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2021年01月31日

引越し(正月廿八日)



 このあれこれ規制の厳しい中で職場の引越しが行われた。ぎりぎりまで引越し先の建物の改修が完了しているのかどうか判然とせず、延期の可能性もあったのだが、どうしても引っ越しさせなければならない理由があったのだろう。あたかも規制など気にする必要はないといわんばかりに強引に実行に移された。日程を知らされたのが、引越しの10日ほど前のことで、それから通常の仕事をこなしながら荷造りをするのは結構辛かった。

 最近、体がだるいことが多いのだが、これはもう、引越しのせいに決まっている。これを機会とばかりにあれこれ廃棄処分にして多少は身軽な状態で新しい場所に移動したのだけど、捨てるためには、捨てるものを箱詰めして所定の場所に運ばなければならない。捨てるものまで部屋の中に置いておいたのでは、引越し先に持っていくものの箱詰めをする場所がないのだ。段ボール箱に書類や冊子、書籍なんかをぎゅうぎゅうに詰め込んだものの重さは20キロぐらいになるだろうか。持ち上げるのも、別の部屋に運ぶのも、ゆっくりと床に下ろすのも、きつくて、体が悲鳴を上げていた。
 箱詰めの際には、捨てるか残すかの判別のために中身を確認しなければならず、作業をしていた一週間は指先が紙ずれで痛み、何度も何度も手を洗うせいでかさかさになってしまって、普段はべとつく感じが嫌いで使わないハンドクリームを使用する破目になってしまった。筋肉や関節の痛みに痛み止めのクリームも塗ったし、大変な一週間ちょっとだった。よかったことといえば、感染対策のマスクをほこり対策に転用できたことぐらいである。

 引越しの荷物の移動自体はすでに済んでいるのだが、ダンボールに詰めたものを引っ張り出す作業が残っている。正直、しばらく触りたくはないのだけど、机の周りにダンボールの山というのも、仕事をするのに気が乗らなくなる原因になりかねないから、少しずつ開封していくことになるのだろう。面倒くさいから、いっそのこと全部捨ててしまえばよかったと思わなくもないのだが、引越し先の部屋が予想以上に広くて棚も大量に確保できてしまったから、空っぽのままにしておくわけにもいかない。
 一番の問題は、家から近くなってしまったことだ。これまでは行き帰り、それぞれ30分ぐらい歩けていたのが、10分ちょっとに減ってしまう。せっかく在宅勤務などという気のめいる勤務形態から開放されて、職場まで歩くことで運動不足の解消を図っていたのに、困ったものである。わざわざ運動をする気にはならないから、回り道をして歩く距離を延ばすかなあ。

 引っ越しといえば、データの引越しも始めたのだった。15年ぐらい前に買ったハードディスクつきのDVDレコーダーが、不調を訴えることが多くなり、ちゃんと再生できないDVDも増えてきた。このままではせっかく時間をかけて録画したものがもったいないということで、PCにコピーした上でデータ形式の変換をして、PCでもテレビでもセットトップボックスでも再生できるようにしようと考えたのである。
 ところが、長年自宅でメインとして使っているノートPCは、DVDドライブは付いているものの、なぜかDVDの認識ができなくなってしまっている。サブのノートも、職場のPCもDVDドライブが付いていない。それでDVDをコピーするには、自宅でも職場でも昔使っていたノートを引っ張り出すことになるのだが、古いだけあって立ち上げるだけでも結構時間がかかるし、DVDを1枚外付けのハードディスクにコピーするだけで1時間ほどかかってしまう。ということで、職場の引越しとは違って、長期戦になりそうである。

 DVDの媒体には、DVD-RとDVD+Rという二つの規格があって、これまでDVDレコーダーで使う分にはあまり違いは感じていなかった。それがコピーするさいに違いを発見してしまった。DVD-Rの場合には、中に「VIDEO_TS」というフォルダがあるだけで、データのサイズは4Gぐらいである。それに対してDVD+Rのほうは、もう一つ別のフォルダがあって、それはコピーしなくてもいいと言うか、コピーしようとしたら失敗した。それで「VIDEO_TS」というフォルダだけ丸ごとコピーするのだが、PCの表示によればデータのサイズは12Gぐらいということになっている。DVDにそんな大きなデータ入るんだったっけ。
 不思議なのはどちらもコピーにかかる時間はあまり変わらないことで、MP4にコンバートした場合のサイズは、元のデータの大きさではなく、収録時間によって変わるようである。そんなデータがPCのハードディスクに増えてきたので、DVDからデータを引越しさせる先として新しい外付けのハードディスクを買おうかと考え始めたところである。だけどお店の営業は停止中。もうしばらくは、コピー用に使っている外付けのハードディスクでごまかすしかないか。

 それにしても、ハードディスクに限らず、記憶媒体の容量がめちゃくちゃ大きくなっているのに驚きを隠せない。単位がGじゃなくてTになっているなんて……。16TBなんて商品も見つけたけど、値段も高そうだなあ。まあ1Tもあれば十分すぎるだろう。ネットで注文してお店で支払いと受け取りなんてことをやっている電器屋もあるみたいだから、探してみるとしよう。
2021年1月29日23時30分。










タグ:日記風 愚痴

2021年01月30日

日本ハンドは豊田で持つ?(正月廿七日)



 ハンドボールの世界選手権の日本の試合を見ていたら、アナウンサーがある選手について、「所属チームはトヨダゴーセーで、現在日本リーグで首位に立っている」とか何とか言っていた。そんなチームあったっけと、不思議に思って代表選手の所属チームを確認してみることにした。アナウンサーはチェコ代表のズドラーハラが所属するポーランドのチームに所属する選手もいるようなことを言っていたが、そっちはあまり興味を引かなかった。おそらく日本の所属チームから派遣される形で、ポーランドで活動しているのだろうしさ。

