男のいじめはすさまじく、雪の身体を抑えつけて左右に上下に揺さぶって
虐待そのもので、犯人でもないのに現実には許されないものだろう。
また賀来千賀子のいびり演技も堂に入っていて、特に雪を見る目の意地悪さが生々しいものが
ある。
またこのドラマの特徴として効果音がやたら大きいのである。雪をゆさぶったり振り回したりする
ときの効果音が凄すぎて違和感すらあるのだ。
主演の小泉今日子が人気絶頂期のもので演技はうまいとは言えないが、その明るく元気なキャラクター
はやはり魅力がある。
現在小泉はプロデュース業も行っていて、役者としても第一線にある。
この作品を見ると小泉今日子が、いまだ人気があるのかよくわかる。
ただこの作品の主題歌である東京JAPの「摩天楼ブルース」はドラマの内容とまったく合っていない。
ドラマの最後でどんでん返しがあるが、それは見てからのお楽しみということで触れないでおきたい。
2017年06月06日
「少女に何が起こったか 1」大映テレビ、小泉今日子、辰巳琢朗、宇津井健、
1985年にテレビ放映された小泉今日子主演の「少女に何がおこったか」も大映テレビ製作の
ドラマである。北海道の漁業組合で母(市毛良枝)とともに事務員として働いていた野川雪(小泉)
だったが、母の死をきっかけに上京して父の夢であったピアニストを目指す物語である。
雪の父は有名なピアニストの東雪彦(風間杜夫)であったが雪が生まれる前に病気で死に
雪は母子家庭で育った。
そして母は死ぬ前に謎の男(宇津井健)に雪のことを託したのだった。
雪は母の遺言に従って上京し雪彦の父親の東音楽大学学長の東雪雄(松村達夫)の元を訪れる。
父の夢であった雪がピアニストとして成功することを実現させようとしたのである。
しかしどこの馬の骨かわからない田舎娘を実の孫として、受け入れるほど学長は甘くはなかった。
しかも学長は雪彦と雪の母の結婚に反対して、二人を家からたたき出した過去があったのだ。
だが雪の情熱に押されてお手伝いとしてなら、家に置いてもいいと約束した。
雪は喜びさっそく東音楽大学へ行き、助教授でピアニストの大津光三(辰巳琢朗)から教え
を受けることになる。授業料が払えないため特待生として入学したのだ。
大津は天才肌であったが型破りの性格で、才能があってもお金がないためピアノ教育を受ける
ことができない娘たちのために特待生制度を学長に提案して認められたのである。
雪はピアノ好きの不良少女たちとともに学園生活をスタートさせた。
しかし東家では、雪が財産を狙って飛び込んできた偽ものと決めつけあらゆるいじめを
展開していく。
学長の長女の貴恵(岸田今日子)とその夫久之(長門裕之)とその娘でピアニストの美津子
(賀来千賀子)叔母の節子(辺見マリ)たちの総がかりのいじめが毎日のように繰り替えされるの
である。そんな中で裕之の長男の信之(柳沢慎吾)だけは雪をなにかとかばうのだった。
ドラマである。北海道の漁業組合で母(市毛良枝)とともに事務員として働いていた野川雪(小泉)
だったが、母の死をきっかけに上京して父の夢であったピアニストを目指す物語である。
雪の父は有名なピアニストの東雪彦(風間杜夫)であったが雪が生まれる前に病気で死に
雪は母子家庭で育った。
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そして母は死ぬ前に謎の男(宇津井健)に雪のことを託したのだった。
雪は母の遺言に従って上京し雪彦の父親の東音楽大学学長の東雪雄(松村達夫)の元を訪れる。
父の夢であった雪がピアニストとして成功することを実現させようとしたのである。
しかしどこの馬の骨かわからない田舎娘を実の孫として、受け入れるほど学長は甘くはなかった。
しかも学長は雪彦と雪の母の結婚に反対して、二人を家からたたき出した過去があったのだ。
だが雪の情熱に押されてお手伝いとしてなら、家に置いてもいいと約束した。
雪は喜びさっそく東音楽大学へ行き、助教授でピアニストの大津光三(辰巳琢朗)から教え
を受けることになる。授業料が払えないため特待生として入学したのだ。
大津は天才肌であったが型破りの性格で、才能があってもお金がないためピアノ教育を受ける
ことができない娘たちのために特待生制度を学長に提案して認められたのである。
