2019年06月15日
所有形容詞@(六月十三日)
一昨日の記事のビールの名前「プシュカジョバ」で思い出した。この所有形容詞については以前から書こうと思いつつ後回しにしていたのだった。六月にしては暑い日が続いて、あまり書くべきこともないので、これに挑戦してみよう。
この所有形容詞は、一般の名詞でも人名でもいいのだが人を表す名詞から作るもので、後に続く名詞が誰のものなのか、誰に属するのかを表すのに使われる。機能としては二格にして名詞の後ろに持っていくのと同じなので、使わずに済ませようと思えば何とかなるものである。ただ、チェコの地名の中には、この所有形容詞が使われているものがかなりあって、そんな場所に行くときには、格変化させる必要があるので、ある程度は勉強して覚えておく必要がある。
一番有名なのはカレル四世にちなむ「Karlův most(カレル橋)」「Karlovy Vary(カルロビ・バリ)」などだろうが、学校名や通りの名前などにも頻繁に登場する。 カレルは「Karlova Univerzita(カレル大学)」「Karlovo náměstí(カレル広場)」など、いろいろなところに使われているから、これを使って、男性名詞活動体からの所有形容詞の作り方を説明しよう。
所有形容詞も形容詞の仲間のようなものだから、基本形は男性名詞単数につくときのものを使う。それはカレル橋の例からわかるように、「Karlův」である。つまり、男性名詞の活動体の後ろに「-ův」を付けてやれば、男性名詞単数一格につけるときの形が出来上がるのである。ただし、「Karel」→「Karlův」となるように格変化の際に落ちるいわゆる出没母音の「e」は消えるし、例外的に母音で終わる男性名詞の場合には、母音を取り去ってから語尾を付けることになる。「Smetana」→「Smetanův」のように。
女性名詞、中性名詞につける場合は、語尾が少し変わって「-ova」「-ovo」になる。これに男性の「-ův」を合わせてみると、所有形容詞の語尾がどうなるかが見えてくる。原則として子音で終わる男性名詞につける場合には、所有形容詞も子音「v」でおわり、「a」で終わるものが多い女性名詞の場合は「a」、「o」で終わるものの多い中性名詞は「o」を取るのである。これから複数の場合も同様だと考えて、男性名詞活動体は「i」、不活動体と女性名詞は「y」、中性名詞は「a」になるということが想定できるが、その想定は正しい。
つまり、硬変化のそれぞれの性に特徴的な名詞を選ぶ限り、1格においては、所有形容詞の語尾と、名詞の語尾が常に一致するのである。とりあえず、これを覚えておくと、所有形容詞の使い方は楽になる。念のために一覧にしておく。
単数
Karlův kamarád (男性名詞活動体)
Karlův most (男性名詞不活動体)
Karlova Univerzita(女性名詞)
Karlovo město(中性名詞)
複数
Karlovi kamarádi(男性名詞活動体)
Karlovy mosty(男性名詞不活動体)
Karlovy Univerzity(女性名詞)
Karlova města(中性名詞)
軟変化や特殊変化の名詞が出てきて、所有形容詞の語尾に自信がないときには、硬変化に合わせて語尾を決めてから、名詞につなげてやると間違いが少なくなる。特に単数では、原則として所有形容詞の語尾は名詞格変化の語尾と共通するので、例外の部分さえ覚えてしまえば楽である。
ということで格変化を示す。
男性名詞活動体
1Karlův kamarád
2Karlova kamaráda
3Karlovu kamarádovi
4Karlova kamaráda
5Karlův kamaráde
6Karlově/u kamarádovi
7Karlovým kamarádem
3格と6格は、男性名詞の活動体で特殊な語尾「-ovi」が出てくるが、二語以上の男性名詞が並んでいる場合、この「-ovi」をとるのは最後の名詞だけで、それ以外は「-u」になるというのを思い出せば、共通の語尾だととらえることができる。6格の「ě」に関しては、男性名詞硬変化の6格にしばしば「e」を取るものがあるからこれも共通すると考えておく。5格は使う機会があるとも思えないので、無視してもいいのだがここは例外。
最大の例外は、7格で所有形容詞の語尾が、名詞の語尾ではなく、形容詞の語尾になっていることである。つまり、所有形容詞の格変化は、名詞と形容詞の格変化のハイブリッドというとチェコ語には似合わないので、ミーハネー・バイチコなのである。これは複数の格変化で形容詞の語尾を取るものが多いのの前触れだと考えておこう。
男性名詞不活動体
1Karlův most
2Karlova mostu
3Karlovu mostu
4Karlův most
5Karlův moste
6Karlově/u mostě/u
7Karlovým mostem
活動体で問題にしたのを除くと、語尾が一致しないのは2格である。ただこれも男性名詞不活動体の中に、特に古くから使われている言葉の中に、二格で「a」が出てくるものがある。たとえば「les」→「lesa」とか、地名でもプシェロフやプロスチェヨフは、2格で「a」を取るから覚えやすいはずである。
念のために指摘をしておくと、所有形容詞も、活動体につく場合には、2格と4格が同じ形になり、不活動体の場合は、1格と4格が共通になる。
次は男性名詞の場合と共通点の多い中性名詞から先に取り上げる。名詞と所有形容詞の語尾が完全に一致しているのがわかってもらえるはずである。
中性名詞
1Karlovo město
2Karlova města
3Karlovu městu
4Karlovo město
5Karlovo město
6Karlově/u městě/u
7Karlovým městem
長くなったので女性単数と、複数は明日に回すことにする。
2019年6月14日21時。
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