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2022年02月12日

装備の後乗せ思想滅ぶべし(笑)!【軍事技術】

『ミサイルを後から乗せるのはやめようね!』
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世の中には、艦船の装備について後から出てきた兵器を載せればもっと最強になるんじゃね?なんて発想がよく出てきます。

図1 ミサイル発射
図1 シースパロー発射.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/about/img/engan2.jpg

しかしながら、実際には想定していない装備を後乗せすると船の設計的にはえらいことになります。

メタセンタがぁ〜!メタセンタがぁ〜!メタセンタがぁ〜!

おのれ、装備の後乗せ思想滅ぶべし(笑)!
(前回記事):『【世界情勢】ロシアやべーな!トランスニストリア侵攻もあるかな?
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(1)三菱F-2様のツイートを見て思わず・・・

いつもコメントを寄せていただいている、三菱F-2様のとあるツイートを見てふと考えました。

どれくらいの現実性があったのか、思考実験で考えてみました。

1.1 はやぶさ型ミサイル艇に対空ミサイルを載せるとしたら?

2022年1月のツイートで興味深いものを発見しました。

図2 三菱F-2様のツイート
図2 三菱F-2様.png
引用URL:https://twitter.com/heisei0fighter/status/1485863690125471745

一か月遅れのツイートのネタに全力で今更乗っかってみます。

『これ以上はやぶさ型に重量物を載せないで〜!』
『はやぶさ型の復元力はもうゼロよ〜!』
『これ以上メタセンターを上げないで〜』

ホントにこれ以上載せると、はやぶさ型ミサイル艇が転覆してしまいます。

1.2 まあCDSが対空ミサイル機能カットされているからなあ〜

まあはやぶさ型ミサイル艇については、戦闘指揮システムCDSがOYQ-8B/8Cとなっていて最初から対空ミサイル能力搭載を考慮していない設計にはなってます。

元々、魚雷艇の進化型という発想ですので対空ミサイルまでは当時の運用要求に求められなかったという部分があります。

もし対空ミサイル搭載前提だったら、もっと設計が変わっていたでしょう。

1.3 本当に搭載するとしたらどうする?

装備後乗せでパワーアップもロマンですが、船の設計における重心や浮力の変化についてあまり顧みられないという現象があります。

『装備マシマシ・・重心上がる・・・滅ぶべし!』(艦艦技術者の思考)

しかし、本当に増加要求として装備することを要求されたらどうするか?という風に考えるのも面白いでしょう。

ちょこっと思考実験をしてみましょう!
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(2)はやぶさ型ミサイル艇にどのように対空ミサイル載せる?

どのようにしたら、はやぶさ型ミサイル艇に対空ミサイルを搭載して戦闘力を発揮できるか考えてみましょう。

図3 はやぶさ型ミサイル艇
図3 はやぶさ型ミサイル艇.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/pg/hayabusa/#824-2

この際、かかる費用は無視してみましょう。

2.1 CDSは全部総入れ替えになるな!

はやぶさ型ミサイル艇は戦術情報処理装置(CDS)については、OYQ-8B/8Cを搭載しています。

番号だけ見たら、あさぎり型のOYQ-7より進化しているように見えるかもしれません。

実際のところは、むらさめ型護衛艦(03DD)と同時期に「1号型ミサイル艇(03PG)」の計画が行われ、03PGの方が早く就役したのでOYQ-8として命名されました。

図4 1号型ミサイル艇
図4 1号型ミサイル艇.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/oominato/gallery/ships/pg3/img/pg3-4.jpg

最初から水上戦用の能力のみを考慮したCDSとして設計されいています。

そのため、たかつき型護衛艦のように大規模改修にてCDSをOYQ-7かOYQ-9に換装してしまう必要があります。

CDSの換装にて、ようやく対空ミサイル発射のシステムを用意することができます。

2.2 ミサイル発射機はVLSではキツイ!

はやぶさ型ミサイル艇については、できるだけ重量が軽くてコンパクトなミサイル発射機が必要となります。

実のところ、MK48mod3であれば約8トンまで小型軽量化できるところがあります。
(OTOメララ76mm砲だと総重量12トン:砲塔と下部の弾薬倉込みの重量)

図5 mk48mod3
図5 MK48mod3.jpg
引用URL:http://www.mdc.idv.tw/mdc/navy/usanavy/mk48-mod3.jpg

しかし問題は、MK48mod3でも甲板上に出ているものが全てではなく、甲板下に1層分制御装置などを入れるスペースが必要になります。

実質約5mの高さになるものを、はやぶさ型船体中央部に埋め込むのは難問といえます。
(機関室や乗員用スペースがつぶされるため)

そのため、あさぎり型まで使用していたMK29(GMLS−3)発射機が最適でしょう。

図6 MK29(GMLS−3)
図6 mk29.jpg
引用wiki

重量6~7トンで高さが最大でも約3m程度に収まります。

こいつを使ってどのように装備してみましょうか?

2.3 無理やり搭載するならこうする!

もしも無理やりにでも、はやぶさ型ミサイル艇に対空ミサイルを搭載するとしたらこんな感じになるかもしれません。

図7 はやぶさ型改造案
図7 はやぶさ型改造案.png

・・・かなり無理やりですが作ってみました。

@対空ミサイルはMK29ミサイル発射機を艦首に設置する。
A76mm砲は、船体中央部に上部構造物を新設して背負い式にする。
B複合作業艇は、上部構造物に格納する。

どう考えても、重心とメタセンタが上がってしまう設計になります。

オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートみたいな感じになってしまいます。

図8 オリバー・H・ペリー級
図8 オリバーハザードペリー級フリゲート.jpg
引用wiki

しかしながら、主砲を艦首に乗せなければいけないという規則はないので重量バランスから中央部に艦砲を持ってきた方がいいでしょう!
(射撃の人に怒られそう・・・)

やはり装備の後乗せは、いろいろなところに影響を与えます。
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(3)やはり新設計のFFMの方がいいかも・・・

色々と思考実験として、はやぶさ型に対空ミサイルを搭載してみるという考えをやってみました。

結論としては、新規に設計した艦に換装するのが一番!です。

3.1 やっぱり哨戒艦に76mm砲搭載しようぜ!

新規設計にて、はやぶさ型ミサイル艇の代替えとしても使えるものとして哨戒艦が使えるでしょう。

本ブログでは、哨戒艦に76mm砲を!と主張してきました。
(関連記事)『【海自】哨戒艦(OPV)の主砲にはOTOメララが最適だ!

可能であれば、対空ミサイルの搭載を最初から考えた設計にて行ってほしいものです。

小型艦船でも、設計次第では対空ミサイルは搭載できますよ〜!
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2021年09月23日

韓国SLBM技術はロシア技術の流入か?【軍事技術】

『まさかロシア式発射をするとは思わんかった!』
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2021年になって韓国潜水艦からのSLBM発射映像が登場してきましたが、発射シーンを見て唖然としました。

まさかSLBM発射について、ロシア式水中発射技術を使ってくるとは予想外の出来事です。

前々から指摘していた、ロシア技術が韓国へ流入している可能性が高くなってきたといえます。

韓国の軍事技術の行き着く先は、ロシア式なのか?!
(前回記事):『【軍事技術】EMP弾開発中止にみる供給停止部品という問題
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(1)韓国のSLBMはロシア式発射を使った!

韓国は、2021年にSLBM発射実験成功を宣言して9月15日に映像を公開してきました。

そんな中で登場した玄武-4-4について驚くべき光景を見ることになります。

1.1 発射成功のようだけどちょっと待ったー!

韓国SLBMについては、どうやら発射成功としてちゃんと飛行したようです。

図1 韓国SLBM発射
図1 韓国SLBM発射.png
引用URL:https://www.nknews.org/wp-content/uploads/2021/09/SLMB-935x500.png

かすかに水面下に潜水艦らしきものが見えることから、ちゃんと潜水艦のVLSから発射されたようです。

一時期はほんとに潜水艦から発射できるのか疑いを持っていましたが、発射システムも含めて完成していたようです。

ただ発射直後の写真を見て、かなりびっくりするようなところがありました。

1.2 ロシアのAPCC(緩衝ロケット発射システム)?!

発射直後のシーンをよく見てみると、ミサイルの先端部からカバーがロケット噴射で飛び出していることが分かります。

図2 ロケットカバー噴出
図2 ロケットカバー噴出.png
引用URL:https://twitter.com/nknewsorg/status/1438079085188575235
さらに水面上に出た直後のロケットの射出方向は、少し斜めになっています。

こいつは多田将先生が、弾道弾という本で紹介していたAPCC(ARSS:緩衝ロケット発射システム)というやつではないでしょうか?

