アフィリエイト広告を利用しています
<< 2017年11月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
検索
リンク集
最新コメント
チェコの銀行1(十二月二日) by ルイ ヴィトン 時計 レディース hウォッチ (03/20)
メンチンスキ神父の謎(四月卅日) by にっしやん (12/30)
メンチンスキ神父の謎(四月卅日) by にっしゃん (12/30)
メンチンスキ神父考再び(七月卅日) by にっしゃん (12/30)
カレル・チャペクの戯曲残り(二月朔日) by K (08/16)
最新記事
カテゴリーアーカイブ
記事ランキング
  1. 1. 『ヨハネス・コメニウス 汎知学の光』の刊行を寿ぐ(四月十日)
  2. 2. no img 『羊皮紙に眠る文字たち』『外国語の水曜日』(三月十九日)
  3. 3. no img コメンスキー――敬虔なる教育者、あるいは流浪の飲んだくれ(九月廿七日)
  4. 4. no img すべての功績はピルスナー・ウルクエルに(一月廿六日)
  5. 5. no img 「トルハーク」再び(三月廿日)
  6. 6. no img トルハーク四度(十月二日)
ファン
タグクラウド










ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2017年11月22日

お金に関する俗語(十一月十九日)



 昨日格変化をしない名詞として取り上げた「デカ」だが、本来は「デカグラム」で、それを略して「デカ」と言うようになったらしい。「デカ」を「a」で終わることから中性名詞の複数ととって、10グラムのことを「1デコ」なんて言い方をする人もいないわけではないと言う。その場合でも1格から7格まで変化しないという点は同じである。

 この手の略語は無変化かというとそんなことはなく、男性名詞のキログラムを略した「キロ」は中性名詞の硬変化として普通に格変化させる。日本語だとキロメートルもキロと略すけれども、チェコ語ではキロはキログラムの略で、キロメートルの略は、男性名詞の「キラーク」になる。あんまり略されていないかな。もちろんどちらも話し言葉的な表現であることは言うを俟たない。メートルは、「メトラーク」、センチメートルは、「ツェンテャーク」というはずなので、長さを表す単位は、「アーク」をつける傾向があると言ってもいいかもしれない。ただ。ミリメートルはミリメートルのままだけどさ。
 話し言葉の「キロ」にはもう一つ意味があって、ある金額を表す。1キログラムは1000グラムとなるように、キロは規準となる単位の1000倍を表すから、お金の場合も1000コルナになるのではないかと考えるのが普通であろう。しかし、何故だかわからないけれども、100コルナを指すのである。100Kč = 1 kilo。

 1000コルナにも別の言い方があって、こちらは「リットル」である。1000ミリリットルが1リットルになるからだろうか。この手の俗語に論理や理由を求めても仕方がないのだろうけれども、こういうところに漏れ出てくるチェコの人たちの言葉に対する意識を知ることは、チェコ語を身につける上では重要なんじゃないかとも思う。他のスラブ語でも同じなのかというのも気になるけどね。1000Kč = 1 litr。

 お金に関する奇妙な俗語は他にもたくさんあって、わかりやすいところからいくと、100万コルナは「メロウン」と呼ばれる。チェコ語のメロウンは、日本のメロンだけでなく、スイカも指す言葉だけれども、メロウンがメロンかスイカかという部分には何の関係もない。チェコ語の100万を表す「ミリオン」と音が似ているから、借用されたに過ぎない。漢字の六書で言うところの仮借的な手法だからわかりやすい。自分では使わんけど。1000000Kč = 1 meloun。

 次は最初に聞いたときには思わず、「Děláš srandu(冗談だろ)」と言ってしまった「ピェトカ」。この言葉は「5」を数詞としてではなく、名詞として使うときの形である。例えば5番のトラムやバス、背番号5をつけた選手、ラグビーの5点取れるトライなどがこの言葉で表される。通知表の5も「ピェトカ」である。ただしチェコでは、一番いいのが1、つまり「イェドニチカ」で、5は一番悪い成績だけど。
 そんな「ピェトカ」が指すのは、なぜか10コルナである。それには歴史的な起源があり、1892年にそれまで使われていた通貨単位の「ズラトカ」に代わって、「コルナ」が導入された。そのとき、1対1ではなく、1ズラトカが2コルナになるという交換レートが適用された。新しい通貨に慣れない人々は、コルナの貨幣をズラトカに換算した金額で呼ぶようになったということらしい。つまり10コルナは5ズラトカだということで、「ピェトカ」と呼ばれるようになり、それが現在のチェコ語にまで生き残っているのである。当時は他にもいくつかのこの手の呼称があったらしいけれども、現在まで残っているのは「ピェトカ」だけである。ということで、「Dej mi pětku」と言われたら、5コルナではなく、10コルナあげなければならないのである。10Kč = Pětka(5)。

 では、5コルナは何と言うかというと、「ブーラ」である。ブーラと聞いて思い浮かぶのは、「ブラーク(ピーナツ)」とか「ブラーコベー・マースロ(ピーナツバター)」なので、サッカーの試合なんかで、「5点取ったら、ビールが1杯ブーラで飲める」というニュースを見て、なんでピーナツでビールが飲めるんだろうと不思議に思ったものだが、実際には5コルナだったのである。サッカーの試合で、5−0とか、0−5のスコアもブーラと言っていたような気もする。語源的なことを言うと、ドイツ語から入った言葉らしい。5Kč = bůra。

 ドイツ語から入った言葉と言えば、最近ジャガイモ、チェコ語で「ブランボリ」の語源を聞いてびっくりした。ドイツのブランデンブルクが語源になっているというのである。ブランデンブルクは、チェコ語で「ブラニボルスコ」となり、ブラニボルがブランボリになって、複数で「ブランボリ」と言われるようになったということのようだ。ブランボリの単数1格が、「ブランボル」なのか、「ブランボラ」なのかも、学習者にとっては悩みの種なのだけど、語源を考えると「ブランボル」の方が正しそうだ。歴史的には、ジャガイモがブランデンブルクからチェコに入ったという経緯があるのだろうか。日本語のジャガイモもジャカルタだしね。

 話を戻そう。最後の一つは、コルナの言い換えである。恐らく通貨記号のKčから、「kačka(カチカ)」という表現を使う。カチカは、本来鳥の鴨の類を表す言葉で、「kachna(カフナ)」とも言う。ただし、カフナをコルナの意味で使うことはない。現金がもらえるキャンペーンなんかのテレビコマーシャルで鴨や鴨のおもちゃが出てくるのにはそんな理由があったのである。1Kč = 1kačka。

 この手の俗語というものは自分では使わないのだけれども、知っておいて損はない。飲み屋かなんかで俺知ってるよというと喜んでもらえるかもしれないしさ。とうことで、長々と書き継いだ名詞の格変化の話はこれでお仕舞。
2017年11月20日23時。







プロフィール
olomoučanさんの画像
olomoučan
プロフィール


チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。