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2019年05月21日

EU議会選挙A(五月十九日)



 EU議会の任期は5年なので、チェコにおける二回目の選挙は2009年に行なわれた。この年はチェコとEUの関係において重要な年で、2009年の1月1日から、半年の間、2004年の新規加盟国の中では一番最初にEUの議長国を務めたのである。ただ、このEUの議長国制度は、加盟国は平等であるという建前を演出するための、いわば儀式的な制度なので、EUにとってチェコが議長国になることがどれだけ重要であったのかは疑問だが。
 チェコでも、チェコが議長国を務めたこと自体は非情に重要視されていたが、議長国という制度自体はそれほどでもなかった。チェコが議長国になることが決まるまではほとんど話題に上がらず、存在を知っている人は希だっただろうし、議長国の人気が終わった後も、スロバキアが議長国になったときにニュースに取り上げられたぐらいで、どこの国が議長国を務めているか関心を持っている人など皆無と言ってもいいぐらいである。

 それはともかく、チェコは議長国を務めている間に、ヨーロッパ中に恥をさらした。多額の予算をつぎ込んで、チェコが議長国を務めていることをアピールするためのキャンペーンを行なったのだが、その一つが原因で非難の嵐にさらされることになる。問題は議長国就任を記念して「芸術家」に依頼して作成した「作品」だった。EU加盟各国に特徴的なものをそれぞれ一つずつ選び、それをプラモデルの部品のようにつなげて一つにまとめたという作品は、ドイツを象徴する高速道路がナチスのカギ十字に見えるなど、各国を揶揄するものばかりだったのである。議長国就任に舞い上がったチェコ政府が暴走した結果であろうか。
 もう一つの恥は、議長国の任期中の5月初めに下院で内閣不信任案が可決され、内閣が倒れてしまったことだ。選挙を行なうと任期が終わるまでに間に合わないということで、暫定内閣が任命された。当初の予定では、任期が終わった後に下院を解散して、10月に総選挙が行なわれ、新たな内閣が誕生するはずだったのだが、法律の不備から下院が解散できるのかどうかでもめ、最終的には解散はしないことになり、暫定内閣が、下院の任期の切れる2010年5月まで存続したという落ちがつく。このときの解散できるできないの議論も、最終的な結論も正直意味不明で、チェコの政治ってのは不思議なものだと思ったのを覚えている。

 とまれ2009年のEU議会の選挙には、全部で33の団体が候補者を立て、議席を獲得したのは以下の四党のみである。投票率は前回と同じ28パーセントほど、議席数は二つ減らされて22になっている。

  市民民主党      9(31)
  社会民主党      7(22)
  共産党        4(14)
  キリスト教民主同盟  2(7.5)

 この結果を簡単に言えば、社会民主党の復活と市民民主党の勝利であろうか。
 市民民主党は、2006年に行なわれた下院の総選挙で、大きく議席を増やし第一党となり、キリスト教民主同盟と、初めて議席を獲得した緑の党の二党と連立を組んでトポラーネク内閣を成立させていた。その内閣が不安定で最終的には不信任案を可決されて倒れてしまうのだが、市民民主党が前回の議席を守ったということは、支持者たちは倒閣に至った原因を市民民主党には見なかったと考えていいのだろうか。トポラーネク氏の失敗はどう考えても緑の党を連立の相手に選んだことだったからなあ。

 その緑の党は、2006年の下院の選挙に続いて議席を獲得することを期待していたようだが、得票率2パーセントという結果で議席を獲得することなく終わっている。この党は小さな党でありながら内部の対立が激しく、悪い意味で既存の大政党に近い政党だった。与党になってからは、明らかに、議長国になったときのチェコ政府以上に調子に乗って有頂天になっていたから、この結果も当然だったと言っていい。

 社会民主党は、2003年の大統領選挙、2004年のEU議会選挙と、重要な選挙で連続して惨敗した後、首相となったグロス氏もスキャンダルで退任を余儀なくされ、このまま退潮に入るかと思っていたら、新たに党首となったパロウベク氏の下で、意外なことに復活を遂げた。2006年の下院の選挙でも、市民民主党に負けたとはいえ、2002年よりも得票率も議席数もわずかながら増やしていた。その流れの中で行われたEU議会選挙でも、市民民主党に次ぐ第二党の座を獲得したのである。
 パロウベク氏は、ある意味ゼマン大統領以上にあくが強く、評価の分かれる人物だが、この時点で社会民主党の党首であったことは、党にとっては幸いだったのだろう。後に党を出て、自らの政党を組織してからは、迷走続きで、社会民主党への復党も拒否されたから、政治の世界に戻ってくるとすれば、次の大統領選挙だろうか。

 独立系の既存の政党に所属しないことを売り物にしたグループが議席を失ったのは、同じような名前の団体が乱立して、有権者を混乱させたことも原因ではないかと考えられる。
2019年5月20日9時。






欧州議会と欧州統合―EUにおける議会制民主主義の形成と展開 (久留米大学法政叢書 (13))








2019年05月20日

EU議会選挙@(五月十八日)



 先日テレビをつけたら、みょうちくりんな番組をやっていた。素人が作った出来損ないの短いビデオクリップを延々と流す番組かと思ったら、来週末に迫ったEU議会選挙に候補者を立てた政党が、自党の選挙公約を有権者に伝えるために使える番組だった。日本の政見放送みたいなもので、政党によっては権利を使用しないこともあり、その場合「この時間は何々党に与えられた時間です」という表示だけが出ているのも日本の政見放送と同じだった。
 違うのは、日本の政見放送が、大抵は党首が出てきて、みんな同じスタジオで選挙の公役を説明するのに対して、チェコは各政党が独自の予算で製作したビデオを放映するところだ。そのビデオが、程度の差はあれ、どこの政党のものもできの悪いビデオクリップみたいな代物で、チェコの選挙が真面目な議論よりも、人気取り合戦に傾いていることを証明している。どこかの党なんか、お金があるのか、ボランティアなのか有名俳優まで出演していた。それでも悲しくなるぐらいチープだったけど。