 こちらが、ハンドボールの日本リーグの結果を確認していた1990年代の初めは、湧永、大崎電気、大同特殊鋼が三強で、ほかには三陽、本田技研なんかが参戦していたかな。中村荷役なんてチームがあったのも覚えている。しかし、トヨタ、もしくは豊田という名前のついたチームはあったか。二部にならあったかも知れないけど、一部では記憶にない。
 その後こちらに来てからも、まったく日本のハンドボール界の情報が手に入らなかったというわけではなく、浅はかなハンドボール協会の幹部が、リーグをプロ化すればすべてが解決するとばかりに、ごり押しした結果、撤退するチームが続出して日本リーグのチームの数が激減したとか、その隙を突いて元代表の選手が故郷の沖縄にクラブチームを設立してごり押しで日本リーグに参戦したのはいいけれども、いつも間にやらとんずらしていたとかは知っていた。だけど日本リーグ参加チームを確認するほどの熱心さは持ち合わせていなかった。

 世界選手権のHPだとわかりにくいので、ハンドボールの日本リーグのHPで参加チームを確認したら、男子は、北からトヨタ自動車東日本、大崎電気、ジークスター東京、北陸電力、豊田合成、大同特殊鋼、トヨタ車体、湧永製薬、ゴールデンウルヴス福岡、トヨタ紡績九州、琉球コラソンという11のチームでリーグが行われているようだ。そのうち3分の1以上にあたる4チームがトヨタ(豊田)系じゃないか。トヨタなくして日本リーグ男子は成り立たないといってもよさそうだ。同じ自動車会社のホンダは完全に撤退したみたいだし。
 女子のほうも見ると、HC名古屋というチームもあるから、愛知県だけで豊田合成、大同特殊鋼、トヨタ車体と合わせて4チームも擁していることになる。男女合わせて20チームしかないことを考えると、日本ハンドボールは愛知で持つといってもよさそうだ。そういえば昔愛知ハンドボール協会の創立何十周年を記念して、チェコ代表を招聘して試合するなんてこともしていたなあ。トヨタのお膝元で、昔からある程度はハンドボールも支援してくれているのだろう。うらやましいことである。

 それで、実際の順位はと、順位表を探すのだがなかなか見つからない。日程・結果のところから行ける、星取表という対戦成績も詳しくわかる表のはいいのだけど、簡単な順位表もすぐに見られるようになっているほうがいいと思う。この辺、改善の余地は大いにありである。一体に日本ハンドボール協会のページは、どこに何が置かれているのかがわかりにくくい印象である。
 現在中断中の日本リーグでは、チェコテレビのアナウンサーが言っていたとおり豊田合成が、無敗(13勝1分)で首位だった。疑っていたわけではないけれども、さすがはチェコテレビしっかり取材している。逆に日本のテレビ局が(ありえないけど)、ハンドボールの世界選手権でチェコの試合を放送した場合に、チェコリーグの結果まで確認するかというと心もとないものがある。誰も気づかないだろうと適当なことを言ってお茶を濁すに違いない。メジャーなサッカーでさえ結構いい加減な情報があふれているからなあ。

 気になるのは、女子で4チーム、男子で3チーム、旧来の実業団型のチームとは違うクラブチームが参加していることで、いつの間にこんなに増えたのだろうと驚いてしまった。これはおそらくリーグのプロ化に失敗した結果なのだろう。一部の選手がプロ契約というならともかく、リーグ全体の完全プロ化はハンドボールのようなマイナースポーツでは難しいだろう。チェコだって1部リーグの完全プロ化は達成できていないのである。
 とまれ、ハンドボールリーグの公式動画サイトなんてのもあるみたいだから、試合を見てみるのもいいかもしれない。最近、チェコリーグの中継が減った上に、時間帯がよくないから見逃すことが多く、ハンドボールに飢えることが多いのである。日曜までは世界選手権が見られるから文句はないけどさ。
2021年1月28日17時30分









2021年01月29日

だからスポーツ選手崩れは(正月廿六日)



 ミラン・フリニチカというと、元アイスホッケー選手で、チェコリーグだけでなくアメリカのNHLでも活躍し、チェコ代表としては長野オリンピックの優勝メンバーの一人で、世界選手権でも三度の優勝を誇っている。数あるチェコのゴールキーパーの中でも、有数の実績を誇るのだが、現役引退後、なぜか政治の世界に足を踏み入れ、2017年の下院の総選挙でANOから出馬して当選し、下院議員に就任した。

 同じ選挙では、スキーのジャンプのヤンダも市民民主党から出馬して当選しているし、アイスホッケー出身なら、すでに2000年代にシュレーグルが社会民主党から下院議員に選出されれているから、プロのスポーツ選手が下院議員になるのは、初めてというわけではない。シュレーグルはその後、政界の恩師であるパロウベク元首相と共に社会民主党に反旗を翻して、独自政党の設立に参加したり、その新政党を離れて社会民主党に戻ったりとわけのわからないことをしている。
 フリニチカが、ヤンダ、シュレーグルと違うところがあるとすれば、それは下院議員をつとめながら、バビシュ政権によって新設されたスポーツ庁とでもいうべき役所の長官に就任して、積極的に活動をしているところだ。規制、規制でにっちもさっちもいかなくなっているスポーツ界を代表して、政府と交渉して規制緩和を求めたり、最近はチェコ代表レベルのスポーツ選手に優先的にワクチン接種を求めるような発言もしていた。それで、スポーツ界では一定の支持を集めているのだが、人気スポーツの調査で、サッカーが下位に沈むという意味不明なアンケート結果を発表して物議をかもすなんてこともあった。

