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2019年03月29日

春バテ(三月廿七日)



 今月の初めに引いた風邪は、一週間で何とか普通の生活ができるところまで治し、咳と鼻水を引きずりながらの二週間を過ごして、今週は体調が完全に戻るはずだったのに、なんだかさえないのである。頭が痛いというよりは重く、何かを考えようとしてもいつも以上に回転が鈍くていつまでたっても思考がまとまらない。気が付いたら時間が……なんてことが頻発している。
 頭だけではなくて体のほうもなんだかだるくて、普段は職場まで運動不足の解消もかねて歩いているのだけど、ついついトラムを利用してしまう。歩けないと言うわけではないので、身体的な問題ではなく、精神的な問題なのだろう。それで思い出したチェコ語の言葉がある。「jarní únava」、直訳すると春の疲れということになる。

 昔、チェコに来たばかりの冬のこと、チェコ人の知り合いから、野菜や果物をたくさん摂らないと春になって大変だよと忠告されたことがある。あの頃は、主食はビールで、レストランで出てくる野菜はしなびれた、できれば食べたくないようなものばかりだったし、果物なんてなかったわけではなかったが、今と比べれば種類も少なく、質も酷いものが多かった。だから野菜も果物も大して食べることのないまま春を迎えたのだが、大変だったかどうかは覚えていない。冬が長くて大変だったのは、当時は毎年のことだったし覚えているけどさ。
 確か冬の太陽が出ない間にビタミンをちゃんと摂取しておかないと、春になって太陽の光を浴びるようになったときにつらいよというのが、その人の話だったと思うのだけど、個人的には、冬の寒さに耐えてきて、その冬を乗り越えたと安心したところで疲れが表にでるのだと理解した。冬の寒さに耐えられずに疲れた疲れたと連発している人間にはあまり関係ないものだと考えていたのである。
 しかし、今年の我が現状を見るに、「jarní únava」と呼んでもよさそうである。今年の冬はかなり寒く、雪も多かったのだが、最悪だったのが、寒さが緩んでこれでもう暖かくなると思わせておきながらの寒の戻りが何度かあったことである。寒いの範囲内での気温の上がり下がりなら、期待することもないのだが、今年は最高気温が15度を超える日が何日か続いて、これは本格的な春の到来だと期待すると、また最高気温が0度近くという寒さが戻ってくることが何度か繰り返された。だから、今の疲れは、期待外れの繰り返しによって起こされたものだと考えていいのかもしれない。

 そう言えば、今週の初めにはもう一つの期待外れにぶつかったのだった。昨年あれほど話題になり、廃止するという意見で一本化されたに見えた夏時間が、今年も行われるというのだ。3月の下旬になっても全く話題に上らなかったから、今年から一年中冬時間のままかもしれないと期待していたのに、知人に今年はカレンダー業者なんかの問題もあって継続らしいと教えられた。
 そして、昨日か今日のニュースで、EU議会が2021年からの夏時間廃止を決定したという話を聞いた。仕事が遅すぎるぞEU。チェコや周辺の旧共産圏諸国にはあれこれせかすような言動を繰り返すくせして、今まで何やってやがったんだ。去年廃止の話が出てきたのは、すでにEU議会の中で話が煮詰まりつつあったからじゃなかったのか。あと最低でも二回あの苦しみに堪えなければならないのか。いやチェコが夏時間を一年中使用することにした場合には三回なのか。仕事がなくて、お金がたくさんあればこの時期日本に一時帰国するという手もあるけど、時差ボケでさらに大変なことになりそうだし、花粉症もあるからなあ。
 今の体のだるさは毎年夏時間開始後に感じているものに似ているような気もする。期待外れのショックで夏時間開始後の体調を先取りしてしまったのだろうか。いやな想定である。今度の週末にヨーロッパを襲う夏時間への変更後、さらにひどくならないことを願っておこう。日本ではオリンピックに向けて夏時間を導入しようとか言いだしていた人たちがいるらしいけれども、お前ら一年ヨーロッパに住んで体験してみろと言ってやりたくなる。

 ということで、今のどうしようもない疲労感は、春バテと言っていいのだろうか。期待外れバテとか夏時間バテとか言うほうが正確なのだろうけど、語呂は夏バテと似ている春バテのほうがいいから、春バテということにしておこう。こんな記事を書いたのは、先週から今週にかけてもらったメールのうち返事ができていないものがいくつもあるからである。返事が来ていないぞと怒っている方、読まれていたらこういう事情だと理解していただけるとありがたい。こんな駄文はいくらでも書けても、丁寧なメールは書けそうもないのである。
2019年3月28日22時。









タグ:夏時間 愚痴
posted by olomoučan at 07:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 戯言
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