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2020年02月27日

海上自衛隊の燃料なめてんじゃねーよ(激怒)!!

『絶望した!燃料に対する不人気に絶望した!!』
(2018年投稿記事です。)
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ペンギンは激怒した!燃料に対する、あまりの不人気と存在感のなさに!

燃料なんて燃えりゃいいんだよ、と抜かす不逞の輩に鉄槌を下すべきと!

LM2500ガスタービンエンジンは、燃料を何でも入れてもいいわけじゃない。

防衛の世界で必要不可欠なのに、不人気の燃料に愛の手を!
(前回記事):『幕僚編F反撃のJTF!第1次対艦総攻撃開始!
\こちらもご参考にPR!/
(1)燃料を甘く見る奴は燃料に泣く!!

最近の情勢を見るに、燃料というものが甘く見られているのではないかと感じています。

『燃料なんて、燃えりゃ何でもいいじゃん!』
そんな言葉が、部内でさえありました。

しかし『燃料をなめんじゃねえ(激怒)!!!』

燃料といってもいろいろあるんじゃ〜!

ガソリンと軽油の違いだけでも、はっきり使い分けろ!

こんなにペンギンが荒ぶるのには、過去の苦い経験があります。

1.1 LM2500故障しました〜!

かつて艦船補給処で勤務していた時に、護衛艦主機が1基起動不能!の情報が入りました。

当直士官の時に情報が入り、各所への連絡・修理手配など大忙しでした。

図1 故障したLM2500
LM2500.jpg
引用URL:https://scontent-sjc3-1.cdninstagram.com/vp/0781ae6f6d5fa232235b0b59e273569c/5C29BEAC/t51.2885-15/e15/s320x320/40649353_479035932611041_187947379742957354_n.jpg

とりあえず、ひと段落したところで故障原因を聞いて激怒しました。

『軽油2号(艦艇用)の代わりに、JP-5で作動させたら故障した』

うがああ(激怒)!!燃料なめんじゃねえ〜!!

当時、海外で給油した艦艇用燃料に規定値以上の水分が入っていたそうです。

そのため、とりあえずの起動でJP-5(航空用燃料)を使ったとのこと。

一応、LM2500はJP-5でも動くけどさあ〜。

いきなりほかの燃料で作動させると故障の原因になるんじゃ〜(怒)!

1.2 SF後方幕僚部でも!

SF後方幕僚部での演習の記事を連載していますが、ここでも燃料に関するひと悶着が!

(陸の人)
『あ〜S-4、車両用燃料がちょっと不足してるんだ』
『海自の軽油2号を車両に入れても、普通に動くよね?』

(ペンギン)
『(故障するわボケえ!!)万全の作動は保証できませんよ?』

陸自で使用している軽油と、海自艦艇用の軽油2号(艦船用)は少し違います。

一応動くことは動きますが、故障の可能性が高くなります。

図2 ガスタービンエンジンに別の燃料を入れたときのノズル汚れ
F-76.jpg
引用URL:http://gasturbinespower.asmedigitalcollection.asme.org/data/journals/jetpez/926523/gtp_134_12_121501_f005.png

意外と、別燃料を入れたときに故障が起きやすいのは知られていません。
『たかが燃料ごときで〜』
この油断により、大事な装備品が動かなくなります。
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(2)艦艇に余計なガソリンを持ち込むな〜(怒)!

燃料関係では、陸海空の統合運用を機にいろいろな不都合が出てきました。

各部隊で融通しあえる部分が少ないのが現状です。

米軍みたいに、将来的には燃料を統一して使用するというのも考慮すべきです。

2.1 西方普通科連隊上陸訓練で一苦労!

現在では水陸機動団となった西方普通科連隊(Wair)の運用についても、苦労しました。

図3 上陸する偵察部隊とボート
CRCC.jpg
引用URL:http://www.mod.go.jp/gsdf/gcc/ardb/toppage/hp31.jpg

当時Wairは、偵察用ボートの配備を進めていました。

しかし、イザ海自と合同訓練を始めると、混乱が生じました。
『余計なガソリン持ち込むんじゃねえ〜!』

偵察用ボート(CRCC)は、船外機(げん外機)がガソリンで動きます。
(高速を出せる船外機となると、ガソリンエンジンしかないのです。)

しかし、海上自衛隊の艦艇では『ガソリンは可能な限り持たない主義』です。
(内火艇エンジン用の備蓄タンクしかありません)

『どこにガソリンを置くんじゃ〜(怒)!』

とりあえずは、仮設のタンクを置いて演習が行われました。

2.2 ガソリンタンク増設には防衛大臣の承認が!

その後、輸送艦や護衛艦等にガソリンタンクを増設する検討が実施されました。

しかし、設計規則やら装備品承認関係の諸問題が続発しました。

最終的に大改造となるため、防衛大臣の承認が必要であることが判明します。

輸送艦などの建造当時には、ここまでガソリン燃料需要の増加があるとは考えていませんでした。

その後、艦船設計規則の見直しなどが進んでいます。

けど、船にはガソリンを極力置きたくないんじゃ〜!
(火災の危険が、軽油より大きいため)
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(3)燃料は防衛力の根源だよ!

燃料関係は、見た目の地味さから軽く考えられがちです。

しかし燃料がなければ、戦車も護衛艦も戦闘機も動きません!

図4 燃料の検査(米海軍)
fuel inspection.JPG
引用URL:https://media.defense.gov/2016/Aug/18/2001609115/600/400/0/160804-D-ZZ999-023.JPG

皆さん!もっと燃料に興味を持ってくれ〜!
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posted by sstd7628 at 14:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 軍事技術

ソ連感の無い軍艦なんてただのロシア軍艦だ!

『ロシア海軍よ、お前もステルスの流行に乗るのか!』
(2018年投稿記事です。)
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近年、ロシア海軍の軍艦を見ていると非常に残念な傾向があります。

それは流行のステルス船型の波に、ロシア軍艦が呑まれていることです!

ソ連感たるゴテゴテの軍艦づくりは、もはや時代遅れなのか?

今回は、ロシア軍艦のステルス船型化についてご紹介!
(前回記事):『幕僚編E自爆ボート・LSF!JTFを阻む敵の罠!
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(1)ロシア太平洋艦隊に配属される新型艦!

ロシア太平洋艦隊に、久しぶりに新型艦が配属されるニュースが流れました。

さてどんなのかな?と思って見てみると!

図1 カラクルート級コルベット(プロジェクト22800)
DqnP-zKWwAAG_jA.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/DqnP-zKWwAAG_jA.jpg

こんなのロシア軍艦じゃないやい(号泣)!!

ソ連感というものが失われた!ロシアよ、お主もステルス船型に走るのか〜!

1.1 他の軍艦もステルス船型に・・・

それだけではありません!

