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2023年09月15日

Technical Answers to Richard's Japanese Submarine OSINT Questions【軍事技術】

『ハッキングじゃないよ!海外OSINTへの情報提供だよ』
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There is a person named Richard (@EmbersOfSuns) who does #OSINT about submarines around the world.

Him:https://twitter.com/EmbersOfSuns

This person requested information about the Maritime Self-Defense Force's Soryu class submarines.

Figure 1: Bridge of the Soryu class submarine
図1 アンテナ.jpg
URL: https://twitter.com/EmbersOfSuns/status/1613677551330951171

Mr. Richard's design has been very helpful in understanding submarines.

As a thank you, we will provide information from Japan.
(Due to the use of Deepl translate)
(前回記事):『ついにFCS-4開発開始となるか?!【海上自衛隊】
\こちらもご参考に!PR/

(1) Who am I? I am a naval officer involved with submarines.


If you suddenly send me information from a suspicious person in Japan, the information will be considered inaccurate.

Who are you? What is your background? I will answer the following questions.

1.1 I am a retired JMSDF officer and submarine engineer.

I writer a blog in Japan under the name Penguin.

I am a former officer of the Japan Maritime Self-Defense Force (retired Navy Lieutenant Commander ).

During my service in the JMSDF, I was in the department that maintained submarine equipment, surface ship equipment and special forces SBU equipment

Figure 2 SBU
図2 SBU.jpg
URL: https://pbs.twimg.com/media/E_YsRMbVQAEdh0S.jpg

I was involved in submarine construction and repair, and was involved in the construction phase of the Soryu class submarine.

It was also involved in the development of the FCS-3, which is equipped by the Maritime Self-Defense Force ship.
(関係記事):『【艦発隊】特別警備隊(SBU)に関係する研究について
Figure 3 FCS-3
図3 FCS-3.jpg
Citation wiki

1.2 Japanese submarine information is strictly confidential and information is difficult to obtain.

When conducting OSINT, you may be troubled by the fact that information on Japanese submarines is almost impossible to obtain.

In Japan, there was a TOP SEACRET leak in December 2022.

Figure 4: Military Secrets
図4 軍事機密.jpg
Citation wiki

Therefore, submarine information has always been difficult to obtain.

The information we provide this time is only delivered from the information disclosed in Japan.
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(2) The object is an ESM antenna.

In conclusion, the object is an ESM antenna.

The model number is called "ZLR-3-6" and it is a Direction Finding (DF) antenna.

2.1 Radio Direction Finding and Information Gathering Antenna

You might think that an ESM sensor on a periscope would be sufficient for a submarine.

Figure 5: Submarine periscope
図5 潜水艦潜望鏡.jpg
Citation wiki

However, after the Souryu class submarine, the wideband radio wave information gathering capability was required to be improved.

Therefore, a high-performance ESM antenna was installed for radio direction finding and submarine intelligence espionage(SIGINT MSSION).

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(3) Can someone pass the word to Richard (@EmbersOfSuns)!

I do not have an X account.

Therefore, I cannot provide information to Richard (@EmbersOfSuns) directly.

If possible, please get the information to him.
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posted by sstd7628 at 13:33| Comment(1) | TrackBack(0) | 軍事技術

2023年07月22日

中国052D駆逐艦のダメコンは悪くないが・・?【軍事技術】

『悪くないが流血の教訓が根付いていない』
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最近どうやら中国052D駆逐艦のダメコン能力について、何やら意見が出てきたようです。

中国駆逐艦のダメコン能力は最低限!なんていうのは簡単ですが、事実に基づいて発言すべきです。

図1 中国052D駆逐艦
図1 中国052DL駆逐艦.jpg
引用URL:https://www.xinghuozhiku.com/wp-content/uploads/2023/05/91683853496.jpg

一応艦船技術者として、多少は知識と現場経験を重ねたものとしての意見です。

中国海軍のダメコン能力は向上してきて悪くないが、良くもないという意見です。
(関係記事):『【中国海軍】052D型駆逐艦の厨房から見えてくる技術思想!
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(1)水密扉と配管・電線処理を見ればレベルが分かる!

最近大増産されているのが、中華版イージス艦の052DL型です。

図2 5隻建造中
図2 5隻建造中.jpg
引用URL:https://twitter.com/Aurora107E/status/1665136160149057536/photo/1

なんだか色々な話が飛び交って、ダメコン能力を疑問視する声があるようです。

1.1 日米のダメコン能力が異常なだけだよ!