 そのフリニチカが、スポーツ選手出身の政治家らしく、お馬鹿なスキャンダルを起した。非常事態宣言下で営業が禁止されているホテルで行われた秘密のパーティーに参加しているところをゴシップ紙「ブレスク」に撮影されてしまったのだ。去年の秋に当時のプリムラ厚生大臣の辞任につながるスキャンダルも「ブレスク」紙上に発表された写真だった。普段は芸能人のあることないこと書き散らすメディアだが、たまに政治家や官僚のスキャンダルを報道して首を取ることがある。現在は芸能活動も規制されていて標的にかけるから政治家が重点的に狙われているようである。
 秘密のパーティーは北ボヘミアのテプリツェで当地の政界に大きな影響力を持つ実業家の誕生パーティーで、元首相のパロウベク、元下院議員のシュレーグルも参加していたらしい。フリニチカ自身は語っていないが、スポーツ選手的なつながりで先輩のシュレーグルに誘われて、ことの是非も考えずに、のこのこ出かけていったというのが真相じゃないかと見ている。

 元首相のパロウベクにいたっては、営業していないはずのホテルに宿泊したという情報もあるのだが、シュレーグルと二人で、パーティーではなく仕事上の交渉に出向いたのだという見苦しい言い訳を重ねている。シュレーグルも当選したときは、政治の素人であることを生かして面白いことをしてくれるかもと期待したのだが、すぐに完全にパロウベクに取り込まれて、古いタイプの政治家に成り下がってしまっていた。
 それに対してフリニチカは、下院の会議に出席して、「これが自分の最初の過ちではないし、最後の過ちでもなく、今後も間違え続けていくだろう」と語り、今回犯した過ちは言い訳のきかないもので、その責任を取って辞任することを他の議員の前で発表するために会議に出席したと語って辞任した。辞任の弁としては悪くない印象を与えたけど、アドバイザーが着いているんだろうなあ。

 その一方で、スポーツ庁の長官に関しては、スポーツ界の反応を見たいとして辞任を拒否している。バビシュ首相もフリニチカを強く批判して、最初は長官の職も解任するとか、人人させるとか言っていたのだが、前言を翻して選挙も近いこの時期に長官が交代するとスポーツ界に混乱を巻き起こすとして解任はしないと言い出した。
 スポーツ界の反応としては、同じく下院議員のヤンダが痛烈に批判して辞任を求めているのに対して、アイスホッケー協会や、ホッケー界の英雄ヤーグルはフリニチカ支持を表明している。サッカー界では協会はフリニチカ支持で、スパルタとスラビアは反フリニチカと態度が分かれている。

 フリニチカがこの秋の選挙で再び議員の座を目指すのかどうかは知らないが、せっかくスポーツ界から政治の世界に足を踏み入れて、スポーツと関る要職についてスポーツ界の代弁をしているのだから、長官の職は継続してもいいと思う。えらそうに批判している政治家たちの多くだって、これまであれこれ問題を起こしてきていながら、国会議員の職にしがみついているのだから。
2021年1月27日23時。










2021年01月28日

日本代表終戦(正月廿五日)



 エジプトで行われているハンドボールの男子世界選手権の日本とバーレーンの試合を見ることができた。たまたま一日自宅仕事にしていて、今日はどの試合が中継されるのかなとテレビをつけたらこの試合だったのである。裏の試合がブラジルとウルグアイという南米同士の実力差のありすぎるチームの対戦だったことを考えると、アジア同士のこの試合を中継するのは当然だったのだろう。そんなことを解説の人も言っていたし。
 もう一つ運がよかったのは、月曜日の試合でスキーなどのウィンタースポーツの大会が行われていなかったことだ。でなければ、午後3時半からハンドボールのアジアの国の試合が中継されるわけがない。ただ、今大会で日本チームが予想外の健闘を見せているのは確かで、そのヨーロッパのハンドボールとは一線を画したプレーぶりは一定以上の評価を受けているようだ。チェコテレビの解説者も楽しそうに解説していた。

 多少日本のほうが優勢だろうけど、互角の戦いになるのではないかと予想された試合は、開始直後から日本代表が、スピードとコンビネーションでバーレーンを圧倒した。守備も堅くキーパーも当たっていたこともあって、19−12と7点リードして前半を終えた。後半、バーレーンが立て直したというよりは、日本がメンバーを落としたりして点差を詰められたけれども、29−25で完勝。できれば、相手が立ち直れないぐらいの点差を付けて勝っておいたほうがよかったのだけど、大会に入って6試合目で、中心選手には疲れもたまっていて無理はさせられなかったのだろう。

 この試合、気になったのは女性が審判を務めていたことで、女子の世界大会で女性審判というのはハンドボールに限らず、サッカーなどでも見ることはあるが、男子の世界選手権で女性が笛を吹くというのは、記憶にない。男女平等とか同権の考えから行くと、男性、女性に関わらず、どちらの大会でも審判を務めるのが正しいということになるのだろう。ただし、問題は審判としての能力ということになる。
 この大会で女性が審判を務めるのは、この日本の試合が最初ではなく、別の試合でも見かけた記憶がある。そのときには特に気にならなかったというか、普通に取り立てて目立つことなく無難に笛を吹いていたような気がする。しかし、この試合では正直、いまいちだった。男性審判でも予選なんかだとバルカンの笛なんかで、この二人よりもひどい審判はしばしば見かけるものだが、この大会で見られた中では最悪だったと言える。
 バーレーンの選手たちは、判定が日本びいきだとして再三にわたって抗議をしていたけれども、アジアレベルでアラブの笛になれているからであって、特に日本に有利になるような判定というわけではなかった。問題は、判定が安定していなかったことで、特にエリア内ディフェンスやチャージングの判定が不安定で、解説者も何度か何でこんな判定になったのかわからないとぼやいていた。結局どちらもチームも不満を抱いていたけど、アジアで長年にわたってアラブの笛に耐えてきた日本側に有利に働いたと見てよさそうだ。