 今回のEU議会の選挙は、チェコのEU加盟以来、四回目の選挙ということになる。回を追うたびに徐々に定数が減らされて今回は21議席を争う。チェコ全体が一つの選挙区となる比例代表式で行なわれる。定数が少ないため、議席の獲得が難しいと思われる小党のなかには野合して合同で候補者名簿を作成しているところもある。それでも今回はあわせて40の政党、政治団体が候補者を立てているから、チェコ人ってやはり、政治好きで選挙好きなのである。
 EU議会の選挙は、大政党にとっては、国内の上院下院の選挙、地方議会の選挙と比べると重要度は低く、候補者の中にも誰でも知っているというような知名度の高い人はほとんどいない。しかし、選挙時点の有権者の動向を確認でき、場合によってはそれに影響を及ぼせるので、資金のある大政党はそれなりのお金をつぎ込んでいるようだ。公営選挙って何? の世界である。

 それでは、今年の選挙の結果が出る前に過去 の選挙のおさらいをしておこう。
 チェコで最初にEU議会の選挙が行なわれたのは、2004年の6月のことだった。5月1日付けで、チェコなどの旧共産圏諸国がEUに正式加盟を果たしているから、この選挙に合わせる形で加盟の日程が調整されたと考えてよさそうだ。加盟直後にEUの将来を決める(可能性のある)選挙に参加できるというのは、新たな加盟国の国民にたいするEUの求心力を高めるのに役に立ちそうである。議席数も現在より三議席多い24議席が与えられていた。とはいえ、その期待を裏切るかのように、投票率は28パーセント強に終わってしまうのだが。

 選挙の結果は以下の通り。( )内は得票率。

  市民民主党      9(30)
  共産党        6(20)
  SNK – ED        3(11)
  キリスト教民主同盟  2(9.5)
  社会民主党      2(8.8)
  無所属        2(8.2)

 候補者を立てた32の団体のうち議席を獲得できたのは、以上の6つのみ。

 なじみのないところから行くと、三番目のSNKは政党に所属しない人たちが作った政治団体で、最後の無所属は無所属の人たちが共同で候補者名簿を作成したもののようだ。チェコではこの手の無所属、政党に属していないことを団体名にする例が非常に多く、正直言ってわけがわからない。無所属と訳すより独立系候補なんて訳したほうがいいのかもしれない。とまれ、SNKと組んだEDは、ヨーロッパ民主党とでも訳せるような政党で、後にこの二つの政党は合併している。

 このときの選挙結果を一言で言えば、社会民主党の惨敗ということになる。当時は2002年の下院選挙で第一党になった社会民主党党首のシュピドラ氏が、前任のゼマン氏の後をついで首相を勤めていたのだが、党内の状況は最悪と言ってもよかった。ゼマン氏が首相と党首の座を退いた理由は、2003年のハベル大統領退任後最初の大統領選挙に勝つためだったと考えられるのだが、この選挙、国会議員の投票によって行なわれた選挙で、ゼマン氏は決選投票にも進めないという惨敗を喫してしまう。
 社会民主党内は、ゼマン派と反ゼマン派だけではなく、さまざまな形で分裂しており、それぞれのグループがそれぞれの思惑で動いた結果、自党の候補者を、所属する議員の数からするとありえないレベルでの惨敗に追い込んでしまったのである。その影響がこのEU議会選挙まで続いており、支持者を失った、もしくは支持者の多くが投票に行かなかった結果、社会民主党は惨敗を喫してしまったのである。

 2003年の大統領選挙以降、党内の求心力を失い、団結を訴えるも全く成果を上げられなかったシュピドラ首相は、EU議会選挙の惨敗を受けて党首を辞任し、その結果として首相の座も退くことになる。この頃のシュピドラ氏はテレビのニュースで見かけるたびに、顔色が悪化し、最後はこのままでは命にかかわるんじゃないかと思えるぐらいだったから、健康のためにも辞任は必至だったのだろう。先日久しぶりに見かけた氏は別人のように生き生きとしていた。
 とまれ、EU議会の選挙で、社会民主党が惨敗した結果、30代半ばという若さで首相に就任したことだけで日本でもニュースになったグロス首相が誕生する。この、政治家としての能力よりも党内の調整能力だけで首相にまで上り詰めたといわれるグロス氏の存在も、金銭スキャンダルで辞職に追い込まれたことも含めてなかなか謎である。

 共産党が第二位に入ったのは、数は少なくても毎回選挙に行く熱心な支持者がいることの証明であろう。投票率が低い選挙では固定票を持っている政党が強いのは日本もチェコも変わらない。

 最後に勝者の市民民主党に関しては、前年の大統領選挙に次ぐ勝利で、創設者のクラウス氏のあと、二代目の党首となったトポラーネク氏の党内での地位が固まることになった。市民民主党自体は反EUではないが、チェコを代表するEU懐疑論者であるクラウス氏の影響力の強い市民民主党が最初の選挙で勝ったことは、その後の、EUとチェコの理想的とはいいがたい、チェコ側からすると期待はずれなEUとチェコの関係を示唆していたのかもしれない。
 このころはEU万歳的な論調が多かったと記憶しているんだけどね。
2019年5月19日19時。












タグ:選挙 EU議会

2019年05月19日

チェコ被告に(五月十七日)



 チェコと、ハンガリーと、ポーランドの三カ国が被告となった裁判が、EUの司法裁判所で始まったらしい。最初に「チェコが」と聞いたときには、バビシュ首相の「コウノトリの巣」事件をはじめとして、EUの助成金をめぐる不正が頻発していることをとがめられての裁判かと思ったのだが、そんなことはなかった。ちなみにEUの助成金に関しては、この手の助成金にありがちなことに、コンサルタントなんかの助成金ビジネスが横行していて、何でこんなのに金出すんだというプロジェクトも多い。
 それはともかく、一緒に被告にされたポーランド、ハンガリーの存在からもわかるように、ことは助成金なんかではなく、ヨーロッパに押し寄せた難民、もしくは不法移民の受け入れに関して、国ごとに受け入れ枠を設定するという政策に反対し、現在でも反対してつづけていることがとがめられたのである。

