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2018年10月17日

上院議員選挙2018(十月十三日)



 先週も触れたが、十月の第一と第二の二回の週末を利用して上院議員の選挙が行なわれた。行われたのは全81選挙区のうち3分の1の27選挙区でオロモウツの入る選挙区では選挙は行なわれなかった。だから誰が立候補しているとか、あまり知らないのだけど、結果について云々しておく。

 先週の第一回の投票で当選が決まった選挙区は二つ。一つはキリスト教民主同盟の元フセティーン市長で現ズリーン地方知事のチュネク氏が君臨するフセティーン選挙区。市長時代にあれこれスキャンダルを起したこともあって全国的な人気はなく中央での評価も低いのだが、ズリーン地方では絶大な人気を誇っている。新興で地方組織が全国隅々まで万全とはいえないANOや海賊党など最初から候補者を立てなかったぐらいである。
 二つ目が、今年の一月の大統領選挙で第二回目の投票に進出し、予想以上にゼマン大統領を追い詰めたドラホシュ氏が当選を決めたプラハの第4選挙区。大統領選挙と同じく無所属での出馬だと思っていたら、キリスト教民主同盟、緑の党、市長連合、TOP09の4党の共同候補者として擁立されたようだ。ドラホシュ氏が大統領選挙で大健闘した理由の一つは、特定の政党のひも付きではない無所属の候補だったことにあるはずなので、今回政党の色が付いたことが、今後の政治活動にどう影響するか見ものである。

 残りの25の選挙区では第一回投票で決着が付かず、第二回投票が行われることになった。第一回投票は市町村議会選挙と同時に行われたおかげで、42パーセントほどの投票率だったが、第二回投票は単独で行われることもあって毎回投票率は異常に低く、今回も16パーセントちょっとで、最低だったオストラバの選挙区では9パーセントしかなかったのである。

 二回目の投票に進んだ候補者の数は、ANOが10、市民民主党が10と上位2党が拮抗したが、市民民主党主導の連立候補2人を入れると、第一回投票では市民民主党が勝者だったといってもよさそうである。しかもANOの候補で一位で進出したのが一人しかいなかったのに対して、市民民主党の候補の多くは一位、もしくは僅差の二位で二回目の投票に進出したのである。二回目の投票では反ANO勢力が結集する可能性があることも考えると、ANOは1議席獲得できれば御の字で市民民主党が最多の議席を獲得するのは確実という状況になっていた。かつては二回目の投票で反市民民主党の動きがあったことを考えると時代は変わったものである。
 二回目の投票の結果、勝者と呼ばれるのは予想通り市民民主党。二回戦に進んだ10の選挙区のうちの9選挙区で議席を獲得し、さらに市民民主党主導の連立候補も二人とも当選しているから、実質的には11議席獲得したことになる。改選前からすると5、ないし7議席増である。この結果を、市民民主党が一度失った有権者の支持を取り戻しつつあると考えるのは、投票率を考えるとまだまだ早いだろう。

 ANOも予想通りたったの1議席の獲得に終わっているが、大きく議席を減らして敗者とみなされているのが、6年前の改選で13という半数近い議席を獲得していた社会民主党で、今回は共産党の候補との戦いとなったカルビナー選挙区の1議席しか獲得できなかった。二回戦に進出した候補者は5人いたのだけどね。共産党はカルビナーで社会民主党に敗れた結果、ビロード革命以降では初めて上院の議席を完全に失った。
 新政党では、オカムラ党は議席を獲得どころか、二回戦に候補者を進めることさえできなかったが、海賊党はプラハで1議席獲得している。地域政党としては、オストラバの市議会選挙でANOに続いて第二党になって連立を組んだオストラバクという政治団体の候補者が、もちろんオストラバの選挙区で、ANOの候補を破って議席を獲得、より正確には前回獲得した議席を守っている。

 改選後の上院全体の勢力は、社会民主党が13議席、市民民主党からの当選が12議席だが、他の政党の協力を得て当選させた候補を入れると16議席で第一党となる。第二党になりそうなのは、キリスト教民主同盟の11+4=15議席で、緑の党と共同で当選させた議員がいることを考えると、こちらが上院の第一党になる可能性もある。市長連合は7議席だが、相乗りで当選した議員が何人かいるし、ここも第一党になる可能性があるらしい。慣例から言ってこの三つのうちのどこかの党から上院議長が選出されることになる。一部ではドラホシュ氏の名前も挙がっているのだが、どうだろうか。

 政権与党のANOは今回の1議席を加えて全7議席。社会民主党と合わせて、与党全体でたったの20議席ということになった。上院の選挙は、政党の人気よりも候補者の人気によって結果が左右されるところがあるから、無所属の議員や、地域政党、個人政党から出馬して当選する議員がかなりの数存在する。この政党に依存しすぎない姿が、上院の存在意義なのであろう。日本の参議院と同じで不要論が絶えないチェコの上院であるが、所属政党のしがらみのない無所属や地域政党所属の議員が今後も増えるようなら、存続させる意義はありそうだ。下院は、どうしても政党間の不毛な争いの場になりがちだから、不毛な争いに巻き込まれなければ上院の存在は貴重なものになる。

 プラハの選挙区からはドラホシュ氏以外に、プラハ第2選挙区でヒルシュル氏、第12選挙区でフィシェル氏という二人の大統領選挙で健闘した候補者が出馬し、第一回投票は40パーセント以上の得票で一位で通過し、第二回投票でも圧倒的な差で当選を決めている。ドラホシュ氏もそうだが、大統領選挙で獲得した知名度と人気を活用した結果だといえよう。問題は、この二人に、キリスト教民主同盟の会派入りのうわさがあることで、上院の存在意義を考えるとやめたほうがいいと思うんだけどね。今後の決断次第で、次の大統領選挙に出る気があるのかわかるかもしれない。大統領選挙で健闘できたのは、無所属で政党臭が全くしなかったからだろうし。

 なんてことを書いたのだけど、実は無所属の議員もどこかの会派に入らなければならないとかいう縛りがあるのかもしれない。その場合でも、大統領選挙で名をあげた三人が入るのは、次の大統領選挙のことを考えても、勢力の大きな政党の会派ではなく、無所属の議員が集まって作る会派であるべきだとは思う。
 あれ、また無駄に長くなってしまった。気になる選挙区の結果はまた明日。
2018年10月14日17時15分。








2018年10月16日

市町村議会選挙2018ブルノ(十月十二日)



 では、チェコ第二の都市、モラビアの首都とも言えるブルノはどうかというと、こちらも選挙後の市政府の連立交渉において、いろいろあって珍しくプラハ以上にニュースになっていた。ブルノの場合には、もう二十年も前から議論が始まっていながら、結論が出ないというか、市政の担当が代わるたびに方針も変わる中央駅の移転の問題を解決できるような市政府が成立するのだ望ましいのだろうが、選挙後の動きを見ている限り、難しいそうである。
 現在の中央駅は旧市街を出てすぐのところにあって便利なのだが、拡張の余地がないのが嫌われているのか、駅の跡地を再開発してぼろもうけを狙っている連中がいるのか、駅の移転の話がくすぶり続けている。そのため、チェコ鉄道も、そのあとを受けて鉄道網と駅舎の管理をするようになった国営企業も、駅の回収になかなか手を出せないでいた。すぐに移転で廃止することになる駅舎や、ホームに改修の資金を投じる意味はあまりないのである。その結果、ブルノの駅はモラビアの中心都市の玄関口にはふさわしくないほどに老朽化していた。