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図3 R-39
図3 R-39.png
引用URL:https://twitter.com/KomissarWhipla/status/1120280775633641472/photo/2

R-39(SS-N-20)などロシアでのSLBMで、発射するときに弾頭先端にかぶさって本体を保護するものです。

発射直後のSLBM水上に出た後に外れるのは、写真やイラストで知っていたけど多田将先生の著作弾道弾でようやく正式名称を知ることができました。

図4 発射イラスト
図4 発射イラスト.jpg
引用URL:https://topwar.ru/uploads/posts/2016-05/thumbs/1464282133_r-39-5.jpg

そんなAPCC(緩衝ロケット発射システム)が、まさか各国SLBMに搭載されているとは想像外です。

1.3 インドのSLBMみたいやな〜

APCC技術といえば、近年インドのSLBMでも似たようなAPCC技術が使われていました。

図5 インドSLBM
図5 インドSLBM.jpg
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/wnAGumjMozc/maxresdefault.jpg

インドは、ロシア製兵器の購入や共同開発もしているのでロシア秘術を持っていてもおかしくありません。

しかし、韓国がロシア技術であるAPCCを行うとは想像外でありロシア技術の流入を疑うべきかもしれません。

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(2)韓国もウクライナ技術の入手を行ったかも?

韓国のSLBM玄武-4-4については、玄武-2Bを改良したものだといわれていますが写真からだと細身に見えます。

今回のミサイルは、むしろウクライナミサイルGROMの改良かもしれません。

2.1 GROMの初期型に似ている?

今回発射された玄武-4-4については、イスカンデルミサイル系統のちょっと太めのミサイルとはなっていませんでいた。

SLBMの発射を見て思ったのは、ウクライナのGROMの初期型みたいなミサイル!という印象です。

図6 GROM初期型
図6 GROM初期型.jpg
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/597/NE0nn.jpg

この初期型GROMは、すっきりとした印象のミサイルとなっています。

むしろこっちの方が、SLBMとして転用されたのではないかと考えます。

2.2 北朝鮮と同じくウクライナから技術流入した?

韓国とロシア製兵器については、債務返済で供与されたT-80U戦車など一定のロシア製技術に対する基礎があります。

以前に、北朝鮮SLBM北極星3号についてウクライナ技術の流入を疑ったことがあります。

(参考記事):『【北朝鮮】北極星3号はウクライナからの技術流出を疑うべき!


今回は、韓国についても疑うべきでしょう。

2.3 玄武-4ミサイルは期待外れ?

2020年ごろから韓国が盛んに宣伝していた、地中貫通ミサイル玄武-4についても動画が登場しました。

玄武-2Bを改良してバンカーバスター代わりに使おうとしているようです。

図7 玄武-4
図7 玄武4.png
引用URL:https://twitter.com/nktpnd/status/1438166194608123905

玄武-2Bの弾頭部が色変わりしていますが、あまり変化がないようです。
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(3)韓国の技術流入はどうなってるのやら?

今回の一連の新兵器発表を見て、ロシア系の技術が韓国に流れていることは間違いなさそうです。

今後は、北朝鮮だけでなく韓国の弾道ミサイルや超音速対艦ミサイルにも留意が必要かもしれません。

図8 対艦ミサイル
図8 対艦ミサイル.jpg
引用URL:https://www.thedrive.com/content-b/message-editor%2F1631729185230-southkoreasupersonicasm.jpg?quality=60

なんでP-800ヤホントみたいな外見になってるんですかねぇ(震)?

今後とも警戒が必要でしょう!
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2021年09月04日

EMP弾開発中止にみる供給停止部品という問題【軍事技術】

「ECPを見るのはもう嫌じゃ〜!!」
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令和4年度概算要求書が登場する時期となり、合わせていろんな開発品も登場してきました。

そんな中で、EMP弾構成システムの研究が所要部品の調達が不可能となり研究中止となりました。

供給停止部品の発生による、装備品の部品供給に影響を及ぼすことは今後も多々あるでしょう。

本気でサプライチェーンの整備が、必要な時期になってきているかもしれません。

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(1)悲報!EMP弾開発中止

平成30年度から防衛装備庁で研究開発が行われていた、EMP弾構成システムについて研究中止となったことが分かりました。

必要部品の供給停止により入手不可能となったためです。

1.1 EMP弾構成システム研究って何?

平成30年度から研究が始まったもので、EMP効果を発生させることにより直接的な破壊によらず敵システムの機能破壊を狙うものです。

図1 EMP弾要素
図1 EMP弾構成要素.png
引用URL:https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11591426/www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/29/pdf/jizen_06_sankou.pdf

開発に成功すれば、電磁波領域の戦いにおいて優位に立つことのできるゲームチェンジャーとなるはずでした。

核兵器に頼らない、EMP弾の開発は各国がしのぎを削っています。

図2 防衛省EMP研究
図2 防衛省基礎研究EMP.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/img/rikusouken/img2019_rikusouken01.png

基礎研究を踏まえて、装備化に向けて開発研究へと進んでいました。

1.2 何が発生したか?

今回発生したのは、平成30年度から始まっていたEMP弾構成システムの研究試作(その1)において、試作品に必要不可欠な部品が入手不能となったためです。

官側と契約受注会社(プライムメーカー)ともに、必要部品は汎用品(カタログ品)であると認識していたのですが、部品供給会社(サプライメーカー)から「供給できない」との回答となってしまったのが原因です。

Vircator:Virtual Cathode Oscillator (仮想陰極発振器)と呼ばれる、パルス発振発生装置を使う予定だったようです。

図3 仮想陰極発振器原理
図3 仮想陰極発進.png
引用URL:http://www.kobe-kosen.ac.jp/activity/publication/kiyou/Kiyou12/Data/Vol51Letter179-182.pdf

装置そのものは、電力パルス研究でも使われているものでありそれほど目新しくないものです。

しかしながら、どこかで齟齬(そご)が出てしまったのでしょう。

見積もり段階では供給できるとなっていたところが、発注の段階で供給拒となってしまったようです。

その結果、研究試作(その2)では入札に応募する会社が現れず契約不成立となり令和2年に研究試作(その1)も契約解除願いが出されて研究中止となってしまいました。

1.3 別計画での研究が始まった模様

EMP弾については、今後のクロスドメインオペレーションに必要な装備であることから別計画にて研究の再開を目指していることが判明しています。

しかしながら、今回の部品入手困難による研究中止や現有装備品の部品供給停止問題はもっと問題になってもよいかもしれません。

現状の防衛関連産業について、官側の大幅な意識改革がなければさらに頻発するでしょう。
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感想(1件)


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(2)防衛関連事業が儲からない状況を何とかすべき!

私ペンギンも、技術整備部門にて企業と交渉したり商談の中で、いろいろな内情を雑談で話す機会がありました。

官(防衛省側)が大幅に意識改革をしないと、企業がどんどんと防衛関連事業から撤退してしまうと感じていました。

2.1 防需の旨味は金払いの良さだけ!

企業との商談の中で印象的だった発言は、
「防衛関連事業は旧海軍からの付き合いがあったから続けているだけ」
「現在では防衛関連事業を続けることに対して、株主への説明が苦しくなっている」
「防需を行う利点は、すぐに支払いをしてくれるということだけになってる」


かなりキツイ発言ですが、企業にとって防衛関連事業は儲からないものとなってしまっています。

多数の書類作成や、監督検査・急な仕様変更など企業側に負担を強いているものが結構あります。

図4 監督検査
図4 監督検査.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/rdb/tokai/toukaibouei/soubihin/image3.jpg

2.2 長い運用期間と製造中止部品対策

防衛省装備品は、長い運用期間により部品の製造中止が発生したりします。

契約企業は、長い間保守点検や製造中止部品対策を行う必要に迫られます。

図5 あさぎり型護衛艦
図5 あさぎり型護衛艦.jpg
引用wiki

海自だとようやく「はつゆき型」護衛艦がほぼ退役しましたが、あさぎり型護衛艦についてはまだ退役の見込みが立っていません。

何回も製造中止部品の発生による、ECP(技術変更提案書)での部品交換工事を行った苦労が絶えない護衛艦でした。

企業も製造中止部品により、何度も振り回されることになります。

それなのに各種修理費などが抑えられ、企業側に負担がかかってきます。

2.3 サプライチェーンに無関心すぎた防衛省

防衛省の問題の本質は、サプライチェーンに対する無関心ではないかと思っています。

図6 サプライチェーン
図6 サプライチェーン.png
引用URL:https://frontier-eyes.online/wp-content/uploads/2020/02/サプライチェーン.png

「防衛という国家事業だから企業は協力するだろう」
という思い込みを防衛省側がいまだに持っていることが問題だと考えます。

企業との商談を通して感じたのは、

・「防衛産業という分野の存在は、企業のイメージに寄与していない」
・「むしろマイナスのイメージを他の顧客に持たれてしまう。」
・「防衛産業に関わりたくない企業の方が多い」

ということです。

私が補給処で企業と接したとき、
『買収で会社方針が変わり、自衛隊との取引はやらないことになった』
という部品供給会社がありました。

企業方針を捻じ曲げて供給してもらえるわけではないため、装備品製造会社が購入して部品供給を続けるということもありました。

サプライチェーンへの防衛省側の認識をきちんとすべき時期だと考えます。
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(3)ダブルGCIP排除なんて考えは捨てるべき!