 メルケル首相の失策でとめどなく押し寄せるようになった難民の数に耐えられなくなったドイツが中心となって、半ばごり押しのようにEU委員会で決定されたのが、この難民の国別受け入れ数を割り当てて、無条件で受け入れさせるという政策だった。ごり押しというのは、チェコを含む三カ国以外にも、この制度に反対していた国は旧共産圏を中心にいくつもあったのに、ドイツの圧力に負けて、スロバキアのように最終的にはしぶしぶ賛成に回ったからである。
 それに対して、チェコでは、ほぼすべての国政政党がこの政策に関しては、当初から一貫して反対の立場をとっており、ドイツがあれこれ脅迫めいたことを言ってきたときにも、形だけでもいいからと泣き落としにかかったときにも、態度を変えることなく反対し、割り当てに基づく難民の受け入れは、拒否し続けている。それは、ポーランドもハンガリーも同じである。

 その結果として、この三国以外での強制割り当て数に基づいた難民の受け入れが始まったかというとそんな様子はなく、どうなっているのだろうと思っていたら、この裁判のニュースで事情が判明した。チェコなどの三カ国が当初から主張していたように、各国に人口などに基づいて受け入れ枠を設定して、難民を割り当てていく制度が、実は絵に描いた餅で、実施不可能だということが判明し、中止になったという。この割り当て制度が機能せず、導入は失敗だったことは、EU内でも合意に達しているらしい。
 この割り当て制度の終わりについて情報がほとんど出てこなかったところにもEU委員会に対する不信を感じるのだが、制度が機能しなかった理由は、チェコなどが反対したからでも、制度を拒否したからでもないようである。いや、少し考えれば、不可能だというのはわかると思うんだけどねえ。 そんな、現在では既に存在しない、失敗だったと認められた制度に関して、今更司法裁判所に提訴しても意味はないだろうというのがチェコなど三カ国の反論である。

 EU委員会としては、裁判所に、チェコなど三カ国が、委員会の決定を守らなかったという判決を出させたいらしい。そしてその判決をてこに、チェコなど反抗的な加盟国に対する締め付けを強めようとしているのかもしれない。この辺のEUの対応が、旧共産圏の加盟国内で、反EU、もしくは親EUでも改革を主張する勢力が力を延ばしている原因になっている。特にEU委員会の位置づけに関しては、チェコでは簡単に言うと政府でもないのに政府面しているという批判が強く、委員会の決定よりも加盟格国の権限を強めようという主張がなされている。

 今回のEU司法裁判所の件が、EU議会の選挙結果に影響を与えるのは当然だと思うが、現在のチェコには完全に今のままのEUの維持を主張している政党はなく、多かれ少なかれ改革が必要だという点では一致しているから、その影響の出方が読みにくい。EU離脱を主張している政党に投票するような人たちは、今回の件がなかろうとEU離脱を支持するだろうし。投票率が高くなれば、どうせANOが勝つのだろうけど、EU議会の選挙の投票率って、これで民主主義が成立するのかと言いたくなるぐらい低いからなあ。不要論がしばしば出てくる上院の選挙より低い投票率(前回が18パーセントほど)で民意を反映しているとかいえるのかねと、他人事ながら心配になってしまう。
2019年5月17日23時45分。







 




タグ:難民問題 EU

2019年05月18日

文化大臣辞任(五月十六日)



 バビシュ内閣の大臣がまた一人辞任することになった。今回はANOの大臣ではなく、社会民主党が文化大臣に就任させていたアントニーン・スタニェク氏が解任、辞任を求める世論の圧力に耐えきれなくなって、党首のハマーチェク氏に、五月末日付での辞任を申し出たらしい。
 このスタニェク氏、じつはオロモウツの出身で、パラツキー大学の教育学部の先生から、政界に進出してつい最近までオロモウツ市長を務めていた人物である。だから、主義主張はともかく、応援しなければならないような気がしていたのだが、今回の件で、オロモウツの政治家とは言え、市民民主党のラングル氏と同じカテゴリーに入れることにした。

 スタニェク氏が、辞任を求めるデモを起こされるところまで批判されることになった原因は、二つの出来事である。一つはオロモウツの美術館の館長ソウクプ氏を解任したことで、もう一つはプラハの国立美術館の館長ファイト氏を解任したことである。とくに後者に関しては、チェコ国内の芸術関係者からだけでなく、世界中の協力関係にある美術館からも、解任を撤回しなければ協力関係を解消するという抗議を受けていた。
 オロモウツの美術館の館長の解任に関しては、詳しい事情はよくわからないのだけど、個人的な復讐だという批判も聞こえてきたから、オロモウツ市長時代にいさかいがあったのかもしれない。もしくは、文化大臣としての仕事を批判されたのが解任の原因だったのだろうか。オロモウツの美術館の前の案内の掲示板には、文化大臣解任を求めるコンサートのポスターが掲示してあった。芸術関係者だけでなく、いわゆる芸能界の人たちの間にも、反スタニェクの動きは広まっているようだ。

 ファイト氏の解任については、横領の疑いがあってのことらしい。こちらは、刑事告発までしているから、ある程度の根拠、少なくとも刑事事件として告訴して勝訴できそうなレベルの証拠は握っていたのだろう。一度社会民主党内部で事情聴取みたいなことをされたときには、他の議員たちの理解を得られて解任されなかったのも、そのことを裏付ける。
 ファイト氏自身は、館長としての勤務時間外にやった、美術館のための仕事について、美術館から謝礼としてもらっただけだと主張しているのだけど、これっていいのか? 管理職の給与には時間外に行う仕事の分も含まれているから、高額になっているんじゃなかったのか。省庁も含めたチェコの役所では、お手盛りのボーナスが多くて人件費をかさ上げしているという批判が毎年なされるのだけれども、さすがに大臣が自分で自分に出したという話は聞かない。

