価格:2,511円 |
『安全地帯V Friend』八曲目、「こわれるしかない」です。
リズムが結構複雑怪奇な曲で、曲をパーフェクトに覚えていないと、これは演奏できそうもありません。最初のうちはベースとドラムにちょっと惑わされながらもなんとか「イチニサンシー」と口ずさんで、なんだただの四拍子じゃん驚かせやがって、とか余裕こいているんですが、サビの近辺から、あり?ああ、「Lazy Daisy」と同じ一瞬の二拍子か、あ?あれ?あれれれ?と、わけがわからなくなります。
「もう」「こわ」「れ」「る」で四分音符四つ分ですから、その前の一拍が加わって五拍子、「あな」「たは」「こわ」「れ」「る」で同じく五拍子かと思いきやその前にも一拍ありますので六拍子……と、サビはコロコロと拍子が変わります。これは三拍子と四拍子しか体の中にないワタクシのような単純リズム派にはかなり厳しい!
何が凄いって、ただ聴く分にはたいして違和感がないところなんですね。なんでって、そりゃ曲をこういうふうに思いついたからでしょう。この変則リズムしか、この曲には当てはまらないのです。
またまた私事ですが、わたくし学生バンドの頃はどうにかして変なリズムの曲を作ってやろうと頑張っていたのです。別に必要もないのに五拍子にしたり二拍子にしたりして、インテレクチュアルな編曲をすることに情熱を燃やしていたんですね、必要もないのに。初めから変拍子の曲を作ろうと意気込んでいるから、当然変拍子になるんですが、無理やり突っ込んだ変拍子というのは不自然極まりないことになります。これは恥ずかしい!恥ずかしいんですが本人たちは「フフン、ワレワレの知性についてこれるかな?ヘビメタは馬鹿にはできない音楽なのだよ?」とか悦に入っているのですから始末に負えません。
この「こわれるしかない」を、ちゃんと聴いていなかったんですね。聴いていればあんな恥ずかしいことをするわけがありません。こんなにも自然なリズムは、人工の変拍子ソングとはわけが違います。玉置さんの精神・肉体の中から生み出されたものそのままがこれで、メンバーがそれに形を与えた、としか思えません。例によって「アレ?これヘンだよ?ここが合わないからちょっと削らないと」とか、そんなことは一切言わずに、心の中で全員が「ああこうなのね、じゃあこうだね」とか思いながら当たり前に編曲・演奏したに違いないのです。なんという怪物バンド!
武沢さんのものと思われるあの「シャリーン」とした音でのストローク、カッティング、矢萩さんらしき、ごくごく控えめに刻まれるカッティングとアルペジオ、そしておそらくは武沢さんの、サビの裏に織り込まれるリフ、厳密にはリフレインしてないんですけどリフとしかいいようのない複雑なリズムで刻まれたフレーズと、それに絡めた矢萩さんのオブリ、甘いトーンによるソロと、物凄いリズムに乗せて織りなされる凄まじいギターバトル!思わずため息が出ます。学生の頃にこの凄さに気が付くべきだった……あの恥ずかしいデモテープたちは引っ越しのドサクサで失ってしまいましたが、とっくに焼却されたか埋め立て地で朽ちていることを切に願います(笑)。
そしてそして、おそらく「おっ!けっこう大変だな!」とか思いながら、きっとニコニコしながらレコーディングしたであろう田中さんと六土さんに、わたくし最大限の敬意を表したいと思います。わたくしがベーシストだったらきっと文句を言います。ドラマーだったら逃げます(笑)。このお二人が信じくれないくらいの完璧なリズムキープをしたからこそ、ギタリスト二人の、この競演が実現したのです。きっと全体で合わせて曲をある程度覚える時間なんてなかったでしょうに……。
さて歌詞ですが……ああ……「求めすぎれば」にすべてが集約されているようにわたくしには思われます。どうしても、どうしてもそうしたい、そうしてほしい、我を通させてほしいというよりも、相手に「我」になってほしい、同じことを感じてほしい、一体化したい、でもそんなことできっこないんだ……だからもう「こわれるしかない」「おぼれるしかない」、でもそれもできないんだ……という、あの、何というんでしょうかね、人生の中で四〜五年しかない、回数でいうと一、二回でもうお腹いっぱいです、の、分別もそれなりなんだけどワガママさが先に出てしまって失敗しがちな、あの切実だけど甘美な想い出となる時期の気持ちを、よーくぞここまで描き出してくれたものです。わたくしこんな感情をもったことが人生で果たしてあったのか自信と記憶があやふやになるくらいに、鋭く切り取られ描かれています。「怖くなる」だけの「愛のこわさ」は、体験してみたいような体験せずに済むなら済ませてしまいたくなるような……熱い思いに身も心も焦がせてみたい!という若い方には、「けっこうキツイですけど、あなた次第できっと身になります、グッドラック!」と送り出したいです。自分はもういいです(笑)。
