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『安全地帯V Friend』八曲目、「チギルナイト」です。
ソースの確認できない話ばかりで申し訳ありません。この曲は、シングル候補だったそうなのです。もしシングルで発売されていたら、安全地帯にこういう音楽世界があると知らなかった人たちは、さぞたまげたことでしょう。ああ、わたくしもアルバムでこの曲を聴くまでは知りませんでした。先輩風を吹かせて申し訳ありませんでした(笑)。でも、かなり聴き込んでいた人でも、『安全地帯V』を聴く前なら誰でも同じような状況だったんじゃないでしょうか。ぜんぜん歌謡曲然としていないので、評価がだいぶ分かれたことでしょう。そしてそれはセールス的には危険信号を自ら灯すことでもあります。安全地帯はそんなこと全然気にしないでしょうけど。ロックなんですね、いかにも。サウンド自体は『安全地帯IV』の延長上にあるような感じですけど、曲全体の攻め方は『安全地帯VIII 太陽』くらいに入っていてもおかしくないくらい進んだものでした。
歌詞もかなり攻めてます。「チギルナイト」って、何ですか。わたくしがそんな単語を知らないだけかもしれませんが、まあ造語でしょう。「千切る」「契る」「ナイト(夜)」「ナイト(騎士)」「無いと」といったところでしょうか、パッと思いつくのは。これらの意味をいろいろ組み合わせて様々な物語の解釈が可能になるように作られていると考えるべきでしょう。
ピアスをシリアスに千切る夜(怖い!)
邪魔なバランスを捨てる夜
飾りたてたマスカラを千切る夜
男を誘っているようなマニキュアの女性と契る夜
……等々、当たり前に思いつく情景以外にも、さまざまな解釈が可能になっております。これはかなり盛りだくさんの思わせぶりソングですね。
瞳にkissをせびるルージュって、どんなんでしょう……目を見てるんだか唇を見てるんだか……唇を見て「うっ!これはとても唇にはkissできない!そんな完璧なルージュだ!これは瞳にkissしてって言ってるんだな?よーし!」とか思うわけはないので(笑)、正直よくわかりませんが、雰囲気はバッチリです。「愛はブラインド」ですから、本当に瞳にkissしてその間見えなくなっちゃったのかもしれません(野暮すぎ)。
「光線(ひかり)の中を泳ぎながら」の箇所は、初聴の頃に「うっ!」と感激した記憶があります。初聴の頃ですから、まだその表現がわりとよくあるものだとは知りませんでしたが、松井さんが書くと斬新で雰囲気を最高に盛り上げるから不思議です。積み上げてきたものが違うのですね。
さて、アレンジですが、シンセで主旋律を奏でながら、特徴的な16ビートをリズム隊が刻み、そしていかにもな武沢サウンドが空間を丹念に埋めます。リズムが主役といえるくらい、リズムで曲のイメージのかなりの部分を形成しています。
そして、なにか特徴的な、ガガガン!とした音が左チャンネル、グググッ!という鈍い音が右チャンネルにに聴こえますね。何かの打楽器……一斗缶を弱く叩いたような……?シンセで出せる音だとは思うので、川島さんが入れたのかもしれませんね。これらの音がなければ、曲の印象はだいぶ違った、寂しいものになったことでしょう。
そしてBメロの終わりからサビにかけて、ギターのサウンドが変化します。クリーントーンから、やや歪んだ、いわゆるクランチサウンドになります。おそらくここも武沢さんが弾いているんだと思うんですが、このクランチサウンド、透き通った低音がもう!惚れ惚れします。どうしてこんな音作りができるんですか!わたくしだったら歪みちょっと、ボリュームフルの、いわゆるチューブスクリーマーでブーストすることでこういう音を作るんですが、よほどジャストにセッティングしないと低音がけば立ち気味になって、こんな透明感のある音にはならないんです。イコライザーを使ったとか、そういう小手先の機材的なことでなくて、おそらくピッキングとかボリュームコントロールとか、そういう「腕」的なことなのでしょう。うーん、とてもマネできない……。みなさんも耳を澄ませて、サビの右チャンネルに流れるギターをお聴きになってみてください!