 このファイト氏に関しては、以前も金銭関係で問題になった記憶もあるから、いや前任の館長だったかもしれないけど、芸術家的なルーズさが悪いほうに出ていると言ってもよさそうだ。他の美術館の館長や、芸術関係者がファイト氏を支持しているのも、芸術家の世界の常識と一般の世界の常識が乖離していることを示唆しているようにも思われる。ファイト氏の業績とは別にそこは批判されるべきなのだろうが、現時点では罪のないファイト氏を、理由もなく解任したスタニェク氏という構図で批判が広がっている。
 オロモウツの美術館に関してはともかく、このファイト氏の件に関しては、どっちもどっちというか、一方的にスタニェク氏が悪いとは言いきれないという印象を持つ。ただ、まともな大臣であれば、この件を違った形で収めることができたのではないかという点では、スタニェク氏は批判されるべきだし、辞任に追い込まれたのも当然だと言える。文化大臣になったときに、子飼いの部下としてかつて金銭問題で市長だったか市会議員だったかを辞めさせられた人物を、次官に据えたことも批判の対象になっているし、目くそ鼻くその争いなのである。

 文化関係のことを何もわかっていないとまで酷評されるような人物が、何故に文化大臣に就任したかというと、党内政治の結果である。日本とは違って、議員を何期務めると大臣候補になるとかいう不文律はないが、いろいろな取引の結果、大臣になったり党の主要ポストについたりする例は、旧来の政党の場合にはよく見かけられる。
 今回も、恐らく、バビシュ政権に参加するかどうかで社会民主党が割れたときに、政権参加を主張した党首のハマーチェク氏をスタニェク氏が支持したのと引きかえに、大臣の座を提供されたのではないかと見る。その際に、ANOとの取引で社会民主党が担当することになった省のなかでは、最も重要度が低い文化省が割り当てられたのだろう。

 社会民主党の文化大臣というと、パベル・ドルタールという長期にわたって文化大臣を務めた名物大臣がいたのだけど、この人がオロモウツ出身だから、オロモウツ出身のスタニェク氏に与えるポストとしてはちょうどいいなんてことを考えたのだろうか。ドスタール氏が、映画、演劇の世界から政治に転身して文化大臣として成功したからか、以後の文化大臣も、その世界の人が就任することが多かった。
 いずれにしても、オロモウツ出身であれ、映画、演劇界出身であれ、ドスタール氏ほど成功した文化大臣はいない。何せ、就任以来七年にわたって、首相が交替しても大臣をつとめ続けたのである。亡くなるまで文化大臣であり続けたドスタール氏を越える文化大臣は、今後も出現することはなかろう。オロモウツではその功績をたたえて、かつて活動していた劇場のあった建物にレリーフが設置されている。ちなみに、カレル・クリルのレリーフが設置されたのと同じ軍の建物である。

 とまれ、オロモウツの市長時代の業績に関しても、酷評されることの多いスタニェク氏が、世論の圧力を受けて辞任を表明した。これは健全な民主主義の発露と考えてよかろう。ただ、同時にこの辞任が、選挙対策であったことも忘れてはならない。五月末に行われるEU議会の選挙に向けて、支持率を落とさないように、社会民主党の指導部が因果を含めて、辞任を申し出させた可能性は高い。選挙のためには人気取りが必要だからね。もちろん辞任、解任を求めていた政党も選挙を意識していたことは間違いない。
2019年5月17日15時30分。












2019年05月17日

三格を取る前置詞➂(五月十五日)



 三回目は、セットで覚えておくといい二つの前置詞から始めよう。「おかげで」という意味の「díky」と、「せいで」という意味の「kvůli」である。チェコ語での使い分けも、ほぼ日本語のものと重なるので使いやすい。出た結果をありがたいと思っているときには「díky」、迷惑だと思っているときには「kvůli」を使うのである。
 だから同じ「日本に行った」でも、

 ・Díky kamarádovi jsem jel do Japonska.
 ・Kvůli kamarádovi jsem jel do Japonska.

 の二つでは、意味が変わってしまうのである。日本人なら、ありがたいという気持ち、迷惑だという気持ちを強調するために、ちょっと付け加えたくなる。

 ・Díky kamarádovi jsem mohl jet do Japonska
  友達のおかげで日本に行くことができた。
 ・Kvůli kamarádovi jsem musel jet do Japonska
  友達のせいで日本に行かなければならなかった。

 チェコ語では特に気にしないようだけど、日本語で「友達のおかげで/せいで日本に行った」と言われたら、違和感は禁じえないはずである。

 この二つの前置詞の使い方の説明は以上でお仕舞と言っていいぐらい日本人にとっては使いやすい(すくなくともそう信じられる)言葉なのだが、特筆すべきこととしては、「to, že」との相性が非常にいいことだろうか。連体修飾節を使って「〜したおかげで」とか、「〜しないせいで」なんて表現が簡単に使えてしまう。もちろんこの二つの前置詞の後ろでは「to」を「tomu」にするのを忘れてはいけない。

 ・Díky tomu, že se tyto dvě předložky dají používat stejně jako v japonštině, …
 ・Kvůli tomu, že se tyto dvě předložky dají používat stejně jako v japonštině, …

 この二つの前置詞は日本語と同じように使える「おかげで」、間違いにくいとか、この二つの前置詞は日本語と同じように使える「せいで」、ついつい濫用してしまうなんてことが、この二つの前置詞の「おかげで」言えてしまうのである。
 なぜか、この二つのうち「díky」は、大学書林の『現代チェコ語日本語辞典』には立項されていないのだけど、どちらも同じように重要でよく使う言葉である。ただ、師匠が言っていたのだが、チェコ人の中には、最近「おかげで」といういい意味の場合にも、「kvůli」を使う人が増えているらしい。外国人は真似してはいけないと師匠は付け加えていた。だから、自分では絶対にそんな使い方はしないのである。チェコ語がここまでできるようになったのは、ひとえに師匠の「おかげ」である。

