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2016年04月06日

無意味な支援(四月三日)



 以前、チェコではイラクに少数派として暮らすキリスト教徒を受け入れるプロジェクトを実施しているということをチラッと書いたが、このプロジェクトの主体はゲネラツェ(ジェネレーション)21というキリスト教系の団体で、政府は支援を与えているだけだった。このプロジェクトで、今年の二月から八十人を越えるイラク人がチェコに来て難民認定を受けているのだが、そのうちの一部がやらかしてくれた。

 ある老人が、やっぱり自分の国で死にたいと言い出して、その家族が全員、イラクに帰ることになったのはいい。いや、よくはないけれども、心情は理解できる。老い先短い人生で、同じキリスト教徒の住む国ではあっても、言葉も含めて、まったく新しい環境に適応しなければならないのが、事前の想定を越えていたのかもしれないし、今年は暖冬だったとはいえチェコの寒さに耐えられなかったのかもしれない。ただ、本人が帰国するのはそれでいいだろうが、家族も一緒に帰ってしまうのはどうなのだろうか。今後はイラクでもキリスト教徒への弾圧の激しくない別の地方に住む親戚を頼って移住するという話である。
 このプロジェクトでは、イラクでは弾圧が厳しくてキリスト教徒として生きていくのが大変な人々で、チェコに移住したいと希望する人たちが選ばれているはずなのだが、イラク国内で移住する伝があるなら、そしてそこが安全な地であるのなら、そちらに行くほうがましであろう。この辺りは、プロジェクトを実施する団体の調査不足、準備不足を責められても仕方がない。政府としても、EUから半ば強制されている難民受け入れの定数を拒否するための材料の一つとして、独自の難民受け入れをやっていることを、それがうまく行っていることをアピールする必要があって、あせっていたのかもしれない。

 許せないのは、いったん手にした難民認定を返上して、当初の目的地であったらしいドイツに向かったグループである。特別なプロジェクトでチェコに呼んだということで、本来難民申請者は、不法入国者が入れられる収容所に入れられて、不自由な生活を強いられるのだが、この連中は、チェコ政府の特別機でプラハの空港まで連れてこられ、収容所ではなくキリスト教系の団体が保有する宿泊施設に、賓客扱いで宿泊し、チェコ社会に適応できるようにチェコ語の授業も受けていたのである。
 これでは、チェコが差し伸べた善意の手を悪用したと言われても仕方がない。ヨーロッパまで行けば何とかなると思ったのか、チェコの関係者が優しいのでお願いすればドイツに行かせてくれると思ったのか、困ったものである。もちろん、ドイツに行ったからといって受け入れられるわけがなく、最初に難民申請をした国、つまりチェコに送還されてしまった。EUの規定から言えば、これで当然なのである。 チェコに戻された後は、難民収容施設に放り込まれ、イラクに送り返されるのではないかと言われている。チェコで再度難民の受け入れ申請をすることは可能らしいが、認定するのかね、こんなの。

 チェコ政府は、今回の件を受けて、このプロジェクトを全面的に停止する決定をした。つまり、今後チェコに逃げて来られたかもしれないキリスト教徒たちは、今回チェコ側の善意を悪用した連中のせいで、来られなくなってしまったのである。実際に、イラクのキリスト教徒で、イスラム国の脅威にさらされていて、チェコで新しい人生を送りなおしたいと考えている人がどのぐらいいるのかは知らないが、その人たちの可能性を摘んだのが、右翼の外国人排斥主義者たちの行動ではなく、同じ境遇にある一部の人間の所業であると言う事実は、非常に重い。
 今回の件を喜んでいるのは、政府の政策を批判するのが仕事の野党を除けば、右翼の外国人排斥主義者たちだけだろう。現在イラクから逃げてきた人々が暮らしている場所の一つ、オストラバの近くの村では、受け入れを巡って住民の反対運動が起こっていたが、今後はその手の反対運動が、他の受け入れた町でも発生する可能性がある。それにこの件で、難民受け入れプロジェクト自体が、世論から嫌われるのではないかという恐れもある。

 結局、チェコで生活したいという意思を持たない難民を受け入れてもうまく行かないということなのだ。チェコ社会に受け入れられようと努力する難民たちの姿を見れば、一部の例外を除いては、受け入れに寛容になるだろうし、今回のような善意を土足で踏みにじるようなまねをされれば、反対派の声が強くなる。これは何もイラクからチェコへの難民に限った話ではない。シリアからの難民達でも、自分さえ、自分たちさえドイツにいければ、通行する国の人も含めて他人はどうでもいいという態度を取る連中がいるから、自分たちがドイツにたどり着けたから後はどうでもいいという態度を取る連中がいるから、ただでさえ難民のあまりの多さに根を上げかけているヨーロッパで難民排斥の意見が強くなっていくのだ。
 現在ヨーロッパに押し寄せている難民達に、難民になったことに対する責任はないと言ってもいいだろう。ここまで状況が悪化した原因は、EUやNATOの失策にあるのだから。しかし、現在ヨーロッパで難民の受け入れ条件が厳しくなり、いわゆるバルカンルートが閉鎖されている原因の一端は、すでにヨーロッパに入った難民達の振る舞いにある。そして現在の悪循環をとく鍵も、難民達の行動にあると思うのだが、どうだろうか。
4月4日23時。








posted by olomoučan at 05:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 戯言
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