はっきり言うと、日米の艦船ダメコン能力が異常なまでに発達しすぎたから他の国が貧弱に見えてしまうのかもしれません。

図3 駆逐艦コール
図3 駆逐艦コール.jpg
引用wiki

船腹に大穴を開けられても生き残った、米海軍駆逐艦コールが良い例でしょう。

海上自衛隊も、日本海軍での血の教訓を糧に大幅にダメコン能力を増強したといえます。

1.2 上部構造物だけでもダメコン思想が読み取れる

中国052DL駆逐艦が海外にて一般公開され、艦内を見た識者がダメコン能力に疑問符を付けているという情報が流れてきました。

図4 ダメコン
図4 防水実習.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FGwvsifUcAEnfU3?format=jpg&name=4096x4096

まあダメコンは結構特殊技術でもあるため、パッと見で道具が見当たらないから能力が低い!なんていうほど簡単なものではありません。

(関連記事):『【海自】ダメコン応急工作は奥が深いよ〜!

いろんな準備と共に、設計段階から丁寧に細部のぎ装を考慮すべき話です。

1.3 水密ハッチと配管・電線を見ろ!

一般公開にて見過ごされがちなのが、水密ハッチと配管・電線の配置状況です。

特に区画をまたぐときに、配管と電線がどのように貫通しているかで設計思想が分かります。

図5 護衛艦いずも艦内
図5 護衛艦いずも.jpg
引用URLhttps://www.glico.com/assets/images/medium/0I9A1461vsd__1.jpg(グリコHPから)

この写真は、護衛艦いずもの艦内を捉えた映像です。

グリコの宣伝写真の中に、ちょうどよい画像がありました。

海上自衛隊の護衛艦などは、こんな感じでちょっとごちゃごちゃしています。

これもダメコンを考慮した、設計とぎ装になっています。

この中で隔壁を貫通している配管と電線に注目すると、中国海軍のダメコン能力を比較できます。
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(2)中国はダメコン能力は向上したがまだまだ問題がある

以前の051型(旅大級)駆逐艦については、ダメコン能力はひどいものでした。

図6 キッチン
図6 051型キッチン.jpg
引用URL:http://k.sinaimg.cn/n/sinakd20100/200/w640h360/20200621/4515-ivffpct0226437.jpg/w700d1q75cms.jpg

炊飯釜を上甲板に置くなど、とてもダメコンを考慮したとは言えませんでした。

2.1 052Dは改善されてきたね!

そんな中で2010年代に登場してきた、052D駆逐艦はダメコンも考慮されてすっきりしてきました。

図7 艦内配管
図7 艦内配管状況.png
引用URL:https://www.youtube.com/watch?v=0ApBrnosK3E

一応はスマートな艦内設計になっているように見えますが、この映像を見たときに少し違和感を覚えました。

配管を、隔壁や構造物金物に貫通させるときに貫通金物をちゃんと通しているのは正解です。

ただし、
・逆止弁(ぎゃくしべん)や閉鎖バルブを設置せずに、配管を長くするのか?


という疑問が出てきて、中国のダメコン対応能力に疑問符が付きます。

流血の教訓から、日米艦艇は配管にこれでもかとバルブを設置して流出防止をしています。

2.2 おいいい!電線処理が甘いぞ!

052D駆逐艦の艦内公開映像を見て、ダメコン設計がまだ途上と感じたのは電線処理のところです。

図8 艦内電線処理
図8 配管電線.png
引用URL:https://www.youtube.com/watch?v=0ApBrnosK3E

艦内の隔壁を貫通する電線について、貫通部に防炎・防熱の隙間充填処理がされていない!

完全に、ダメコン設計は考慮されているけどぎ装までしっかりとできていない証拠です。

海自護衛艦や艦艇でこんなことをすると、ぎ装員や主任検査官から激詰めされる案件です。
(そうれはもう、アツく激しく罵倒の嵐になるでしょう)

ダメコンを少しでも知る人間なら、難燃性電線は溶け落ちるモノと認識するはずです。

2.3 1982年イギリス海軍シェフィールドの教訓

1982年に発生したフォークランド紛争にて、駆逐艦シェフィールド火災沈没が有名になりました。

図9 シェフィールド火災
図9 シェフィールド火災.jpeg
引用URL:https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/styles/768x461/s3/publication/Hundimiento_del_destructor_HMS_Sheffield_ccexpress.jpeg?VersionId=qrUShAf4Q.hdKdFdtiBsegpjuhVosJNV&h=94757312&itok=zdCmvdk7