 さて、その辞書に出てこない「díky」だが、しばしば「děkuji」の代わりに使われている。「děkuju ti」というような場面で、単に「díky」だけで済ませてしまうのである。人によっては単数形に見える「dík」を使うかな。
 実際の語源なんてことは知らないけれども、これは感謝を表す名詞「dík」の複数七格が前置詞化したのが「díky」だと考えていいのだろうか。そうすると、「kvůli」は、「k + vůle(意志)」だろうか。前者はともかく、後者は意味が通らない気がする。名詞の七格が前置詞的に使われているものとしては、二格を取る「pomocí(〜の助けで/おかげで)」があるのだけど、「díky」もそうなのだろうか。よくわからん。


 考えても仕方がないので、他の三格を取る前置詞を紹介だけしておく。どちらも自分では使わないけれども、使われたら理解はできるというレベルの前置詞である。
 一つ目の「vůči」は「(人)に対して」という意味で、もう一つの「navzdory」は、副詞的にも使え、意味は「〜に反して/に関わらず」である。前者は、普通に三格で済む場合が多いし、後者は「i když」を使った節で代用できるので、自分では特に後者は絶対に使わない。
 前者を使うのは「chovat se」と組み合わせる場合ぐらいである。

 ・Musím se vůči čtenářům zdvořile.
  読者に対して礼儀正しくふるまわなければなりません。

 とかね。
 他にもあるかもしれないけど、思いつかないので、三格を取る前置詞についてはこれでお仕舞ということにする。次にチェコ語について書くのは、所有形容詞かな。
2019年5月15日23時。












タグ:前置詞 三格

2019年05月16日

三格を取る前置詞A(令和元年五月十四日)



 二つ目の三格を取る前置詞は、「proti」である。意味は「〜と/に反対の」ということになる。日本語に訳すときには、これだけで「反対する」という動詞で訳すことも多い。

 ・Jsem proti (tomu).
  私は反対です。
 ・Zúčastnil jsem se demonstrace proti vládě.
  反政府デモに参加した。
 ・Musel odejít ze školy proti své vůli.
  自分の意志に反して学校を去らねばならなかった。

 風向きや、川の流れに逆らって進む場合にも使われる。

 ・Jeli jsme na kole proti větru.
  向かい風の中を自転車で走った。
 ・Plavali jsme proti proudu řeky.
  川を上流に向かって泳いだ。

 それから、スポーツの試合なんかでは、対戦相手をこの「proti」で表す。

 ・Olomouc prohrála zápas proti Zlínu.
  オロモウツはズリーン相手の試合に負けた。

 スポーツでは、サッカーやハンドボールの試合中に「一対一」「二対一」なんかの場面ができた場合にも使える。ただし、「jeden proti jednomu」「dva proti jednomu」よりも、別の前置詞「na」を使って、「jeden na jednoho」「dva na jednoho」を使うことのほうが多い。

 覚えておいた方がいい用法としては、薬の用途を表すのに使われるものがある。「頭痛薬」は、「lék proti bolesti hlavy」だし、咳止めのシロップは「sirup proti kašli」になる。インフルエンザの予防接種「očkování proti chřipce」、フケ止めのシャンプー「šampón proti lupům」、サングラス「brýle proti slunci」もこの中に入れてしまおう。

 前置詞ではなく接頭辞として使われる「proti」もあるが、これは前置詞と名詞が結びついて一語化したと考えるのがいいのだろうか。チェコにはそれほど毒蛇がいるわけではないけど、かまれた場合には「protijed(血清)」が必要になる。日本の野党は批判ばかりで対案を出さないことを批判されているが対案は、「protinávrh」である。それぞれ「jed(毒)」「návrh(提案)」に「proti」がつけられてできた言葉である。「protiprávní(非合法な)」なんて形容詞もある。

 この手の言葉の中で一番よく使うのは、「protiútok」だろうか。サッカーやハンドボールのカウンターにあたるので、「protiútok」から「trhák」という流れが期待できるのである。もちろん、一般的に反撃という意味で使うことも多い。ほら、「pro」ゼマン派と「proti」ゼマン派の間で攻撃と反撃が繰り返されているしさ。ゼマンの代わりにバビシュを入れても変わらないけど。


 次は「proti」に「na」をつけた「naproti」なのだが、「向かい側/反対側」という場所を表す前置詞になる。この「naproti」を「迎えに行く」という場合に使うことを知っている人もいるだろう。ただ、この場合前置詞としては扱わずに、語順の関係で副詞扱いにするようだ。つまり、人を表す言葉の前に置く必要はないのである。

 ・Půjdu vám naproti na letiště.
  飛行場まで迎えに行きます。
 ・Naproti mně seděl ředitel školy.
  私の向かいに校長先生が座っていた。

 これは簡単。ちょっとだけ「proti」と「naproti」を比較できるような用例を考えてみると、これが正しいかどうかは、例によって保証の限りではないのだが、

 ・Oni stojí proti sobě
 ・Oni stojí naproti sobě

 前者は対決のために向かい合って立っているような印象を与え、後者はただ位置的な関係で向かい合って立っている様子を表している。

 それから、「proti」に「o」を付けた「oproti」という前置詞もあるのだが、こちらは自分でもうまく使えないので、説明の任に堪えない。いやこんなのなくても何とでもなるしさ。
2019年5月14日23時。








チェコ語の隙間―東欧のいろんなことばの話











タグ:前置詞 三格

2019年05月15日

三格を取る前置詞➀(令和元年五月十三日)



 三格を取る前置詞については、これまでにもいくつか記事の中で言及してきたけれども、せっかく、あまり役に立たないとはいえ三格の話を書いたところでもあるので、三格を取る前置詞のまとめをしておこう。
 まず最初は、移動の方向を表す「k」である。これは特に人を表す名詞、代名詞について、その人のところに行くことを表すのに使われる。人以外だと、川や海などの水辺に向かっていくときに使われることが多い。一緒に使われる動詞は「行く」などの移動を意味する動詞が多い。

 ・Jdu k vám.
  そちらに行きます。
 ・Pojedeme na dovolenou k moři.
  休暇で海に行きます。
 ・Táhněte k sobě.
  自分のほうに引っ張ってください。