防衛費の高騰について、財務省から高コストとなる要因としてダブルGCIPを排除しろ!なんていわれ続けています。

しかしながら、防衛省(防衛装備庁)にサプライチェーンの関心がないのであれば認めるべきでしょう。

3.1 ダブルGCIPについて

GCIPについては、製造原価に企業の一般管理・販売費・利子率・利益率を載せたものです。

1社のみで装備品製造するのであれば問題なのでしょうが、装備品は多くの会社が関わります。

図7 ダブルGCIP
図7 ダブルGCIP.png
引用URL:https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia291031/03.pdf

航空機・艦船など大物になれば、各社のGCIPに加えて主契約者のGCIPもかかってきます。

税金の有効活用という面では、ダブルGCIP排除という考えは正しいかもしれません。

しかし、製造という観点から考えるとダブルGCIPを計上してでもプライムメーカーとの協力態勢を取るべきでしょう。

3.2 ボーイング787という失敗を見るべき!

ボーイング787という革命的に見えた航空機プロジェクトを失敗の見本として考えるべきでしょう。

図8 ボーイング787
図8 ボーイング787.jpg
引用URL:https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/a/apokaru/20160505/20160505100442.jpg

コスト削減のため部品供給メーカーを並列に活用して、ボーイング本社の管理費削減を狙いました。

結果的には、開発期間の延長に次ぐ延長・目標費用の大幅な超過を招いてしまう結果となりました。

小手先の費用削減を狙うと、かえって計画の大幅な費用増大を招く結果となりました。

今回のEMP弾構成要素研究など、今後の装備品開発製造において部品供給リスクを甘く見るべきではないでしょう。

部品供給停止対策など、普段からの企業との付き合い方を考える時期に来ているといえます。
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2021年06月05日

海賊派遣で機銃どこに置く?あさぎり型の苦労話!【軍事技術】

『好き勝手に機関銃座を置くんじゃねえ(怒)!』
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派遣海賊対処行動水上部隊に派遣される護衛艦には、機関銃の銃座を増設することが多くなっております。

むらさめ型護衛艦以降の艦ではそれなりに機関銃座を設置する位置があるのですが、あさぎり型護衛艦だとえらい位置に機関銃座が設置されます。

図1 あさぎり型後部光景
図01 あさぎり型ヘリコプター.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/js/Activity/Gallery/images/Anti-piracy/pb_33/201904/20190425_02.jpg

スペースの取り合いの上に、機関銃座の不具合も重なりえらい目に遭った思い出がよみがえります。

もがみ型では何とかなるかな〜?
(前回記事):『【世界情勢】英仏は争ったり貶ししたり忙しいね〜!
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(1)あさぎり型も派遣するんすか(驚愕)?!

最近のソマリア沖海賊対処派遣については、あさぎり型護衛艦の派出も当たり前に行われるようになりました。

図2 護衛艦せとぎり護衛
図02 せとぎり護衛.jpg
引用wiki

しかし、海賊派遣当初にはあさぎり型護衛艦も派出するとなって後方部門がてんやわんやの大騒ぎになりました。

1.1 あさぎり型は派出しないって言ってたのに〜!

2009年にソマリア沖派遣が決まったときは、インド洋派遣が継続していた時期と重なります。

インド洋派遣については、基本的にあさぎり型を派出しないという方針が海上自衛隊内にはありました。

ちょうど、むらさめ型たかなみ型が就役している時期でありでもありました。

図3 あさぎり型全景
図03 全景.jpg
引用wiki

併せて、2000年ごろからIMO(国際海事機関)の規制強化が強まり、外航艦船の汚物処理基準が厳しくなっていたころです。

基準に適合するために、あさぎり型護衛艦については大規模に汚物処理装置を改修する必要があるため改修が終わるまであさぎり型を派遣しないという話になっていました。

ですが、ソマリア沖派遣も行われるため艦艇のやりくりがつかなくなってきました。

そのため、あさぎり型護衛艦も海賊対処派遣に駆り出されることになります。

聞いてないですよ〜!

1.2 改修工事を巡り大混乱!
さらに海賊対処では、防弾版やLRAD・自衛用機関銃の増設などが求められ大混乱になっていきます。

以前の記事で、海賊対処派遣準備工事でいろいろと書きましたが、いろんなところが入り乱れます。
(以前の記事):『【海上自衛隊】海賊対処派遣準備は大変だ!

造修補給所の工事担当だけでも、

@LRADの設置:需品科が工事
A通信機器増設:通信電子科の工事
B小火器銃座設置:誘導武器科の工事
C防弾板防弾ガラスの設置:船体科の工事

というようにあちらこちらの科が入り乱れた準備工事になります。

これが、むらさめ型やたかなみ型護衛艦ではすんなり進みました。

図4 LRAD銃座
図04 LRAD銃座.jpg
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/formal/operation/img/pirates/suijyo07.jpg

しかし、あさぎり型護衛艦の派遣準備工事になると大混乱になります。

『どこに後部警戒用の銃座を付けるんだ(怒)!』
1.3 後部銃座の設置をめぐり大騒ぎ!

むらさめ型以降の護衛艦後部ヘリコプター格納庫上部には、CIWSやFCS-2方位盤が置いてあるため、比較的簡単に後部警戒用銃座を設置することができました。
(むしろそこしか置く場所がありません!)

図5 むらさめ型後部
図05 むらさめ型後部.jpg
引用wiki

しかしながらあさぎり型護衛艦に置き換えると、とんでもない問題が発生します。

図6 あさぎり型を斜め前から
図06 あさぎり型を斜め前から.jpg
引用wiki

ちょうど排気熱で揺らぎが発生しているように、あさぎり型護衛艦のヘリコプター格納庫上部の位置は機関排気熱が直撃する場所になってしまっています。

そのため機関銃座なんて置いたら、配置人員が黒焦げになってしまいます。

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(2)射撃屋さん大激怒案件続出!果たして間に合うか?

小火器を扱う射撃屋さんにとっては、機関銃座で黒焦げはごめんこうむりたいところです。

さらに仮設する機関銃座の不具合発生により射撃屋さん大激怒連発です。

2.1 ここに設置しよう!ミサイル屋さん大激怒!

後部銃座については、とにかくヘリコプターの運航を妨害しないことを大前提に設置場所を探すことになります。

図7 後部甲板全景
図07 後部甲板全景.jpg
引用wiki

一時は、短SAM発射装置のさらに下にある後部係留装置が設置している後部甲板に機関銃座を設置することも検討されました。

しかし、防弾板で開口部を閉鎖すると出入港作業の邪魔になるとの見解により取りやめとなります。

そのため結局は、短SAM甲板に後部機関銃座を設置することになりました。

図8 後部銃座
図08 銃座写真.jpg
引用URL:https://www.facebook.com/JMSDF.PAO.fp/posts/1073792486015802

多少不格好ですが、無いよりましな状況として妥協することになりました。
(ただ砲雷長やミサイル員・ヘリパイロットには大不評です。)

2.2 水上艦用機関銃架3型で大激怒!

そんなおり、住友重機が水上艦用の機関銃架について新型を売り込んできました。

「小型軽量になって設置も楽ですよ!」という触れ込みでした。

ちょうど5.56mm機関銃MINIMIを護衛艦に搭載するようになり、簡単に仮設できる小型銃架が必要となっていました。

図9 従来銃架台
図09 機関銃座.jpg
引用URL:https://twitter.com/JMSDF_PAO/status/1262270858778689538/photo/1

従来の銃架だと、M2機関銃専用となってしまい重量もあるため設置場所が限られていました。

必要なので早速試作品を設置して水上で射撃してみると、1本支柱の長さが悪かったため甲板と共振してしまい、射撃散布界がとんでもなく広くなってしまうものとなりました。

『おんどりゃああ(怒)!出直してこ〜い(怒)!』

早々に試作品は撤去となり、3本支柱の銃架が登場することになります。

図10 3本銃架
図010 小型銃架.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/whatsnew/images/y635.jpg

あの頃は派遣艦艇の砲術長や射撃員が、連日造修補給所誘導武器科の監督官を締め上げていたなあ〜(大汗)。
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(3)あさぎり型は派遣が続く!

