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2019年10月03日

フラット〈私的チェコ語辞典〉(十月一日)



 チェコ語には「フラット」と音写できる、もしくは日本人の耳に聞こえる言葉が三つある。チェコ語の三つの子音「H」「Ch」「F」をハ行の「フ」で書き表し、二つの子音「R」と「L」のつく音をすべてラ行で書き表すことを考えると、理論上の組み合わせからは、もう少し数が増えてもいいのだが、幸いなことに、三つだけである。

 一つ目は「hrad」。おそらくチェコ語を勉強する日本人のほとんどが、最初に単数の格変化を勉強した、いや覚えた名詞のはずである。この言葉、男性名詞不活動体硬変化の例として、ほとんどすべての教科書で使われている。最初に出てくる言葉なので、熱心に、必死に覚えるから、この言葉だけは、格変化を完璧に覚えているという人も多いはずだ。もちろん、こちらも他人のことは言えない。
 意味は、すでに何度か登場している、ボウゾフ城のようなお城である。プラハ城のような、どこからどこまでが城なのかわからない教会などの建物も含めて複合体になっているものもあるが、たいていは、隊商路を見下ろす山の上、もしくは斜面に築かれていることが多く、住むことよりも戦いに使うことを目的とした建造物で、オロモウツの近くだと、ボウゾフ、シュテルンべルクあたりが有名である。
 この手の城は戦いで破壊されて、破壊されたまま城跡として残っていることもある。そういうのは、「zřícenina」とか、「ruina」と呼ばれることになる。オロモウツから近いところとしては、ベチバ川沿いの丘の上に建ち、現在では鍛冶師たちの聖地にもなっているヘルフシュティーンや、ヤナーチェクの生家のあるフクバルディの村の丘の上に建つお城の跡などがある。シュテルンベルクの北にあるソビネツは、お城と呼ぶべきか城跡と呼ぶべきか微妙である。改修が進んで、お城に近くなっているような気もする。

 もう一つの、日本語でお城と呼びたくなるような建築物は、「zámek」である。こちらは戦いではなく、居住のための建物で、平地にあることが多いが、丘の上の街の中にあることもある。クロムニェジーシュの大司教のザーメクのように周囲に庭園があって、現在は公園として開放されているところも多い。
 この二つのお城を意味する言葉、覚えるのはそれほど難しくない。ただ、場所と方向を表わす前置詞との組み合わせに注意しなければならない。日本人的な感覚で、チェコ人に説明された「v」と「na」、「do」と「na」の使い分けのルールに基づいて考えると、場所は「v」で、方向は「do」だと思うのだが、どちらも「na」を使う。屋根があって、建物であることが重要なんだから、おかしくないかと主張しても、結論は変わらない。外国語の文法なんてそんなもんだ。

 二つ目の「フラット」は、空腹を意味する「hlad」で、お城とは文字が一つ違うだけ。これも男性名詞活動体の硬変化であるのは問題ないのだけど、「R」と「L」の発音の違いを、し分けるのも、聞き分けるのも、「耳の悪い」日本人にはつらい話だ。読み書きに関しては、最初に覚えた名詞の「hrad」のおかげで間違えることはないし、文脈を考えれば、聞き間違えることもあるまい。
 例えば、友達に「ネマーシュ・フラット」と聞かれたときに、お城を持っていないかどうか聞かれたと理解するのは、よほどのお金持ちで歴史好きだけだろうし、「イデメ・ナ・フラット」なら、お城としか理解できない。文脈なく単独で出てきたときには、聞き間違える恐れがあるけれども、自分で発音するときに比べたら、大した問題はない。チェコ人には「hlad」と「hrad」が似ているというのが理解できないらしく、こちらの発音が聞こえるとおりに聞き取って、おかしいと不思議そうな顔をする。日本人が「R」と「L」の区別つかないのは知ってるんだから、間違った発音を聞いても、そこは黙って入れ替えて理解しろよと言いたくなるし、実際に言ってしまう。

 三つ目のフラットは「chlad」で涼しさとか冷気を表す言葉である。これも聞き分けたり、発音し分けたりする自信は全くないが、幸いなことにこの言葉は、名詞として使うよりは、形容詞形「chladný」、副詞形「chladno」で使うことのほうが多い。名詞が存在するのは知っているけれども、自分で使ったことはないと思う。
 もちろん、この言葉も、名詞であれ、派生した形容詞であれ副詞であれ、自分で発音するときに問題が発生するのは前の二つと同じである。日本人にとって、いや他の外国人にとっても「H」と「Ch」の発音は、厄介極まりないのである。
2019年10月1日25時。







タグ:発音 表記
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