ソヴレメンヌイ級の後継艦でさえも、ステルス船型に走っています!

図2 アドミラル・ゴルシコフ級フリゲート(22350型)
1024px-Admiral_Gorshkov_frigate_03.jpg
引用URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5a/Admiral_Gorshkov_frigate_03.jpg/1024px-Admiral_Gorshkov_frigate_03.jpg

ロシア海軍からは、「(´・ω・`)知らんがな」といわれそうです。

1.2 ロマンがあったソ連艦の曲線美!

かつてのソ連海軍の軍艦には、西側海軍にはなかったロマンがありました。

図3 キーロフ級巡洋艦とスラヴァ級巡洋艦
640px-Nuclear_cruiser_Kirov.jpg
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/キーロフ級ミサイル巡洋艦#/media/File:Nuclear_cruiser_Kirov.jpg

かつて存在した、ソ連感のロマンはどこに行ったんだ〜!

1.3 みんなフェーズドアレーレーダーが悪いんや・・・

最近流行のステルス船型は、フェーズドアレーレーダーの登場によるところが大きいでしょう。

大型のアンテナを展開する必要が無くなり、艦橋の側面に設置すれば良いのです。

ロシアでも研究が進んでおり、地対空ミサイル用のレーダーを転用する例が多いようです。

図4 S-500用レーダーと思われるもの
DdU8WzwW4AMxeQK.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/DdU8WzwW4AMxeQK.jpg

もはや、かつての軍艦のロマンが失われようとしています。
\ロシア軍艦のロマン!/

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(2)最初にステルス理論を発表したのはソ連なんだよね・・・

ウダウダとステルス化について、愚痴を垂れてみましたが、最初にレーダーの反射面積に関する論文を発表したのはソ連です。

2.1 回折理論による鋭角面の電波解析(1962年)が最初!

1962年に、ソ連モスクワ工科大学ピヨートル・ユフィムツェフが発表した論文がステルスの基礎理論となりました。

当時ソ連では、あまり注目されなかった論文です。

しかし英訳した論文を米国が入手して、航空機に応用したのがステルスの始まりです。

RCS(レーダー反射面積)という言葉も、最初はソ連の論文からでした。

2.2 航空機から艦艇への応用

航空機の分野で大きく発展したステルス化は、やがて艦艇の分野にも広がります。

艦艇にて初めて、ステルスの思想を取り入れたのがキーロフ級巡洋艦です。

西側ではラファイエット級(フランス)フリゲート艦が、設計段階からステルス化を考慮した建造となりました。

図5 ラファイエット級フリゲート
FS_Surcouf.jpg
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/ラファイエット級フリゲート#/media/File:FS_Surcouf.jpg

意外と艦艇へのステルス化は、遅い部類なんです。

現在ではステルスを考慮していない艦艇設計は、ほとんどありません。
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(3)これからのロシア軍艦に注目!

ロシア軍艦も、ステルス化のブームに乗っている状況です。

しかし、ロシア軍艦のことですからきっと驚かせてくれるに違いない!

既に、新型駆逐艦のコンセプトモデルでは、仰天の変態設計になっています。

図6 ロシア新型駆逐艦(プロジェクト23560)
640px-Mock_Leader_class_destroyer_on_≪Army_2015≫_3.jpg
引用URL:wiki

戦艦「扶桑」「山城」もびっくりの多重艦橋ですよ!

ここからどうなるのか、実際の駆逐艦が出て来るのが楽しみです!

それでは、Ураааааааа!!
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posted by sstd7628 at 13:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 軍事技術

2020年02月25日

ロシアSLBM最高機密の写真が流失?!

『これは初めて見るスクープ写真かも?!』
(2018年投稿記事です。)
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ロシアのICBM、SLBMなど大陸間弾道ミサイル外観の写真は、よく世間に出ています。

しかし、謎に包まれていたのは弾頭部がどのような構造なのか不明でした。

今回、あるところから流出した写真は、予想とは違う再突入体の取り付けです。

今後、ロシアおよび北朝鮮の弾道ミサイル研究で貴重な情報かも?!
(前回記事):『艦補処での後方(兵站)は楽しい戦争DA!
\こちらもご参考にPR!/

(1)ロシアSLBMSS-N-23(R-29RM)の弾頭部か?!


ある時、ロシアのSLBMの弾頭部だという妙な写真を目にしました。

そのSLBMはSS-N-23(R-29RM)の弾頭部だと書いてありました。

閲覧して仰天したのは核弾頭がある再突入体の取り付け位置が、全く見たこともない状態だったのです。

1.1 西側が想像する核弾頭部再突入体

我々西側の人間が想像する、ICBM(SLBM)の核弾頭再突入体の構造はこうでしょう。

図1 再突入体と弾頭部
西側再突入体.jpg
引用URL:http://agora-web.jp/cms/wp-content/uploads/2016/04/003-5.jpg

このように、フェアリングカバーの内側に収納された状態を想像します。

しかし、今回見つけた再突入体の写真は全く違いました。

1.2 これが最高機密の写真だ!

この写真は、かなり真相に近いと判断して乗せることにしました。

図2 SS-N-23(R-29RM)弾頭部
R-29RM弾頭部.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/Dn5l3VwXoAAUkUJ.jpg

弾頭部の再突入体部分の写真が、写真に納まっています。

白色の円錐体が、核弾頭再突入体であると推定されます。

この写真で驚愕させられるのは、フェアリングカバー内に弾頭部が収容されていないことです。

西側の常識だと、フェアリングカバー内に弾頭があると想像されていました。

西側とは全く逆向きに、弾頭部が収納されています。

このような写真は、今まで見たことがありません。

今後のICBM(SLBM)の弾頭部推定に、一石を投じるものでしょう。

実際に、配備中のミサイルに弾頭部を運んでいる写真も発見しました。

図3 弾頭部取り付け準備写真(撮影場所不明)
弾頭部運搬.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/DntyDTQWsAEqDAH.jpg


さすがにいろいろと無理があるのか、改良型のR-29RMU2では普通の状態になっています.

図4 R-29RMU2の図解写真
R-29RMU2.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/DoRxG43WsAExrt1.jpg

この情報は、北朝鮮のICBM研究に生かせる可能性があります。
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(2)北朝鮮火星15号弾頭部推定位置を見直すべきでは?

現在までに登場している北朝鮮のICBM(SLBM)などについても、少し見直しが必要かもしれません。

図4 火星15号の全体図
kasei15.png
引用URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/10/Hwasong-15_con_transporte.png

今までは、円錐部の中に核弾頭が収容されていると考えられていました。

しかしR-29RMの情報を検討することで、2段目部分と考えられていた部分も検討すべきです。

頭頂部から、約8mくらいの部分まで再突入体が入る可能性を考慮すべきと考えます。

2.1 核弾頭は小型化しなくても良い状態では?