 さすがにこれ以上放置すると電車の安全な運行にも差しさわりが出るということだったのだろう。一昨年の夏だったかに大々的な改修工事を行ない、一時はブルノ行きの電車は中央駅ではなく、郊外の駅どまりで、そこから代替バスで中央駅まで乗客を運ぶということをやっていた。ブルノ発の電車も中央駅から郊外の駅まではバスだった。その情報が、チェコなので、十分に広報されておらず、大混乱を巻き起こしていたのは記憶に新しい。
 この改修工事で移転の問題にはけりがついたのかと思っていたら、そんなこともなく、以後も延々と時間とお金をかけて検討が続いているようだ。移転するにしても、しないにしても、とっとと結論を出してくれんかねというのが、よそ者の考えである。個人的には今の駅は、スチューデント・エージェンシーのバスターミナルにも近くて便利なので、移転はしないほうがいいと思う。

 さて、予断はさておき、選挙の結果である。ブルノもプラハと同様に、小さな政党、政治団体がたくさん候補者を立てている。その数は22、そのうち当選者を出したのは、6つの団体である。5つの政党がほぼ同じ数の議席を確保したプラハとは違い、ブルノでは上位2党と、下位4党の差が大きい。定数は55である。

 ANO 18
 市民民主党 14
 キリスト教民主同盟 8
 海賊党 6
 社会民主党 5
 オカムラ党 4

 この結果が出てすぐは、上位2党が連立を組むものと予想された。2党あわせて32議席だから、過半数を獲得しているし、2党だけであれば、しかも比較的政策の方向性の似ているANOと市民民主党だから、いくつもの党を集めて細かいところまで条件を刷り合わせていくのに比べたらはるかに楽なはずである。事実、開票結果が出た直後のインタビューでは、ANOの市長候補ボクシャール氏も、市民民主党のバニュコバー氏も前向きな発言をしていたのである。気になったのは、どちらの党からだったかは覚えていないが、他の党も与党に入れてさらに大きな連立与党にしたいという声が聞こえていたことである。後の展開を考えると、市民民主党だったのかなあ。

 それが、翌日になると、市民民主党の主導で、ANOを排除した市政府組織のための話し合いが始まり、現時点では市民民主党、キリスト教民主同盟、海賊党、社会民主党の4党で連立を組むことになりそうである。海賊党以外の3党は、現市長でもあるANOのボクシャール氏と連立を組むことで合意に達していたという情報もあって、ANO側からはひどい裏切りだという声が上がっている。
 このANOからの批判に、バニュコバー氏は、正式に交渉をした結果の合意ではないのだから、裏切りには当たらないと主張すると同時に、選挙の結果から有権者のANOに市政を任せたくないという意志を感じたと語っているのだけど、ANOが第一党になっていることを考えると、強弁としか言いようがない。ここもクラドノと同じで、なんとしても市長になりたいというバニュコバー氏の野望から出た挙じゃなかろうか。
 その後、交渉が完全にまとまって、バニュコバー氏が市長になることが決まったというニュースが流れてこないのは、今回の裏切りで、他の党が市民民主党を、市民民主党のバニュコバー氏を信用し切れていないからではないかと思う。ANOが海賊党に協力の要請をしたという話もあって、このまますんなり4党連立で決まりというわけには行かないようである。

 ブルノ市政とは関係ないが、気になるのは、ANOのボクシャール氏が、ANOを左派政党として位置づけるような発言を繰り返していることで、中央でバビシュ氏がANOは左派政党ではないと強く主張しているのと対象的である。組織が大きくなり、地方組織も拡充されてきた結果、プラハの件もそうだが、中央と地方の齟齬が見え始めたと考えてもいいのだろうか。ANO自体に問題ありだったとしても、他党の様子を見ていると、しばらくはANOが第一党の時代が続きそうである。新しさで唯一対抗できそうな海賊党は、都市部だけでなく田舎にまで理解を広げるにはもう少し時間がかかりそうだし。
2018年10月14日14時10分。








2018年10月15日

市町村議会選挙2018プラハ(十月十一日)



 チェコでは最も人口の多いプラハの市議会選挙には、約30の団体が立候補している。この数は他の年と比べると圧倒的に多いのだが、他の都市とは違って、同時に前回の選挙とも違って、今回のプラハの市議会選挙はなんとも奇妙な結果になった。上位五つの団体しか議席を獲得することができず、それぞれの党が獲得した議席も12から14でほぼ同じだったのである。

 プラハの状況を簡単に説明しておくと、かつては市民民主党の牙城ともいうべき町で、特に悪い意味で市民民主党の政治家の典型であったベーム氏が中心になって市政を壟断してきた。市民民主党が退潮に入ると、シュバルツェンベルク氏を擁して都会人の人気を集めることに成功した新政党TOP09がプラハで一番多くの票を獲得することに成功する。これは市議会選挙ではなく、下院の選挙だったかな。
 そして、TOP09が一見新しいけれども中身はキリスト教民主同盟から分かれた古い政治家の集まりでしかないことが明らかになると、2011年に誕生したANOが当初は中道右よりの有権者を狙って選挙運動を展開したこともあって、前回の市議会選挙では、第一党になり市長を輩出したのである。その後もいくつかの選挙でプラハでの第一党の座をANOとTOP09で争ってきている。

 前回の選挙でANOが擁立した女性市長のクルナーチョバー氏が、緑の党が入っている三党連合(緑の党、キリスト教民主同盟、市長連合)を与党に迎え入れて連立を組むという失策を犯したせいもあって、市政に様々な混乱を引き起こしており、戦前の予想ではANOが勝つことはないだろうと予想されていた。本命だったのは国政でも予想外のまともさを発揮している海賊党である。
 ふたを開けてみると、上位五党は大接戦で、一位の市民民主党からANOまで、得票率で2パーセントちょっとの差の中に納まっていた。全65議席の各党の獲得議席は以下のとおり。ソースはここ

 市民民主党 14
 海賊党 13
 プラハ・ソビェ 13
 プラハのための協力 13
 ANO 12

 6位に入ったオカムラ党は得票率約3.5パーセントで議席を獲得できなかった。ANOが15パーセント超だから、5位と6位の差は滅茶苦茶大きかったのである。大事なのはこの5党に票が集まった結果、伝統的に議席を有してきた社会民主党と共産党が議席を失ったことである。また、市政に混乱しかもたらさなかった緑の党が、前回の三党連合が解消され単独で候補者を立てた結果、議席を失ったのは、プラハにとっては喜ぶべきことであろう。
 議席を獲得した五つのうち、二つプラハの地域政党があるように見えるが騙されてはいけない。4位に入ったいかにもな団体は、実はTOP09と市長連合にキリスト教民主同盟などの団体が加わってできた連合なのである。クラドノの場合と同じで党名隠しなのではないかと疑っている。それに対して、プラハ・ソビェのほうは、プラハの各区の区政で活躍し実績を上げた人たちが集まって結成した政治団体だと、選挙速報で政治学者が語っていた。こちらの方が期待できるかな。