 今大会の日本代表を見て思ったのは、80年代、90年代の「世界で戦える」代表とは違って、本当に、デンマークなどの世界の最高レベルは無理にしても、第二グループの国とはある程度戦える強さを身に着けつつあるということで、負けるにしても手も足も出ない絶望的な敗戦はしなくなっている。弱点は、ポストプレーヤーの決定力の低さと、主力と控えの得点力の差の大きさだろうか。あの体力的に厳しいスタイルでは、先発メンバーが60分通して出場し続けるというのは無理だろうしなあ。
 イーハがいなくなった後、カシュパーレクという大砲が覚醒する前のチェコ代表と印象が似ているという印象も持った。上背がない分をスピードとコンビネーション、タイミングのずらしでカバーして何とか得点に結びつけるところも、ペトロフスキーが成長するまでは、ポストにパスがきれいに通ってもなかなか得点に結びつかなかったところもよく似ている。体力がある間は、ディフェンスから離れた位置でコンビネーションを始めて、深みのある攻撃ができるのに、疲れてくるとディフェンスラインのそばでボールを回すようになって点が取れなくなるところも同じである。

 違いは、チェコのほうが主力となるセンターの選手の枚数が多くて、ある程度選手を代えても得点力を維持できていたところと、日本の主力のセンタープレーヤーが上背のなさをジャンプ力で補っているところだろうか。高く、そして滞空時間の長いジャンプでキーパーのタイミングを外す日本選手のロングシュートは見ていてぞっとするほど美しかった。
 クロアチア戦の前半の前半、主力抜きのデンマークとの前半、それにバーレーンとの試合を見て、ラグビー同様、また日本代表の応援と結果の追っかけを始めようかなあなんてことを考えてしまった。今の日本代表のハンドボール、見ていて面白いし、以前のようにヨーロッパの強豪には何をやっても歯が立たないという絶望も感じさせられなくなったし。一番大きいのは、無駄に期待をあおるマスコミの報道を目にしなくなったことかもしれない。
2021年1月26日23時30分










2021年01月27日

シグマ久しぶりに勝った(正月廿四日)



 ハンドボールの世界選手権で、開催国のエジプトが準々決勝進出を決めた。スロベニアとの直接対決で勝ったほうが進出、引き分けの場合はエジプトの進出が決まるという状況での試合は、例によって前半だけ見た。スロベニアの守備が堅く、エジプトは点を取るのに苦労していて、前半終了と同時の得点で12−8とスロベニアの4点リードになったし、エジプトの夢もここで終わりかと思った。
 それが、後半エジプトが攻撃を立て直すことに成功したのか、スロベニアの守備が疲労で機能しなくなったのか、ライブスコアで確認するとエジプトが逆転していた。最後はスロベニアが同点に追いついて引き分けに終わったけれども、エジプトの準々決勝進出が決まった。ちょっと心配なのは、ハンドボールの試合でありがちな、過度にホームチームよりの笛が吹かれなかったかである。前半は多少エジプトよりの印象だったけど、問題にするほどではなかったと思う。

 と、前置きはこのぐらいにして本題に入ろう。一ヶ月ほど前に、サッカーのシグマ・オロモウツが引き分けばかり、しかも先制して同点に追いつかれて1−1で終わる試合を5試合続けているという話を書いたが、幸いにも、というのも変な話だが、冬休み前の最終戦、ヤブロネツとの試合で1−3で負けて、引き分けの連続は終了した。この試合でも先制して、1点しか取れないと言うのは継続されたわけだけど。

 冬休みの間は、暖かいキプロスだったかマルタだったかで、キャンプを行って、集まったチェコとスロバキアのチームで行われた大会で優勝したんじゃなかったかな。それで、シーズン開幕当初の好調さ、一時は3位だか4位だかにつけていたを取り戻すんじゃないかと期待したのだけど、冬休み開けの最初の試合の相手は、チェコ最強チームのスラビアだった。
 それが、プラハのエデンで行われたこの試合も、シグマは先制に成功する。そして、同点に追いつかれて逆転され、最終的にヤブロネツとの試合と同じスコア、1−3で負けた。上位チーム相手にも1点は取れることを評価するべきなのか、下位チーム相手でも1点しか取れないことを嘆くべきなのか。スラビアはここまで6失点しかしていないから、点を取れたのはほめてもいいのだろうけど、失点が多いのが問題なのか。

 そして、今週末はオロモウツで、最下位に沈むオパバと対戦した。昨シーズン末から、繰り返し武漢風邪の感染に悩まされているオパバは、現在も監督のコバーチとコーチが感染中でベンチから指揮を取れないという状況に陥っており、久しぶりの勝利を挙げるにはこの上ない対戦相手だった。コバーチはオロモウツ育ちだから、成績悪化で解任はされほしくないのだけど、ここまで1勝しか挙げられておらずいつまで持つか心配である。
 試合のほうは、いつも通りシグマが先制した。その後追いつかれるのがいつものパターンなのだけど、今回はすぐに2点目を追加することに成功。後半が始まって1点差につめよられたものの、また連続で2点とって、4−1で勝利を収めた。オパバ相手でも失点してしまうところが、今のシグマのディフェンスなのだろう。これで次の試合も同じスコアとなると嬉しいのだけどねえ。