「アスファルトにおちてゆく」「あの指輪」は、「あの」と言っている以上、きっと特別な指輪なのですが、そこで「おっと!」と手を伸ばしてしまうにちがいない野暮さを備えてしまった自分を、歳をとったなあ〜でも別に若くなりたいわけでもないなあ〜順番だからね、という気分にさせてくれる曲です。
しかし、玉置さん、こういう歌詞がおそろしく似合いますね……俳優業にも手を染めていったこの時期の玉置さんですが(多忙すぎる!)、歌唱力が物凄いのは当然として、ビジュアル的に、そしてサウンド的に、こういう歌詞の世界の主人公であるとしか思えません。歩くミックスメディアです。それはいくぶんかは演じてもいたのでしょうが、真実の姿の、一側面であったにも違いありません。これだけ真に迫る、鬼気迫る歌というものは、そうそうあるもんじゃありません。ジョン・レノンの「インスタント・カーマ」よりも凄いんじゃないでしょうか……もしかしてこの時期の安全地帯は、ビートルズを超えていたんじゃないのかと思わせる一曲です。
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図書館はたしかに取り寄せできるシステムになっています……といまさらお答えしても仕方ないですね。重ね重ね申し訳ない……。
カウンターのお姉さんからの受け取りさえクリアすれば
どんな本でも借りれます。
とばさんのお住まいの地域にもあるのでは。
団鬼六は、通常の対面会話で出すとかなりヤバイ名前です。 笑
もともと純文学の方ですが、
途中から官能系の大家になられた作家さんです。
文章はきれいですが、内容はかなりえげつないという。
若気のいたりで、一冊読んで、異世界を勉強した…って感じ。
昔、杉本彩さん?主演で映画化されてました。
(見てないけど)
松井さん、読んでますかね… 笑
(名誉毀損にはならないと思うけど)
この歌は歌えませんねー、30年聴いても歌えないんですから(笑)。玉置さんどういうリズム感覚してるんでしょう。ついてくるメンバーもメンバーです。安全地帯のものすごさは、こういう曲があまり注目されないという事実によって逆説的に証明されるのです。最近になってようやく、安全地帯に影響を受けてますというアーティストがちらほら見られるようになってきましたけど、「こわれるしかない」に衝撃を受けてミュージシャンを志しました、なんてアーティストは寡聞にして知りません。
官能小説!石田衣良さんは多彩なんですね。団鬼六さんも初めて聞きましたが、松井さんは私のような不勉強な輩と違い、お読みになっているのかもしれません。わたくしとんと興味がなく、というか、手に取る気概がなく(笑)、齢を重ねてしまいました。うーむ、しかしある意味、安全地帯の歌を聴いていたことで、それに替わるものを得ていたのかもしれません。
演奏してる皆さんがイメージできるようになりました。
他の皆さんも渋オジ系でいいですね!
ちょっと顔がまだわからないのが、六土さん。
笑
これ、聴いたとき、絶対歌えないリストにすぐに
入りました。
本当になんだろ、リズム変わりすぎだし、
歌も半分、語り囁き調子で旋律わからへんがな。
無理やろ、出だしもどうなってんねん!
(と、一応、カラオケで入れてみたが惨敗)
玉置さんの声が見事に旋律になってる一曲。
歌詞は、これも石田衣良の、水を抱く 、という
官能小説にそっくり。
かなりヤバイ性癖の女性に翻弄される若者が、
ヤバイヤバイと知りつつ、同じ世界にぞっこんになっちまいます。
わりとこういうテーマは団鬼六の官能小説とかにも
ありがちかと。
(松井さんが読んでるかは知らない…)
玉置さん、One night theaterでは、お若かった。
ロック青年がいきなり時代の寵児になって
お金持ちになり、どんな女性も選りどりみどりになったら……
小皇帝になりそう。
想像するとちょっと怖くてキツイ。