 簡単に言えば、五つの政党が5分の1ずつ議席を獲得したわけだから、与党として市政府を組織するためには3党の連合が必要になる。ここまで差が小さいと、市民民主党が第一党だから市長を出すべきだという話にはならないようで、真ん中の三つ、いずれも13議席を獲得した団体が、市民民主党とANOを排除する形で連立を組む交渉をしているようである。
 この状況に対して、ANO党首のバビシュ氏は、ANOのプラハ支部の連中があれこれやらかした結果がこの選挙で第一党の座を失うことにつながったのだから、今回はANOは与党には加わらないで、野党となるべきではないかと少し突き放したコメントを残していた。バビシュ氏は選挙期間中に、選挙の顔、選挙後の市長候補を交代させたとも言うから、プラハ支部に不満を持っているのかもしれない。

 市民民主党のほうは、せっかく勝ったのだから、市長の座を奪還したいということで、あちこちに交渉の声をかけているようだが、ここも野党に回るのは、現時点ではほぼ確実である。かつての市政の乱脈の責任を取るという意味でも、しばらく野党で、市政府に不満な人たちの支持を集めるのに撤した方が、今後のためにはいいかな。
 では、三つの党の交渉がすんなり進んでいるかというと、そんなこともなく、特に誰を市長として擁立するかでもめているようである。普通に考えれば、得票率の一番高かった海賊党の市長候補フジープ氏なのだが、プラハ・ソビェのチジンスキー氏が反対しているのかな。この人、元キリスト教民主同盟の党員で、下院議員の選挙に立候補して当選し、下院議員を務めている上に、プラハ7区の区長も務めているというから、三つ目の職として市長を狙っているのかもしれない。
 一見、これまでの国政の穢れに巻き込まれていない人たちの集まりに見えるプラハ・ソビェでさえこうなのだから、チェコの政治家というのは、何とかと一緒で一日やったら辞められないってやつなのかねえ。プラハ嫌いとしては、プラハの市政が混乱するのは、見ものとして楽しめるから、しばらく決着の付かない政治劇場を見せてもらいたいものである。
2018年10月13日14時50分。



 



2018年10月14日

市町村議会選挙2018クラドノ(十月十日)



 この前も書いたが、市町村議会選挙の結果で最も重視されるのはプラハや、ブルノなどの大都市である。しかし今回、選挙結果、というよりは、その後の市政府の連立交渉でプラハ以上に注目を集めてしまったのが中央ボヘミア地方の、プラハからちょっと西に行ったところにあるクラドノである。クラドノは炭鉱の町として有名だが、日本人にはアイスホッケーのヤロミール・ヤーグルの出身地としてのほうがよく知られているかもしれない。映画好きだと「つながれたヒバリ」の舞台になった町として知っているかな。
 とまれ、この町の議会の選挙結果は以下の通り。議員定数は33人。

 クラドノのための選択 13
 市民民主党 7
 クラドノ人たち 5
 ANO 4
 共産党 2
 オカムラ党 2

 第一党になった「クラドノのための選択」と第三党の「クラドノ人たち」の二つのグループは、一見地元の政党とは関係のない人たちが組織した地域政党のように見えるが、話はそんなに簡単ではない。選挙結果を見ると、キリスト教民主同盟、TOP09、市長連合の名前が存在しないから、プラハ(後述)と同じように、どちらかのグループは、この三党の連合体である可能性がある。既存の政党が忌避されている傾向に気づいて党名隠しに走ったと考えるのは穿ちすぎだろうか。海賊党もないからこれもどちらかに加わっている可能性が高い。

 さて、この結果から考えると、第一党の名簿第一位であるボルフ氏が市長となり、他の政党と連立して市政府を構成することになるのが普通なのだが、ここクラドノでは、第二党の市民民主党が主導して、クラドノのための選択を排除した連立が成立した。第一党が連立から除外されるのは珍しいことではないのだけれども、クラドノの場合には、連立を組んだ相手が、正確には相手の一つが、物議を醸した。
 市民民主党は、クラドノ人たち、ANOに加えて、オカムラ党とも連立することにしたのである。市民民主党とクラドノ人たち、ANOの三党の合計議席数は16で、過半数にぎりぎりで届いていない。そこでオカムラ党の2議席を加えて過半数を獲得することにしたようだ。これに対しては市民民主党の中央の党指導部から強く批判されていた。

 クラドノの市民民主党の市長候補のイラーネク氏は、党籍を離脱することで党首の批判に答えるとともに、共産党とオカムラ党のどちらかを選ばなければならず、比較的ましなほうとの連立を選んだに過ぎないと釈明していた。そこまでして市長になりたかったのかと言うべきなのか、そこまでしてクラドノのための選択から市長が出るのを阻止したかったのかと言うべきなのかはわからない。また、中央の政治と違って地方の政治では所属政党の主義主張の違いを超えた関係があるのだから、それを知らない中央の指導者にあれこれ言われても困るみたいなことも言っていたかな。
 クラドノのための選択の市長候補のボルフ氏はANOとの連立を考えていたと発言しているから、市民民主党としては市政府で野党に落ちるのを嫌がっての挙だったのかもしれない。とまれ、中央主導で地方組織の問題のありすぎるボス政治家を排除することで、解党寸前まで落ち込んだ党勢を盛り返してきた市民民主党の指導部にとっては困った事態である。

 オカムラ党はプラハやプラハ周辺では、それほど支持を伸ばせていないのだが、中央ボヘミア地方では唯一クラドノでだけ議席を獲得できたらしい。それはクラドノという町の特殊性なのか、クラドノのオカムラ党の党員が、比較的穏当で有能であることを知られていたからなのか(本当に有能かどうかは知らない)。オカムラ党はほかの町では連立与党に加われないだろうから、クラドノがオカムラ党が地方政治で使えるかどうかの唯一の試験場だということになる。
 かつて、同じように心配されていた海賊党が、地方政治の舞台で予想をはるかに超えて使えることを見せ付けた結果、国政選挙でも躍進を遂げたのと同じ道を行けるのか、緑の党のように国政と同様に地方政治にも混乱をもたらすだけにおわって将来議席を失うことになるのか、ここが分かれ道である。後者になる可能性が高いとは思うけれども、市民民主党が共産党ではなくオカムラ党を選んだことを考えるとクラドノではうまくやるかもしれない。中央の党首がその地方の努力と成果をぶち壊すというシナリオもありそうである。

 あれ、何でクラドノなんて行ったこともなければ、関心もない町についての話でこんなに長くなってしまったんだろう。仕方がないのでここでおしまいにして、次はプラハとブルノの話である。
2018年10月12日17時15分。







2018年10月12日

チェコ語の選挙――市町村議会選挙(十月八日)