 また、名詞「směr」と組み合わせて、「〜のほうに」という意味でも使える。このとき「směr」は七格にするのがポイントである。

 ・Tento vlak jede směrem ku Praze.
  この電車はプラハのほうに行きます。
 ・Půjdeme směrem k nádraží.
  駅のほうに行きましょう。

 発音の関係で、子音が二つ以上で始まる名詞の場合には「ke」、子音Pで始まる名詞の場合には「ku」になることがある。発音上の要請なので必ずというわけではないのが、外国人にはつらいところである。また、この「k + 三格」は、「na + 四格」に置き換えられ、特に行先を「do」で表せる地名の場合には、「směr」を略して「na + 四格」だけで「〜のほう」を表すことができる。つまり「jet směrem ku Praze」でも、「jet směrem na Prahu」でも、「jet na Prahu」でも意味はあまり変わらないのである。


 それから、以下のような予想外の名詞につくこともある。

 ・ku podivu
 ・zkušenost k nezaplacení
 ・k smíchu

 この辺を何も考えずに使えるようになると、チェコ語もぺらぺらと言えるのだろうけど、そこまでいくのはなかなか大変である。上の三つを使って文を作ると、例えば、「私のチェコ語はまだまだ笑うべきレベルなんですが、不思議なことに最後の試験に合格できました。サマースクールではお金では買えない体験をさせてもらいました」なんてのは、

Moje čeština je stále k smíchu, ale ku podivu se mi podařilo udělat závěrečnou zkoušku. Na letní škole jsem měl zkušenosti k nezaplacení.


 なんて訳が出来上がるのだけど、このチェコ語が正しいかどうかは保証しない、というよりは、保証できない。難しいんだよこれ。

 特殊な使い方というよりは、読み方なのだが、比率を表す「3:2」とか、スポーツで点差を表す「1:1」を読むときに数字の間に入れるのが「k」なのである。だから「tři k dvěma」とか、「jedna k jedné」なんて読むわけである。点差の場合には、簡単に「tři dva」「jedna jedna」と読んでしまうことも多いけど。これは特に知らなくてもチェコ語を使うのには全く問題のない「k」の使い方である。

 そう言えば、日曜日のスラビアとプルゼニュの試合の後、こんな文を見かけた。

 ・Výhrou se přiblížila Slavia k titulu.
  勝利によってスラビアは優勝に近づいた。


 ということで、「Tento článek se chýlí ke konci」という文で今日の分を終わらせることにしよう。「k」は、とにかく移動する方向を表す用法が一番重要である。
2019年5月14日9時35分。




チェコ語会話練習帳 [ 金指久美子 ]










タグ:三格 前置詞

2019年05月14日

シグマ・オロモウツ、シーズン終了(令和元年五月十二日)



 今日オロモウツで行なわれたズリーンとの試合で、オロモウツは3−2で勝利したが、他のほとんどのチームより一足早く今シーズンが終了してしまった。オロモウツとテプリツェ以外は、あと最低でも二試合、多いチームになると五試合残っているのだけど。

 このチームによって試合数が違うのは、今シーズンから導入された新しい制度のせいである。毎年シーズン終盤になると、順位がほぼ確定し、優勝争いからも、ヨーロッパのカップ戦の出場権をめぐる争いからも脱落し、残留争いとも縁のないチームが複数出てくる。そうすると勝っても負けてもあまり意味のない、いわゆる消化試合が行なわれることになる。
 チェコのサッカー協会では、この大抵はつまらない試合になる消化試合の数をできるだけ減らすために、オランダやベルギーのリーグに倣って、これまでの全30節に加えて、成績によって三つのグループに分けて、追加の試合を行なって最終成績を決めるというシステムを導入した。同時に一部と二部のチームの降格と昇格に入れ替え戦も行われることになった。

 全十六チーム中、上位六チームが、優勝を争うグループになる。追加のリーグ戦はチーム総当りで五試合ずつ行うというもので、上位の一位から三位まではホームで三試合、下位の四位から六位までは二試合行なうことになっている。だから、最大で勝ち点を15上乗せできるのだが、レギュラーシーズン30節の勝ち点をそのまま持ち越すため、順位の変動はそれほど起こりそうにない。
 今シーズンのこのグループ進出チームと、30節終了時の勝ち点は以下のとおり。直接対決で順位変動の可能性があるのは、五位のオストラバと六位のリベレツだけである。

  スラビア  72
  プルゼニュ 68
  スパルタ  57
  ヤブロネツ 51
  オストラバ 45
  リベレツ  42

 追加第一節でスラビアがリベレツと引き分け、プルゼニュがヤブロネツに勝った結果、スラビアとプルゼニュの差が勝ち点2に縮まり、直接対決で逆転の可能性が出てきたのだが、第二節で直接対決が行なわれ、スラビアが勝った結果、差が5に広がり、スラビアの優勝はほぼ確定した。
 このグループで上位に入ったチームがヨーロッパのカップ戦の出場権を獲得するのだが、三位の恐らくスパルタがヨーロッパリーグの出場権を獲得するのは決まりだが、四位の恐らくヤブロネツは、一つ下のグループの一位チームとヨーロッパリーグ出場権をかけたプレイオフを戦うことになる。ただし、リーグカップでスラビアが優勝した場合は、プレイオフに回るのは五位のオストラバかリベレツということになる。


 七位から十位の四チームは、ヨーロッパリーグ出場権をかけたプレーオフ進出を巡る争いである。このグループは追加のリーグ戦ではなく、七位と十位、八位と九位が対戦し、その勝者同士が対戦するカップ戦方式のプレーオフが行なわれる。
 出場チームは以下のとおり。ムラダー・ボレスラフは、リベレツと同勝ち点でありながら直接対決で分が悪かったために上のグループへの進出を逃したのである。

