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2019年10月07日
ラグビーでチェコ語を勉強する2(十月五日)
承前
フォワードとバックスの間を取り持つハーフのことは「spojka(スポイカ)」という。これは二つのものを綱区という意味の動詞「spojit」と関連する名詞で、文法用語として接続詞という意味で使われることもある。他のスポーツでは、ハンドボールでセンターの選手をこの言葉で呼ぶが、ラグビーとは違って二つの部分をつなぐというわかりやすさはない。
9番の選手はスクラム=ムリーン側のスポイカということで「mlýnová spojka(ムリーノバー・スポイカ)」と呼ぶ。長いので一語にして「mlýnovka(ムリーノフカ)」ということもある。語尾の「-ovka」は、チェコ語ではよく使われるもので、シュコダ社の自動社を「škodovka(シュコドフカ)」と言ったり、炭酸水=ソーダを「sodovka(ソドフカ)」なんて言ったりする。こういうのがわかってくると、トヨタの車を「tojotovka」、ホンダの車を「hondovka」なんて言って、チェコの人に笑ってもらうこともできるようになる。冗談のつもりで言ったら、普通に使われていて笑ってもらえないという落ちもあるかもしれないけど。
10番のほうは、「útoková spojka(ウートコバー・スポイカ)」、略して「útokovka(ウートコフカ)」である。これは、チェコ語でラグビーのバックスのことを「útočník(ウートチニーク)」と呼ぶことからできた言葉なのだが、普通のスポーツではウートチニークはフォワードの選手を指す。昔初めてラグビーを見たときに、フォワードとバックスが逆じゃないかと思ったのを思い出した。
チェコ語だと、ポジションとしての攻撃の選手はウートチニークだが、現在守備をしているは動詞の三人称複数の形から作る形容詞をつかう。つまり「útočící(ウートチーツィー)」となる。守備の場合も、ポジションとしては「obránce(オブラーンツェ)」で、守っている人は「bránící(ブラ−ニーツィー)」となる。だから、「bránící útočník=守備中のフォワード」とか「útočící obránce(攻撃中のディフェンス)」なんて表現も出てくる。ただ、ラグビーの場合には、ポジションに関係なく守備をしている選手をオブラーンツェと呼んだり、ブラ−ニーツィーと呼んだりしているような気がする。言い間違い、聞き間違いの可能性もあるけど、今後確認が必要だな。
バックスの選手たちの呼び方は、11番と14番が「křídlo(クシードロ)」。これは翼と言う意味の言葉なので、ウイングをそのまま訳しただけだろう。12番と13番は「tříčtvrtka(トシーチトブルトカ)」で、四分の三を意味する「tři čtvrtě」を名詞化したもの。日本で昔使われていた呼称のスリー・クオーター・バックを訳したものだろうか。今ではセンターと言うことが多いのかな。
バックスの中では15番だけが、チェコ語的で「zadák(ザダーク)」。背中を意味する「záda」、お尻を意味する「zadek」と関係がありそうだけど、背中の後ろにいる人という意味だろうか。「vzadu」なんて場所を示す副詞の存在を考えたら、「zad」だけで後ろを意味していたのかもしれない。
ベンチに座っている控え選手は、他のスポーツと同じで「náhradník(ナーフラドニーク)」のはずなのだが、チェコのラグビー協会のページでは、選手の怪我で一時的にプレーする交替選手のことをこの言葉で呼ぶようなことが書かれていた。普通の交替選手のことは、動詞からできた「střídající(ストシーダイーツィー)」と呼ぶんだったかな。逆だったかもしれない。とまれ、他のスポーツでは、ベンチに座っているナーフラドニークの中からストシーダイーツィーが選ばれて出場するのが普通である。
ところで、10番の選手ってスタンドオフじゃなかったっけ? 選手紹介でフライ・ハーフと書かれているのを見るたびに、あれっと思ってしまう。12番、13番は、昔から呼称が一致しなかったと言うか、ゆれがあってどう呼ぶのがいいのかよくわからなかったけど、10番はスタンドオフ以外の呼び方はないものだと思っていた。
もうちょっと続く。
2019年10月5日25時。
タグ:ラグビー