 金曜日から土曜日にかけて全国の市町村で行なわれた議会の選挙は、前回と前々回紹介した二つの選挙を混ぜ合わせたような複雑な方式になっている。複雑すぎてニュースなどの説明では理解しきれないので、以下の文章には多分に推測の部分も含まれる。チェコは永住許可を取った外国人であれば、市町村議会の選挙なら参政権が得られるらしいから、登録して次の選挙のときに確認しようかと思ってしまうくらいである。
 この選挙も、原則として政党、もしくは政治グループ単位で候補者名簿を作って立候補する。田舎の小さい町などの場合には、政党に関係する人が少ないので、考えが近い人たちでグループを作って独自の候補者名簿を作ったり、無所属候補だけの名簿を作成したりするようである。さらに小さいところだと、定員ぎりぎりの候補者しか出ず、統一名簿で実質的に信任投票のようなものになるところもあるし、借金漬けの自治体の中には、候補者が出ずに選挙が成立せず、内務省の派遣する役人が町長代理をするところもあるらしい。そんな町では予算の執行などに問題が発生するとかニュースで言っていたのを思い出す。

 人口が少なく候補者も少ない小さな町はともかく、プラハやブルノなどの大都市で初めて市議会選挙に臨む有権者は、投票用紙を見て驚くに違いない。下院の選挙でもすべての党、グループの候補者名簿が渡されたが、あちらが政党別に一枚の紙になっているのに対して、こちらの選挙ではすべての名簿が一枚の紙に印刷されているのである。印刷するのも、それを折りたたんで投票用の封筒に入るサイズにするのにも、かなり手間がかかっていそうである。
 一枚の紙に印刷されている理由は簡単で、有権者が政党、グループの枠を超えて投票する相手を選べるからである。市町村議会の選挙は、政党単位で候補者名簿は作成するけれども、政党に投票しなければならないというわけではない。政党に投票することもできるし、個人に投票することもでき、さらにはこの二つの方法を組み合わせることもできるのである。

 これだけだとわかりにくいだろうから具体的に説明をすると、投票用紙の一番上には、議員の定数が印刷されている。その下には政党、グループの名称が記され、その前に四角い箱がある。政党に投票したい場合には、この四角に×印を書く。そうすると、政党名の下に並んでいる候補者全員に1票投じたことになるらしい。これが一番簡単な投票のしかたで、これから考えると、名簿に載せる候補者の数は原則として議員定数と同じになっているのだろう。

 二つ目の方法は、各政党名の下に並んでいる候補者名簿の中から、政党の枠を超えて投票したい人の名前の前にある四角に×印を入れる方法である。印をつけた人たちに一票ずつ入るようである。ただし、この方法を選んだ場合には、×印の数が投票用紙の上に印された定数を越えないように注意しなければならない。少ない分には有効票になるようだが、一つでも多く印をつけると無効票になるらしい。候補者数も定員も少ない小さな町や村なら簡単だろうが、大きな町だと、数を確認しながら印をつけていくのは大変そうで、無効票が増えそうである。

 そこで、なのかどうかはわからないが、三つ目の方法が存在する。それは二つの組み合わせで、まず特に支持したい政党に印をつけた後、他の政党の候補者の中から自分が票を入れたい人を選んで印をつけるというほうほうである。この場合、印をつけた他の政党の候補者の数と、最初に選んだ政党候補者の数が合わせて議員定数になるように、政党の名簿の上から順番に必要人数分票が与えられる。つまり定数が30で、他の政党の候補者14人に印をつけた場合、選んだ政党の名簿の上位16人に票を入れたことになるのである。
 これ、有権者の投票も大変だけど、開票と集計はさらに大変なことになりそうである。恐らくは最初の政党を選ぶ投票方式を選ぶ人が多いから何とか成り立っているのではないだろうか。

 さらによくわからないのが議席の配分のしかたで、個々の候補者が獲得した票の数に基づいて、順位を付けて上から定数分が当選になるのではないようなのである。どうもまず得票率によって各政党の獲得議席数が配分され、そのあと個々の名簿内で獲得票の多い順に当選という制度になっているようである。いや、この時点で、個人の獲得票数が絶対なのか、名簿の順位が基準で個人票によって順位が上下した後の順位で決まるのかはよくわからない。
 今回の選挙で、フセティーン市議会にキリスト教民主同盟の名簿最下位で立候補したらしいチュネク氏は、元市長でこの地域では絶大の人気を誇るのだが、当選できなかったというから、名簿順が優先されるのかなあ。違うかなあ。ちなみにチュネク氏はフセティーンを中心とする選挙区で上院議員選挙にも立候補しており、こちらは一回目の選挙で50パーセントを越える票を獲得して早々と当選を決めている。それに加えてフセティーンが属するズリーン地方の知事も務めているのだから何というかかんというか。

 この市町村議会選挙を簡単にまとめると、候補者名簿を使った比例代表式と個人投票方式のよく言えばハイブリッド方式で、有権者は議員定数の数だけ、票を有しており、最大で定数と同じ数まで候補者を選ぶことができる。簡単にもなっていければ、まとまってもいないのは制度がややこしすぎるせいである。チェコテレビでは、すべての市町村議会選挙における票を集計してだした全国の政党別の得票率を出していたけれども、あれなんてどうやって計算するのだろうか。一人=一票になるように、個人になされた投票は、定員数で割った少数にして政党の得票にしているのかなあ。
 日本人の目にはややこしいだけで、全くいいところのない選挙のやり方に見えるのだが、返ることなく続けているということはどこかにいいところもあるのだろう。他の選挙においても、実際に投票には使用しないのに候補者や、候補を立てた政党に抽選で番号を割り振る理由とか、チェコの選挙にはよくわからないことが多い。一つ言えるのは、投票用紙に政党名、候補者の名前が印刷されているので、チェコの有権者は投票に際して、文字を書く必要はないということである。チェコの有権者はそこまで配慮しなくてもいいと思うけどねえ。

 プラハでは市議会選挙に加えて、区会議員の選挙も同じ方式で行なわれ、一部の地区では上院議員の選挙も行なわれたため、下院の選挙や大統領選挙のときよりも開票作業に時間がかかっていたようで、開票速報では、上院の選挙のプラハの選挙区だけなかなか最初の数字が出てこなかった。一番長くかかったところで午前三時過ぎまでかかったとか言っていたかな。
 ということで次は結果の紹介である。
2018年10月10日20時30分。







2018年10月11日

チェコ語の選挙――復習編2(十月七日)



 次の選挙は、昨年の秋に行われた下院議員の選挙である。こちらは完全比例代表制で、チェコ全土を13に区分した行政単位であるクライと首都のプラハ、合わせて14の選挙区に分けられている。選挙区ごとの定員は一定ではなく、人口、恐らくより正確には有権者の数に基づいて分配されている。一票の格差とかいう考えのもとに定期的に修正されているのかどうかは知らないが、昨年の選挙の際の定数は、次のようになっている。

  プラハ           24
  中央ボヘミア        26
  南ボヘミア         13
  プルゼニュ地方       11
  カルロビ・バリ地方     5
  ウースティー地方      13
  リベレツ地方        8
  フラデツ・クラーロベー地方 11
  パルドゥビツェ地方     10
  ビソチナ地方        10
  南モラビア         23
  オロモウツ地方       12
  ズリーン地方        12
  モラビアシレジア地方    22