令和3年6月5日には、護衛艦「ゆうぎり」が第39次派遣隊として出港いたしました。

図11 ゆうぎり出港
図011 ゆうぎり出航.jpg
引用URL:https://twitter.com/ModJapan_jp/status/1401013759309541376/photo/2

海賊派遣は、今後も継続するため毎回ドタバタしているのが続いているかもしれません。

早くもがみ型護衛艦FFMが就役しないかな〜?

護衛艦「ゆうぎり」も頑張ってきてくださいね〜!
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2021年02月06日

英国製SPEAR3小型対艦ミサイルは使えるか?【軍事技術】

『この際小型化して大量積載してみては?』
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航空自衛隊向けのF-35B戦闘機の契約も本格化してまいりまいた。

将来的に、いずも型護衛艦に搭載するとき問題となるのが対艦ミサイル搭載の搭載です。

F-35Bには使えそうな対韓ミサイルとして、イギリス海軍導入のSPEAR3小型巡航対艦ミサイルがあります。

ドローン並みの行動をする巡航ミサイルSPEAR3などに注目だ!
(前回記事):『【図上演習E】何が悪かった?!事前演習反省会!
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(1)英国F-35B戦闘機に新ミサイル開発!

F-35B戦闘機については、英国空母「クイーン・エリザベス」用に調達が行われています。

今後英国空母機動部隊の主力戦闘機として活躍するでしょう。

図1 英国空母
図1 英国空母.jpg
引用wiki

1.1 英国F-35B戦闘機の扱い

英国では空母は海軍が運用していますが、F-35B戦闘機は空軍が運用する形になります。

かつてハリアー戦闘機を運用していた時は、海軍と空軍が独自に戦闘機部隊を運用していました。

図2 ハリアー戦闘機
図2 ハリアー戦闘機.jpg
引用wiki

F-35B戦闘機は、空軍で運用した方が効率的と判断されたのでしょう。

自衛隊におけるF-35B戦闘機も、航空自衛隊で運用されるため参考になるでしょう。

1.2 空母艦載機特有の問題

空母艦載機として、スキージャンプ方式の運用を行う場合どうしても問題となることがあります。

それは発艦時の兵装搭載量がどうしても減少することです。

空中給油機を使うことで、空母発艦時の重量を稼ぐことができますがそれでも陸上発進よりは減少します。

図3 F-35Bフル爆装
図3 F-35Bフル爆走.jpg
引用URL:https://livedoor.blogimg.jp/zap2/imgs/3/e/3e6c3147.jpg

ステルス機であるF-35B戦闘機の特性を犠牲にして搭載量を稼ぐ手もあります。

しかしながら、米軍くらいしかこんな荒業はできないでしょう。

そんな中で、ステルス性を保ちながら対艦ミサイルを発射するには苦労が必要です。

図4 F-35JSM
図4 F-35JSM.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/C5cg-02XMAQ1U7A.jpg


F-35B戦闘機についてはJSM搭載は、外部パイロンに搭載するやり方になります。

ステルス性を犠牲にして、1機について2発までしか搭載できないのは問題になるでしょう。

そんな中で、英国が新しいコンセプトの対艦巡航ミサイルを開発中です。

1.3 SPEAR3対艦巡航ミサイル開発中!

イギリスを拠点とするMBDA社が、SPEAR3巡航ミサイルを英国F-35B戦闘機用対艦ミサイルとして開発する契約を結びました。

図5 F-35Bミサイル
図5 SPEAR3ミサイル.jpg
引用URL:https://g7a6v6x7.rocketcdn.me/wp-content/uploads/2021/01/SPEAR3-for-ASUW-1024x724.jpg

ミーティア空対空ミサイルの開発も行っている会社ですので、今後自衛隊装備にも反映できるかもしれません。

搭載量の限られる艦載戦闘機用対艦ミサイルとして一つの答えかもしれません。

そんなSPEAR3ミサイルは、どんなミサイルなのでしょう?

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(2)いっぱい搭載するよ!ドローンみたいに集まるよ!

SPEAR3対艦ミサイルについては、注目の機能が搭載されており今後に期待できます。

大型化する対艦ミサイルに対するアンチテーゼとなるでしょう!

2.1 小型軽量の対艦ミサイル!

SPEAR3対艦ミサイルについて何よりも注目されるのは、小型軽量ということです。

図6 小型軽量ミサイル
図6 小型軽量ミサイル.jpg
引用URL:https://www.armytimes.com/resizer/twmZ7BS9v6GmTPXY69uhRgNqSzY=/1200x630/filters:quality(100)/cloudfront-us-east-1.images.arcpublishing.com/mco/LUMUQJKIVVAGBPFVHAHYIHP4JQ.jpg

人間との対比写真としてちょうどよい画像があったので掲載します。

ミサイル本体は、
@重量:100kg以下
A全長:2m
B直径:180mm
C射程:140km


といったほど小型軽量のミサイルとなっています。

そのため、通常の大型対艦ミサイルを搭載するパイロンに4発のSPEAR3が搭載できます。

図7 パイロン搭載
図7 パイロン.jpg
引用URL:https://g7a6v6x7.rocketcdn.me/wp-content/uploads/2021/01/SPEAR3-mini-cruise-missiles-to-provide-ASUW-capability-to-British-F-35B-770x410.jpg


通常の4倍の対艦ミサイル搭載量となります。

小さくても物量戦でとにかく弾を当て続ければ勝ちといえます。

2.2 スウォーム(群集)戦術が取れる!

SPEAR3ミサイルの特徴として、昨今のドローン戦争で有名になったスウォーム戦術を取れることです。

図8 スウォーム戦術
図8 スウォーム.png
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/D3oRWSDU8AEd7tz.png

スウォームは、群集戦術と呼ばれるAIを使った自立飛行と協調飛行を行い目標に殺到する戦術です。

2020年にアルメニアとアゼルバイジャンの紛争では、防空システムが破壊されるほどの圧倒的な実力を見せつけました。

そんな戦術を対艦ミサイルとステルス機で行おうというのです。

気づいた時には、数十の対艦ミサイルが接近しているのは恐怖としか言いようがありません。

2.3 電子戦やデコイにも?

SPEAR3ミサイルについては、空対艦ミサイルのほかにいろんなミサイルとして派生型が考えられています。

中には、電子戦(EW)用の妨害電波ミサイル型も提案が行われています。

その他にも、小型軽量の特性を生かした精密攻撃弾やデコイ(おとり)としても使える可能性があります。

図9 MALD−J
図9 MALDJ.jpg
引用URL:https://i2.wp.com/defpost.com/wp-content/uploads/2018/08/MALD-X.jpg

米軍にはすでに、デコイと電子戦を兼用する小型ミサイル「MALD-J(ADM-160C)」が存在します。

小型軽量ということで、量産性の高さを応用して派生型を増やすこともできるでしょう。

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(3)F-35Bは小型兵器にて活躍するか?!

F-35B戦闘機は、艦載戦闘機としてハリアー戦闘機を継承する革命的な戦闘機となるでしょう。

(参考記事):『【自衛隊】F35B戦闘機の導入が決定したけれど・・・

しかし、大量の兵装にて艦上から離陸することは難しいことを理解する必要があります。

3.1 ならば小型兵装だ!

自衛隊で、F-35B戦闘機を運用するときに目的とするものは何でしょうか?

