2019年05月06日
平成雑記2(五月四日)
昨日の記事を書きながら、はて、どうして日本史ではなく世界史を選んだのだろうと考えてしまった。最終的には英語ができるようにならないことで断念したけど、大学で外国文学を勉強しようなんてことを考えていた時期もあったのだ。翻訳作品なんてろくに読んでいなかったのにそんなことを考えていたのだから、我ながらあほである。その前の理学部の物理に行くという妄想に比べれば、実現の可能性は高かったと今なら思うけれども。
当時はまだ外国語の学習のことがわかっていなかったから、英語ができない人間が、他の外国語ができるようになるとは思えなかったのだ。英語の教師達の、英語は一番簡単な外国語なんだから、英語ができないと他の外国語なんてできるわけがないという言葉を信じたのがいけないのだけど、当時の自分を思い返すと、仮に英語以外の外国語を勉強していたとしても物になったとは思えないが、英語ができないことが、そのまま他の外国語の勉強を諦める理由にはならないことは断言しておきたい。
もちろん、教材や辞書などのことを考えると、英語ができることは、他の外国語を学ぶに際して有利なことも多いだろう。しかし、その外国語を学ぶ、つまり言葉や文法を覚えたり、覚えたことを実際に使ったりすること自体には、英語ができることはさして役に立たない。せいぜい英語と同じ系統の言葉の学習で似ている点があれば有利になるぐらいだろう。
英語が苦手な人が、他の外国語を見につけるためには、英語の学習で失敗したことを繰り返さないことが重要になる。そのためには自分の失敗を客観的に見つめて何がいけなかったのかを理解する必要があるから、大学受験で英語に苦しめられる生活が終わったばかりの大学一年生には難しいかもしれない。英語の学習が失敗したことを認めるのは結構ね。一般受験で大学に入れるレベルにあるということは、ある程度はできるというわけだし。
大学は文系のしかも、国文だったから、高校の勉強は受験に合格する以外には役に立たないなんて主張に賛同してしまうこともあったのだが、今から思い返すと、そんな戯言をわめいていた大学時代にしてからが高校時代にある程度真面目に勉強しておいたことの恩恵を受けていた。塾でアルバイトをしていたのだが、小さな個人経営の塾だったので、数学やら理科なんかまで教えさせられていたのだ。困らなかったのは高校時代の受験勉強のおかげである。
学習に失敗した英語でさえ、全く話せないと言うわけではなかったから、初めてチェコ、スロバキアを旅行したときには、チェコ語を勉強する前だったこともあって、片言よりは少しましな英語を使って旅行していたのである。イギリス人の英語が聞き取りにくくて苦労したし、チェコ人で英語ができる人はそれほど多くなかったけれども、あのときは英語がなかったら旅行できていなかったはずである。
理科に関しては、チェコ語ができるようになって、通訳、翻訳の仕事をしている時に意外なほど役に立った。チェコ語で元素をなんと言うかなんて、教科書には出てこない。酸素が「kyslík」というのぐらいは、師匠が閉ざされた部屋に入って窓を開けるときに叫んでいたから、質問して教えてもらっていたけど、他は金属名=元素名になっているものぐらいしか知らなかった。だけど、元素記号を覚えていたおかげで、水素やらリン、硫黄、砒素なんかが辞書を引かなくても、元素記号は? と質問することでわかったのである。
国語に関しては、当然古文、漢文の基礎ができるようになっていたことが、大学での勉強をかなり楽にしてくれた。今でも忘れられないのが、漢文のテストで、B4一枚白文で埋め尽くされているのに訓点を振っていくというものである。持ち点が100点で間違い一ヶ所につき減点1という採点方式で、先生の話では大体みんな3行ぐらいで零点になるという過酷なものだった。古文でひたすら品詞分解するってのもあったし、高校での勉強よりも上のレベルで、訓読や品詞分解を何度も何度も繰り返すことになったのだが、その繰り返しのおかげで、今でも古文漢文大体問題なく読めるのである。
この時点で繰り返すことで知識を頭に詰め込むことに大事さに気づいていればよかったのだけど、そういう一般化はなぜかせず、英語の勉強をやり直そうなんて気にはなれなかった。受験が終わったら忘れたと広言しながら、学習が失敗に終わったことは認められなかったんだよなあ。だから第二外国語のドイツ語の学習にも失敗し、こちらはもう真面目に勉強すらしなかったから、失敗して当然ではあったのだけどね。
チェコ語の学習を始めたときに、英語とドイツ語の勉強とはまったく違うやり方を選んだのは、同じやり方、つまり効率的に勉強しようというやり方ではうまく行かないことが目に見えていたからである。その意味ではドイツ語の学習もチェコ語の学習の役に立ったとは言えるのである。
またまた迷走。
2019年5月5日24時。
タグ:大学
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