 かなり選挙区間の定数には(つまりは人口にも)差が多く、カルロビ・バリ地方など隣接するプルゼニュ地方と一つにしてしまってもいいのではないかと思わなくもないのだが、歴史的な経緯とか、主要都市のプライドなんかを考えると、単純に人口に基づいて地方区分するというわけにもいかないのだろうか。プラハから電車で一時間ほど東に行ったパルドゥビツェと、その北にほぼ隣接するフラデツ・クラーロベーの場合にも、それぞれ別の地方を構成しているのは、同じ地方に入れた場合にどちらを地方庁の所在都市として選ぶかが問題になるからだと考えられそうである。
 とまれ、各政党は選挙区ごとに候補者名簿を作成し、有権者は支持する政党を選んで投票する。政党に所属しない候補者も立候補できなくはないが、どこかの政党と交渉して名簿に入れてもらうしかない。名簿に載せる候補者数には特に規定はないようだが、恐らくは選挙区の議員定数を越えないようにはしているはずである。

 票の集計は各選挙区ごとに行い、議席の配分を行っていくのだが、政党が議席を獲得するためには得票率5パーセントの壁を越えなければならない。ただし、この5パーセントの壁は、個々の選挙区ではなく、チェコ全土で合計5パーセントを越えなければならないのである。これが達成できれば、滅多にないことだが、選挙区での得票率で5パーセントを下回っても議席を獲得することがある。その反面、選挙区で5パーセント以上の票を獲得しても、全国で5パーセントを越えなかったら、議席を獲得することはできない。これが下院の選挙で地域政党が議席を獲得できない原因で、無所属の候補者だけで独自の候補者名簿を作成するのが難しい理由である。
 政党が議席を獲得することが決まった後の政党内での議席の配分は、原則として名簿の上位から順番に当選が決まっていく。原則としてというのは、例外が存在するからなのだが、候補者は個人票を集めることで名簿内の順位を上げていくことができるのである。実際に何票で順位が上がるとか細かいルールは知らないが、名簿の最下位に記載されていた候補者が順位を上げて当選したとか、上位に名前があったのに、順位を下げて落選したとかいう話はいくらでもある。

 政党に投票する比例代表職の選挙で個人票とは何ぞやという疑問は正しい。チェコの投票用紙は日本人の目から見ると紙の無駄の極致で、有権者は投票に際してその選挙区で候補者を立てている政党の数だけ投票用紙をもらう。それぞれの紙には一つの政党の候補者名簿が印刷されているから、自分の投票したい政党の候補者名簿の印刷された紙を投票箱に入れて(その前に封筒に入れる必要もある)、残りは廃棄することになる。その選んだ政党の候補者名簿の中で特に支援したい人がいる場合には、その人の名前に印を付けることができるのである。もちろん数に制限はあって3か、5つだったと思う。
 だから、開票にあたっては、まず投票用紙の数で政党の得票数が確定し、政党の獲得議席数も決まる。そして、個々の投票用紙の印の数を数えて集計し、個々の候補者の獲得した個人票を確定させる。それに基づいて、名簿内の順位の変動が行われ、誰が議席を獲得したかも決まるのである。ここで強調しておく必要があるのは、個人票を入れることができるのは、自分の選んだ政党の候補者名簿に記載されている候補者だけで、他党の候補者には入れられないということである。

 この下院の選挙とほぼ同じ方式、同じ選挙区の区分で行われるのが、それぞれの地方議会の選挙である。地方議会の選挙には、下院の選挙区にはあったプラハは含まれないので、全13の地方で行われる。それぞれの地方をさらに分割して選挙区を立てるようなことはせず、地方全体で一つの選挙区になっている。
 下院の選挙との違いとしては、全国で5パーセント以上という縛りがなく、それぞれの地方で5パーセント以上の得票があれば議席を獲得することができようになっている点である。そのため、地域政党が議席を獲得する余地は大きく、中央の連立とは関係なく、その地方の事情に合わせていくつかの政党が合同で候補者名簿を作成することもある。
 例えば、リベレツ地方では、2012年、2016年の地方選挙でリベレツ地方のための市長連合が勝ち、最大与党として地方知事を輩出している。この市長連合と、全国政党と化しつつある市長連合の関係はいまいちよくわからない。理解できないことに、市長連合という名の通り、この党(両方とも)から立候補するのは、ほぼみんな現役の市町村長である。こういうのは兼職はよくないと思うのだが、チェコでは何の問題もなく、市長兼地方知事とか、地方知事兼上院議員とかがいくらでも存在するし、国家公務員も、特殊な職を除けば政党に加入して現職のまま選挙に立候補することが許されている。チェコという国は、政治家と官僚に甘い国なのである。

 ということで、下院と地方議会の選挙は、政党主導で比例代表制で行われることを覚えておこう、ただし、個人への票も存在するが、それは選んだ政党の中からしか選べない。前回と今回で二つのタイプのチェコの選挙を復習したが、それを踏まえて、次回は今週末に行われた市町村議会の選挙についての説明に入る。
2018年10月9日18時。









2018年10月10日

チェコ語の選挙――復習編(十月六日)



 今週末、正確には金曜の午後二時から、土曜の午後二時にかけて、チェコ全土で選挙が行なわれた。今回は統一市町村議会選挙と、三分の一の選挙区で行われた上院議員の選挙である。統一地方選挙でないのは、何々地方(チェコ語でクライ)議会の選挙は今回行われないからである。市町村も含めたこの手の地方議会の選挙は、それぞれの地方公共団体の必要に応じて行うものだと思っていたのだが、日本よりもはるかに中央集権的なチェコでは、地方議会の選挙も国営で、市町村議会の選挙はすべて同一の日程で行われ、議員の任期は4年になっている。任期中様々な事情で再選挙が行なわれることもあるが、その場合は新たに4年の任期が認められるのではなく、次の選挙までの残りの任期を務めることになる。
 そして、今回初めて詳しく知った市町村議会選挙のやり方だけれども、複雑怪奇なものだった。誰がこんなややこしい制度を考え出したのだろうと言いたくなるようなもので、チェコの選挙制度というのは、有権者にとっても、観察者にとっても全く優しくないのである。他の選挙と比べたほうが、ややこしさがわかりやすくなるだろうから、ここまで取り上げた選挙について復習してから、本題に入ることにする。一部過去の記事と重複しそうだけど、まとめということで。

 今年の一月にも行われた、大統領選挙は、有権者による直接投票で、第一回目の投票での上位二名だけが第二回投票に進むという二回戦制。一回目の二回目の投票の間は、二週間取られている。ただし、一回目の投票で過半数、総投票数の50パーセント以上票を獲得した候補者がいた場合には、その時点で当選が確定し、二回目の投票は行われないことになっている。
 立候補は政党には依存せず、条件さえ満たせば、政党員でなくても、政党に推薦されなくても、誰でも立候補できる。条件は、有権者の署名を一定数以上集めるか、国会議員の推薦を一定数以上集めるかというもの。投票の際は、有権者は投票用紙に印刷されている候補者の名前のうち、投票したい人の名前の前に印を付けるんだったかな。もちろん一人一票なので、印をつけられるのは一人一つだけである。

 この大統領選挙に関しては、2013年に行われたのが最初の直接選挙による大統領選挙だったことは書いておかねばならない。それまでは国会に於いて下院と上院の議員によって選挙が行われていたのである。だからゼマン大統領はチェコで最初の直接選挙で選出された大統領ということになる。以前の二人、ハベル大統領とクラウス大統領について考えると、ハベル大統領が直接選挙でも当選していただろうことは疑問の余地もないけど、クラウス大統領の場合には、一期目の2003年の選挙は、ゼマン大統領とか、元上院議長のピトハルト氏とか出ていたから、直接選挙だったら、結構危なかったんじゃないかという気もする。2008年のほうは魅力的な候補者がいなかったから、直接選挙でもクラウス大統領だっただろうけどさ。