対空ミサイルフル搭載で空戦?F-35A戦闘機に任せればよいでしょう。

対艦ミサイルフル装備で対艦攻撃?F-2戦闘機やP-1哨戒機・水上艦などに任せても十分です。

F-35B戦闘機を自衛隊で運用する最大の利点は、ステルス性と奇襲能力です。

重いミサイルや爆弾を抱えて飛び立つよりも、小型兵装で奇襲的に攻撃することがステルス性を生かせます。

図10 いずも運用構想
図10 いずも運用構想.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/pdf/20190801.pdf

防衛大綱(30大綱)にて、いずも型護衛艦の運用構想について書かれていましたが、

『敵空母部隊と太平洋にて空戦』

を運用構想の念頭に置いています。

その時に、大量の小型兵装にて数の暴力で圧倒することが求められます。

少ない搭載機には、小型兵装で多くの敵を制圧することが効率的といえます。

3.2 水陸機動団への支援

敵空母を撃破した後は、逆上陸する水陸機動団への空中支援が求められます。

有限な艦内搭載量を確保して十分な対地支援には、小型兵器が便利です。

導入が進んでいるGBU-39爆弾も、水陸機動団への支援に有効です。

F-2戦闘機や護衛艦からの主砲射撃に加えて、F-35B戦闘機の支援は大きな力になります。

図11 ビーストモード
図11 F-35Bビースト.jpg
引用URL:https://i1.wp.com/migiyori.work/wp-content/uploads/2018/10/lockheed-martin-f-35-lightning-ii-2880x1800-stealth-fighter-us-air-6698.jpg?resize=800%2C500&ssl=1

大量の兵装にて水陸機動団を支援するF-35Bは、新時代の自衛隊の象徴といえます。

今後、F-35B戦闘機用装備の継続的支援も必要でしょう。

3.3 ASM-3系はF-2に任せるべき!

超音速対艦ミサイルASM-3Aの調達が発表されましたが、F-35B戦闘機への適合は行われないでしょう。

何しろ大きさが巨大となりさらに射程延伸となります。

図12 ASM-3
図12 ASM3.png
引用URL:https://g7a6v6x7.rocketcdn.me/wp-content/uploads/2020/12/ASM-3-test-launch-ATLA.png

無理にF-35AやF-35B戦闘機に適合させようとすると、余計な費用が掛かります。

F-2戦闘機にはASM-3系統を搭載して、F-35BにはSPEAR3小型対艦ミサイルで武装するのが理想といえます。

対艦ミサイル戦闘は、数の勝負だからこそSPEAR3小型対艦ミサイルは使えますよ!

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2020年10月01日

電波妨害弾の後継かな?【軍事技術】

『令和3年度概算要求におもろい研究があるよ!』
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2021年度(令和3年度)概算要求書が提出され、いろんな装備品が出てきました。

その中でちょっと面白そうな「艦艇用デコイシステムに係る調査研究」が出てきました。

図1 デコイ(Nulka)
図1 ヌルカデコイ.jpg
引用wiki

あんまり顧みられなかった、艦艇用の電子戦妨害システムがようやく更新されそうです

英国との共同開発品が姿を変えて登場するかも?!
(前回記事):『【軍事技術】艦橋構造と艦砲射撃のお話
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(1)令和3年度概算要求が出た!

例年から1か月遅れにて、令和3年度概算要求が登場して防衛費の要求も登場しました。

護衛艦「かが」の改修費用231億円も計上されました。

(参考記事):『【海上自衛隊】空母化は2022年「かが」から開始か?!
1.1 護衛艦かが改修は甲板変更!

令和3年度概算要求の大きな事業の一つに、護衛艦「かが」の改修が盛り込まれています。

図2 護衛艦かが改修
図2 かが改修費用.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/yosan/yosan_gaiyo/2020/yosan_20200930.pdf

護衛艦「いずも」と異なり、艦首部の甲板形状変更が盛り込まれました。

やっぱりあの形状ではF-35B運用には、安全確保の距離が足りなかったかな?

さらに、「かが」も2回の改修が必要になったようです。

結局、護衛艦「いずも」が先に完全なSTOVL運用能力を獲得することになります。

1.2 電波妨害弾の後継?

令和3年度概算要求については、艦艇の電子戦に関する強化が盛り込まれました。

図3 艦艇用デコイ?
図3 艦艇用デコイ?.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/yosan/yosan_gaiyo/2020/yosan_20200930.pdf

『高性能の対艦ミサイルの脅威に対応するため、将来の艦艇用疑似電波発生装置(デコイ)に係る研究を実施』

という文言になっています。
『艦艇の電波探知妨害能力の研究(0.2億円)』と合わせて、艦艇用電子戦装備がようやく近代化されそうです。
(こちらは、NOLQ-3の後継を研究かな?)

海自に配備されているけど、ほとんどだれも姿を見たことのない「電波妨害弾1型」の後継機かと思われます。

1.3 Nulka(ヌルカ)導入というわけじゃ無いのね?

艦艇用デコイでの電波発生装置付きとなると、オーストラリアとアメリカが共同開発した「Nulka(ヌルカ)」が思い浮かびます。

図4 Mk-53 Nulka
図4 mk-53nukla.jpg
引用URL:https://fas.org/man/dod-101/sys/ship/weaps/mk-53nukla.jpg

アメリカ海軍では導入していますが、海自では導入してません。

システムが複雑な上にランチャー増設の手間もかかります。

図5 ランチャー
図5 ランチャー.jpg

引用wiki

通常のMk36SRBOCから発射できればいいんですけどね〜。
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(2)電波妨害弾1型って何?国内開発は?

電波妨害弾1型は、レア装備品になってしまったためほとんど見る機会がありません。

一般公開でも、展示することが無い装備です。

2.1 写真があった!

写真もほとんど存在しないものですが、技術研究本部50年史に写真が掲載されています。

図6 電波妨害弾T型
図6 電波妨害弾T型.png
引用URL:https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_1283286_po_TRDI50_05.pdf?contentNo=5&alternativeNo=

国立国会図書館デジタルコレクションに記録されていました。

技術研究本部と三菱電機が開発したもので、平成7年から配備されています。

そういえばこんな形していたな〜!現職の時は、船務士時代に1回だけ発射したことがありました。

効果があるのかないのかよくわからん状態でした。

2.2 IHIエアロスペースのTORERO(トレロ)の導入?

艦艇用デコイとなると、DSEI2019にてIHIエアロスペースとイギリスChemring Countermeasures社が共同開発した「TORERO(トレロ)」が浮かびます。

図7 TORERO発射
図7 TOREROその1.png
引用URL:http://www.arnosdesign.co.uk/rc_images/chemring18viii.pdf

Mk36 SRBOCから発射できる空中投棄型デコイです。

ただ、これは自分から電波を発射しないでRCSを最大化するパッシブ式のデコイです。

図8 TORERO展開
図8 TORERO展開.jpg
引用URL:http://www.arnosdesign.co.uk/rc_images/chemring18viii.pdf

TOREROを進化させて、電波発信機能を搭載する研究になるのかもしれません。

2.3 Mk251デコイ導入かも?

イギリスのChemring Countermeasures社は、電波妨害弾も開発しています。

図9 Mk251
図9 Mk-251.jpg
引用URL:https://www.thinkdefence.co.uk/mk-251-siren-active-decoy-round/

こちらも有力候補となるでしょう。

単なるチャフ弾をばらまくより、有効かもしれません。

(参考:チャフ発射動画)
https://www.youtube.com/watch?v=bas0ybx8zik
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(3)艦艇用のデコイ・チャフはまだまだ発展途上!

艦艇のチャフやデコイといったものは、電子戦が重要視されながらあまり発展していませんでした。

Mk36SRBOCがいまだに現役の状態です。

図10 チャフ発射図
図10 チャフ発射図.png
引用URL:https://astamuse.com/ja/drawing/JP/972/50/900/A/000008.png

3.1 チャフ発射しすぎ注意!

以前艦艇開発隊にいた時に、チャフ発射試験で物凄く怒られたことがあります。

護衛艦には、Mk36SRBCとして発射機が左舷右舷併せて6連装4基で24発分あります。

図11 チャフ発射機
図11 チャフ発射機.jpg
引用URL:https://livedoor.blogimg.jp/radiob1/imgs/6/a/6adbfe39.jpg

チャフ発射時のデーター計測の依頼があり、左右両舷同時に24発チャフ発射を行いました。
(通常片側舷のみの発射)

関係機関にもちゃんと連絡をいれ、航空機に対してもNOTAM(航空情報)を発信してもらいました。

相模湾に出て発射〜!と景気よく発射してみると、無風だったため大量のチャフが拡散せず空中をしばらく漂ってしまいました。

図12 チャフ発射のイメージ(フレア発射から)
図12 チャフ発射イメージ.jpg
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/uNZyE8XBUA0/maxresdefault.jpg

結果として、航空路を妨害してしまったので国土交通省東京航空局や厚木基地から、
『なにやっとんじゃ〜(怒)!』
と派手にお叱りの電話を頂く始末になりました。

3.2 電子戦訓練はつらいよ!