北朝鮮の非核化問題について検討をするとき、小型化をしなくても良い状態だとしたら?

参考例として『インドの核兵器』が良い例として挙げられます。

図5 インド核弾頭種類
InkedRV-and-nuclear-warheads-opt_LI.jpg
引用URL:http://www.indiandefencereview.com/wp-content/uploads/2012/02/RV-and-nuclear-warheads-opt.jpg


アグニ3と呼ばれる、インドの核弾道ミサイルの存在があります。

このアグニ3に搭載されている核弾頭の大きさが、火星15号に相似しています。

約1t〜1.5t程度の搭載量です。

この程度の核弾頭は、北朝鮮も完成させていると考えられます。

だからこそ、2018年になって半島の非核化を打ち出してたのかも?
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(3)北朝鮮非核化の為に火星15号査察を提案してみては?

今後協議が進む北朝鮮非核化交渉においては、難航することも予想されます。

そのため打開の手段として、
『火星12号、14号、15号の構造情報の開示』

という、交渉カードを切ってみるのもあるかと考えます。

もし、ロシア(ウクライナ)から核ミサイル情報を受けていれば、「R-29RMのような構造である可能性もあります。

北朝鮮が拒否すれば、ウクライナから違法に情報を入手した可能性が高まります。

今後の非核化交渉のカギとなるかもしれません。

いずれにしても、非核化交渉に注目です!
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posted by sstd7628 at 16:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 軍事技術

2020年02月23日

フォーミダブル級フリゲート艦は結構スゴイ!

『フォーミダブル級フリゲート艦見学は貴重な体験!』
(2018年投稿記事です。)
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シンガポール海軍のフォーミダブル級フリゲート艦が、2018年も横須賀に寄港しました!

以前から寄港をすることが多い、フランスが設計した軍艦です。

ペンギンも、以前にフォーミダブル級の艦内を見学する機会がありました。

米軍とは違う、兵装やステルスなどの技術思想に驚きの連続!
(前回記事):『転勤の内示が来たよ〜ってどこに行くんじゃ?!
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(1)シンガポールのフォーミダル級が見学できるぞ〜!

ペンギンが横須賀勤務の時に、シンガポール海軍フォーミダブル級フリゲート艦を見学できる機会がありました。

当時入港した、フォーミダブル級フリゲート艦の艦長と、横造補所艦船部長が防衛大学校同期でした。


そのため通常はホストシップ乗員でも公開されない部分を、特別に技術関係者が艦内見学できる機会に恵まれました!

図1 フォーミダル級フリゲート艦(シンガポール海軍)
640px-thumbnail.jpg
引用URL:wiki

以前の記事で『設計者出てこい!』と、ツッコミを入れていたフリゲート艦です。
(参考記事)軍事技術最近変な形状の軍艦が増えたね〜?

外観だけを見るとツッコミどころ満載ですが、艦内を見学すると結構勉強になるところがあります。

1.1 なんでヘラクレスレーダーを搭載したのかねえ?

横須賀の艦艇装備幹部にフォーミダブル級が見学できますよ〜!と、急遽呼びかけがあり、各部隊から暇な?幹部が20人ほど集合しました。

その中で話題になっていたのが、ヘラクレスレーダーです。
図2 ヘラクレスレーダー(仏タレス社製)
ヘラクレスレーダー.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/C4n2UWdUcAQf9qa.jpg

当時は、アクティブ・フェーズド・アレー(AESA)が流行となっていました。

その中でパッシブ・フェーズド・アレー(PESA)のヘラクレスレーダーは、異色の存在でした。

四角錐型構造の中に、レーダーが入っています。

当時は、世界でもフォーミダブル級フリゲートにしか採用されていません。

どうしてこちらを採用したのか、技術者としては興味が沸くところです。

いろんな期待と、フランスの軍艦設計思想を見学できるチャンスとして乗り込みました!

\こっちの「フォーミダブル」じゃないよ!/

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(2)これはなかなか考えられた設計だな・・

実際に乗艦して感じたのは、なかなか考えられて設計されているなということです。

外側からは見えない、内部の設計はかなり参考になる設計が随所に見られました。

2.1 対艦ミサイル・短魚雷を配置したステルス考慮の船体中部

図3 船体を後方から見る
640px-SH-60B_Seahawk_lands_aboard_the_RSS_Steadfast_(FFG_70).jpg
引用URL:wiki

外部からは見えていない、対艦ミサイルと短魚雷が配置された艦橋後部と後檣の間も見学することができました。

ここに、ステルス性を重視した設計思想がよく出ていました。

この部分に対艦ミサイル(ハープーン)8発と、3連装短魚雷発射管B5152基が配置されています。

よく見ると、ハープーンミサイルのランチャー架台の角度が浅いのです。

海上自衛隊では、はやぶさ型ミサイル艇ぐらいの角度です。

そんなランチャーが、交差して配置されていました。

また3連装短魚雷発射管も後檣下部にスペースを空けて配置するなど、ステルス性を考慮して設計されています。

対艦ミサイルの角度を下げることにより、上部構造物の壁を低くできる利点があります。

ここは、海上自衛隊も見習うべきポイントでしょう!
(対艦ミサイルランチャーは、護衛艦ではどうしても角度が高くなる)

2.2 アスターミサイルにより、よりステルス性が増す!

ヘラクレスレーダー搭載の謎は、対空ミサイルとの適合性を考慮したものでした。

搭載している対空ミサイルは、アスター15・アスター30ミサイルです。

図4 「アスター15(左)」「アスター30(右)」
アスター15.jpgアスター30.jpg

引用URL:https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcSU5I1TBiOcvV3CtwPmM7y8FleYNZaIwilPTdVKKsaB4_1zfut-
http://www.loneflyer.com/wp-content/uploads/2017/05/ASTER-20.jpg


短距離SAMのアスター15と、中長距離SAMのアスター30が搭載されています。

いずれも、アクティブホーミング誘導です。

かつて海上自衛隊が目指した、FCS-3・ATECS・XRIM-4三本柱での新世代護衛艦を実現しています。
(XRIM-4:アクティブホーミングで開発していた国産艦対空誘導弾)

艦発隊にいたときに、何度も恨み節で語られたアクティブSAMを完成させています。

2.3 機関は信頼性のあるドイツ製!

機関は、信頼性のあるドイツ製「MTU 20V8000 M90」ディーゼルエンジンを4基搭載しています。

省力化と、故障の少ない信頼性のあるエンジンで世界中で使用されています。
(海上保安庁の巡視船にもMTUエンジンが使用されています。)

機関関係も、遠隔監視などでかなり人員削減ができています。
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(3)かなり侮れないフォーミダル級フリゲート!

