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2018年11月28日

内閣不信任案否決(十一月廿三日)



 かねてよりの予定通り、この日下院においてバビシュ内閣に対する不信任案の審議と議決が行われ、当初の予想通り否決され、野党勢力による倒閣の試みは失敗に終わった。驚くべきは最初からわかりきっていた結果を出すために延々7時間以上も、各党の党首たちをはじめとする議員たちが交代交代演説をしていたということである。そんな無駄なことをする時間があるのなら、もっと大切な審議すべきことがあるだろうという気持ちを禁じえない。
 民主主義というものにおいて、議会での審議が大切なものであることはわかっているから、真偽そのものを無駄だと切り捨てる気はない。無駄なのは事前の交渉で結果が予想できていて、審議をしてもそれがひっくり返る見込みのない議案に関して、延々と同じ話を何度も、手を替え品を替え人を替えながら繰り返すことである。どうせ相手の言うことはろくに聞かずに自分の言いたいことだけ言っておしまいなのだから。

 問題は、そんな言いたいことを言い合うだけで、説得にも妥協にもつながらないものを、議論とか審議という言葉で呼んでいいのだろうかということである。考えてみれば、日本もそうだが近年は、議論にならない議論、相手の話を聞く気のない議論が氾濫している。小学校だったか中学校だったかで、水掛け論ではなく建設的な話し合いをするようになって指導を受けた木がするのだが、政治家たちの話し合いの能力はそれを下回るのである。
 最近、民主主義の危機なんて言葉がしばしば使われるが、民主主義が危機にあるとすれば、それはトランプ大統領が誕生したり、オカムラ氏が大臣になったり、バビシュ氏が首相になったりするところにあるのではない。それは自分の主張が通らなかったことを、支持する政治家が落選したことを、民主主義の危機などという言葉で批判する連中が民主主義を標榜しているところにある。この現象も、本をただせば自分の意見を主張するだけで、相手の話を聞かない態度に終始する議論もどきに端を発する。

 それはともかく、バビシュ内閣は、共産党が反対票を投じ、社会民主党が採決に参加しなかったおかげで、不信任案を可決されず、現在の形で継続することが決まった。市民民主党の党首は、不信任案に反対の票が半数を超えなかったことを理由に、これは内閣が信任されなかったということだと主張しているけれども、賛成も反対も90ちょっとでほぼ同数だったのだから、詭弁としか言いようがない。自分たちの戦略のなさを棚に上げて詭弁を弄しても支持層の拡大にはつながらないと思うけどねえ。
 この日発表された11月の政党別支持率調査の結果では、相変わらずANOが30パーセント近くの支持率でトップだった。回答者の多くは息子誘拐疑惑が勃発する前に回答した結果らしいから、今調査したらまた違った結果が出るかもしれないが、ANOがチェコの有権者の間で一定の支持層を形成しつつあることを物語っているのだろう。バビシュ氏と同族嫌悪のののしりあいをしているカロウセク氏が党首の座を退いたTOP09は、支持率3パーセントで現時点で総選挙が行なわれていたら、当選者を出せていないという結果が出ている。この傾向もまた、社会民主党を除いては、解散総選挙を主張しなかった原因になっているのだろう。

 チェコの歴史では以前もスキャンダルに見舞われた首相は何人かいる。30台半ばという、史上最年少で首相になったグロス氏の場合には、プラハの一等地に購入したマンションの資金の出所があいまいだというのが問題にされた。おじさんにもらったとか苦しい答弁をしながら頑張っていたと思ったら、突然辞任してしまった。現時点で最後の市民民主党出身の首相ネチャス氏も当時愛人、今奥さんが個人的な理由で軍の情報を部を動かしたという疑惑に巻き込まれて、頑張れそうな形勢だったのに、あっさり辞任してしまった。
 どちらも、辞任することでスキャンダルの責任を取ったといえば、聞こえはいいのだが、むしろ無責任に政権を投げ出したような印象を残した。特にネチャス氏の場合には投げ出しぶりが、次の選挙での市民民主党の惨敗につながったといえる。それに対して、現在のバビシュ氏の一年以上も続く足掻きぶりは、みっともないとも、権力にしがみついているとも言えるレベルの物なのだが、逆にそのしぶとさに感心してしまいそうにもなる。恐らくANOの支持者にはそのしぶとさが頼もしく写っているのだろうし、既存の政党からの攻撃に耐えているようにも見えるのだろう。

 そう考えると、既存の政党を指導する政界の日の当たるところで、たいした苦労もせずに活動してきたエリート達には、バビシュ氏に太刀打ちするのは荷が重そうである。グロス氏もネチャス氏もそんな感じだったし、バビシュ氏のANOの勢力拡大にあせって自爆したソボトカ氏も、今の社会民主党の党首のハマーチェク氏にも、市民民主党のフィアラ氏にもそんなひ弱さを感じてしまう。
 今のチェコの現役の政治家で、バビシュ氏のしぶとさ、したたかさに対抗できそうなのは、ゼマン大統領ぐらいしかいない。この二人が盟友的な関係にあり、既存政党に期待できそうもない以上、海賊党の成長に期待するしかないのかなあ。ということで、いつになるかはわからないけれども、バビシュ首相の次の首相は海賊党の党首だと予想しておく。
2018年11月24日22時。


 







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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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