  ボレスラフ  42
  オロモウツ  40
  ズリーン   39
  テプリツェ  36
  
 ボレスラフとテプリツェの対戦は、テプリツェでの初戦が、0−8というホームチームが負けた試合としては最大の点差がつくという結果に終わり、二戦目は1−1の引き分けでボレスラフが次のステージに進出した。
 オロモウツは、ズリーンでの初戦に0−1で負けた後、ホームでの試合に3−2で勝利したものの、所謂アウェーゴールの差で敗退が決まった。あと一点、惜しいシュートもあったんだけどねえ。秋のシーズンのひどさを考えると、この中位グループに食い込めるところまで順位を上げられたのだから御の字である。それでも、うまくやれていれば優勝争いのグループに入れたのではないかとか、何でズリーン相手に敗退するんだとか言いたくなるのがファンというものであろう。今日の試合勝ったとはいえ、前半ひどかったしなあ。


 最後の六チームは残留争いということになる。ルールは優勝争いグループと同じ。ただし、最下位はそのまま降格が決定で、十四位と十五位のチームは、それぞれ二部の三位、二位のチームとプレーオフを行なうことになっている。
 このグループのチームは以下のとおり。一番上のグループよりは勝ち点の差が小さいので、最下位のドゥクラを除けば順位の入れ替わりが起こる可能性は高そうである。

  ボヘミアンズ  34
  スロバーツコ  34
  オパバ     33
  プシーブラム  31
  カルビナー   29
  ドゥクラ    20

 追加の第二節まで終わって、ドゥクラの降格と、カルビナーの入れ替え戦行きがほぼ確定。入れ替え戦の二チーム目をプシーブラムとボヘミアンズが争うという感じになっている。ちなみに二部ではチェスケー・ブデヨビツェの優勝と昇格が決まり、二位で入れ替え戦がほぼ確定なのがイフラバ、もう一席をブルノとフラデツ・クラーロベーが争っている。

 今回のこのリーグを魅力的にしようという試み、試合数が増えたのは悪くないけど、それでリーグの魅力が上がったかといわれると、鳴り物入りで導入されたビデオ審判が期待はずれに終わっているのもあって、そこまでの変化は感じない。それに真ん中のグループも総当りのリーグにした方が公平じゃないかという気もする。

 とまれ、シグマ・オロモウツの今シーズンは終了したが、オロモウツでのサッカーの試合は終わらない。リーグカップの決勝が、スラビア対オストラバという対戦になったので、その間にある、オストラバよりだけど、オロモウツで行なわれることになっている。それに六月にはチェコ代表の試合もオロモウツで行なわれることになっているんじゃなかったかな。町に迷惑を書けるような名ばかりのファンが押し寄せないことを願っておきたい。
2019年5月13日24時。











2019年05月13日

三格の話2(五月十一日)



 日本語の助詞「に」にはいろいろな機能があって、すべてが「に」=三格が適応できるわけでないことは重々承知している。時間を表す「に」、場所を表す「に」、行き先を表す「に」は、チェコ語ではほとんどの場合前置詞を使って表すから、三格を使ってしまうことはないのだが、日本語で考えて三格だろうと思って使ったら、違うといわれたものがいくつかある。

 一番よく間違えたのは、「zeptat se」だろうか。日本語では「〜に質問する/聞く」で、質問という行為の向く先が「に」で表されているのだから、チェコ語でも三格だろうと思い込んでしまったのである。いや、実際にはそこまで細かく考えずに、何となくで使ってしまっていたのだけど。もちろん最初に教科書にこの動詞が登場する時点で、三格ではなく、二格をとることは説明される。説明されて覚えたつもりでも、実際に使うときには間違えてしまうのが、母語である日本語の影響の厄介なところである。

 チェコの人たちは、しばしば「zeptat se koho na něco」という形で覚えていて説明してくれるのだが、「koho」は「kdo」の二格と四格の形なので、どちらなのかわからない。質問する相手が男性であれば、二格と四格は例外を除いて同じなので、実害はないのだが、女性に質問するときにはちょっと厄介である。
 「na co」のほうも、「na」の後に来るのが四格なのは明らかだけど、日本語の影響で前置詞を使わずに、四核にしてしまったり、「o + 六格」にしてしまったりする。日本語だと「やり方を質問する」とか、「歴史について聞く」なんて使い方をする影響である。この「na co」には、「zeptat se」とともに二格を使えるようになってからも悩まされた。今でも時々怪しくなることがあるので、ついつい使うのを避けてしまう。避けてどうするのかというと、こうするのである。

 ・Zeptal jsem se Pavla, kdy pojede do Japonska.
  パベルにいつ日本に行くか(について)質問した。

 ・Zeptal jsem se Pavla, jak se používá tento počítač.
  パベルにこのコンピューターをどう使うか聞いた。
  パベルにこのコンピューターの使い方を聞いた。

 ・Zeptal jsem se Pavla, jestli zítra přijde do práce.
  パベルに明日仕事に来るかどうか聞いた。


 間違えたのを明確に覚えている動詞は、「zúčastnit se」である。「参加する/出場する」という意味のこの名詞の存在を知ったのは、チェコ語を勉強し始めてから一年はたたないころ、チェコ大使館が出しているサマースクール用の奨学金に応募することを決めたときに、先生に聞いて応募のための作文に使ったのか、書類を提出に大使館に行ったときに、担当のチェコの人とチェコ語で話したときに使ったの覚えていないが、間違いを指摘されたのは覚えている。
 確か、「Chci se zúčastnit letní škole」とかなんとか書いてしまって、それを見たチェコの人に、「školy」に直されたのだった。後で先生に聞いたら、「zúčastnit se」は三格ではなく、二格をとるということで、それで覚えたつもりだったのだが、以後も何度も間違いを繰り返すことになった。「zúčastnit se čeho」と覚えるのだけど、疑問の代名詞の「co」と「kdo」の格変化を覚えたのは、最初のサマースクールに参加したときなのである。