駆逐艦シェフィールド大火災の原因は、アルミ製上部構造物のせいといわれています。

実際は、火災発生により隔壁を貫通していた配管や電線が焼け落ち隣接区画に延焼拡大したためです。

その後世界各国の海軍は、徹底的に隔壁貫通の配管・電線処理に留意するようになります。

中国にもその教訓は伝わっているはずですが、ぎ装まで徹底できなかったのでしょう。

流血の教訓を体感できていないから、不十分なダメコン設計になったのかもしれません。
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(3)中国海軍ダメコン能力は悪くないが良くもない

結論として、中国海軍のダメコン能力は2000年代以降向上しているとは言えます。

しかしながら、まだまだ向上の余地があるといえるでしょう。

ダメコン用具が視界に入らないから、能力に問題があるとかそんな簡単なもんではないですよ!
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posted by sstd7628 at 14:54| Comment(2) | TrackBack(0) | 軍事技術

2023年06月30日

モロジー二のはみだしは痩せ馬対策かな?【軍事技術】

『よく見るとはみ出している部分があるね!』
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2023年6月にイタリア海軍哨戒艦フランチェスコ・モロジーニが横須賀に寄港しました。

哨戒艦だけど7000トン越えという、巨大艦となっています。

図1 哨戒艦フランチェスコ・モロジーニ
図1 哨戒艦.jpg
引用URL:https://twitter.com/jmsdf_yrh/status/1671753096907874304/photo/2

その中で、艦橋上部構造にナゾのはみだし部分が見つかる面白い展開になります。

イタリア海軍の建造技術はいかに?
(前回記事):『【海上自衛隊】艦これついに艦船呼んじゃったよすげえなあ!
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(1)艦橋上部にナゾのでっぱり!?

イタリア海軍の哨戒艦が日本に寄港して、いろんな発見がありました。

図2 後ろ姿
図2 後ろ姿.jpg
引用URL:https://twitter.com/jmsdf_yrh/status/1671753096907874304/photo/3

日本では初登場のOTOメララ76mmSovraponteも見えています。

1.1 艦橋上部にナゾのでっぱりが?!

そんな中で、日本に寄港したからこそ近くで写真撮影できたから判明したことがあります。

図3 艦橋上部の拡大写真
図3 拡大写真.jpg
引用URL:https://twitter.com/jmsdf_yrh/status/1671753096907874304/photo/2

なぜか艦橋上部に、一部不思議なでっぱりがあるとの指摘が出てきました。

一見すると単なる施工ミスのようにも見えますが、そんな単純ミスをするかな?

イタリアのレベルの高い冶金工学が、簡単なミスをするとは思えません。

1.2 1番艦進水時には見られない部分

イタリアの長距離警備艦(PPA)という、フリゲートと哨戒艦を融合したような軍艦は今後の流行となるかもしれません。

図4 図解
図4 図解.jpg
引用URL:https://twitter.com/D__Mitch/status/1435167863510376451/photo/1

パオロ・タオン・ディ・レベル型として就役した、フランチェスコ・モロジーニは哨戒艦という位置づけですが今後の改装でフリゲートのような重武装になります。

そんな新型艦の1番艦の進水式の写真を見つけました。

図5 進水式
図5 進水式.jpg
引用URL:https://www.seaforces.org/marint/Italian-Navy/Patrol-Vessel/P-430_DAT/P-430-ITS-Paolo-Thaon-di-Revel-002.jpg

1番艦の進水式の時には、でっぱりが見受けられません。

なおかつ、しっかりとした艦橋からの切れ目が見えています。

そこで引っかかったのが、PPAパオロ・タオン・ディ・レベルが2022年に就役後すぐに中東に派遣されたことです。

図6 派遣写真
図6 派遣写真.jpg
引用URL:https://www.seaforces.org/marint/Italian-Navy/Patrol-Vessel/P-430_DAT/P-430-ITS-Paolo-Thaon-di-Revel-024.jpg

2022年8月に撮影された写真ですが、右舷の艦橋上部にヤバいくらいの痩せ馬が走っています。

1.3 中東の日光でヤバい痩せ馬が!

新造艦であっても、中東アラビア海のような強烈な日光を浴びると鉄板にゆがみが発生します。

図7 痩せ馬
図7 痩せ馬.jpg
引用URL:http://blog-imgs-49.fc2.com/a/s/a/asahikawa1972/_99002014110001.jpg

本来なら、建造時の技術的加工技術の未熟さであばら骨のように鉄板が歪むのを「痩せ馬」と造船の世界では呼んでいます。

おそらくPPAも設計当初は、しっかりと計算されて建造されたのでしょうが中東の直射日光が外板を歪めた可能性があります。

そのため、2番艦については急遽外板の溶接位置を変更したものと思われます。

だからモロジーニも、変なでっぱりが出来てしまった可能性があるといえます。
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(2)Xバンドレーダーの重量が重い?