 これで順位も6位、例年ならモラビア最高位でもおかしくないのだが、今年はスロバーツコが4位につけている。開幕当初は勝ったり負けたり引き分けたりで、真ん中辺りの順位にいたと思うのだが、12月半ばに下位に低迷するブルノに試合終了直前に逆転負けを食らって以来、5連勝でここまで順位を挙げてきた。同じ5連続でもシグマの引き分けとは大きな違いである。若くしてドイツに買われていって泣かず飛ばずだったクリメントが復活しつつあるのがうらやましい。
 この週末で第16節まで終了したから、シーズンも後半に入ったなんて思ったら、今年は中国のせいで1部リーグのチームが二つ増えて18チームになっているのだった。シグマにはスロバーツコのしたでもいいから、バニークやブルノよりは上で終わってほしい。迷惑自称ファンの多いこの2チームには降格してもらったほうがありがたいのだけど、バニークは金持ちオーナーがついたから無理だろうなあ。ファンの迷惑行動で勝ち点を減点するシステムがあっても悪くないと思うんだけどなあ。
2021年1月25日17時30分










2021年01月26日

国会のお仕事(正月廿三日)



 現在のチェコの国会は、非常事態宣言を延長するかどうかとか、予算案とかを、延々審議して採取的には共産党に譲歩して支持を引き出して、政府案が通るというのが通例になっていて、与党のANOと社会民主党の意見が分裂したとき以外は、多少議論が白熱して、たまには乱闘騒ぎになることはあっても、予定調和な結論に終わることが多い印象である。
 非常事態宣言によって、国会での審議も簡略化されている部分もあるらしいし、普段以上に、政府案は通りやすく、野党案は否決されやすくなっている。だからこそ、野党側も非常事態宣言の必要性は認めながら、政府が延長を求めるたびに制限を課そうとして抵抗するのである。チェコの政治家は非常事態宣言の持つ意味がわかっていて、与党はそれを悪用しようとし、野党はそれを防ごうとしているのである。

 翻って日本の状況を見ると、野党が非常事態宣言=緊急事態宣言を求めて騒ぐという異常な事態になっていたようだ。報道を通してみる限り、マスコミも含めて、宣言さえ出れば人出が減って感染の拡大も収まると考えていたとしか思えず、その不見識ぶりには頭を抱えるしかない。非常事態宣言は、簡単に言えば憲法の効力を部分的に停止するためのもので、これがあるから本来は憲法で認められている国民の権利、移動の自由、学問の自由などを制限することができるのである。
 だから緊急事態宣言だけを出しても、具体的な国民の自由を制限する法令を出さなければ状況が変わるはずなどないのである。それに例の学術会議の問題で学問の自由が云々と叫んでいた連中が緊急事態宣言を求めるというのは矛盾でしかないことに気づけないのだろうか。小中高校を休校に追い込み。大学の対面授業を禁止するという明らかな学問の自由の侵害を可能にするのが緊急事態宣言なのである。学問の自由がそんなに大切なら、感染症如きを原因に簡単に侵害を許すなよ。チェコでさえ、日本よりもはるかにひどい感染状況の中でも、文部省はあらゆる手を使って学校での授業の再開を求めて厚生省と交渉しているのにさ。
 春の学校の閉鎖自体にもぎりぎりまで抵抗したし、勉強する習慣をつけなければいけない小学校の1、2年生に関しては、犬システムの危険度が5の段階でも教室での授業を再開させた。受験を控えている学年、つまり最終学年の授業も近いうちに再開される予定である。大学に関してはそれぞれの大学にある程度任されているけど、残念ながらほとんどすべての大学がオンラインでの授業になっている。ただ、非常事態宣言を利用してオンラインでの課程が認可されていない大学でも、オンライン授業、試験を可能にする法律を通している。

 話を戻そう。予定調和なチェコの国会で、問題になっている法案がある。すでに可決されたのか、審議中なのか、よくわからないのだけど、非常事態宣言を利用してドサクサまぎれに略式の審議で可決しようとしているのは間違いなさそうだ。このチェコの農業、食品産業を守るためと称する法案は、別名アグロフェルト支援法案とも呼ばれているが、国内のスーパーマーケットなどの食品販売店に、販売する食品の50パーセント以上をチェコ原産のものにすることを義務付けるもので、将来的には75パーセントにまで拡大することを計画しているという。
 加盟国間の移動の自由とか、単一市場とかいうEUの理念の根幹をなす部分に真っ向からけんかを売っているようなこの法案を提出したのはオカムラ党らしい。反EUを党是とするだけに、EUの理念に反するような法案を出しても不思議はないのだが、同時にバビシュ首相の経営していた(名目上は手は離れていることになっている)アグロフェルト社が農業、食品産業を中心にしていることから、EUの助成金がもらえなくなりそうなアグロフェルト社を救済するための法案じゃないかとも疑われているのである。

 同時に、チェコ原産というのをどのように規定するのかも、どのようにチェックするのかも判然としない法案で、EUからの禁止命令が出なかったとしても実行不能の法律になるのは街がいないと思われている。EUの規定では、コーヒーや紅茶などチェコでは作れないものに限らず、原料をチェコに持ち込んでパッケージングしただけのものでも、チェコ産と表示できることになっているから、いくらでも詐欺的な手法でチェコ産の食品の割合を増やせそうである。
 農業団体などでもチェコの農業を支援したいというのはありがたいけど、ほかにやりようがあるだろうという批判が出ている。これまでも農務省などの主導でさまざまなチェコ産であることを示す表示の使用が導入されたけど、どれもこれも運用が中途半端なのと、種類が多すぎるのとで、あまり成果は挙がっていないようである。この法律が成立しても同じことになりそうな気がする。

 個人的には、食品よりも、服とか、靴なんかにチェコで縫製されたという表示を、製品の中を見なくてもわかるような表示を義務付けてほしいとは思う。同じような製品だったらチェコものを選びたいし、バテャのオンラインショップのように表示されていると非常に嬉しい。チェコの産業を支援したいという気持ちはないわけではないのだ。
2021年1月24日22時30分









2021年01月25日

国会で乱闘?(正月廿二日)