見学していた海自幹部も、各所に施された細部設計の良さに関心していました。

その影響が、海上自衛隊の次期護衛艦FFMに反映されている状況です。

フォーミダブル級の機関室で目撃したメタセンター高さの数値は、外観から予想もできないほど良い数値です。

フランス海軍もフォーミダブル級を発展させて、アキテーヌ級駆逐艦を建造しています。

今後世界の潮流となる、小型多目的フリゲート艦のフラッグシップでしょう!

・・・けどやっぱり、外観設計は変態艦だよな〜
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posted by sstd7628 at 14:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 軍事技術

イージスアショアBMDでイージス艦増強のみではダメな理由を再考する!

『AEGISシステムがBMDへの万能の盾となるために必要なこと!』
(2018年投稿記事です。)
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イージスアショアの導入をめぐって、近年の緊張緩和などで導入を疑問視する声が出ています。

また日本ではイージス艦が、8艦まで増強されていきます。

なぜイージスアショア導入が必要なのか?イージス艦増強だけではだめなのか?

前回記事で不足していた部分を解説してみたいと思います。
(参考記事)イージスアショアを弾道ミサイル防衛で導入を断固として実施せよ!
(前回記事):『海上自衛隊ペンギン1等海尉になりました!
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(1)イージスアショアとイージス艦のコンセプト・任務を再確認!

BMDにて、一番認識のずれがあると感じられるのは
・イージスアショア
・イージス艦

この2つについて、弾道ミサイル防衛(BMD)にて任務が重複していると誤解されている部分です。

イージスアショアとイージス艦、どちらもAEGISシステムを使用しています。

しかし両者には、コンセプト(概念)・任務内容に大きな違いがあります。

まずは、この部分を整理してみましょう。

1.1 イージスアショアのコンセプト・任務は「弾道ミサイル防衛」

最初にイージスアショアのコンセプト・任務としては、
『弾道ミサイルなどの脅威から、陸上地域の防空態勢を行う』
これが、イージスアショアのコンセプト・任務です。

その手段の一環として、BMD対処能力のあるAEGISシステムを陸上に設置したのが、イージスアショアです。

図1 イージスアショア(ルーマニアの施設)
イージスアショア外観.jpg
引用URL:https://i.ytimg.com/vi/pXMig5ym0HU/maxresdefault.jpg

1990年代以降、弾道ミサイル技術が世界に拡散して不安定な情勢が発生したことに対するコンセプトとして登場しました。

1.2 イージス艦の任務は複合脅威に対する艦隊防空+BMD

イージス艦は、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦やアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦が登場しています。

これらイージス艦のコンセプト・任務は、
『ソ連による爆撃機+ECM+ASM+潜水艦+USMの複合脅威に対する艦隊防空』
(最初の開発コンセプト)
となっておりました。

冷戦終結後に、AEGISシステムの発展性を利用する形で、
『弾道ミサイル防衛(BMD)、巡航ミサイル防御の中核』
という、追加されたコンセプト・任務が与えられました。

図2 イージス艦(CG−47DDG-51)
203px-US_Navy_040701-N-5952R-003_The_guided_missile_cruiser_USS_Gettysburg_(CG_64)_sails_next_to_the_nuclear-powered_aircraft_carrier_USS_Enterprise_(CVN_65).jpg203px-USS_Halsey_DDG97.jpg

引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/

イージス艦は、最初からBMDに対応していたわけではありません。

冷戦終結後の、新たな任務付与であり、本質は艦隊防空艦です。
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(2)日本におけるBMDのイージス艦の位置付け

日本でのBMDにおけるイージス艦の位置付けは、PAC3と共に迎撃の中核となっています。

図3 BMD整備運用構想(イージスアショア導入前)
BMD構想.jpg
引用URL:http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/bmd/images/main02.jpg

2.1 イージス艦が重要目標艦(HVU)となってしまった。

日本においては、6隻が整備され将来的には8隻のイージス艦が導入されます。

しかし日本においてイージス艦は、1500億円以上の費用をかけた高価値艦(HVU)となってしまいました。

本来は艦隊防空の量産型駆逐艦が、重要目標艦(HVU)となってしまいました。

2.2 BMD対処中は周辺艦の防護が必要になった。

現在のSPY-1Dでは、BMD対処中に他の目標探知撃墜などの任務が困難になっています。
(レーダーリソースの問題:NIFC-CA導入前)

そのため、19DD(あきづき型護衛艦)による周辺防護(LAD)が必要になっています。
図4 19Dの運用構想(政策評価調書から)
19DD防護.jpg
引用URL:http://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/results/18/jizen/sankou/01.pdf

本来守るための護衛艦が、BMD対処では守られる側になっています。

またBMD対処のためイージス艦を常時展開となると、本来任務の護衛隊群の防空任務がおろそかになってきます。

2.3 BMDの多層化としてイージスアショアをトレード・オフで選択

元々日本のBMD構想は、イージス艦+PAC3の2層防衛で守りが薄いところがありました。

そのためAEGISシステムのトレード・オフの思想にて、
・『弾道ミサイル防衛用のイージスアショア』
・『艦隊防空など多用途のイージス艦』

という2つの目的分離にて、BMDの多層化が実現します。

しかしながらイージス艦・イージスアショア共に、メリット・デメリットが存在するためイージス艦のデメリットを補う形で、イージスアショアの導入が最善なのです。
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(3)プラットフォーム中心主義を捨て去る発想が必要!

BMD構想では、目に見えた装備に目が行きがちです。

図5 DDG-179「まや」進水式
まや進水式.jpg
引用URL:https://twitter.com/JMSDF_PAO/status/1023889602170433537

しかしながら、時代は変化をし続けています。

プラットフォーム(としてのイージス艦)にこだわり続けると、新たな脅威への対応が難しくなります。
(ロフテッド軌道の弾道ミサイルなど)

あくまでイージス艦・イージスアショアも、センサー・シューターとして考える時代になってきています。

3.1 NCW(Network-Centric-Warfare)(ネットワーク中心の戦い)

今後、戦闘の優越を決めるのはNCWにかかってきます。

図6 NCWの一つ(統合戦術データリンク)
統合ネットワーク.png
引用URL:http://www.mod.go.jp/trdi/org/pdf/27yosan.pdf

イージスアショアもイージス艦も、NCWを生かしていくための装備です。

イージスアショアの導入により、イージス艦の任務の自由度が増えるメリットがあります。

BMDは、イージス艦にイージスアショアが加わり、より選択肢が増えるといってよいでしょう。

単に、イージス艦を増強して今後30年維持整備していくよりは、イージスアショアのほうが安上がりです!
(艦艇開発隊で叩き込まれたイージスシステムの知識は、かなりの財産になりました)
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2020年02月21日

艦艇開発隊の大衝撃!日本でのショックトライアル実施!