そしてAメロからもう一度繰り返して、曲は間奏のツインギター競演へと続きます。これは矢萩さんと武沢さんが一緒に弾いているものと思われます。まずはハモリですね。ドンピシャです。細かい指の動きさえもシンクロさせたかのような、見事なハモリです。そして武沢さん、矢萩さんと掛け合いをして、それぞれのフレーズを弾いて別れます。短いソロですけど、絶品ですね。むしろ長く弾く必要がないです。
さて最後になりましたが、玉置さんのボーカル、サビなんか叫んでいるかのような凄まじさですよね。車でいうとトップギアに入れているかのような声です。「遠くへ」のサビもそうでしたけど、従来の安全地帯では隠していたんじゃないのか?と思えるほどに、このアルバムでは思う存分に歌っているように思えます。安全地帯のパブリックイメージ、というものを本人がどのくらい気にしていたのかはわかりませんが、それを打ち破るかのような弾けっぷりです。
……こういうとき、「昔のほうがよかった」という声が出てくるのは、どのミュージシャンでも同じなんですが、ミュージシャン自身は進化してるんですね。聴衆がそれについていけない、あるいはついていく気がないというだけで。わたくしも、安全地帯を含むごく一部のミュージシャン以外であれば、好みに合わなくなったときに聴かなくなっています。さみしいことですが、仕方ありません。ミュージシャンも聴衆もみんなそれぞれ違う人間ですから、同じ道をずっと辿るはずがないのです。ミュージシャンは聴衆を教育する立場ではないですし、聴衆だってミュージシャンに付き合う義理はありません。安全地帯は、なぜかわたくしの心をずっととらえっぱなしで離してくれそうもありませんけども(笑)。それは小さな小さなことではありますが、きっと一種の奇跡なのでしょう。願わくば、そんな奇跡が皆様にも起こりますように(やけに湿っぽい終わり方)。
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やっぱりシングル候補だったのですね、教えてくださりありがとうございます。胸のつかえが取れました。ラジオで予告までしてたのにボツですか……これは何か大きな力が働いたものと思われます。いや、わたしでもボツにするかもしれません。この曲、アニメの主題歌にしては攻め過ぎです(笑)。
妄想たっぷりなのは当ブログと同じですので、何か石田衣良さんには親近感が湧いてきました(笑)。
玉置さんのボーカルが、楽器の一つのように、アンサンブルに溶けているというのは、すごくよくわかります。安全地帯が格別なのも、ほんとうにそう思います。あれだけのボーカルですから、周りから浮いても不思議じゃないんですが、不思議に調和してるんですよね。玉置さんはやっぱりバンドマンなんです。
最近はラノベも借りれますよー。
安全地帯に話を戻します。
とばさんがおっしゃるように、どの曲もハズレなし。
これ、私もそう思います。
私はシンフォニックが初めての生玉置さんだったんですが、
歌手のバックをオーケストラが演奏してるじゃなくて、
オーケストラ演奏に歌が音として嵌まる、みたいだなあ、て、思いました。
安全地帯も、バンドが歌のバックになるんじゃなくて
バンドの音に、玉置さんの声が、なんかの楽器みたいに音ではまってる感じがします。
松井さんの歌詞とかも素晴らしいですが、
例えばこの歌詞が中国語で玉置さんが歌っていても
凄いだろうな、と。
うまく言えないんですが。
だからメッセージ性とかそんなんすっとばしても、
音のハーモニーとして聴いていてメチャクチャ
生理的に気持ちいい、から、多分、24時間、どの曲聴いていても飽きません。
個人でこの波長の好みは違うかも知れないですけど。
玉置さんは、器用な方なので、色んな奏者と合うかも
しれませんが、やはり根っこは安全地帯が
一番しっくりするんでないですか。
安全地帯が他と違うのはその辺ではないかしら。
石田衣良さんってどこかで聞いたなー、と思って検索してみたら、「サイレントマジョリティーを考慮に入れて」の人ですね。変態小説を書く人だったのですか。それにしてもいろいろな本をたくさんお読みになるんですね。
改めて、間奏のところに聞き入っております。
(かといって聞き分けられる訳ではないですが…)
で、コメントが歌詞についてになってしまって…
玄人女性と翻弄される男性の歌かしら。と
思いました。
瞳にKiss せびるルージュ
ここんとこ、
瞳にKiss(されて) そして Kissをせびる唇
という真っ赤な唇がアップで来る感じ。
後はかなりセクシーな内容ですが、
青いドレス(素人の女性のイメージ)とは踊れない
黒いマドンナ(玄人女性のイメージ)は眠れない
って、かなり夢中になっているんだなあ…。
音的には違うかもですが、歌詞はいかにも安全地帯の路線、かなり過激というか自棄になった感じが。
助けてー。
石田衣良の変態空想ラブストーリーみたいに
なってしまった。