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2018年02月12日

オリンピック開幕(二月九日)



 スポーツとは全く関係のない政治的な話で、オリンピックの開催が近づいているのには気づいていた。その政治的な話題、つまりは北朝鮮にいいように引っ掻き回されて、完全に利用されてしまっているオリンピックの現状を見るにつけ(利用されているのは韓国だけではなく国際オリンピック委員会もだ)、個々の競技、いや選手たちの成績に対する興味はともかく、オリンピックというイベントに対する興味はほとんど失せていた。

 韓国という国は昔からスポーツを政治に利用するのが好きな国だけど、2002年のサッカーのワールドカップが共催になった経緯もひどく、知人のサッカーファンなど、日本は辞退して韓国だけでやらせればいいんだなんて主張していたぐらいである。そこに韓国以上にたちの悪い北朝鮮が出てくるのだから、オリンピックの理想なんてものは影も形もなくなってしまうのは当然というものだ。
 そんなオリンピックにチェコからは大統領も首相も出かけなかったのは、正しい選択であろう。正確には出かけられなかったのだろうけど、国内でもめにもめている中、わざわざアジアにまで出かけて新たな揉め事に巻き込まれる必要はない。日本の安倍首相も行く必要はなかったんじゃないかと思ってしまう。

 もう一つの問題は、ドーピングで、ロシアが国家ぐるみのドーピングをやっていたのは、今でも継続中なのは確かだろうけれども、IOCのやっていることも中途半端というか何というか。国が単位になって参加するのがオリンピックであるはずなのだから、ロシアという国をドーピングの廉で除外するのなら、個人参加なんてものを認めるべきではなかったのだ。冷戦時代のモスクワオリンピックだって個人出場は認められなかったはずだぞ。
 おまけに、突如出てきた北朝鮮の選手が出場するという話に、IOCが飛びついたのもみっともない。韓国政府が飛びつくのは仕方がない部分はあるけれども、厳密に決められているはずの出場資格を獲得していない北朝鮮の選手の出場を認めるのは、暴挙以外の何物でもない。オリンピックには開催国枠というものがあるにしても、韓国の選手たちはその枠に入るための競争を乗り越えて出場権を獲得しているはずである。選手たちから批判の声は上がらないのかね。批判の声を上げると、選手としての活動に問題が生じるという可能性もあるのか。
 東京オリンピックでは、オリンピックを開催する意義がなくなりつつあるとは言え、こんな韓国と北朝鮮に振り回されて競技以上に注目されるような事態が発生しないことを願っておこう。北朝鮮の政権延命のための時間稼ぎに協力する言われは、IOCにもないはずなんだけどねえ。スポーツによって、韓国と北朝鮮の和平に協力するという、それこそ政治的な功績を挙げる誘惑には勝てないようである。

 日本のマスコミは、日本以外でオリンピックが開催されると、その運営の問題点を、とくに交通機関の問題点をあれこれ書きたてるのが好きで、今回もバスが来ないとか、タクシーがいないとかネガティブな情報がかなり提供されているけれども、東京オリンピックは大丈夫なのかねえ。ただでさえ人が多く、交通機関は朝夕のラッシュ時を中心に混雑を極め、道路は渋滞と切り離せない状態にある東京に、海外から大挙して観客が押し寄せてくるのである。世界に恥をさらすことになるのではないかと心配している。
 確か、北京オリンピックのときだったと記憶するが、中国政府がメインスタジアムの建設に膨大な額の資金を投入したことを揶揄するような記事が散見された。日本でならはるかに安価に済むはずだとか言う論調を見かけたのだけど、東京オリンピックの開催が決まって、ふたを開けてみれば、中国のことを笑えない額の資金を投入することになるようだ。この手の超大規模な公共事業で政治家が暗躍して費用が高騰するのは、お約束といえばお約束なのだけど、今の借金大国日本にそんな余裕があるのだろうか。
 開催国、開催都市の経済的負担が過大化してしまっている現在、その負担に耐えられるところはそれほど多くない。冬季オリンピックは規模の面で言えば、夏のオリンピックよりはましだとは言え、会場となりえる都市の立地とその大きさを考えると負担が大きいことには変わりはないし、ウィンタースポーツが盛んな地域、国は全世界に広がっているわけではなく開催に手を挙げられるところは夏以上に限定的になるはずである。

 近代的なスポーツイベントとしてのオリンピックの発明が画期的ですばらしいものであったことに疑問の余地はない。ただ競技以外の部分での現状がこのまま続くようであれば、早晩行き詰まりを迎えることになるのではないかと懸念する。スポーツの競技を見ること自体は好きなのだ。ただ、その周辺事情の醜悪さにうんざりしているだけである。
 その中でも、もっともうんざりするのが、オリンピックのときだけマイナースポーツにも目をむけ、何もわかっていないまま勝手にメダル候補を作り上げて持ち上げ、メダルが取れなかったら手のひらを返して袋叩きにするマスコミなのだけど。チェコの穏当な報道と比べるにつけ、日本のスポーツマスコミの醜悪さが際立ってしまう。
 オリンピックのときにしか注目されないという問題を抱えているマイナースポーツに関しては、NHKがチェコテレビのようにスポーツチャンネルを設立して、優先的に試合を放送するようにすればいいのだ。サッカーだの野球だの放っておいても、民放が放送し注目を集めるスポーツよりも、経済的に恵まれないマイナースポーツの露出を増やすのが、受信料を無理やり取り立てている放送局の使命というものである。
2018年2月10日22時。




オリンピック秘史: 120年の覇権と利権








posted by olomoučan at 07:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 戯言
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