2018年04月10日
副詞の比較級と最上級(四月七日)
副詞を比較級、最上級にするためには、形容詞の比較級、最上級を覚えておく必要がある。逆に言えば、形容詞の比較級、最上級ができれば、副詞の比較級、最上級は何の問題もなく作れるのである。子音交代などの厄介ごとは形容詞のところで覚えてしまったという前提で、比較級が「ejší/ější」で終わる規則的な形容詞を副詞にする部分だけを説明すれば、形容詞の比較級の語末の「-ší」をとって「i」に変えてやるだけでいい。それは最上級も同じである。副詞の比較級に「nej」を付けると考えてもいいし、形容詞の最上級の語尾を変えると考えてもいい。
形容詞の時に使った例をそのまま流用して、いくつか作り方の例を示せば次のようになる。左から順に形容詞原級、比較級、副詞比較級、副詞最上級となる。
blbý → blbější → blběji → nejblběji(バカな)
pomalý → pomalejší → pomaleji → nejpomaleji(遅い)
zdravý → zdravější → zdravěji → nejzdravěji(健康な)
chytrý → chytřejší → chytřeji → nejchytřeji(賢い)
přátelský → přátelštější → přátelštěji → nejpřátelštěji(友好的な)
それに対して、比較級が「-ší」だけのものは、「-ší」を取って「eji/ěji」を付ける。子音交代のことを考えると、「-e」で終わる副詞にしてその後ろに「ji」を付けると覚えたほうが簡単かもしれない。例は後者の説明にしてみる。つまり形容詞、副詞原級、副詞比較級、副詞最上級の順である。
tvrdý → tvrdě → tvrději → nejtvrději(硬い)
bohatý → bohatě → bohatěji → nejbohatěji(金持ちの)
starý → staře → stařeji → nejstařeji(古い)
tichý → tiše → tišeji → nejtišěji(静かな)
形容詞比較級の語尾が、「čí」になるものは「í」を取って「eji/ěji」を付けて副詞にする。順番は形容詞原級、比較級、副詞比較級、副詞最上級である。最後のはちょっと微妙だけど一緒にしてしまう。形容詞比較級の語尾は読んでしまえば「チー」になるし。
lehký → lehčí → lehčeji → nejlehčeji(軽い)
měkký → měkčí → měkčeji → nejměkčeji(軟らかい)
krátký → kratší → kratčeji → nejkratčeji(短い)
ただし、形容詞の比較級が「-ší」で終わるものの中には、副詞の比較級が規則的には導けないものも多い。形容詞よりも例外的な変化が多いのである。順番は上と同じ。
hluboký → hlubší → hlouběji → nejhlouběji(深い)
drahý → dražší → dráž(e) → nejdráž(e)(高い)
vysoký → vyšší → výš(e) → nejvýš(e)(高い)
blízký → bližší → blíž(e) → nejblíž(e)(近い)
下の三つは規則的な部分がなくないけれども、母音が長母音に戻ったり、末尾の「e」があってもなくてもどちらでもいいとか、例外事項が多いので不規則扱いにする。
もちろん形容詞で完全な不規則だったものは副詞でも、変な言い方だけど不規則性を維持する。
velký → větší → víc(e)? → nejvíc(e)?(大きい/多い)
malý → menší → méně → nejméně(小さい/少ない)
dobrý → lepší → lépe/líp → nejlépe/nejlíp(いい)
špatný → horší → hůř(e) → nejhůř(e)(悪い)
dlouhý → delší → déle → nejdéle(長い)
最初の「víc → nejvíc」は、副詞「mnoho(多く)」「moc(とても)」の比較級、最上級として扱われることが多いが、形を見ると、小さいと少ないが通じるのと同じように、大きいと多いが通じて「velký」の比較級から作られたものだと考えたほうが覚えやすい。「velice(とても)」なんて副詞もあるわけだし。形が変わっているから覚えやすいもくそもないと言われればそれまでだけど。
実は、一番間違いやすいのは、副詞を使うべきところで形容詞を使ってしまうことなのだけど、その辺は、おいおいというか、文章を作るときに名詞にかけるのか動詞にかけるのか考えられるようになれば、間違いは減る。母語である日本語では無意識に形容詞の連体形と連用形を使い分けているわけだが、チェコ語の場合には品詞を意識して使うようにしないとなかなか上達はしない。
チェコ語を勉強しているときに思ったのは、中学高校で習った国語文法というのは、内容がどうこうではなく、言葉に対する向かい方という点で、チェコ語の勉強に役に立っているということである。だから、英語をはじめとする外国語に堪能な日本人を育てたいのであれば、外国語教育よりも国語教育に力を入れて、日本語を意識的に使えるようにするのが一番だと思うのだけど、世界はそちらの方には向かっていないようである。文法的なことを取り払って単語を並べて喋れればいいなんていうのなら、何も言う気はないけれどもさ、そういうのを言葉ができるとは、わが日本語では表現しないのである。
2018年4月7日23時。
何でこんなものが日本で……。
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