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2016年08月16日

いんちきチェコ語講座(八月十三日) いやらしいEの問題



 師匠の話では、古代スラブ語に端を発するというから、チェコ語だけでなく他のスラブ系の言葉でも問題になるのかもしれないが、格変化の際に語幹のEが消えたり、現れたりするというのも、チェコ語を使うときの悩みの種のひとつになる。Eの前後に有声子音、無声子音があると、発音まで変化してしまうし、最初の頃はやめてくれと思ったものだ。いや、今でも時々思うけど。
 まずは、消えるEから始めよう。Eが消えるのは、名詞の単数一格がE+子音で終わっている場合である。ただし、この形で終わっている名詞のすべてでEが脱落するわけではないのが、困り者なのである。何かのルールがあるのかないのか、よくわからない。自分なりのルールで使ってうまく行くこともあれば、うまく行かないこともある。

 間違えたら失礼になる人名だが、女性の名前は原則としてaで終り、苗字はováで終わるので、問題になるのは男性の名前及び名字である。典型的なチェコの名前でE+子音で終わるものを考えると、Karel、Pavel、Marcel、Danielあたりが思い浮かぶ。このうち前者二つは格変化をすると語幹からEが消えて、二格はKarla、Pavlaになるが、後者二つはEが残ってMarcela、Danielaになる。男の名前の二格は女性の名前じゃないか。ということは、女性の名前と関連付けて覚えれば、人名についてはEが落ちる落ちないの区別ができそうだ。Radekは、Radka、つまり「ラトカ」と発音が変わるし、ヨゼフに対応するのは、ヨゼファもヨスファもないので気をつける必要はあるけど。
 最初に例に挙げたのがelで終わる名前ばかりになったので、これで続けると、名字でelで終わるものとしてすぐに思い浮かぶのが、ハベル大統領のHavelである。これは二格でHavlaになる。プラハの飛行場は、バーツラフ・ハベル空港に改称されたが、チェコ語では後から二格でかけるので、letiště Václava Havlaになるのである。

 地名だとどうだろう。オロモウツの近くのリトベルは、二格にするとLitovleになる。ということはelで終わるものは、Eが落ちることが多いのかというと、そうも言い切れない。動詞から派生した名詞で人を表すものの中には、telで終わるものがかなりある。これらは、učitel(先生)、ředitel(社長)などEが落ちない。他のtelで終わる名詞に枠を広げていくと、kostel(教会)、hotel(ホテル)、postel(ベッド)など、Eが落ちないものが次々出てきた。だからtelで終わる名詞は、Eは脱落しないというのを、個人的にはルールにして使っているのだけど、例外を発見してしまった。pytel(袋)とkotel(ボイラー)は二格でpytle(袋)とkotleになるのだった。人を表すtelの場合にはEは落ちないというルールにしておこう。

 現時点で、確実だと思われるルールを一つ。日本人はチェコ語でJaponecだが、このecで終わる民族を表す言葉は、Eが落ちると断言しておく。Japonecが二格でJaponceになり、Němec(ドイツ人)はNemce、Slovinec(スロベニア人)はSlovinceになる。世界中の民族名について確認したわけではないが、これまでのところecで終わる民族名でEが落ちないものは見たことがない。
 他のecで終わる名詞は、kupec(商人)とkopec(丘)は、落ちてkupce(商人)とkopceになる。また、jezdec(バイクを運転する人)とchodec(歩く人)は、それぞれjezdceとchodceで、「イェストツェ」「ホトツェ」とEが落ちるせいで、無声化して読むことになる。ここからecで終わる名詞の場合には、Eが落ちると断言したいのだけど、pecの場合には、Eが落ちないのである。それでも、民族名だけでなく人を表すecで終わる名詞の場合には、落ちるとは言えそうだ。

 では、子音+e+子音という三文字でできている名詞の場合にはEが落ちないという仮説を立ててみよう。let(飛行)、led(氷)は、どちらもEが落ちないので行けるかと思ったら、この二つと一格の読み方がほとんど同じで、カタカナで書くと「レット」になるretの二格はrtuになるのだった。それ以前に二格がpsaになるpes(犬)を忘れてはいけなかった。うーん、だめ。

 つらつらと例を挙げつつ書いてきて、ちょっと絶望的な気分になる。部分的に適用できるルールは発見できても、日本語の「は」と「が」の使い分けと同じで、100パーセント割り切れそうな、それに基づいて使えば間違いが起こらないというルールはなさそうだ。以前、師匠に質問したときには、いい質問だと言って、嬉々としてあれこれ図まで描いてまで説明してくれた。古代スラブ語の母音と子音の並び方にはいくつかのパターンがあって、その中のこのパターンのときには落ちて、このパターンのときには落ちないという説明だったのだが、さっぱりわからなかった。こんなEがあるかないかを間違えたくないというだけの理由で古代スラブ語なんかに手は出せない。いや、古代スラブ語を勉強するぐらいだったら、間違ってもいいやと思いながら師匠の説明を聞いている振りをしていた。
 Eの前後に来る子音を元に厳密に分類したり、名詞の種類や音節の数で分類したりしたら、もしかしたらルールが見えてくるのかもしれない。でも、チェコ語の教科書にさえ、覚えるべきルールとして書かれていないと言うことは、師匠の古代スラブ語を基にしたのと同じぐらい実用的ではない説明になるのだろう。

 最後に簡単にEが出てくる場合に触れておく。これはAで終わる女性名詞か、Oで終わる中性名詞の複数二格で起こる問題である。この二つの種類の名詞の複数二格は、語末の母音がなくなる。単数の一格の末尾の母音を取り去ったときに、語末に複数の子音が残ることがある。例えばdivadlo(劇場)は、末尾のoを取ってしまうと、divadlになるが、dlは言いにくいのか、Eを入れて、複数二格はdivadelになるのである。
 注意したほうがいいものとしては、studentka(学生)とkamarádka(友達)を例に挙げておこう。この二つの言葉、単数一格では、どちらも「ストゥデントカ」「カマラートカ」と語末を無声子音で読む。しかし、複数二格にするとstudentek、kamarádekとなって、片方は無声、もう一方は有声になってしまう。Eを入れることができるようになってからも、単数一格が「カマラートカ」と無声だから、つづりのことを考えないで複数二格を「カマラーテク」と言ってしまったことが何度もある。
 日本人の場合、男性の単数一格はJaponecで、女性はJaponkaである。女性の複数二格はJaponkではなく、 Japonekになる。そうなるとJaponecの間違いじゃないかと誤解してしまいかねないのである。いや、誤解したことがある。

 言葉というものが、変化していくものであることを考えると、この手の発音と表記のずれというものは、発音しやすい方向に向かっているはずだ。日本の音便なんかも同じである。だから、Eを落とすか落とさないか、入れるか入れないか、悩んだ場合には両方発音してみて、発音しやすいバージョンを選ぶというのもいいだろう。試行錯誤しているうちにチェコ人の感じる発音のしやすさというものを理解できるようになるかもしれない。
8月15日21時。



 いやあ、迷走した。迷走して迷走して、抹消してしまおうかとさえ思ったのだが、やはり恥をさらして今後の糧にする。読む人にはいい迷惑だろうけど。8月15日追記。
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