相模湾のように、近くに飛行場があると電子戦訓練がなかなか厳しい傾向にあります。

電子戦機器の試験は、制約の中で開発する必要がありなかなか大変です。

開発にはかなりの苦労があると思いますが、新しい艦艇用デコイの開発に期待しております!
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posted by sstd7628 at 16:34| Comment(4) | TrackBack(0) | 軍事技術

2020年09月22日

艦橋構造と艦砲射撃のお話【軍事技術】

『露天甲板で艦砲射撃が海の浪漫だろうが〜!』
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海上自衛隊の新型護衛艦になる、30FFMの船体建造がかなり出来上がってきたようです。

そんな建造途中の30FFMを見て、ああ射撃屋さんの嘆きが聞こえそうと思ってしまいました。

艦橋上部の防空指揮所で艦砲射撃という、海の浪漫は消えていく運命になりそうです。

そんな、艦橋構造物と艦砲射撃とのお話についてご紹介します。
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(1)30FFMには大砲射撃の浪漫が無い!

30FFM護衛艦が、2020年11月に進水・命名式を迎えるにあたって船体構造物がかなり出来上がってきたようです。

そんな中で、艦橋構造部を見ると今までの護衛艦とかなり違いが出ています。

1.1 艦橋とマストが一体化!

30FFMの特徴として、艦橋構造物と合わせて統合マストセンサが一体化しています。

図1 30FFM
図1 30FFM艦橋構造物.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EgjV443VgAE8zhN.jpg:small

一応、イメージ図では艦橋の上部にスペースができるようですが、おそらくほとんど立ち入りしないエリアになるでしょう。

図2 30FFMイメージ図
図2 30FFMイメージ図.png
引用wiki

そんな30FFMを見て、射撃屋さんの嘆きが聞こえそうです。
『大砲射撃の浪漫が失われた〜(涙)!』
1.2 射撃と艦橋の意外な関係

今のようなシステム艦が主流となった時代では、戦闘指揮はCICで行うのが一般的です。

対空射撃でも、基本はCICで行いますが訓練では艦橋で指揮をすることもあります。

図3 射撃時の艦橋
図3 射撃時の艦橋.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/images/y2054.jpg

ひと昔前では、艦橋上部に防空指揮所で射撃指揮が行われました。

図4 護衛艦「ゆうぐも」
図4 護衛艦ゆうぐも.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/oominato/gallery/ships/yugumo/img/main.jpg

1.3 射撃と艦橋構造物の技術

護衛艦には、艦橋構造物の技術として遮風板を付けている場合があります。

遮風板が艦橋についている護衛艦は、艦橋上部での射撃指揮を考慮されています。

図5 護衛艦「あぶくま」
図5 護衛艦あぶくま.jpg
引用URL:https://lh3.googleusercontent.com/proxy/

艦橋のガラス板の上部にある、縦型のスリットが遮風板です。

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(2)中級課程で射撃課程と大騒ぎ!

私ペンギンが幹部中級課程共通教育にて教育を受けている時に、射撃課程の人と射撃方法でよく議論になりました。

「艦橋上部の露天甲板に射撃指揮機能を残すべきか?」

2.1 むらさめ型で露天射撃をさせろ〜!

ある日、射撃課程の学生からこんなことを言われました。

『何でむらさめ型に露天甲板の射撃設備を常設しなかったんや!』
『うぇえ〜!いいじゃんかよ!CIC射撃が基本だろうが!』


図6 むらさめ型護衛艦艦橋
図6 むらさめ型艦橋.jpg
引用wiki

むらさめ型以降だと、FCS-2方位盤のほかにいろいろ設置する電子機器が多くなりました。

応急的にTDT(目標指示装置)を設置できればよいので、最初から支持柱を設置していません。

図7 TDT(目標指示装置)
図7 TDT.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/images/y1398.jpg

・・・電波関連機器の置き所に困って、上部指揮所を無くそうとしたのはヒミツ!

『いいから露天甲板で撃たせろ〜(怒)!』

射撃課程学生の怒りは、なかなか静まりませんでした。

2.2 あきづき型以降はスペースなし!
あきづき型護衛艦以降では、FCS方位盤が無くなった代わりに通信用レドームが艦橋上部のスペースに置かれるようになりました。

図8 護衛艦「しらぬい」
図8 護衛艦「しらぬい」.jpg
引用wiki

射撃マークの人が怒るのも分かるよな〜!

射撃指揮用甲板として、長らく軍艦の地位を占めた艦橋上部を占拠されたのですから。

『神聖なる艦橋をなんと心得る!』
『大空の下で大砲射撃!海の浪漫を忘れたか!』


射撃マークの人からは、さんざん文句が出ましたがレーダー機器もいっぱいです。

もはや、海の浪漫ともいえる露天甲板は時代に合わなくなってきているのかもしれません。

2.3 船体設計の人もおっかない!

艦船技術の世界で、船体部門を担当する人を「船体屋」と呼んでいます。

FCS−3を搭載するために、船体設計担当者にデーターを持って行ったときに、

『貴様ら、GM値とメタセンターを知らんのか(怒)?』

と脅されるほどFCS-3搭載の代わりに、艦橋から重心を下げるためにいろんなものを下すことになりました。

軍艦美の一つだった、遮風板も時代の流れにおいていかれた存在といえます。

艦砲射撃などの攻撃は、CICで行う代わりに艦橋周辺の設計技術がステルス一辺倒になりました。
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(3)射撃の浪漫は遠くになりにけり

いまや護衛艦にもステルス性が求められる時代となり、昔のような露天甲板からの射撃指揮という浪漫が失われていきます。

3.1 技術的トレードオフの世界

最近だとFCS-3など、射撃用レーダーが大きく重くなりました。

その結果、設計技術では露天甲板での射撃は不必要と切り捨てる形になっています。

時代の趨勢かもしれません。

3.2 射撃の浪漫は不滅だ!

ただ、一度露天甲板での主砲射撃を体験すると病みつきになります。

図8 主砲射撃
図9 主砲射撃.jpg
引用URL:https://it-it.facebook.com/JMSDF.PAO.fp/

射撃浪漫と技術の両立はなかなか難しいですね〜!
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2020年08月07日

P-1哨戒機対艦ミサイル8発搭載はまだですか?!【軍事技術】

『対艦ミサイル8発で空中艦隊を!』
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海上自衛隊の哨戒機が、P-3CからP-1に世代交代が始まっています。

P−3C哨戒は、対潜水艦に非常に効果がありましたが、対艦ミサイル攻撃もできました。

後継機のP-1哨戒機は、最大で対艦ミサイル8発搭載が可能とのこと。

BRU-47/Aパイロン一杯つけて早くできませんかね(ミサイル脳)?!
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(1)P-1哨戒機の対艦ミサイル搭載写真が出てますね〜!

最近、厚木の第51航空隊において新空対艦誘導弾の試験と思われる写真が出始めました。

順調に、新空対艦誘導弾の開発が進んでいると思われます。

図1 P-1哨戒機ミサイル4発
図1 P-14発.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/ERZQXSkXsAAPSmv.jpg

中にはいろいろとミサイル搭載位置の試験が行われているものがあります。

1.1 いろんなミサイル取り付け位置!

XP-1で実用試験のころは、いろいろと整合試験のためにミサイル搭載試験をやってくれていました。

図2 XP-1時代のASM-1C模擬弾搭載
図2 XP-1.jpg
引用URL:https://livedoor.blogimg.jp/corez18c24-mili777/imgs/f/0/f07fece7.jpg

現用の空対艦ミサイルである、ASM-1C(91式空対艦誘導弾)の試験は結構実施されました。

ただ、最近は新空対艦誘導弾の試験のために、あまり出てこないんですよね〜。

図3 マーベリック発射試験
図3 マーベリック発射試験.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EQbSH9pU4AAUgux.jpg:small

1.2 パイロン搭載はこの形が標準かな?

防衛省のHPを見ると、パイロン付きのP-1哨戒機の写真があったりします。

通常のP-1哨戒機については、このパイロン装備4つで対応するのでしょうか?

図4 P-1哨戒機4号機(防衛省HP)
図4 P-104号機.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/aircraft/patrol/p-1/img/p-1_01l.jpg

以前に中級学生入校時に見た、XP-1の時にウイングパイロンにもっと付いていた状態をみたことがあります。

『ASM-1C/ハープーンなら、最大8発まで搭載可能になる』

第51航空隊の技術幹部からの説明ではそのように聞いています。

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1.3 新空対艦誘導弾の場合は?
現在、新空対艦誘導弾(仮称XASM-2?)の試験が行われています。

図5 厚木飛行場
図5 厚木飛行場.jpg
引用URL:https://scontent-yyz1-1.cdninstagram.com/v/t51.2885-15/e35/s1080x1080/89844216_2977027452412337_9204429434145846292_n.jpg?_nc_ht=scontent-yyz1-1.cdninstagram.com&_nc_cat=105&_nc_ohc=ZVRV3lyVrWEAX_tMSHi&oh=2f307a42075624f13a04b00b71398cbb&oe=5F57E1E9

新空対艦誘導弾は、91式空対艦誘導弾の500kg代から800kg代まで増加しているので、もしかすると8発搭載は厳しいかも?