 日本語の動詞「会う」は、「〜と会う」「〜に会う」と二つの助詞を使うことができる。その二つの違いは置くとして、チェコ語の教科書で最初に出てくる「会う」は、「setkat se」で「s + 七格」を取る。「s + 七格」は日本語の「〜と」とほぼ対応するから、「setkat se」は「〜と会う」と覚えられたので、あまり間違うことはなかった。
 しかし、チェコ語にはもう一つ「会う」という意味の動詞「potkat」があるのである。これが「〜に会う」のように三格を取ってくれたらよかったのだけど、実際には四格で「potkat koho」となる。その結果、「potkat se s kým」という形でも使えるようだが、「会う」に関しては、「setkat se」しか使わないことにしている。わざわざ間違う恐れのある言葉を使うのは避けたいのである。

 意外なのが、「教える」に当たる「učit」で、日本語だと「友達に英語を教える」のように、教える相手は「に」、教えるものは「を」で表す。チェコ語では「učit se」という使い方からもわかるように教える相手は四格で表す。教えるものも、四格で表して「učím japonštinu」になるのだが、人と物を同時に使用した場合には、物の方が三格になる場合がある。つまり「učím kamaráda japonštině(友達に日本語を教える)」となるのだが、どうにもこうにも気持ち悪くて、覚悟を決めないと使うことができない。チェコ人でもこの使い方を知らない人はいるみたいだしね。

 とまれ、自分でも何がやりたかったのかよくわからなくなった三格の話は、これでおしまい。三格を取る前置詞のまとめはしておいたほうがいいか。次はそれだな。
2019年5月12日24時。








2019年05月12日

三格の話(五月十日)



 三格は、与格なんて言い方もされるように、何かを与える先、動座の結果の向かう先を示す格である。それが、日本人にはわかりにくい、日本語では間接的な受身形で表すことの多いいわゆる関係の三格につながっていくのだけど、それについては以前、ブログを始めて、かなり早い時期に書いた記憶があるから触れない。
 一般に三格を日本語に訳すときには、助詞の「に」を使うことが多いのだが、日本語で「に」だからといって絶対に三格になるわけではなく、逆にチェコ語の三格が確実に「に」で処理できるわけでもない。だから、われわれチェコ語を勉強する日本人としては、三格=「に」が成立しない動詞とその正しい使い方を覚えていかなければならない。

 まずチェコ語の三格が「に」にならない例から行くと、「気に入る」という意味の「líbit se +三格」が上げられる。例えば、「Líbila se mi Olomouc」という文を考えてみよう。これに無理やり三格=「に」を適用して、「オロモウツは私に気に入った」なんて訳を見かけることもないわけではないが、これでは自然な日本語とはいえない。
 語順を気にせず自然な日本語にするなら、「私はオロモウツが気に入った」だろう。オロモウツを文頭に持ってくると「オロモウツは私の気に入った」でも不自然さを拭えないから、「私」を省略して「オロモウツが気に入った」とするのが一番自然な日本語訳だということになる。質問の「Líbila se vám Olomouc」も、「オロモウツは気に入りましたか」とするのだから、日本語に訳す際には人称代名詞は省略したほうがいいのである。

 同様に、食べ物、飲み物が気に入ったとき、つまりおいしかったときに使う「chutnat + 三格」も、三格になっている人を訳してしまうと、不自然になる。「Toto pivo mi chutná」は、「このビールは美味しい」で十分で、「私に美味しい」なんて不要である。どうしても「私」を使いたいのであれば、「このビールは私の口に合う」と訳すしかない。ただ、「美味しい」と「口に合う」は、全く同じではないので、いつでも使えるというわけではないけど。
 ちなみに食べ物や飲み物が気に入ったときに「líbit se」を使うのは、日本人には理解できない理由で、使えないらしいので、日本語で「このビール気に入った」と言いたいと思っても、それを「美味しい」に置き換えてチェコ語にする必要がある。散々間違いだと指摘されて、使い分けられるようにはなったが、どうしていけないのかは全く理解できていない。

 日本語に訳す際に、ややこしいことは考えないで、人称代名詞の三格を省略した方がいいものとしては、「chtít」の再帰受身形がある。「Chci」と「Chce se mi」とでは、もちろん全く同じ意味にはならないが、日本語で「私」を使ったとしてもその違いを表すことはできない。肯定形よりも使うことの多い否定形の「Nechce se mi jít」だったら、「何となく行きたくない」とか、「気が進まない」と訳したいところである。
 しかし、疑問の「Chce se ti jít?」はどう訳そう。「行きたい?」と訳すのは論外にしても、「気が進む?」なんて質問はされても困ってしまう。せいぜい「行く?」とか、「行く気はある?」ぐらいしか思い浮かばないのだけど、これでいいのかねえ。とまれ、この「chtít se + 三格」は婉曲表現のようだから、日本人には使いやすいので、日本語でどう言うか考えることなく使ってしまうのである。

 それから、「欠ける/足りない」という意味の「chybět」も状況によっては、三格になっている人称代名詞を省略したほうがいい。能力が足りないことを表す場合、例えば「Chybí mi slovní zásoba」なら、「私には語彙が足りない」と「に」を使って訳しても問題はない。ただ、「Co vám chybí?」のような、ものが足りなくて残念だという意識を表すような使い方の場合は、そうはいかない。「Chybí mi pivo」を「私にはビールが足りない」とか「私にはビールが欠けている」と訳してもわからなくはないけれども、ここは状況に応じて「ビールが飲みたい」とか「ビールが飲めなくて苦しい」なんて訳すべきところであろう。

 チェコ語から日本語ではなく、日本語からチェコ語に訳すときに気をつけなければならない三格=「に」が成り立たない動詞は、「助ける/手伝う」という意味の「pomoct/pomáchat」である。日本語だと「人を手伝う」「仕事を手伝う」と物も人も助詞「を」で表すのだが、チェコ語では人は三格になる。物のほうは前置詞を使う。「v + 六格」「při + 六格」が一般的かな。

 予定より長くなったので、日本語で「に」だけど、チェコ語では三格にならないものについては、次回に回すことにする。「Protože se mi strašně chce spát」
2019年5月11日24時。










タグ:格変化 三格
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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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