『日本でもショックトライアルを実施していた!』
(2018年投稿記事です。)
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艦艇開発隊で勤務していた時、最大の試験といえばショックトライアル(耐衝撃試験)でした。

米海軍が行っているショックトライアルを、日本でも行っていたことはあまり知られていません。

まさに、壮絶な状況といろいろな葛藤があった試験です。

知られざる、日本でのショックトライアル(耐衝撃試験)をご紹介!
(前回記事):『ロシアが北方領土に対艦ミサイルを増強する真意を見抜け!
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(1)米海軍で行われているショックトライアル

ショックトライアルといえば、米海軍で行われている実験の状況をご覧になった方も多いと思います。

この時、乗員や試験関係者は乗艦したまま実施されます。
図1 米海軍LCSショックトライアル
LCSショックトライアル.jpg
引用URL:https://www.armytimes.com/resizer/JXCTj3qQ2W-67PqaV_OPkUvu85g=/1200x0/filters:quality(100)/arc-anglerfish-arc2-prod-mco.s3.amazonaws.com/public/WKOJWT7CWZG7RLGRUJI4STTZWM.jpg

米海軍では、動画も公開しています。

1.1 1万ポンドの爆薬による試験


米軍の軍用耐衝撃規格「MIL-S-901D」にて、新造艦での耐衝撃試験を行う項目があります。

米海軍では、以前からショックトライアルを行ってきました。

図2 1982年のCGN-41でのショックトライアル
750px-USS_Arkansas_(CGN-41)_shock_trials.jpg
引用uRL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/70/USS_Arkansas_%28CGN-41%29_shock_trials.jpg/750px-USS_Arkansas_%28CGN-41%29_shock_trials.jpg

1.2 照明が落ちるほどの激しい衝撃!

最近は、艦内の映像を公開することが少なくなりましたが、以前の試験映像では天井から物が落ちたり、照明が一瞬消えるほどの激しい揺れが襲うのがよくわかります。

意外と知られていない事実として、日本でもショックトライアルを実施したことがあります。
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(2)知られざる日本でのショックトライアル!


私が艦艇開発隊に勤務していた時に、ショックトライアル試験を実施する機会がありました。

当時、除籍船で無人のまま実施した例はあったのですが、実動艦に対して実施した例がほとんどありませんでした。(掃海艇は、実機雷処分訓練にて「耐衝撃試験」を実施している)

図3 耐衝撃試験1
耐衝撃1.png
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/frdc/whatsnew/ssc/taishogeki.files/image002.png

日本でもショックトライアルを実施したことは、ほとんど知られていないと思います。

2.1 乗員・技術者を乗せたまま試験を実施することの葛藤!

日本でのショックトライアル実施には、いろんな壁が立ちはだかりました。

最大限の安全を確保していますが、実際に人が乗ったまま耐衝撃試験を実施するのですから。

実験艦(対象艦)の乗員全員に対して、説明を何度も実施いたしました。

それでもやはり数名の乗員から、試験への不安から下艦希望者が出ることになりました。

艦発隊・技術研究本部(現:防衛装備庁)・海上幕僚監部でも、実艦試験に不安を持つ人が出ました。

どれだけ安全を確保したといっても、不安が残るのは当然です。

ギリギリまで試験の結果を求めるのと、不安を払拭することの難しさを思い知らされました。

2.2 海上試験における指揮と統制問題の露呈

ショックトライアル試験では、海上自衛隊における技術試験の指揮と統制の問題が露呈しました。

開発や技術・実用試験は、開発隊群や艦発隊が実施します。

しかし、作戦部隊に対する指揮権が開発隊群司令にないことが問題になりました。

護衛艦・掃海艇・掃海母艦・多用途支援艦・潜水艦・ヘリコプター部隊など、いくつもの部隊が参加する試験です。

この時の試験は、掃海隊群司令が「俺が指揮権を持って責任を取る!」と決心いたしました。

試験後の報告書で、臨時の海上試験部隊(JTG)を編成して開発隊群司令(海将補)が指揮できる必要がある!と記されるほどの問題でした。
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(3)試験実施!いろんなものが壊れる〜!

いろんな事前調整を経て、何とか試験実施にこぎつけることができました。

数回の水中爆発試験を実施して設計通りに耐えられるのか、どれほどの衝撃データになるのか実験です。

図4 耐衝撃試験2
耐衝撃試験2.jpg
引用URL:https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcTc8JyPakIIdx8ckVzRNfcHYXc91XJ99ocwgQEqNZ2U0n7krcdplg

3.1 潜水艦のレーダーが壊れた〜!

第1回の試験から、波乱が待っていました。

第1回試験の発破終了後、即座に各艦に異常の有無を確認すると、
(潜水艦)『水上レーダー(ZPS)に異常発生!回転が安定しない!』

いきなり、重要な故障が起きる艦が出てきました。

シミュレーション上、水中を伝わる衝撃波から安全な距離にいたはずの潜水艦から異常発生報告が上がりました。

掃海艇の先導で、潜水艦は帰港することになりました。

3.2 実験艦:1MG(主発電機)故障!非常用発電機に切り替え!

数回の発破をするごとに、徐々に損傷が出始める状態になりました。

最終の発破を実施する前に、試験続行か?中止か?の協議が行われました。

最終的には、実験艦の艦長による続行の意志が示され実施することになりました。

最終発破の点火後、実験艦から緊急を知らせる無線が鳴りました。
『1MG(主発電機)故障!非常用発電機に切り替える!』

2機ある主発電機のうち、1機が完全に故障して電源が一時ダウンというところまで行きました。

何とか、電源系統が復帰して試験は終了となりました。

あの時の背中を流れる冷や汗の感覚は忘れることができないでしょう。
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(4)実艦試験からシミュレーションの時代へ・・・

当時、日本で実際に実艦を使ったショックトライアルは、ほとんど公表されることはありませんでした。

しかし記録された貴重なデーターは、衝撃試験の貴重な資料となりました。

実際に記録されたデーターから、シミュレーションの精度が向上して、艦艇設計の基礎となっています。

苦労して実験しただけの効果を得ることができました。

実験艦や損害が出た艦の修理は、かなりの高額となりました・・・
(全ての修理費用は、艦発隊の予算で実施)

こんなことも艦発隊では実施していました!
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2020年02月19日

中国海軍052D型駆逐艦の厨房から見える技術思想!