雪はピアノ好きの不良少女たちとともに学園生活をスタートさせた。
しかし東家では、雪が財産を狙って飛び込んできた偽ものと決めつけあらゆるいじめを
展開していく。
学長の長女の貴恵(岸田今日子)とその夫久之(長門裕之)とその娘でピアニストの美津子
(賀来千賀子)叔母の節子(辺見マリ)たちの総がかりのいじめが毎日のように繰り替えされるの
である。そんな中で裕之の長男の信之(柳沢慎吾)だけは雪をなにかとかばうのだった。
2017年06月01日
「ヤヌスの鏡4」杉浦幸、山下真司、大沢逸美
大沼ユミが東涼子に打ち明けた計画とは、河本達之の宝石店に押し入り強奪することだった。
さすがの涼子もこの話には驚き、計画に加わるのをためらった。
だがユミは達之から秘密の隠し経路を聞き出していたので、逃げ道を確保してのユミの周到さに
感心し仲間と加わることにした。
しかし犯行当日ユミは裏切り自分は逃走したあと、警察に通報して涼子たちは捕まるのだった。
涼子は感化院に送られ、ひたすらユミに復讐することだけを考えていたのだ・・・
「ヤヌスの鏡」の魅力は誰もが持つ変身願望と、人間の二面性を鋭く追及しているところにある。
まだ新人の杉浦幸が裕美を演じるときのおぼこさと、ユミの持つ凶悪な不良少女の演技を
使い分けているのはやはり凄い。メイクや服装で同じ女性でもこんなに変わるものかと思う。
そういう意味で女は恐ろしい。
余談だが杉浦は涼子役の大沢逸美とは仲が悪かったらしい。かなり時間がたってから和解した
というが。
タッチン役の風間真悟がときどき見せるストリートダンスもなかなかうまい。
この作品の80年代は今ほどダンスが普及していなかったので新鮮だったろう。
裕美の祖母役の初井琴栄の意地悪演技もこの作品を盛り上げることになった。
しかし初井琴栄はわずか61歳で亡くなっている。
「ヤヌスの鏡」のテーマ曲の「今夜はエンジェル」を椎名恵が歌っているが、ファイヤーイインク
の原曲をうまくアレンジしていると思う。
また前田吟や中村晃子ら脇を固める役者が、よかったこともこの作品が成功した理由である。
さらに高校生役で若き日の竹内力が出ているが、今と違ってかなり痩せている。
今から見ればつっこみどころの多い作品であるが、それらの欠点を含めてに後世に残る
名作とは言えないだろうか。
もしリメイクするとしても下手な作品を作ればイメージが壊れる。
この作品は80年代の大映テレビでこそ、作れた作品だと思うのである。
さすがの涼子もこの話には驚き、計画に加わるのをためらった。
だがユミは達之から秘密の隠し経路を聞き出していたので、逃げ道を確保してのユミの周到さに
感心し仲間と加わることにした。
大映テレビ ドラマシリーズ ヤヌスの鏡 後編 [ 杉浦幸 ] 価格:18,468円 |
しかし犯行当日ユミは裏切り自分は逃走したあと、警察に通報して涼子たちは捕まるのだった。
涼子は感化院に送られ、ひたすらユミに復讐することだけを考えていたのだ・・・
「ヤヌスの鏡」の魅力は誰もが持つ変身願望と、人間の二面性を鋭く追及しているところにある。
まだ新人の杉浦幸が裕美を演じるときのおぼこさと、ユミの持つ凶悪な不良少女の演技を
使い分けているのはやはり凄い。メイクや服装で同じ女性でもこんなに変わるものかと思う。
そういう意味で女は恐ろしい。
余談だが杉浦は涼子役の大沢逸美とは仲が悪かったらしい。かなり時間がたってから和解した
というが。
タッチン役の風間真悟がときどき見せるストリートダンスもなかなかうまい。
この作品の80年代は今ほどダンスが普及していなかったので新鮮だったろう。
裕美の祖母役の初井琴栄の意地悪演技もこの作品を盛り上げることになった。
しかし初井琴栄はわずか61歳で亡くなっている。
「ヤヌスの鏡」のテーマ曲の「今夜はエンジェル」を椎名恵が歌っているが、ファイヤーイインク
の原曲をうまくアレンジしていると思う。
また前田吟や中村晃子ら脇を固める役者が、よかったこともこの作品が成功した理由である。
さらに高校生役で若き日の竹内力が出ているが、今と違ってかなり痩せている。
今から見ればつっこみどころの多い作品であるが、それらの欠点を含めてに後世に残る
名作とは言えないだろうか。
もしリメイクするとしても下手な作品を作ればイメージが壊れる。
この作品は80年代の大映テレビでこそ、作れた作品だと思うのである。