 それで、この大統領選挙に一番制度が似ているのが、今回市町村長選挙の傍らで、チェコ国内の三分の一で行われた上院議員の選挙である。こちらも二回戦制で、一回目の上位二名が二回目に進出し、一回目で過半数を獲得した候補者が出た場合には、二回目は行われない。一回目と二回目の間は一週間しかない。
 候補者は、政党の推薦を受けることも可能だし、政党が党員を擁立することも可能で、そういう議員が多いのは確かだが、個人が無所属で立候補することも可能である。その場合に、地元の地域の政党というか政治グループと組んで、そこの推薦ということにすることも多いようだけど。有権者の投票のやり方も大統領選挙と同じで、候補者のリストの中から一人選んで印をつけるというのもののはずである。

 言ってみれば、この二つが、チェコの選挙方式のうち一つのグループをなしていて、政党ではなく個々の政治家に投票するタイプの選挙である。だから、政党内で活動したという前歴よりも知名度が重要になる。その意味で今年の一月の大統領選挙で、現役の総理大臣で抜群の知名度を誇るゼマン氏に挑んだ無名の候補者達の健闘は賞賛されていい。前回はシュバルツェンベルク氏という知名度ではゼマン大統領に匹敵する人物が挑戦したのに、勝てなかったわけだから。

 その今年の一月の大統領選挙で全国的に知名度を上げた候補者の一部が、今回の上院議員選挙にも出馬していた。大統領選挙で決選投票に進んだドラホシュ氏は、一回目で50超の票を集めて当選を決め、無名ながら健闘したヒルシュル氏とフィシェル氏は、どちらも40パーセントを超える得票で、二回目の決選投票に一位で進出している。大統領選挙前の選挙運動、テレビの討論番組などで上げた知名度を十分に生かした結果だと言える。いずれもプラハの選挙区からの出馬で、プラハでは反ゼマン感情が高いことを考えると、第二回投票ではドラホシュ氏の元に集まって協力した三人が当選、もしくは一位で勝ち抜けたというのもあまり不思議ではない。
 これが、次の大統領選挙に向けた布石なのだとしたら、人気を獲得しやすく失いやすいプラハの選挙区からではなく、モラビアの田舎の選挙区から出た方がよかったのではないかと思う。プラハでの知名度と人気は大統領選挙で稼いだのだから、次はモラビアの田舎で稼ぐ番のはずなのだけど、無意識にプラハ中心主義に毒されているのだろう。プラハを押さえれば勝てるというね。もちろん、大統領選挙には出ないで上院議員の任期を全うしてその後も継続するという可能性もあるのだけど。

 もう一つの、この二回戦制選挙の特徴としては、一回目で落選した候補たち、その候補を立てた政党が団結してある政党に反対する連合みたいなものを組むことがあるというのが挙げられる。二年前の上院の選挙では、チェコ全体で反ANO連合が組まれた結果、一回目の投票に勝利し最多の候補者を二回目に送り込んだANOの獲得した議席は驚くほど少なかったのである。以前の市民民主党が強かった時代は、反市民民主党の連合が組まれたこともあるらしい。今回の選挙で、一番多くの候補が二回目に進出したのは市民民主党だが、今回も反市民民主党ではなく、反ANOの勢力が協力することが予想されている。
 その結果、上院代位等となる可能性があるのは。キリスト教民主同盟と、市民民主党ということになる。上院の議長は議員数が一番多い政党から出ることになっているから、キリスト教民主同盟が上院第一党になった場合には、党員ではないけれどもドラホシュ氏を議長の座にすえるのではないかと言われている。さてさてどうなることやらである。詳しくは二回目の投票の後で。
 次回は下院と地方議会選挙の話である。
2018年10月8日23時55分。










2018年09月24日

孤児受け入れその後(九月廿二日)



 シリアの難民キャンプの孤児を50人チェコに受け入れようと提案したEU議会議員は、提案を間接的に聞いたバビシュ首相が否定的なコメントをしたのに対して、首相夫人や大統領夫人と交渉したいと言い出した。これは、チェコではハベル大統領の時代からの伝統で、大統領夫人は慈善活動に積極的にかかわることが多いからであろう。話を持ちかけられた二人は即座に拒否していたし、バビシュ氏は批判するコメントを残していた。
 問題は、このやり取りがメディアを通じてなされたこと、少なくともそのような印象を与えることで、計画の実現よりも、話題になることを優先しているようにも見えた。しかも、孤児を五十人というだけで、具体的なことは何も考えていないようだったのもひどかった。根拠としてイギリスなどで同様の孤児の受け入れ計画が進んでいるというのを挙げていたが、政治家主導のプログラムなのだろうか。

 この件は、バビシュ首相が断固として拒絶したことで終わったものだと思っていたら、金曜日になって、首相が民間団体にシリアの難民キャンプにいる孤児の中から50人を選別するように要請したというニュースが入ってきた。EU議員の繰り広げたキャンペーンに負けて受け入れることにしたということだろうか。朝令暮改というか、昨日のあの発言は何だったんだというのはバビシュ氏には珍しくないけれども、この決定はらしくない。
 それが、ニュースを見たら完全な勘違いだったことがわかった。まず、件のキリスト教民主同盟のEU議会議員がバビシュ首相と孤児の受け入れを巡って会談をした。議員はその会談の結果を記者たちに発表し、これで孤児受け入れにめどがたったとか何とか、自分のせいかを誇るような発言をしたらしい。その後、バビシュ氏が民間の難民支援団体に支持を出したという話が広がって、受け入れることになりそうだという憶測が広がった。

 これに対してバビシュ氏は記者会見で、選ばれた50人の孤児たちはチェコに受け入れるのではなく、あくまで難民キャンプで支援するのだと語った。何がしたいのかよくわからないのだが、どうも選ばれた子供たちを国際的にはチェコ政府の庇護下に置くとか言う話で、それによって子供たちを守るというのか、子供たちに特別の援助を与えるというのか、意味不明である。それにチェコの難民キャンプ支援ではよくあるのだが、学校をEUの資金で建設しようとも言っていた。
 子供たちに教育の機会を与えるために学校をというのも、現在のシリアの状況に大きな責任を追うべきEUの負担でチェコが立てるというのも悪くない。ただ、最初のチェコによって救済されるはずだった50人の孤児たちはどうなるのだろう。他の子供たちと一緒にチェコ政府が建てる学校に通わせるのか。特別扱いをするのか。
 孤児を救済するという目的があるのなら、現状でどのような状況にあるのか確認した上で支援の内容を考えるべきであろう。孤児院のような施設があって子供たちの面倒を見ているのなら、孤児院に対して支援をし、どこかの家族に居候して面倒を見てもらっていたり、周りの人たちが共同で面倒を見ていたりするのなら、孤児院のような施設を準備するなり、孤児の面倒を見ている人たちに支援をしたほうがよかろう。