『思わぬところから見える技術・建造思想!』
(2018年投稿記事です。)
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ひょんなことから、中国海軍052D型駆逐艦の厨房とする写真が出てきました。

調理用の厨房と聞くと、特に何も出てこなさそうな気がする方もいるかと思います。

しかしTECHINT(テキント)という、技術情報収集法には絶好の部分です。

今回公開された写真から見えてきた中国海軍の建造技術について研究!
(前回記事):『海自艦艇装備幹部となるため横須賀の専門課程へ!
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(1)中国海軍052D型駆逐艦の厨房とされる写真が公開

中国のメディアに対して、中国海軍の新鋭052D型駆逐艦の厨房が公開されています。

図1 中国海軍052D型駆逐艦
052D.jpg
引用URL:http://japanese.china.org.cn/

その中で、3枚ほど厨房内とする写真が登場しています。
図2 厨房内で調理中
6a11841c.jpg
引用URL:http://japanese.china.org.cn/

一見すると何も目新しものがない単なる、艦内厨房写真のように思えます。

しかし、よく見るといくつもの技術的な部分での発見があります。

さらに過去に公表された中国海軍軍艦の写真と見比べて、建造技術や思想の変遷が推定できるのです。

これはTECHINT(テキント)と呼ばれる、公開写真から相手の技術レベルを推定する方法です。

ここで、いくつかの推定される事項が出てきます。

1.1 揚げ物フライヤーはアルミ鍋のガスコンロと推定

写真の中に、大型の中華鍋を利用した揚げ物フライヤーの写真がありました。

図3 揚げ物フライヤーでの調理
6a11841c.jpg
引用URL:http://japanese.china.org.cn/
鍋の材質から見て、アルミ製の鍋と思われます。

また全体的な油の状態から、高温が出せるガスコンロが使用されていると推定されます。

ここで『中国海軍は、ガスコンロで油を使って調理している(笑)』と、決めつけるは早計です。

フライヤーの周囲には、船体の動揺時に油が流れたときのためのスリットが見受けられます。

ある程度の船体動揺を考慮した設計が見て取れま、軍用の特注品の厨房機器でしょう。

また、鍋の上部に十分な空調空間が確保されています。
(ココ大事!)
炎が上がっても、ある程度耐えられるように設計されていることがうかがえます。

十分な空間設計と、ガスコンロを使用可能とした防炎対策がされていると推定されます。

1.2 厨房空間としては手狭過ぎる

公開された写真から、厨房の通路空間がやや手狭と感じ取りました。

図4 ケーキを作る調理員
be3e5f1f.jpg
引用URL:http://japanese.china.org.cn/

052D型駆逐艦の乗員は、推定280〜290名といわれています。

それほどの規模の駆逐艦なのに、今回公表された厨房写真では手狭過ぎることが見受けられます。

ケーキを作っているところから、士官室・司令部専用の厨房という推定もできます。

しかし、それにしては狭すぎる上に、調理器具が少なすぎます。

1.3 厨房の位置を示す大事な写真がある!

公開された写真の中に、注目すべき写真があります。

図5 4名で調理中の写真
e919d436.jpg
引用URL:http://japanese.china.org.cn/

一見何でもない写真ですが、厨房の位置を推定できる重要なものが映っています。

外につながるハッチと、船腹の縁および海・ハッチの穴と外壁が映っています。

これは、厨房の位置を推定するのに重要な情報です。
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(2)写真にあった052D駆逐艦の厨房位置を推定!

ここまでに出てきた情報から、052D型駆逐艦の厨房とされる位置が推定できます。

052D駆逐艦の厨房位置は、ここではないかと筆者は推測します。

図6 052D駆逐艦厨房の位置(赤丸の部分)
Inked052Dsuitei_LI.jpg

また過去に出てきた052B型駆逐艦の厨房写真と合わせて、推論が出てきます。

図7 052B駆逐艦の厨房
052B厨房.jpg
引用URL:https://i2.kknews.cc/SIG=1nbpvf0/9339/1879772087.jpg
2.1 厨房写真から推定できる、052D駆逐艦の技術情報について!
技術的結論から言うと、
・052D駆逐艦の厨房とされる写真は、乗員全員の食事を賄う区画ではない。
・揚げ物など、強い火力を使う料理をする区画を分離した。
・士官室専用ではなく、厨房区画をいくつかに分離
・艦橋構造物など、戦闘区画から厨房区画を分離して、被害極限設計を行っている。
・乗員全体用の厨房が、別にある可能性が高い。

思っている以上に、中国海軍の設計思想が変化しているようです。

艦隊防空を担う052D駆逐艦として、残存性を考慮してる技術設計思想がうかがえます。
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(3)思わぬ写真から、技術的情報が入手できる。

今回中国海軍052D駆逐艦の厨房写真から、厨房の位置など技術的情報が出てきました。

厨房機器ということで、秘密保全のレベルが低く考えていたのだと思います。

厨房機器など需品関係は軽視されがちですが、実は結構重要なものです。

厨房機器をどのように扱っているか?どこにあるか?どんな方法で加熱などをしているか?

この情報を突き詰めると、艦艇の火気使用の思想・防火対策・被害極限設計思想までわかります。

TECHINT(テキント)は、このような何気ない情報から技術的情報を引き出します。

このような情報収集というのも面白いですよ〜!
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軍事技術で最近変な形状の軍艦が増えたね〜?

『最近変な形の船体をした軍艦が増えてきたよね』
(2018年投稿記事です。)
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最近、世界中の軍艦建造で変なことが起きています。

船体の形状について、突き詰めた設計の結果、変な形の船が続出してます。

技術者って、突き詰めると変な方向に走るのでしょうか?

今日は最近流行りの、変な形の軍艦についてご紹介!
(前回記事):『海上自衛隊幹部自衛官になってからの給料手当の変化について!
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(1)変態設計にもほどがある!Sea Axe船型!

最近軍事ニュースを見ていると、南アフリカ国防総省が新しい哨戒艇を発注したとのニュースを見ました。

ニュースとともに画像が出てきましたが、ぶっ飛んだ船体に驚きました。

図1 DSCT社の哨戒艇
p1721542_-__main.jpg
引用URL:
http://www.janes.com/article/78175/south-africa-orders-patrol-boats-from-damen

はっきり言って、なんじゃこりゃあ!!の船体です!

船首を垂直にするなんて何考えんだ!

ただ開発元のオランダDamen社曰く、「造波抵抗を抑えて燃費を20%カットできる」と宣伝しています。

どう見ても、衝角(ラム)での体当たり攻撃が思い浮かぶような船体ですな・・・

図2 レパントの海戦(1571年)の体当たり攻撃
640px-Battle_of_Lepanto_1571.jpg
引用URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e0/Battle_of_Lepanto_1571.jpg/335px-Battle_of_Lepanto_1571.jpg

中世の海戦に回帰して、衝角攻撃(ラムアタック)でも始めたいのでしょうか?

そういえば、米海軍でも衝角攻撃(ラムアタック)ができそうな船が・・・

図3 米海軍LCSインディペンデンス級
640px-US_Navy_130823-N-EW716-001_USS_Coronado_conducts_at-sea_acceptance_trials.jpg
引用URL:wiki

この船も、体当たりしたら突き刺さりそうな船体をしています。

将来的には、ラムアタックが復活するかも?!
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(2)横に広げ過ぎだよ!米海軍高速輸送船!

