2016年08月09日
サマー・スクール驚愕の改善(八月六日)
金曜日に、日本からサマースクールに来ている人たちと会って、少し話を聞かせてもらった。そうしたら、サマー・スクールの内容も運営も、信じられないくらいの大進歩を遂げていて、こんなことがオロモウツで実現できたのかと思わず驚きの叫び声を挙げそうになってしまった。良くも悪くも手作り感いっぱいで、よく言えば臨機応変、悪く言えば行き当たりばったりだった運営が、変わってしまったというのには、称賛したい気持ちもあるけれども、どことなく寂しさを感じてしまうのも否定できない。
まず、最初のクラス分けのテストからして、一つ受けてお仕舞いというのではなかったらしい。初級のペーパーテストを受けて、その結果を基に口答試験があって、それで問題がないと判断されたら、中級のテストを受けてという風に何段階にもわたって受講者のチェコ語のレベルを確認するようになっていて、クラスも参加者が100人ほどしかいないにもかかわらず11に分けられていて、どのクラスも多くても十人ほどだという。
一年目のクラス分けのテストは、日本で一年も勉強していればほぼ完璧に答えられるような簡単なもので、面接などなかったし、期日までに到着できなくて、自分で勝手にクラスを選ぶ人もいた。いやクラス分けのテストを受けた人でも、クラスを移動する人は非常に多かった。二年目は多少改善されたとは言え、クラス分けのテストは二種類しかなく、適正クラスを細かく分けれらるようなものではなかった。一クラスの人数も、少ないところではドイツ語で教えるクラスで四人というのがあったのに、多いところは廿人ぐらいなんてところもあって、ばらばらだった。
午前中の授業以外のプログラムも充実していて、午後にチェコの歴史や文学などの講義が行われるのは昔と変わらないが、それに加えて、文法が苦手な人の補講や発音矯正のためのクラスも作られているらしい。文法が苦手な人のための補講は、結構スパルタで、動詞に合わせてさまざまなタイプの名詞を必要な形に格変化させていくというドリルを、次々に出席者に当てながら進んでいくのだという。これ長く続けると頭がくらくらしてくる練習である。何度も何度も繰り返しているうちに自然に変化させられるようになるということなのだろうけど、そこまで行くのは大変だろうなあ。ただ、三格なら三格の活用語尾としてどんなものがくるのかを覚えるためには必要な練習である。
発音の矯正のほうは、少人数で先生のところに行って、うまく発音できていない音について繰り返しテキストを読み上げさせて、おかしな点を指摘して修正するという形で進めるようだ。文法の補講は自力でもやれなくはないけど、こっちはちょっとうらやましい。しかも、日本人なら日本人の苦手な発音というものがわかっていて、例えばRとLとか、それに合わせた教材が準備されているというから、感動ものである。
師匠の話では、昔チェコ語自体は上手なのにRとLの発音がどちらも同じになってしまう日本人がサマースクールにいて、授業中に指摘しても直らないということをサマースクールの校長にぼやいたら、校長が授業中にその人だけを呼び出して直接指導に乗り出したことがあったらしい。直接指導から戻ってきたその人のRとLの発音は、指導の前からは変わっていたけれども、どちらも同じ発音になっているという点では変わっていなかったという落ちが付く。両方Rで発音していたのがLで発音するようになっていたのかな。そして、サマースクールが終わって日本に戻ったその人からの礼状に「自分の英語の発音のどこが悪かったのかやっと理解できました」なんてことが書いてあって、師匠たちはチェコ語の発音じゃねえのかよと憤慨したというのだけど、師匠の話なのでどこまで信じていいものやら。
他にも夜の映画上映が行なわれているのは当然にしても、参加者がチェコ語での演劇に挑戦するワークショップがあったり、モラビアの民族舞踊のレッスンがあったりと、それって本当にオロモウツのプログラムなの? と言いたくなってしまう。プラハにしか行かず不満だった真ん中の週末の小旅行は、今年はリベレツなどの北ボヘミアを回るというから、昔もこうだったら、このひねくれ者もキャンセルしてオロモウツに残るなんてことはしないで、参加していたに違いない。
食事に関しては、朝食と昼食は、大学の学食が営業していて、そこで食べられるようになっていて、夕食の分だけどこでも使える食券をもらったらしい。昔は、大学の学食は夏休みは閉鎖中だったし、朝食は放置されて、昼食、夕食用の食券なんてサマースクールの事務局の手作りだったのに。宿舎が遠かったから、朝食を学食でと言われても利用しない人が多かっただろうけれども。
そんな話を聞いたのは、オロモウツ第三の醸造所付きビアホールのリーグロフカだったのだけど、最初に行ったときより、ビールの種類が増えていた。ジェザネーもかなり上手に切れていたし、黄金色のレジャークも飲めるようになっていて満足度が上がっていた。入り口の看板も完成していたし、おつまみ系の料理も充実していたし、使う機会が増えそうである。
8月7日12時。
以前、紹介したアロイス・イラーセクの『暗黒』が出版されhontoで購入できるようになっていた。楽天ブックスでは購入できない書籍になっていた。これからかな。8月8日追記。
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