2018年04月08日
形容詞を副詞にする方法2(四月五日)
二つに分けてみたはいいけれども、もう一回分書くような分量があるのだろうかと不安になって、一日間を空けてしまった。たまには短くてもいいかということで。
前回例としてあげた副詞「japonsky」のパターンは多くの国名を基にした形容詞に適用できる。チェコ語には、国名、民族名からできた形容詞は「-ský」か「-cký」で終わるという例外のない規則が存在する。例外だらけで規則性を疑いたくなることの多いチェコ語においては珍しいことである。そして、名詞である言語名も「-ština」「-čtina」という語尾を取る点で共通している。
これで国名が「-sko」「-cko」で共通していたら万歳なのだけど、残念ながらこの二つで終わらない国名も多い。それでもできるかぎりの一般化を適用すれば、国名が「Japonsko」のように「-sko」で終わるものは、言葉は「japonština」と「-ština」で終わる形になり、形容詞形は「japonský」となりそれを副詞化すると、語尾が短くなって「japonsky」となり、「Německo(ドイツ)」のように「-cko」で終わるものも同様に、「němčina」「německý」「německy」となるのである。
それ以外の国名から形容詞、言語名を作り出すところは、あまり規則がないので覚えていく必要があるけれども、形容詞と言語名の関係、形容詞から副詞を作る過程は共通しているので、安心して使うことができる。副詞形を使う機会なんて言葉と関係のある場合ぐらいなので、それほど機会が多いわけではないけれども、勉強し始めの自己紹介をする機会の多い時期には重宝する表現である。例を挙げておこう。「Francie(フランス)」から「francouzština」「francouzský」「francouzsky」ができ、「Anglie(イングランド)」から「angličtina」「anglický」「anglicky」ができる類である。
副詞が「-ky」で終わる形になるのは、国名からできた形容詞に限らず、「-ský」「-cký」で終わる形容詞に共通の特徴である。例を挙げれば、「přátelský」からできる「přátelsky」、「politický」からできる「politicky」などがある。文例も上げておいた方がいいかな。
Povídali jsme se přátelsky. (友好的に話をしました。)
Domluvili jsme se politicky.(政治的に合意しました。)
下はちょっと怪しいなあ。それはともかく、名詞ではなく動詞にかけるときにこの副詞の形を使うのである。しかし、残念なことに、長母音を短母音にするだけで、副詞、もしくは連用形が作れる形容詞はどちらかというと例外的なものになる。
では、一般的な場合はどうなるかというと、チェコ語で最初に勉強したやり取りの一つを思い出してみればいい。
Jak se máte? /Mám se dobře.
ってのは、嫌になるぐらい何度も繰り返したはずである。そして、この時点では勉強しなかったかもしれないけれども、「dobře」は形容詞「dobrý」の副詞形である。具合がよくないときに使う「špatně」も形容詞「špatný」からできたものなので、形容詞の語末の長母音を「e」に変えてやれば副詞が出来上がる、これが一つ目の作り方である。
ただし、問題は、いつものように子音交代が起こることで、これはもう数をこなして慣れていくしかない。とりあえず言えるのは、「r」にはハーチェクを付け、「t/d/n」の後ろでは、「e」ではなく「ě」を使うということ。あとは「k→c」とか「ch→š」「h→z」なんてのもあったかな。
ということで、以下のようになる。
bohatý → bohatě
tvrdý → tvrdě
těžký → těžce
tichý → tiše
drahý → draze
そして一部の形容詞の場合には、「e」だけではなく、「o」を付けて副詞にできるものもある。「e」と「o」で微妙に意味が違って、それなりに傾向があったような気はするのだけど、記憶の奥の方でかすんでしまっている。気になる方は、まともなチェコ語の教科書で確認していただきたい。
těžký → těžko
tichý → ticho
drahý → draho
一番上の「těžko」は信じられるという形容詞と一緒に使って、「信じがたい」なんて表現にすることができるし、二番目の「ticho」は「静かにしろ」というときに、「Ticho!」と叫んでやればいい。一番下はちょっと例が思いつかないけれども、使われるのは確実である。
ところで、この形容詞の語末を「o」にしてしまうのは、二つの形容詞をつなげて一つの形容詞にしてしまうときにも使われる。間に「-」が入ったり入らなかったりよくわからないのだが、書くときはともかく話ときにはあってもなくても関係ないからあまり気にしないほうがいい。
例を挙げれば、大学書林から出ている『現代日本語チェコ語辞典』は、チェコでは「Česko-japonský slovník」と表記されている。外国どの辞書の題名は大抵この手の形容詞が使われている。また二つの国の会社の合弁企業なんかを形容するときにも使う。二つの国と言えば、昔はよく使われた「チェコスロバキアの」という形容詞は、「československý」と「-」は入れないのかな。これはチェコスロバキアが国名として一語化していたからだろうか。
それからよく使うのは、スポーツでユニフォームの色が二色になっているときに色を表す形容詞を二つつなげて間を「o」にする。スラビアのユニフォームはどのスポーツでも赤白半分ずつに分かれているので、「červenobílý」、ボヘミアンズは緑と白の縦じまなので「zelenobílý」といった感じである。古くは白黒テレビが「černobílá televize」だった。この「černobílá」と、オロモウツ郊外のチェルノビール、ウクライナの原子力発電所の事故が起こったチェルノブイリを聞き間違えることが結構あったなあというのは、いつまでたっても耳がよくならない日本人の愚痴である。
副詞も形容詞と同様に比較、最上級がつくれるのだが、その話は次回に回そう。ちょっと納得のいかない副詞の使い方なんてのもあるしさ。意外と長くなったなあ。
2018年4月6日21時。
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