2016年08月10日
いんちきチェコ語講座(?回目)RとLの発音(八月七日)
金曜日にサマースクールに来ている知人とリーグロフカで、ジェザネー・ピボを飲んでいたら、チェコ語の発音について書くように求められたので、またまたいい加減なことを書き散らしてみる。ジェザネー意外ときれいに分かれていたし。
チェコでも日本人のRとLの発音の問題は知られているようで、サマースクールの発音矯正教室の日本人向けのプログラムでも取り上げられるほどである。ただ、ここで気をつけなければいけないのは、外国語イコール英語の日本では、日本人はRの発音ができないと言われるが、チェコ人にとって日本人のラリルレロはRに聞こえることが多いという事実である。
多いというのは絶対だとは言い切れないからなのだが、日本人のラ行の音の発音は個人差が大きいし、同じ人でも言葉によってばらつきがあって、厳密にいえばチェコ語のRでもLでもない音を発音している。私自身の場合には、RとLの中間で発音するのか、チェコ語で話すときに、あまり意識しないで発音をすると、Rに聞こえる場合もあれば、Lに聞こえる場合もあるようだ。腹が立つのは大体間違ったほうに聞いてくれることなんだけど。
だから、RとLの発音を区別するためには、まず自分の日本語で普通に話すときのラ行の音が、チェコ人にはどちらに聞こえるのか、聞こえやすいのかを確認しておく必要がある。聞こえやすい音のほうはとりあえず日本語風に発音しておいて、もう一つの音を発音するときに、意識して違う発音をすれば、完全に正しくはなくても聞き分けてもらえる発音はできるようになる。チェコ人だってある程度の個人差はあるのだから、これで満足してしまってもいいだろう。
問題は、言葉によって発音のばらつきがある場合で、その場合には両方意識して発音しないといけないので、最初はちょっと大変かもしれない。私自身も多分英語などの勉強でRとLの発音を学んでしまったせいだと思うが、何種類かの発音を無意識に使い分けているようである。ラ行の音の位置によっても違うし、しゃべり方によっても違うような気がする。気がするとか、ようだというのは、自分の発音を自分の耳で聞いても違いがよくわからないからだ。
それで、ラ行の音を発音するときの舌の位置に注目してみた。上の前歯の裏側の先端から付け根にかけての部分に下の先端を当てて発音する場合、もっと上の部分に当てる場合、当てずに口蓋部との隙間を狭くする場合があるかな。そして、舌をゆっくり意識して動かす場合と、息を吹き込むような感じで舌先を勢いよく動かすような場合があるんじゃないかな。音韻学の専門家ではないので、こんな説明でいいのかどうかはわからないが、RとLを意識して発音し分けなければいけないときには、この感覚を基にしている。
Lを発音するときには、舌を前目の位置、前歯の裏側ぐらいに当ててゆっくり引き離しながら発音する。ゆっくり過ぎたり、離さなかったりすると、ワ行の音に近づくようなので注意が必要かな。多分これを突き進めるとポーランド語のLにハーチェクの付いた子音になるんじゃなかろうか。ポーランドの川の名前が「ビスラ」だったり「ビスワ」だったりするのも、昔は「ワレサ」だった人物の名前が「ワウェンサ」になったりするのもLとWの間の音だからなのだろうか。ちなみにチェコの一部の方言でもLの音をワ行に近い音で発音するところがあって、チェコ人でも聞いて理解するのが大変だという話を聞いたことがある。
Rのほうはもう一つの極端、つまり舌の位置を後ろに下げて、もしくは口蓋に当てることなく、息を吹き込むことで舌の先端を動かすことで発音する。どうしても巻き舌っぽくしたいときには、舌を曲げて先端をできるだけ後ろに持っていってから発音するようにしているのだが、正しく巻き舌の音になっているかどうかは、発音している本人にはわからない。
こんな感じで、必要な場合には、そして表記がわかっている場合には発音し分けているのだけど、チェコ人の耳にはどう聞こえているのだろうか。自分では音が違うような気はしても、聞き分ける自信はまったくない。
そうなのだ。RとLの発音の問題は、いや、一般に発音の問題は、自分自身がどう発音するかだけでは終わらないのだ。他人の発音を聞いてRなのか、Lなのか、聞き分けられるようになって初めて、RとLの発音の問題が解決されたと言える。しかし、これはRでもLでもラ行の音で聞き取ってしまい、外来語として受け入れる場合にもラ行のカタカナで済ませてしまう日本語を母語としている我々には、至難の業だろう。特別に耳のいい人なら可能かもしれないけど。
日本ではチェコ語の教科書にもカタカナでルビが振ってあるから、ついついカタカナで日本語のラ行で発音してしまう。最近はRをひらがなで表記して、Lとの区別をするという工夫がなされた教科書もあるようだが、これはどう考えても逆だろう。RとLを比べるとLのほうが軟らかく発音されるのだから、軟らかいひらがなで表記したほうがよさそうだ。ここにも日本人ができないのはRの発音だという思い込みがある。
個人的には、このRとLの聞き分けは諦めた。諦めて、自分の知っている語彙から文脈によって判断することにしている。カタカナで書いたら同じ「フラット」になっても、hrad(城)とhlad(空腹)は、使われる場面がまったく違うので、聞こえてきたのがRかLかなんてあんまり気にしなくてもいい。問題は、知らない言葉が出てきたときと、耳で覚えてつづりを知らない言葉が出てきたときなのだが、その場合には、もう外国人である特権を生かして、質問するだけである。
以上が、我がRとL問題に対する姿勢なのだけど、リクエストには答えられているだろうか。
8月8日12時。
確か黒田龍之助師の著書にRの前に、TとかPをつけて発音の練習をすると、Rの音が発音しやすいということが書いてあった。ただね、私みたいな人間が、そればっかりやっているとね、plzeňがprzeňになって、tlakがtrakになってしまうことがあるのだよ。8月9日追記。
楽天でも購入できるようになっていたので、キャンセルになる可能性はあるとは書いてあったけど、下巻は楽天ブックスのものを載せる。
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