いつも航空関係の知識を学ぶときにお世話になってる、keenedge1999様のTwitterで、パイロンがBRU-47/Aということを知りました。

Twitter:https://twitter.com/keenedge1999

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(2)パイロンBRU-47/Aは結構スゴイ!

P-1哨戒機に搭載される、ミサイル用パイロンは「BRU-47/A」という名称になっています。

図6 BRU-47/Aパイロン(P-1用)
800px-JMSDF_P-1(5506)_Pylon_in_Iwakuni_Air_Base_20140914.jpg
引用wiki

コイツを調べると、結構スゴイものが付いていることがわかります。

2.1 F-15Eにもついてるよ!

BRU-47/Aについては、F-15EストライクイーグルやF-22ラプターのパイロンにもついていることがわかりました。

図7 F-22
図7 F-22.jpg
引用wiki

結構使えるパイロンであるようですね。

2.2 搭載重量は2000ポンドのようだね!

BRU-47/Aにおいて、ちょっと不明だったのがどのくらいの重さのウェポンまで搭載できるのかでした。

ある資料には、5000lb(ポンド:約2267kg)という表示があったりしました。

製造メーカーである、L3Harris社のカタログを見ると、2000lbという記載がありました。

製造会社カタログ:https://www.harris.com/sites/default/files/documents/solutions_grouping/l3harris-release-systems-product-catalog-sas.pdf

2000lbは、約907kgの計算になります。

新空対艦誘導弾の重量が、約800kg程度と言われていますので十分搭載可能でしょう。

導入予定である3種類の長距離対艦ミサイルについては、

@JSM(407kg):搭載可能
ALASM(1100kg):搭載不能
BJSSM−ER(1021kg):搭載不能

という形になり、JSMだけはP-1でも発射できる可能性があります。

新型対艦ミサイルにも、何とか対応できそうです。

2.3 胴体内にも2個ある模様

P-1哨戒機は、胴体内爆弾倉にもBRU-47/Aが2個設置できる仕様になっているそうです。

爆弾倉は、91式空対艦誘導弾やハープーンの大きさを考慮しているはずなので、ぎりぎりASM-2も搭載できるかもしれません。

図8 爆弾倉イメージ(P-3C)
図8 爆弾倉.jpg
引用URL:https://rr.img.naver.jp/mig?src=http%3A%2F%2Fnavyfan.cocolog-nifty.com%2Fphotos%2Funcategorized%2F2010%2F10%2F06%2Freimg_0714.jpg&twidth=1000&theight=0&qlt=80&res_format=jpg&op=r
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(3)ASM-2では最大6発が限界かな〜?

自衛艦隊司令部での、統合演習ではP-3Cの対艦攻撃に大いに助けられました。
(参考記事):『【幕僚編F】反撃のJTF!第1次対艦総攻撃開始!
後継機のP-1にも大きく期待するところです。

3.1 搭載量は6発?

P-1哨戒機の対艦ミサイル搭載量については、

・ASM-1C/ハープーンでは最大8発
・ASM-2(新対艦ミサイル)では最大6発

になるのではないかと思います。

ASM-1Cより、新空対艦誘導弾が長さと重量が増大しています。

最大のところでは、6発程度になるのでしょうか?

3.2 やっぱりP-1の8発搭載が見てみたい!
しかしながら、対艦ミサイル最大搭載のところが見てみたい!

いつかP-1哨戒機の公開があったとき、最大搭載やってみませんか!
(完全な対艦ミサイル厨のたわごとです。)
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posted by sstd7628 at 14:48| Comment(3) | TrackBack(0) | 軍事技術

2020年06月29日

CIWSを整備するのも大変だ!【軍事技術】

『うちの船にお古のCIWSを持ってくんな!』
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海上自衛隊では、護衛艦のほかに輸送艦にCIWS(近接防御火器システム)が装備されています。

米国のファランクスを採用して、結構長い期間となります。

護衛艦では標準装備となりましたが、近代化でバージョンが違ってきます。

そんなCIWSの整備も大変だ!
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(1)CIWSとは何か

CIWS(Close In Weapon System)は、ミサイルや航空機など艦船を攻撃する対象目標に近距離で迎撃するシステムです。

近年では、ミサイルの他に小型水上目標など多様な目標から防御するようになっています。

海上自衛隊では米国のファランクスを、高性能20mm機関砲(CIWS)として採用しています。

図1 CIWS(米国ファランクス)
図1.jpg
引用URL:wiki

1.1 諸外国のCIWSも面白い!

米国のCIWS採用は、1970年代に対艦ミサイルの脅威に対抗するため開発されました。

その他の国でもいろんなCIWSが開発されています。

ロシア(ソ連)では、1960年代からすでに開発が進んでいたりします。

図2 ロシアAK−630
図2 ロシアCIWS.jpg
引用URL:wiki

30mm機関砲を使用しており、破壊力が大きくなっています。

1.2 スペインのメロカは変態設計!

CIWSについても各国の設計思想が反映されていますが、中には変態設計がそのまま出てきたようなものもあります。

スペインのCIWSメロカは、変態設計の一つといえます。

図3 スペインメロカ
図3 スペインメロか.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/Dbcaq0VVwAEfiRg.jpg

1.3 陸上に上げてみる!

米国では、CIWSの自己完結性の高さから陸上基地での防御用としての開発も行われています。

図4 C−RAM
図4 C−RAM.jpg

Counter-RAMの名称で、迫撃砲やロケット弾の迎撃を行う用途で開発されています。

比較的良好な成績を収めているようで、将来的に陸上型CIWSとなるかも?!
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(2)海自のCIWSは形態管理が大変だ!

海上自衛隊でも、CIWSについては護衛艦の砲こう兵器として重要装備として管理されています。

しかし、長年に渡る装備化と近代化・オーバーホールの繰り返しで、結構形態管理が大変です。

2.1 海自のCIWSは4種類!

海上自衛隊には、CIWSに4種類のバージョンがあることはあまり知られていません。

・MK−15 ブロック0
・MK−15 ブロックT
・MK−15 ブロックTA
・MK−15 ブロックTB


最初のブロック0については、導入が開始されたはつゆき型やあさぎり型に装備されていました。

図5 CIWSブロック0
CIWS,_JS_Shimakaze_(DDG-172)_a.jpg
引用URL:wiki

かなりの数が、ブロックTなどに改修されましたが少数のブロック0が残っています。

2.2 ブロックI以降は大変だ!

CIWSブロックT以降は、むらさめ型などの新造艦に搭載されるようになりました。

さらに近代化改修により、ブロックTA、ブロックTBが登場してきます。

図6 CIWSの変化
図6 CIWS変化.jpg
引用URL:http://www.navweaps.com/Weapons/WNUS_Phalanx.php

ブロックIとブロックTAの変化が、あまり変化しないので結構見分けにくくなったりします。

一応、砲身を支える部分が比較的簡素なのが「ブロックI、IA」であり、がっしりしたのが「ブロックIB」という見分け方になります。
(さらに光学カメラが搭載されていればブロックTBで確定です。)

図7 CIWSブロックIB
図7 ブロック1B.jpg
引用URL:https://www.raytheonmissilesanddefense.com/sites/rtx1/files/2020-02/phalanx_hero_lg.jpg

2.3 最新鋭艦なのにお古のCIWSが搭載?

たまに、最新鋭艦の就役なのにCIWSお古の「ブロックT又はTA」ということがあります。


図8 いずも就役の時のCIWS
図8 いずもCIWS.jpg
引用URL:https://lh3.googleusercontent.com/proxy/r2NStQE5-0KTGPZ3iOxnf3OUmnM8ox6TZig-Tjkz1ePqcfWNDg4MW8D7G_REWgJudrmEhZXPHaD7rtgEGn_rb3QoQZw_Uhano8XQfGrtoE7xz_Nxi-b3tDSH9kPj2g

何でこんなことが起きるかというと、
『金が無いからです!』
本気で建造費を浮かせるため、官給品でお古のCIWSをとりあえず乗せとけ!になります。

CIWS自体は、整備性もよいのですが一式を購入するのが結構高くなります。

護衛艦の定期検査の時に、オーバーホール品を載せ替えて使用しています。

最新鋭の「ブロックTB」は、海賊対処派遣用に優先されるためしわ寄せが他の船に来ます。

最近CIWSの近代化改修予算が付いたので、それなりの数の「ブロックTB」ができるでしょう。

しかし、オーバーホール品と艦載品で結構ぎりぎりです。

その余波が、CIWS搭載予定だった補給艦などに来てしまいました。
(いつになったら補給艦に搭載できるんだろう?)
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(3)いわくつきのCIWS話も!