 昨日の木曜日のことだったと記憶するが、うちに帰ったら7時のニュースが始まるところだった。うちのが、国会で喧嘩したのがニュースで流れるはずだと、料理の手を止めてテレビの前に立っていた。大乱闘でも起こったのかと思って、ちょっと期待してニュースが始まるのを見ていたのだが、最初のニュースではなかった。

 二つ目か三つ目のニュースとして流された映像を見て、落胆することになった。喧嘩とは言ってもマイクの奪い合い程度で、殴り合いをしたわけでも流血沙汰になったわけでもなかったのだ。これなら以前、医師会の総会かなんかで、元医師会長で当時厚生大臣たっだダビット・ラートが、演説中の会長(違うかも)の頭を後ろから引っぱたいて、「俺は臆病者じゃない」とか喚いていたののほうがずっと衝撃的だった。
 今回のは、下院での審議の際に起こったことだというので話題になったのだろうけれども、その昔の日本の、ヤクザまがいというか、ほぼヤクザそのものの衆議院議員たちが起していた乱闘のことを知っていると大したことねえよなと思ってしまう。やるならやるでもう少し派手にやらないと、見世物にもなりゃしない。ラートの件はビデオが拡散され世界中に恥をさらすことになったのだが、今回の件は、それほど世界の注目は集めないのではないかと想像する。

 ところで、何について喧嘩になるまで熱心に議論していたのかというと、さっぱりわからなかった。恐らく大して重要なことではなかったのだろう。だからニュースの冒頭で扱われることもなかったのだ。政治家どもが貴重なはずの国会の審議の時間を、意味不明な戯言の繰り返しで無駄氏にしているという点では日本もチェコも大差はない。

 念のためにうちのに聞いてみたところ、どうもオカムラ党の内紛、オストラバを中心とするモラビアシレジア地方で選出された国会議員たちが除名された件とかかわりがありそうだという印象を受けた。先ず、オカムラ党の国会議員が演壇に立って、マスクをしないまま演説をしていたのがすべての発端だったようだ。国会での審議だというのにTシャツで登壇したというのもあれだけど、政府の規制に反対しての演説だったのかな。
 それに対して、TOP09の議員が、この非常事態宣言下でマスクをしないで演説するのはエチケットに反するのではないかとやったらしい。個人的には、日本人が花粉症を防ぐためにマスクをしたり、咳がちの風邪をひいたときに他人にうつさないようにマスクをしたりするのを笑っていたヨーロッパの連中がこんなことを言うのには反感を持ってしまうのだけど、発言事態はまあ間違いではない。

 そこに、なぜかオカムラ党を出て無所属になっているボルニーという議員が出てきて、マスクをしないでわけのわからないことを言い出した。よくわからないのはオカムラ党を追い出されたはずなのに、オカムラ党の議員と同じTシャツを着ていたことである。こっちはその上に背広を羽織っていたから少しはましなのかな。下はジーンズだったけど。
 何でも自分は人民によって選出された議員だから自分が正しいと思うことをしていいはずだとかゼマン大統領を思わせるようなことを言ってマスクをしないことを正当化していた。それに誰かに喧嘩を売るような発言をしていたようにも聞こえたのだけどよくわからない。こんな議員が出ると人ではなく党を選ぶ比例代表制ってのは欠陥だらけのシステムだとしか思えない。最低でも党を離れたら議席も失う制度にしないと、選挙の意味がなくなる気がする。

 それはともかく、審議の場にふさわしくない発言だというので、議長役を務めていた下院の副議長が演壇のマイクのスイッチを切ると、議長席に押しかけてそこのマイクで話そうとして押し合いになり副議長の援軍に駆けつけた議員たちとちょっとばかり喧嘩っぽいことになっただけである。体格のいいボルニー氏を押しのけるのは大変で、椅子で頭をぶん殴ろうかと思ったとか言っている議員もいるようだが、やればよかったのにとしか思えない。どうせたいした仕事していないんだから、せめて有権者を楽しませろよという話である。
2021年1月23日22時30分










2021年01月24日

ガリアは語る〈後半〉(正月廿一日)



 ガリアは出場辞退に至ったチーム内の状況についても説明している。チームとしては気力体力が続いている間は、出場を諦めておらず、ガリア自身は、最後まで出場可能な選手の一人だったようだ。チーム全体で何とか状況を安定させ、チームとしてエジプトに行けるように努力していたが、精神的にも追い詰められていったという。そして、仮に出場できていたとしても、精神的に追い詰められた状態で、肉体的にも追い込まれるから、チームは崩壊していただろうと考えているようだ。
 最終的に、出場は無理だと判断したのは、出発予定の二日前のことで、感染者が増える中、陰性の選手たちで練習をしていたところ、負傷者が何人か出たことが最後の一押しだったという。それまでは、追加で呼んだ選手を加えて大会に出場することは可能だと考えていたようだ。そして、同じ状況に陥ったら多くのチームが辞退を選んだんじゃないかと付け加える。

 負傷の原因が精神的に追い詰められたことだと考えているのだろう。普段であれば、負傷など起こらない状況で負傷した選手がいるのかもしれない。健康であるはずの選手たちが、精神的な負担が肉体にも大きな負担となって負傷するというのは好ましい状況ではあるまい。そんな雰囲気の中では追加で呼ばれた選手たちも怪我をしかねない。

 さらにガリアは、陽性だと判定された選手たちが健康を取り戻した後、大会に出場できるかかどうかもわからなかったと続ける。肉体的な面では大会に向けてしっかり準備できていた選手たちが、陽性の判定を受けると、12日の間、部屋の中で寝ているしかなく、陰性になった後も、病院でさまざまな検査を受けることになるという。そして、代表に雇われているわけでもない選手たちが、負傷のリスクを犯して大会に出場することを許可する雇用主、つまり所属チームはないだろうと続ける。
 それから、いわゆる「バブル・システム」についても説明していて、そのシステムに組み込まれる前には5日間の隔離が必要で、その最後に受ける検査の結果が陰性だったとしても、それが次の日の陰性を保証するものでも、同じ泡の中のほかの選手を感染させないことを保証するものでもないと言う。この辺りは、バブル・システムで動いていながら、監督をはじめ多数の感染者を出した実体験からの感想のようにも思える。