米海軍の変な形の船といえば、高速輸送船があります。

図4 米海軍高速輸送船スピアヘッド級
e1227b62.jpg
引用URL:https://www.facebook.com/USNavy/

高速で大量の人員物資を輸送するために建造された輸送艦ですが、双胴船型にして大幅な船腹が持味です。

しかし、何度見ても変な形の船です。

以前米海軍でリースしていた、ウエーブピアーサー船型の高速輸送艦『ジョイントスピア』『スイフト』に比べるとマシかもしれません。

図5 ジョイントスピア型2番艦「スイフト」
640px-US_Navy_031010-N-3236B-001_High_Speed_Vessel_Two_(HSV-2)_navigates_the_waters_off_the_coast_of_Southern_Iraq.jpg
引用URL:wiki

そんな米海軍の変な船2隻が並ぶと、もっと変な光景になります。

図6 米海軍の変な船2隻
a951b44b.jpg
引用URL:https://www.facebook.com/USNavy/
米軍も、最近の艦船設計がずいぶん変な形になってます。

時代の潮流なんでしょうか?

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(3)設計者出てこい!フォーミダル級フリゲート艦

私ペンギンが実際に見学し、設計者出てこいや!と思った変な船があります。

シンガポール海軍の、フォーミダル級フリゲート艦です。

図6 フォーミダル級フリゲート艦
640px-thumbnail.jpg
引用URL:wiki


もはや、船型やら上部構造物やら、兵装配置・機関設計など突っ込みどころ満載の船でした。

ついでに、当該写真の艦名『シュープリーム』に至っては、お菓子かよ!と総突っ込み物です。

フランスのDCN社が設計した艦ですが、本気で設計者の頭を疑う設計です。

艦橋の上に、ヘラクレスレーダーを搭載するという、もはや謎としか言いようのない船です。

おフランスの設計センスはホントにわかりません・・・。
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(4)時代の潮流なのでしょかね・・・

最近の軍艦の設計は、いろんな変な形の船が出てきてます。

昔の軍艦は、これぞ軍艦!といった感じだったんですが・・・

ソ連(ロシア)の軍艦は、ある意味軍艦という感じがしていました。

最近は、ロシアもステルス船型に流れています。

これも時代の流れでしょうか・・・?

付いていけない私のセンスが古くなったのか・・・

そんな変な形の船特集でした!
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posted by sstd7628 at 10:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 軍事技術

2020年02月18日

海上自衛隊に新しい潜水艦救難艦とDSRVが登場したよ!

『久々に新しい潜水艦救難艦とDSRVの登場だ!』
(2018年投稿記事です。)
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2018年3月20日(火)に新しい潜水艦救難艦「ちよだ」の引き渡し就役がありました。

併せて、新しいDSRV(深海救難艇)も登場することになりました。

潜水艦の活動を支えるDSRVですが、実際あまり知られていないところがあります。

この記事では、あまり知られていないDRSVについてご紹介!
(前回記事):『トルコ・ギリシャ紛争が中東全面衝突の危機に!
\こちらもご参考にPR!/
(1)3艇目のDSRVが「ちよだ(404)」に搭載されるよ!

潜水艦救難艦「ちよだ(404)」の就役に併せて、海上自衛隊で3艇目のDSRVが登場しました。

図1 新しいDSRV「ちよだ」
DSRVtiyoda.jpg
引用URL:http://file.matomex9999.yamatoblog.net/s0.jpg

DSRVは、潜水艦救難艦の搭載艇のため、艦艇として分類されていません。

しかし、中身は立派なフネといえるものです。

3艇目のDSRVは建造費約127億円、DSRVとして初めてリチウムイオン電池を搭載しています。

1・2艇目のDSRVは海水銀電池を使用していたのは、建造当時に深海の水圧に耐えられるリチウムイオン電池用容器が存在しなかったためです。

そのため、実績のある海水銀電池を使い続けてきました。

20年以上の研究の末に、ようやく深海の水圧に耐えられるリチウムイオン電池が搭載されます。

DSRVは、電池のみが動力源となるため慎重に開発されていました。

1.1 DSRV研究の基礎となった実験艇「ちひろ」

世界を見ても、DSRVを独自に開発・運用できる国は8か国程度といわれています。

潜水艦の開発能力とともに、高い水圧に耐えられるだけの鋼材を加工できる技術力が求められるためです。

日本では昭和50年に実験艇「ちひろ」にてDSRVの研究を行い、その実験結果から昭和60年に初代のDSRVが就役しました。

図2 実験艇「ちひろ」
auJHitI.jpg

写真は某所に保存されている実験艇「ちひろ」ですが、どこから入手したのかは聞かないでください。

このアングルで撮影された実験艇「ちひろ」はほとんどないと思います。

海上自衛隊における、潜水艦救難の歴史に残るであろう「ちひろ」はほとんど知られていません。

この実験艇「ちひろ」のおかげで、日本はDSRVを独自建造できたといえます。

1.2 DSRVはすべて「川崎重工製」!

あまり知られていない歴史として、DSRVの建造はすべて川崎重工が建造しています。

潜水艦の建造を行う、川崎重工神戸工場にて建造されています。

DSRVの建造には高い技術力が必要で、特にものすごく硬い鉄鋼を使うため建造できる会社が限られます。

それでは、潜水艦を建造しているもう1社の三菱重工はどうしているかというと?
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(2)三菱重工は「しんかい200」「しんかい6500」を建造!

潜水艦を建造できるもう一社の三菱重工神戸造船所では、深海探査船を建造しています。

「しんかい2000」「しんかい6500」が、三菱重工で建造されました。

JAMSTEC(海洋研究開発機構)にて運用されているのが「しんかい6500」です。
(「しんかい2000」はすでに退役)

図3 しんかい6500
shinkai6500.jpg
引用URL:http://www.mhi.co.jp/products/detail/__icsFiles/artimage/2013/03/14/cj_pd_sp_re/shinkai6500.jpg

深海探査機など、高い水圧がかかる中で作業ができる探査船の建造技術は、潜水艦の建造技術を利用して行われました。

三菱重工もDSRVを建造しようと思えばできますが、「しんかい6500」など深海探査機に注力しています。

以前、JAMSTECの見学をした時、ちょうど「しんかい6500」を整備中でした。

整備に来ていた三菱重工の方は、DSRVよりこっちのほうが面白いよ!と話していました。

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(3)「ちよだ」が就役して「ちよだ」が退役?