CIWSといえば、1996年に護衛艦「ゆうぎり」が誤射で米軍機を撃墜したことがありました。

その後徹底的に調査されたものの、CIWS自体の故障はなかったということがありました。

そんな事件の後、しばらくたってからCIWS整備の話で、ゆうぎりのCIWSの話が出たことがあります。

3.1 あのCIWSはどうしたんです?

整備業務を行う会社での、懇談の際に護衛艦「ゆうぎり」のCIWSの話になりました。

当時、徹底的に分解して調査した会社の技術者に聞いてみると、

『徹底的に分解したけど、全く故障の跡が無かった』
『海幕からの指示で、当該CIWSは部品取り用になった』

調査後、再度完成させることなく部品取り用に使われたそうです。

そんななか、ホラーな話が!

3.2 なぜか故障するCIWSが・・・

部品取りで、いろんなCIWSに部品が散在してしまったのですが、その後にホラーな出来事が待っていました。

なぜか原因不明の故障が、各艦のCIWSに発生するようになりました。

各艦の修理歴や部品交換歴を調べていくと、共通した衝撃の事実が!

『全部に「ゆうぎり」のCIWSから部品取りしたやつが入ってる!』

信じるか信じないかは、あなた次第!
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posted by sstd7628 at 15:36| Comment(6) | TrackBack(0) | 軍事技術

2020年05月14日

米海軍サンアントニオ級は失敗作だったのか?

『夢のマストと呼ばれた先進マストは失敗だったのだろうか?』
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米海軍が2020年3月に就役させた、サンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦12番艦(LPD-28)が登場しました。

サンアントニオ級といえば、先進マストを搭載した船で夢のマストとも呼ばれていました。

しかし、就役した12番艦フォートローダーデールに先進マストは搭載されませんでした。

先進マストは失敗作だったのか?統合マストのFFMへの影響は出るのか?!
(関連記事):『【北朝鮮】ATACMSもどきはウクライナからの技術流入ではないか?
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(1)先進マスト搭載を取りやめたサンアントニオ級!

2020年3月に、米海軍でサンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦の12番艦「フォートローダーデール」が就役しました。

公開された写真を見てみると、衝撃的な写真となっておりました。

サンアントニオ級の特徴とも言える、先進マスト(エンクローズドマスト)が搭載されていないのです!

図1 サンアントニオ級12番艦(LPD-28)
640px-Launch_of_USS_Fort_Lauderdale_(LPD-28)_at_Ingalls_Shipbuilding_on_28_March_2020.jpg
引用URL:https://www.navsea.navy.mil/Media/Images/igphoto/2002271771

サンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦といえば、近未来的なフォルムで一時期もてはやされた艦です。

図2 サンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦
640px-LPD-17_Class.jpg
引用URL:wiki

特徴的なのが、先進マスト(エンクローズドマスト)であり現代の潮流である統合マストの先鞭といえる存在です。

果たして、サンアントニオ級の従来の設計は失敗であったのでしょうか?

1.1 先進型閉囲マスト/センサー(AEM/S)とは?

先進型閉囲マスト(又はエンクローズドマスト)は、米海軍が開発した艦艇のステルス性を考慮した新型マストです。

レーダーやセンサーといった従来型の船のマストは、艦船のステルス性を大きく損なっていました。

先進型閉囲マストは、自艦のレーダーやセンサーの特定電波周波数のみを透過させ、他の電波周波数反射を逸らせることでステルス性を確保しようとするものです。

図3 実験艦ラザフォード
640px-US_Navy_021127-N-3653A-004_Spruance-class_Arthur_W._Radford_steams_through_the_Mediterranean_Sea.jpg
引用URL:wiki

マスト内に機器を収納できることで、機器の整備性や対塩害対策などに効果を発揮しています。

現代の軍艦設計に影響を与え、統合マストの先鞭といってもよい存在です。

1.2 サンアントニオ級の先進閉囲マスト建造!

サンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦は、先進型マスト搭載の先例となりました。

図4 サンアントニオ級へのマスト搭載
図4 先進マスト搭載.jpg
引用URL:https://army-news.ru/images_stati/transporty_doki_san_antonio_4.jpg

従来型のレーダー搭載部分に、多方形のステルス性を考慮したマストを搭載しています。

比較的軽量なFPR製のカバーを使用することで、重量軽減と電波透過を両立して夢のマストと軍事技術では話題となっていました。

先進型閉囲マスト/センサーの経緯があるからこそ、統合マストへ設計が進化していきました。

1.3 30FFMも統合マスト設計へ進化している!

海上自衛隊も、従来型マストからようやく進化して30FFMにて統合マストを採用しました。

図5 30FFM(イメージ図)
640px-Conceptual_image_of_30FFM_by_MHI.png
引用URL:wiki
かつて、あきづき型(19DD)建造の設計時に登場した先進型プランで検討された統合マストが登場したといえます。
図6 19DD先進設計プラン
図6 19DD先進設計プラン.jpg
19DD(あきづき型)の時は、ちょうど防衛費削減のあおりで現実的な設計になってしまいました。

ようやく海上自衛隊も、統合マストに進化すると思ったとところで米海軍の先進マスト取りやめとなってしまいました。
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(2)建造コスト高騰が、マストを元に戻した

サンアントニオ級は、現在も建造が行われている艦艇ですが、最初の艦が起工されから20年が経過しました。

この間には建造所の統廃合などがあり、さらに1隻約14億ドルという高額な建造費となっています。

ドック型輸送揚陸艦は、強襲揚陸艦に比べると優先度が低くなります。

2.1 コスト削減のため先進マストを取りやめ!

就役したばかりのLPD-28「フォートローダーデール」については、建造コスト削減のため先進マスト搭載を取りやめたと、米海軍ニュースにて報道されています。

マストについても、従来のステルスマストに戻す設計となりました。

この設計は、サンアントニオ級の改良型となるフライトUにも引き継がれます。

図7 サンアントニオ級フライトU型先行型(イメージ図)
図7 フライト2.jpg
引用URL:https://news.usni.org/wp-content/uploads/2016/12/LPD28rendering.jpg

2.2 CECによる優勢からステルス性は不要になった。
米海軍としては、CEC(共同交戦能力)の発達により、足の遅いドック型揚陸艦にまでステルス性は不要と判断したものと考えられます。

じっくりと揚陸するため、強襲揚陸艦ほどの防御性を要求しないといえます。

この辺が、米海軍コンセプトの思い切りの良さといえます。

2.3 FFMなど主力艦艇への統合マストは必要!

サンアントニオ級が、先進マストの搭載をやめたから失敗だったとは言えません。

護衛艦や駆逐艦などの艦艇にて、レーダー反射断面積(RCS)が一番大きいのはマストの部分です。

30FFMでは、統合マストが採用されたのはステルス性を確保するためでもあります。

各国の艦艇も、ステルス性確保のため統合マストやエンクローズドマスト装備の艦が出始めています。
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(3)海軍の歴史にマスト構造変革は名を刻むか!

海軍艦艇の歴史において、いくつもの技術的転換点が存在してきました。

戦艦・潜水艦・空母の登場から、主砲からミサイルへの転換など多岐にわたります。

その中で意外と、船のマストに関する技術的な大転換というのはありませんでした。

基本的なマスト構造は、船が登場したころから大きく変わっていません。

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3.1 先進マスト・統合マストは歴史に残るか?!
長い船の歴史の中で、マストについて大きく技術的大変革となったのが先進マスト(エンクローズドマスト)です。

先進マストが進化して、レーダーやセンサーを埋め込んだ統合マストが登場しました。

軍艦の歴史の中に残るかどうか、今後が見ものといえます。

3.2 マストは船の顔だぞ〜!

こぼれ話としては、19DDの計画が進む中で、エンクローズドマストの計画案を見た将官から、
『軍艦の顔であるマストをこんな変な形にしやがって(怒)!』
と激しく怒られたのは懐かしい思い出ですな。

図8 船のマスト
ship-2872250_640.jpg
引用URL:https://pixabay.com/

将来的に、30FFMや次期護衛艦(07DDXになるのかな?)は、どんな評価になるのでしょう?

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