 それから、チェコに庇護された孤児たちが、他の多くの孤児、子供たちと一緒に同じ学校に通うことになった場合に、特別扱いされていることを理由にいじめにあったりしないかなんてことも考えてしまう。仮定の仮定になるけれども、孤児の面倒を見ている人たちに援助を与えた場合も、援助をもらえない人たちのやっかみ、特にチェコ政府に選ばれなかった孤児の面倒を見ている人たちのやっかみを受けることになって、ただでさえいいとは言えない難民キャンプの雰囲気悪化につながり、孤児たちの生活も悪化しかねない。すべては仮定でしかないけど。
 ただそう考えると、支援する孤児たちをチェコに連れてくるというのは、隔離するという意味では悪くない。民間団体が主導して、政府が許可を与える形だったらもろ手を挙げて賛成なのだけど、政府主導というのはどうなのだろうか。地方議会と上院議員の選挙を前に、孤児の問題を政治問題化使用としているところがあるのもなんだかなあである。
 例えば、キリスト教民主同盟の所属議員たちが議院報酬の一部を拠出してシリア難民の孤児を救済する基金でも設立して、現地の難民キャンプで孤児の実態を調査し、保護する孤児にある程度めどをつけ、チェコ側でも引き取って育ててくれる里親にもめどをつけた上で、政府側との交渉を行っていれば、積極的な支援は無理でも、孤児たちの入国許可を出すぐらいのことはしたのではないかとも思う。チェコで孤児院に入れるというのでは、連れて来る意味はあまりないからどこかの家庭で養育してもらう必要があるはずだ。

 シリア難民の中にはチェコ人が考えるような孤児はいないという発言をしている人も、シリアの法律では外国人がシリア人の子供を養子にとることはできないことになっているから、下手に養子縁組などすると将来問題になるかもしれないなんてことを言うシリアの人もニュースに出てきたから、ちゃんと調べて準備していたら提案に至らなかった可能性もある。
 いずれにしても、EU議会議員の提案は拙速というか、調査不足というか、単なる思い付きだったんじゃないかという批判は免れまい。その一方でバビシュ首相の発言も具体性のないもので口からでまかせじゃないかといいたくなるものだから、どっちもどっちというか、目くそ鼻くそというか。このままうやむやのまま孤児の受け入れは実行されずに終わるのではないかとみている。
2018年9月23日22時55分。








2018年09月20日

難民孤児受け入れ問題(九月十七日)



 最近、チェコの政界を賑わせているニュースの一つは、キリスト教民主同盟のEU議会議員の、チェコでシリア難民の孤児を50人受け入れて、難民問題の解決に協力しようという姿勢を見せたほうがいいのではないかという提案と、それに対する政治家たちの反応である。実現の可能性はともかく、政治的にはうまいところを突いた提案である。

 国外の難民や困窮している人たちを、呼びよせて国の予算で救済するとなると、国内にも困窮している人がいて、そういう人たちには支援の手が伸びないのに、どうして外国人を国が救済する必要があるのかなどという反論が出てくるのは予想に難くない。現在の地球上の国家の多くが国民国家という形態をとっている以上、この反論にも理はなくはないのだが、こんなことを言う人たちの多くは、実際には国内の困窮者に対しても冷淡で支援などするはずがないから、反論のための反論に過ぎない。
 逆に、国内の困窮者には全く冷淡なのに、外国人への支援を熱心に訴える人もどうかと思うけれども、これは外国での出来事はしょせん他人事で、同情して支援を訴えておけば国際貢献している気分になれるという面もあるだろうか。もちろん本気で支援を訴える人もいるだろうけど、そんな人たちは国内で困窮している人たちに対して冷淡だということはあるまい。

 難民受け入れに関して、もう少し考えられた反論は、チェコに適応しようとしない難民を受け入れたら、それが社会的混乱を巻き起こすことにつながるというもので、国家の安全保障上の観点からの反論ということになる。これはヨーロッパ各地で、難民や元難民によるテロ事件が起こっている現在、一定の説得力を持つ。特に右翼というわけではなくてもこの反論に賛成する人はいるだろうし、かつては難民受け入れに賛成だった人々の中にも、ドイツやフランスで起こったテロを受けて反対に回った人もいるだろう。
 今回の受け入れの提案がうまいなあと思うのは、孤児を対象にしていることで、孤児であれば一見チェコの社会に適応しやすそうに見える。親を失った孤児というと人々の同情を引きやすくなるから、両親と子供を合わせて家族全員という場合よりも賛成する人も増えそうだし、受け入れられる可能性も高くなりそうである。
 ただ、この提案をしたEU議会議員が想定している孤児は10歳から17歳の子供たちらしく、それを聞いたときにちょっと言葉の詐欺じゃないかと思った。多くの人が孤児と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、幼稚園に通うぐらいの幼子だろう。そんな年齢の孤児たちでであれば、本人たちの意向はさておいて保護のためにチェコに連れてくるということをしてもあまり問題はなさそうだが、ある程度人格形成の済んでいる十代半ばの子供たちの場合、ドイツでもイギリスでもなくチェコに連れて行くと言われたときに、すんなり受け入れてくれるかどうかが問題になる。受け入れるチェコの側でも幼児であれば、子供の頃からチェコ人の中で育つことでチェコ的な価値観を身につけられるけど、十代の子供たちには無理だと考えて、受け入れ反対に回る人たちが増えるだろう。

 バビシュ首相は、当然受け入れに反対で、何でシリアなんだ、ウクライナにも孤児はいるだろうとか言っていたような気もするが、反論における一番の主張は、孤児たちを国外に連れ出すよりも、国内で生活の道が立つように支援するほうが大切だと主張している。これは、イタリアやスペインに押し寄せる難民の受け入れを拒否する論理としても使われており、チェコ政府は西ヨーロッパの大国とは比べ物のにならない規模の予算の中からイタリアにも支援のためのお金を出し、また北アフリカ諸国の沿岸警備を強化するための資金も提供しているという。
 確かに、ヨーロッパに逃げてくる人々にとって、一番いいのは母国が政治的にも経済的にも安定して、生まれ育った国で生活を続けることだろう。そこを支援しないで、あふれ出てくる難民を原則受け入れてEU内で分配するというのでは、喜ぶのは難民をヨーロッパまで、正確には地中海の海の上まで運ぶ密輸業者だけだというバビシュ首相の主張にも理はあるんだよね。
 現在EUで進行中のドイツによる加盟各国への難民受入れの強要に、チェコなどの国がかたくなに反対しているのも、受け入れることが問題の根本的な解決につながらないからにほかならないし、国別に分担を決めることですでにヨーロッパに入った難民の問題は片付いても、押し寄せてくる難民の数自体を減らさなければ、早晩破綻するのは目に見えている。

 話を今回の孤児受け入れの提案に戻そう。バビシュ首相が受け入れを拒否したのを批判する人たちの中には、かつて第二次世界大戦中にチェコのユダヤ系の子供たちをイギリスに受け入れたウィントン氏の活動を例に挙げて、今度はチェコが行く当てのない子供たちを救う番じゃないのかなんてことを言う人たちがいる。心情的にはよくわかるし、こんなことを言われるとチェコ人としては反対しにくくなるという面もあるだろうけど、政治的にはどうなのだろうか。
 各党の反応を見ていると、積極的に賛成しているのは、キリスト教民主同盟と海賊党ぐらいだろうか。市民民主党はどんな子供達が来るのかはっきりしないとチェコ語側がどんな支援をすればいいのかわからないからと保留している感じで、共産党は孤児だからで一括で受け入れるのではなく、個々のケースをしっかり分析した上で判断するべきだという主張。社会民主党は受け入れるのは不可能ではないだろうという消極的な賛成と言えそうな態度。