 そして、現在は、ハンドボールの世界にいる人たちが、さまざまな解決法や、何がいけなかったのかについて考えている。自分としては犯人探しをするつもりはないけれども、今後に向けて、何が原因だったのかを究明することは必要だろうという。それが、代表暦20年になんなんとするガリアの考え方だといったん話を結んでいる。
 その後に続けて、10点差、15点差で負けることがわかっていて試合に出るわけにはいかないし、何の目的もなく出場するチームにはいたくないと言う。ハンドボール関係者、ファンはみんな大会を楽しみにしていただろうけれども、自分たちもまたものすごく楽しみにしていて、プルゼニュに集まって準備の合宿をしていたチームであれば、最低でも準々決勝に進出できたと信じているが、それは大会が例年通りの状況で行われた場合だと付け加えている。

 最後は、監督をはじめとする、協会関係者やスポンサーなどさまざまな人たちへの感謝で声明を結んでいる。2番目に合宿中滞在していたホテルが上げられているのはちょっと意外。監督解任という結果を知ってから読んだせいか、ところどころ皮肉に響くところもあるけれども、この状況で辞退という代表チームの決定が受け入れられ、出場を強要されなかったとことについては、感謝していると素直に読んでおこう。

 全体を通しての感想としては、辞退に関して関係者やファンなどがあれこれ批判をしているのに対して、批判する前に代表チームのこと、選手たちのことを考えてほしいということだろうと思う。ファンというのは、サッカーに限らず無責任に好き勝手なことを言うものだし、協会の関係者は選手が一番大事だというのは口先だけのことというのが世の東西を問わず決まり物である。
 無理して出場して、精神的な重圧に負けて不振に陥るのも、怪我をしてキャリアを棒に振るのも選手たちである。エジプトに行くことで感染の危険にさらされるというのも付け加えたほうがいいかもしれない。そんな状況で、予想外の大活躍をする選手が出てくるとも思えない。

 ガリアも最後かもしれない世界選手権の辞退ということで、人一倍残念に思っているだろうに、最ベテランとしてこんな声明を出す必要にかられてしまったわけである。たかがハンドボールの世界選手権で、選手たちがこんな辛い立場に追い込まれたということから導き出せるのは、オリンピックは、選手たちのことを考えればこそ、中止にすべきだということである。
 感染が発覚して出場できなかった選手がどんな目に遭うか考えたら、選手たちのために開催なんて口が裂けてもいえない。特に日本は、スポーツ関係も含めてマスコミがゴミ以下だからなあ。選手への脅迫者という犯罪者を作り出し、最悪の場合には選手を自殺に追い込みかねない。そしてまたそれを危機として報道するに決まっている。それなら、政治の責任で中止にしてしまったほうが選手たちのためである。
2021年1月22日15時30分。










2021年01月23日

ガリアは語る〈前半〉(正月廿日)



 チェコのハンドボール協会が、出たらめっぷりを発揮しているその裏側で代表の中心選選手の一人で、最年長のマルティン・ガリアが、選手たちを代表するような形で、出場辞退に至った経緯を協会のホームページで明かしていた。チェコ語でよければここから。せっかくなので、簡単に内容を紹介しておく。

 最初の部分では、この声明を発表するのは、自分自身の意思であることを強調した上で、自分は短時間で決定を下せる人間ではないと言う。おそらく最年長の選手の責任として長い間どうするべきか考えてきて、この声明を発表することを決めたという事なのだろう。そして、現在の状況にそれぞれの人がそれぞれの意見を持っているのは当然で、誰を説得するつもりも、自分の意見だけが正しいというつもりもないと言う。
 続けて、エジプトへ行けなかったのは残念だが、自分たちの決定は正しく、あの時点ではほかにやりようはなかったと続ける。もちろん、チームの中にいなかった人たちが、別の意見を持ち、いくつもの疑問を感じるのは当然だが、自分たちの決定は、選手たちを守るため、それが健康の面であれ、将来のキャリアであれ、守るためだったのだと強調する。

 次の部分では、ハンドボールの代表というのは、一朝一夕に作り上げられるものでもないし、新しい選手が呼ばれてすぐに普通にプレーできるようなものでもなく、二、三人の新しい選手を呼んでチーム全体のコンセプトに当てはめていくのでさえ苦労するのだという。今回の世界選手権にも若手選手を何人か呼んで試合に出場させて経験を積ませる予定だたけれども、それはすべての試合を任せるという意味ではなかったと付け加える。
 世界選手権のような大会は長丁場で、二週間にわたって。一日おきに試合が行われる肉体的な負担に耐えられる選手は、残念ながらチェコリーグにはいないという。そして仮にチェコリーグの若手選手たちに主力として試合を任せた場合には、負傷や健康上の問題が発生するのは確実で、その選手たちの今後のキャリアに悪影響を与える。だから、辞退には、(自分の能力を超えた負担を強いられかねない)若手選手を守るという意味があったのだという。

 多くの人たちが、代表Bチーム、Cチーム、Dチームを準備していなかったことを批判するけれども、20人もの新しい代表経験に乏しい選手たちを集めて試合に臨むのは、予選の1試合、2試合ぐらいまでなら意気込みとか熱狂とかで押し切れるかもしれないけれども、世界選手権のような長丁場には通用しないと言う。
 そもそもBチームを率いて、勝つためではなく、できるだけ僅差で負けることを目的に世界選手権に出場してくれる監督はいるのかと疑問を呈しているが、ただし、Bチームというアイデア自体は、長期的な代表の強化を考えると、Aチームと同時期に招集して、同じコンセプトで練習を積んで試合をさせることができれば悪くなさそうだとも言う。

