2017年06月26日
「亡霊怪猫屋敷」中川信夫、橘外男、西本正
中川信夫は新東宝で続いて作った怪談映画が1958年の「亡霊怪猫屋敷」である。
橘外男の原作を元に、大蔵貢が制作した怪作である。現代編と時代編の二部形式で現代編が
モノクロで時代編はカラーで製作されている。
大学病院の医師である久住哲一郎(細川俊夫)は妻が結核となったため九州の田舎へ
療養のために引っ越してきた。
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引越し先の屋敷は広い旧家であったが、何か不気味な雰囲気を漂わせていた。
久住はそこで病院を開業したが、ある日奇怪な老婆が訪れてきた。看護婦が応対したが
ふと見ると姿は消えていた。そのすきに老婆は座敷にあがりこみ、休んでいた妻頼子( 江島由里子)
の首を絞めていた。
久住が部屋へ駆けつけると老婆の姿は消えており、妻の錯覚ということでそのことは
済んでしまったのだ。
だがそれからも老婆は久住の家を訪ねて頼子の首をしめ、番犬まで殺害されたことから
久住は深い理由があるのではと考えた。
そして檀那寺・了福寺の和尚に話を聞くと化け猫の祟りに仕業だというのである。
江戸時代この屋敷には大村藩の家老・右堂左近将監が住んでいた。家老は大変な癇癪もち
で些細な事で、家来を手打ちにするような男だったのだ。
ある日家老は碁の師匠竜胆寺小金吾を自宅に招いたが、小金吾が家老の待ったを承知
しないのに腹を立てて、小金吾を斬り殺してしまった。そのうえで小金吾の母宮路を
だまして犯してしまう、
宮路は悲嘆のあまり自決するが、死の間際小金吾がかわいがっていた愛猫の玉に
復讐を託す。玉は宮路の血をなめて、妖怪変化として生まれ変わったのだ。
玉は家老の家に忍び込み、次々に血祭にあげてゆくのだ・・・
五月藤江の化け猫演技が秀逸な作品で、ジャパーニーズゴシックホラーの傑作である。
因果を描けば1級の中川作品だけに最後まで退屈させない。撮影はのちの香港にわたり
ブルースリー作品に参加した西本正である。
中川作品の魅力は縁日の目玉の見世物小屋のようなどくどくしさと、相反する人間心理の描写
のうまさだろうか。しかし異常に短気な家老はどの職場にもいるクラッシャー上司
と似ていないか。現代も本質的には封建時代と変わっていないのだろうか。
タグ:中川信夫、化け猫、
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