 一見、素晴らしい提案にも見える孤児の受け入れに対して、積極的に支援しようとする政党が少ないのは、何年か前に、これも当時は与党だったキリスト教民主同盟の主導で、キリスト教系の民間団体が中心となって推進したイラクで迫害されているキリスト教徒をチェコに受け入れようというプロジェクトが、チェコに連れてこられたキリスト教徒の一部が、それを悪用してドイツに逃亡した事件が尾を引いているような気がする。この事件については、ここここを参照。
 あれも何が問題だったのかとか反省もないままに放置されている印象があるし、下手に賛成して同じ結末を迎えたら批判されるだろうし。とりあえずキリスト教民主同盟には前回の失敗を分析した上で、今回の孤児の受け入れ計画を具体化することが求められるだろう。それなしには、一部を除けば賛成も反対もしようがない。
 もう一つ、煮え切らない理由としては、地方議会と上院の選挙が近づきつつあるというのもあるかもしれない。積極的な賛成も、断固としての拒否も、一部の支持者を失いかねず、それが選挙での負けにつながりかねないから、支持者の意見がはっきりしていそうな政党を除いては、はっきり賛成とも反対とも言いにくいのだろう。
2018年9月19日17時。








2018年07月10日

政治家と学歴1(七月九日)



 水曜日にも下院での信任が得られそうな第二次バビシュ内閣で、批判を一番に集めているのが、ハマーチェク氏の内相と外相の兼任で、二番目が法務大臣のマラー氏の学歴の問題である。最初の話では法学の学位をとったスロバキアの私立大学で書き上げた卒業論文が盗作、剽窃の疑いありだという話だったのが、ブルノのメンデル大学で農学系の学位をとったときの論文にもその疑いがあるという話になった。よくわからないのだが、この人もともとは理系の人でブルノのメンデル大学でウサギの研究をした後、スロバキアのパンヨーロッパ大学という、いろいろと問題のある私立大学で法学の学位をとったらしい。それで弁護士か何かの法律関係の仕事をしていたところをANOに勧誘されたのかな。

 その二つの卒業論文に関しては、メンデル大学のほうは、前半の実験の理論的な背景を説明する部分が、他者の論文の引用であるにもかかわらず、出典を明記していないのが、盗用に当たるのだという。ただ後半の実験とその結果をまとめた部分は独自の研究であり盗用ではないという話である。いちいち引用して出典を明らかにするのが面倒だったのが、そこも自分の説として考えていたのかは知らないけれども、この論文が盗用扱いされるのは確実なようだ。
 もう一つのスロバキアの大学での論文に関しては、最初はこちらが盗用じゃないかと批判されていたのだが、盗用ではないが、その内容のレベルの低さが問題になると専門家がコメントしていた。そもそもこの大学での教育に関して、認可されていないはずのチェコの支部に所属していたとかいないとか、更なる問題も出てきているようである。このあたり、旧共産圏の私立大学というのは、どうして認可されたのだろうかといいたくなるようなものが多いのである。

 バビシュ氏やマラー氏本人が主張するように、本当に有能で法務大臣としての責務を問題なく果たすことができるのであれば、たいした問題でもないような気もする。学歴の有無が政治家として能力を左右するわけではない。それに学生の書く卒業論文なんて、所詮は学生の書くものだから、例外を除けば他の卒業論文も五十歩百歩だろうし、近年チェコで流行しているらしい卒論を外注する、つまり業者にお金を出して書いてもらうのに比べればましであろう。卒論を書いてくれる業者に頼むと、引用などの情報の出典の情報は、完璧に、ときに必要以上に表記されることになるらしい。
 それに例のプルゼニュの西ボヘミア大学でスキャンダルが勃発したときには、今回のものとは比べ物にならないくらいの完全な盗用があって、ほとんど同じ内容の卒業論文を書いて卒業した人が何人かいたという話もある。あのとき、何人もの政治家が夏休みの間に学位を獲得したりしていたが、それを理由に国会議員を辞任したというような話はなかったと思う。
 法の公正を担保すべき法務大臣は、単なる立場が違うという考えにも一理あるのだろう。ただ、人の噂も七十五日で、プルゼニュ大学事件の首謀者の一人、ホバネツ氏を内務大臣に就任させた社会民主党は、この人事を批判する前に、党内の要職を占める政治家たちが、同じ過ちを繰り返していないか確認するほうが先であろう。いや、政治にかかわるようになってから学位をとった政治家たちの卒業論文を、マラー氏の卒業論文と同じようにチェックすると面白い結果が出るんじゃなかろうか。以前亡くなったグロシュ氏が首相になったときには、ムラダー・フロンタ紙がグロシュ氏が学位をとった卒論を分析してかなり辛辣な評価をしていたのだけど、同じようなことをまたやってくれんもんかねえ。

 第一次バビシュ内閣では法務大臣は、ソボトカ内閣で党員ではない専門家大臣として抜擢されたロベルト・ペリカン氏が引き続き頑張っていたのだけど、バビシュ氏のやり口についていけなくなったのか、政界からの引退を決めて、大臣だけでなく昨年当選したばかりの下院議員も辞職してしまった。そのペリカン氏の後釜に座ったのがマラー氏なのだが、前任者と比べてどうかといわれると、現時点の印象では頼りなさの方が先に立つ。バビシュ氏の操り人形としては適任なのだろうけど、野党からの批判の集中砲火を浴びた場合に頑張りきれるのか心配である。

 なんてことを書いたら、マラー氏が今日突如辞任を発表した。このままではバビシュ内閣の信任投票にもANOの評判にも悪影響がありそうだから身を引くことにしたのだそうだ。同時に、自分は引用の出典を書き忘れるという小さなミスはしたかもしれないけれども、それは本来大臣を辞職するような問題だとは思わないとか何とかいうことも強調していた。
 その結果、水曜日に予定されている信任投票にむけては、首相のバビシュ氏が暫定的に法務大臣を兼任することになるようだ。外務大臣と法務大臣という重要な役職が暫定で兼任の状態で発足する内閣というのも前途多難そうである。野党側からは、刑事事件の容疑者として捜査の対象になっている人物が、司法権を掌る法務大臣になるのは末期的症状だなんていう批判が上がっていた。同じような口実で、社会民主党が内務大臣をANOから取り上げたんじゃなかったか。もういっそのこと内閣の信任は諦めて、下院の再選挙を行なった方がましじゃないかなんて気がしてきた。

 実は昨日、この内容で書いて投稿するつもりだったのだが、疲れていたせいか書くのを忘れてしまった。ちょっと書く日と投稿する日を調整したほうがよさそうである。毎日書くというのがぐだぐだになりつつあるのはあまりいい傾向ではない。一度休むとこうなるのだよ。
2018年7月9日23時23分。







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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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