 ここまでが前半の要約で、ガリアの意見にはおおむね賛成である。ちょっと気になるのはいきなり若手選手に全試合を任せる話になっているところだけど、話の流れからそうなったのか、中心選手のほとんどが、感染や怪我でエジプトにいけない状況になっていて、本当に若手選手が全試合出づっぱりになりかねなかったのかはわからない。後者だとすれば、辞退することになったのも当然である。ファンとしては、無名の若手選手が出てくるのは大歓迎だけど、その若手選手が大惨敗して批判にさらされるのは見たくない。
 また、チェコ代表にはBチームはないけど、50人ぐらいの選手が候補として登録されているから、多少なら選手の入れ替えに対応できるけれども、今のままだと感染して快復済みという証明書があるかどうかで代表選手が決まりかねないなんていうのには笑ってしまった。ガリアの言うとおり、そんな決め方をされた代表チームなんか見たくない。
 長くなったので残りは次回。
2021年1月21日22時。











2021年01月22日

ト・イェ・スナット・スランダ(正月十九日)



 またまた思わず、チェコ語にしてしまったけれども、冗談だろうというよりは、冗談であってほしいと思うようなニュースが飛び込んできた。ハンドボール協会の理事会が、今回の世界選手権の出場辞退に至った経緯を調査した結果、監督二人を中心とする代表チームの指導部に責任があるという結論にいたり、その解任を決定したというのである。
 その決定に抗議して理事会の一員である協会長、代表チーム担当の理事である最近引退した(と思う)チュルダなど4人が辞任することを決めたという話も追加された。理事会では9人の理事のうち5人が解任に賛成だったというから、一票差で解任が決まったようだ。誰かが責任をとらなければならなかったのだろうけれども、それを代表の監督に押し付けてしまうのは協会の責任逃れにしか見えない。救いは辞任した協会長が解任に反対したことぐらいである。

 ハンドボールのチェコ代表なんて、世界最高の選手の一人だったイーハがいてやっと世界選手権やヨーロッパ選手権に出場できる、うまく行けば一次グループを勝ち抜けることができる程度のチームでしかなかったのだ。イーハ以外にも監督のクベシュやフィリップ、代表のマネージャーをやっていたノツァルなどのフランス、ドイツなどで活躍してキャリアを積んでいた選手たちがいてその程度だったのだ。

 イーハよりも年上のクベシュたちが代表を引退し、イーハも怪我で欠場がちとなり、そろそろ代表引退が近づき始めたときに、チェコのハンドボール代表に暗黒時代が待ち受けていることを覚悟したファンは多かったはずだ。そこに降ってわいたように訪れた福音が、フィリップとクベシュの代表監督就任で、当初はマネージャーもノツァルが勤めるというトロイカ体制が取られていて、プレーの面だけでなく、チームの運営に関しても先進国のノウハウが取り入れられるようになった。
 この決定を知ったときに、喜びよりも驚きのほうが大きかったのは、チェコ国内のハンドボール関係者の一部がイーハたち国外で活躍して代表を引っ張る選手たちを嫌っていて、できれば排除したいと考えていることを知っていたからだ。そういう連中がまた協会内で力を持っていたのだけど、うまく話を持っていってクベシュたちの就任につなげた当時の協会長には脱帽物である。ただ、その後、ノツァルがささいな問題を咎められて解任されてしまったのは残念だった。

 フィリップとクベシュの指導の下で、チェコ代表は予想を超える好成績を残すようになったし、国内の若手選手が代表に呼ばれて大きく成長するなんてこともあった。ユジーチェク以来の頼れるポストプレイヤーとなったペトロフスキーなんて、最初に代表に呼ばれたときには大きな体をもてあましている感じだったのに、呼ばれるたびにプレーが洗練されていき自分の見る目のなさを知らされることになった。他にもジーハのようなチェコリーグでもあまり注目されていなかった選手の守備への適性を見つけ出して代表に呼んで活躍させたのも凄かった。
 この二人の監督でも、予選の際のバルカンの笛には散々悩まされ、時に世界選手権の出場権を失うこともあったし、本戦での成績も凸凹があって、常に最高の成績を残したわけではないけれども、それはどこの代表でも同じことである。イーハのような世界的な選手のいない代表であることを考えると、将来には期待できたのだけどなあ。優勝争いまではまだまだ時間がかかりそうだけど、ヨーロッパで準々決勝の常連になるところまでは近いうちに届くのではないかと思っていた。

 結局、外国で監督を務めるフィリップとクベシュが、チェコ代表の監督であり続けているのに不満を抱いている勢力が、今回の件を口実に二人の排除に動いたというところだろう。就任直後に、どうせ国内の選手は無視して外国で活躍する選手ばかり集めるんだろうとか吐き捨てるように、意味不明の批判をしている人がいたのは今でも覚えている。監督二人が感染したことが、この手の連中に口実を与えてしまったのだろう。
 しかし、この状況で火中の栗を拾って監督を引き受けてくれる人が見つかるのかね。仮に引き受けてくれる人がいたとしても、二人の残した結果を越えるのはほぼ不可能である。イーハならと思わなくもないけど、世界最強チームのキールの監督だから、副業は禁止だろうし、そもそもフィリップたちを排除した連中がイーハに話を持っていくとも思えない。

 代表監督不在、協会会長不在という非常事態に陥ったチェコのハンドボール協会、立て直せるのだろうか。協会の駄目ップリはともかく、やっぱり中国許すまじだよなあ。
2021年1月20日24時30分。










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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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