2018年3月20日には、潜水艦救難母艦「ちよだ(405)」が退役いたしました。
図4 自衛艦旗返納式の「ちよだ(405)」
tiyoda405.jpg
引用URL:https://www.facebook.com/JMSDF.PAO.fp/

今回退役したのは、『潜水艦救難母艦(AS405)』となります。

就役したのが、『潜水艦救難艦(ASR404)』という、ちょっと複雑な形になります。

理由として『潜水艦救難艦ちはや型』2番艦のため、『ちはや(403)』の次艦となり、艦番号が「404」になります。

図5 進水式の潜水艦救難艦「ちよだ(404)」
ちよだ404.jpg
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/formal/operation/img/meimei/chiyoda/281017-05.jpg

いろいろとややこしい状態ですが、なじみのある艦名が残ることになりました。

「ちよだ(405)」がDSRVを着水させるときの、豪快なシーンがもう見れなくなるのはさみしいですね・・・

1985年からずっと、潜水艦などの救難任務を支えてきた「ちよだ(405」」お疲れさまでした!

そういえば潜水艦救難艦『ちはや(403)』の時にあった、激ヤバ設計はさすがに見直されたようですね。
(何が激ヤバなのかはとても言えません・・・)
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海上自衛隊いずも型を空母に改修ていうけどさあ〜

『いずも、かがを空母に改修するって言ってもねえ?』
(2018年投稿記事です。)
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2017年末からいずも型が空母に改修される!F35Bを搭載する!と騒がれてます。

中には、すでにF35Bが運用できるようになってる!なんて論調も存在します。

16DDHから24DDHまで関与した身としては、いろいろと言いたいことが・・・

この記事では、建造に関与したものとしての情報のご紹介をしてみます。
(前回記事):『北朝鮮軍事パレードに登場する兵器人物で見えてくるもの!
\こちらもご参考にPR!/
(1)ひゅうが型からF35Bの運用を考慮した艦艇設計

今回いずも型護衛艦の空母化が騒がれ、諸外国の反応も激烈なところも多くあります。

ただ、16DDHから関わった者としては、
『何をいまさら・・・』といったところです。

<元々16DDHの基本設計時には、将来的な発展要素としてF-35B戦闘機の運用が考慮されていました。

そのため甲板上の昇降機の性能要求について、F-35B戦闘機が搭載できることが求められました。

図1 ひゅうがの昇降機(後部)
ひゅうが後部.jpg
引用URL:https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-dd-50/gunkanmaki23/folder/1278367/10/33636610/img_0?1256916007


特に後部昇降機は、改造なしで搭載できるよう設計要求が行われています。

1.1 F35Bはスキージャンプ台不要!

空母化が論議されるとき、いつも話題に上るのがスキージャンプ台です。

図2 オーストラリア『キャンベラ』級強襲揚陸艦
キャンベラ.jpg
引用URL:https://iwiz-chie.c.yimg.jp/im_siggPlvh4YgNofMdTdjx36rAiw---x320-y320-exp5m-n1/d/iwiz-chie/ans-370178169

AV−8B「ハリアー」では必要な装備でしたが、STO(短距離離陸)機能に優れるF35Bには不要です。

無理をすればひゅうがでも、F-35B戦闘機の離陸は可能です。

1.2 アウトボード化したいずも型

ひゅうが型ではインボード型の昇降機を使用しましたが、やはり使い難さがあります。

そのため、初めてアウトボード型の昇降装置が採用されました。

図3 『いずも』後部アウトボード型昇降装置
いずもkoubu.jpg
引用URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f2/DDH-183_%E3%81%84%E3%81%9A%E3%82%82%2811%29.jpg/250px-DDH-183_%E3%81%84%E3%81%9A%E3%82%82%2811%29.jpg

ここまで見るといずも型が、空母に改修されそうな感じがしてきます。
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(2)艦隊防空?島嶼防衛の投射能力強化?

いずも型の空母化報道には、重大な疑問点があります。

それは主任務目標が艦隊防空なのか?島嶼防衛の投射能力強化なのか、はっきりしていないことです。

2.1 艦隊防空という考え

米英仏露のような、正規空母を保有する国であれば艦隊防空というはっきりした目標があります。

今回のいずも空母化改修報道では、艦隊防空を例に挙げる報道があります。

その場合今まで海上自衛隊が主任務と位置付けてきた、対潜・対水上艦戦はどこに行ったのでしょう?

イージス艦と航空自衛隊、米海軍の支援による艦隊防空という考えを変更するのは、海上自衛隊の作戦用務全般を見直す必要が出てきます。

すぐに実施するのは無茶な考えではないかと・・・

2.2 島嶼防衛の投射能力強化について

現在海上自衛隊に一番不足している能力が、島嶼防衛の投射能力です。

陸上自衛隊が創設する水陸機動団への射撃支援について、海上自衛隊には能力が不足しています。

しかし88艦隊体制を放棄してまで、DDHにF35Bを搭載するメリットが存在するのでしょうか?

島嶼防衛のための水陸両用戦は、第1輸送隊の指揮下で実施します。

護衛隊群は、HVU(最重要目標)である輸送艦の護衛に必要です。

わざわざ、対潜ヘリを削減してF35を搭載する必要性がありません。

現状のいずも空母化改修は、現実性が低くコストもかかる物ばかりです。

何しろ、パイロットがいません。

2.3 戦闘機パイロットという大きな壁

海上自衛隊では発足以来、戦闘機パイロットの養成はされていません。

ジェット機パイロットは存在しますが、戦闘機パイロットの養成・戦力化には時間がかかります。

図4 F35B夜間着陸
やかんF35.jpg
引用URL:platform.com/gizmodo/dist/images/2013/08/130828F35.jpg


一案として、
・初期(5年後〜10年まで):航空自衛隊F−4パイロットの転換・要員育成課程の習熟化
・中期(10年〜15年後):航空自衛隊の戦闘機課程への要員教育委託・艦上訓練の習熟
・後期(15年後をめどに):海上自衛隊の戦闘機パイロット要員の経歴管理体制の完成

といった長期的な視点が必要です。

戦闘機だけがあっても、パイロット・整備員・支援体制の構築に時間がかかります。

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(3)今回の報道は多目的汎用輸送艦への布石!

今回いずも型改修の報道にて、反対意見、賛成意見など多種多様に意見が飛び出しました。

いずも型の空母化改修報道は、飛ばし記事とは言いません。

防衛省・海上自衛隊からの、観測気球記事と考えるべきでしょう。

昔16DDHの初期案が発表されたころは、かなりひどいものでした。

図5 16DDH初期案
初期DDH案.png
引用URL:http://www.maroon.dti.ne.jp/klan-klang/pic/rev/rev_koda02_figure06.png

その後修正されて、全通甲板型が容認されることになりました。

今回も検討が進められる多機能艦艇への、F35B搭載の布石と考えられます。

『空母はともかく、輸送艦だったら・・・』

そんな考えを考慮した、事前報道であった可能性もあります。

いずれにしても国民の劇的な支持無しには、空母は無理と考えています。

今後の動向にも留意が必要です。
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posted by sstd7628 at 11:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 軍事技術
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