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2017年11月30日

シグマ・オロモウツ(十一月廿七日)



 久しぶりのサッカーの話題は、国内リーグについてである。リーグ戦開始当初は、スラビアが昨シーズンから続けていた不敗記録をどこまで伸ばすのかが注目されていた。昨年の秋から続いていたスラビアの不敗記録は、今シーズンの第11節にリベレツに負けたことで、36試合で終了した。昨シーズンの九月に就任したシルハビー監督は、その後一試合も負けることなく、スラビアを久しぶりの優勝に導いたのである。
 大量に補強をした今シーズンは、選手のローテーションが激しすぎるせいか、いまいち調子が上がらず引き分けてしまうことも多く、チャンピオンズリーグには出場できず、ヨーロッパリーグのグループステージでも勝ち抜けを決められないでいる。HETリーガでも、15節終了時点で8勝5分2敗で勝ち点29で、3位に甘んじている。この順位は上ができすぎという話もあるのだけど、去年だったら勝てていた試合が引き分けに終わるようなことも多い。

 次に、スラビアの不敗記録が止まる前から話題には上っていたけれども、騒がれたのが、プルゼニュの開幕からの連勝記録である。ブルバ監督が復帰し、トルコでも戦力外にされてチェコに戻っていたコラーシュを復帰させたプルゼニュは、チャンピオンズリーグの予選や、ヨーロッパリーグの試合でこそ、負けたり引き分けたりすることがあったが、リーグ戦では初戦から負けしらずを続け、14節まで全勝を誇ったのだ。
 コラーシュをはじめ、ペトルジェラやリンベルスキーなど、ベテランのもう引退も近いとみなされていた選手たちが、ブルバの元で復活をとげ、伸び悩みの印象の強かったコピツやフロショフスキーなどもこれまで以上に活躍するようになっている。スパルタやスラビアが外国の選手を集めたのに対して、プルゼニュはチェコの、それもベテラン選手をうまく使って、強いチームを再建することに成功した。

 ブルバ退任後もチェコリーグでの成績だけを見れば、そんなに悪くなかったのだけど、ヨーロッパの舞台で全く勝てなくなってしまっていたのだ。その弱体化したプルゼニュの名残は、チャンピオンズリーグの予選にも見られ、苦手のブルガリアチームのFCSB(ステアウア・ブカレスト)に敗れて本戦出場できなかったのである。かつての勝負強いブルバのチームであればブルガリアでの初戦で引き分けた時点で、勝ち抜けはほぼ決まりだったのだけど……。FCSBとはヨーロッパリーグのグループステージでも同組になったが、第5節、合計4試合目でやっと勝利を手にしている。同時にグループ勝ち抜けも決めているから、ヨーロッパでも強いプルゼニュの復活である。
 そのプルゼニュも、チェコリーグの第15節で、テプリツェと引き分けに終わり、開幕からの連勝記録が途切れてしまった。まだ負けたわけではないので、前代未聞の全勝での優勝は無理になったが、無敗での優勝は期待できる。たしか一度スパルタが無敗で優勝したはずだけど、あのときは引き分けが半分ぐらいあったんじゃなかったかな。プルゼニュはちょうど半分の試合が終わった15節終了時点で、14勝1分、勝ち点43、これは事実上は優勝決定と言ってもいいぐらいの勝ち点である。単純に倍とは行かないだろうけど、これまでの最大勝ち点70ちょっとを更新しそうな勢いである。

 そして次に注目すべき好調なチームが、二部から昇格したばかりのわれらがオロモウツである。前回昇格したときには、中途半端にベテランを補強してチーム混乱に陥っていたが、今回は、昨シーズンの二部でプレーした選手たちがほとんどそのまま残っていて、財政的な問題からほとんど補強しなかったのがよかったのだろう。二部で見せた見せた魅力的なサッカーを一部にもそのまま持ち込み、これまでにないぐらいの成績を残している。
 一時期調子を落として、負けてもおかしくないような試合もあったけれども、そんな試合でもきっちり引き分けられるのが今のオロモウツである。スラビア戦はハンドくさいプレーからのゴールで何とか同点に追いつき、ボヘミアンズ戦、オストラバ戦は、先制はしたものの相手に押し込まれて同点に追いつかれたあと何とか守りきったという試合だった。
 負けたのは連勝を続けていたプルゼニュとの試合だけ。それも、多くのチームが完敗する中、オロモウツは結構互角に近い試合をしていた印象がある。15節では不調とはいえそれなりに勝ち点を積み上げてきているスパルタとの試合に、1-0だったけれども、内容的には完勝し、現在9勝5分1敗の勝ち点32で、なんと2位につけているのである。

 今回は簡単には降格しないだろうと思っていたけれども、ここまでの結果を出すとは、選手たちや監督も期待さえしていなかったのではないだろうか。たしか勝ち点が29になった時点で、これで残留が決まったぞとインタビューで答えていた選手がいた記憶がある。チェコのリーグは全30節で行なわれ、勝ち点30前後が残留と降格の境目となることが多いのである。
 もし、今年最後の16節で負けなければ、オロモウツは2位で長い冬休みを迎えることになる。二部から昇格したばかりのチームが2位で秋を終えるというのは、これまでなかったことだというので、ここは頑張って秋の2位を目指してほしい。15節で勝ち点32なら、30節で64、この数字はシーズンによっては優勝を狙えなくもないのだけど、今シーズンは1位のプルゼニュが完全に独走に入っているから、ここから優勝というのは無理だろう。それでも久しぶりにサッカーでオロモウツの活躍が見られるというのは嬉しいものである。

 今はまだそれほど数は出ていないし、出場機会も少ないけれども、今後オロモウツの選手、オロモウツ出身の選手が代表に呼ばれる機会も増えていくはずである。そうなるとチェコ代表を応援するモチベーションも上がるので、今の好調ができるだけ長く続いてほしいものである。トブルディークがボスやってるスラビアの選手ばかりだとね、監督も元スラビアのヤロリームだしさ。

 ということで、久しぶりのオロモウツに関する、サッカーだけど、記事であった。
2017年11月28日25時。








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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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