今回艦橋上部に変なでっぱりが出来た理由として、装備するレーダーが予想より重い可能性があります。

図8 レーダー部分
図8 レーダー装備位置.jpg
引用URL:https://electronics.leonardo.com/o/adaptive-media/image/22483417/w_960/Scalable%20architecture_new.jpg

その重量分散のため、やむなく溶接位置を変更したのかもしれません。

2.1 FCS-3でも苦労した重量軽減

FCS-3を装備した、ひゅうが型護衛艦以降の艦は艦橋構造物を強化して重量のあるレーダーを搭載しています。

図9 FCS-3
図9 FCS-3.jpg
引用wiki

すでにCバンドレーダーでかなりの重量となっていたため、Xバンドレーダーは重量軽減のため小さくせざるを得ませんでした。

レオナルド社のKRONOS DUAL BANDレーダーについては、レーダー素子面積を同じ大きさで2つ搭載しています。

そのため、予想以上に艦橋構造物の溶接部に負荷がかかっていいる可能性があるかもしれません。

2022年3月に1番艦が就役してから、修正の必要ありとして急遽外板の張替えが行われた可能性もあるといえます。
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(3)RCS低減用の工夫かも?

また別の見方をすれば、RCS低減のため溶接肉盛り部分を少なくするための工夫がされたかもしれません。

図10 RCS
図10 RCS.png
引用wiki

ステルス性を追求するため、あえて溶接部分をずらしている可能性があります。

3.1 溶接部の肉盛り部分はRCS増大の要因

戦闘機では有名になったステルス性は、軍艦でも取り入れられています。
(関連記事):『【ロシア】ソ連感の無い軍艦なんてただのロシア軍艦だ!

ここで問題になるのが、構造物の溶接跡の処理です。

護衛艦でも、構造物をよく見ると溶接の跡が残っていることがあります。

ここで問題になるのが、多層構造物の肉盛溶接を行った場合です。

図11 肉盛り溶接
図11 肉盛り溶接.jpg
引用URL:http://www.k-kamei.co.jp/wp-content/uploads/2019/06/2af0d16de804e2fb9256b5053d7fd8bf.jpg

たかが溶接されど溶接であり、肉盛溶接の後には丸みを帯びた部分が残ります。

3.2 丸いものはRCS増大の要因になる

ほんのわずかな溶接の肉盛部分の丸みであっても、RCSには影響が出てきます。

意外と、球体はRCSが高くレーダー反射を起こしやすいところがあります。
(RCS計測を行ったときに、肉盛りの有無で数値に違いがあった)

図12 球体RCS
図12 球体RCS.jpg
引用wiki

イタリアの造船所は、この肉盛りが残ることを嫌って溶接位置をずらした可能性もあるでしょう。

かなり深いわけがありそうです。

3.3 真相はいかに?

今回のモロジーニの寄港を機に判明した、イタリア艦の溶接の謎について
@痩せ馬を削るため溶接位置を変えた?
Aレーダー重量を分散するために溶接位置をずらした?
BRCS分散のため、わざと溶接肉盛りを減らす措置?


ということが考えられます。

さあ真相はいかに?!
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posted by sstd7628 at 13:31| Comment(6) | TrackBack(0) | 軍事技術

2023年04月24日

もがみ型護衛艦電波アンテナは興味深い!【軍事技術】

『いまさらだがもがみ型の電波周りは面白い!』
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2022年に就役が始まったもがみ型護衛艦FFMは、省人化やステルス性など大きく力が入れられました。

1番艦から8番艦まではVLS搭載無しとなり、いろんな議論を呼んでいます。

図1 もがみ型護衛艦
図1 もがみ型.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ffm/mogami/#1-1

ここで意外と触れられていないのが、通信電波アンテナ関係の話です。

ステルス性に対して非常に相性の悪い、通信電波に関するお話をご紹介!
(前回記事):【【軍事技術】GTエンジン沼にはまってみないか?
\こちらもご参考に!PR/

(1)ユニコーンは頑張ったんだよ!

もがみ型護衛艦について、ステルス性に考慮をされた船体となっていますが一部は従来型になっています。

図2 航海用アンテナ
図2 航海用アンテナ.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ffm/mogami/#3-2

従来のアンテナなどを搭載せざるを得ない状況も発生しています。

1.1 ユニコーンは頑張った!

もがみ型護衛艦の大きな特徴は、複合型空中戦NORA-50ユニコーンの搭載です。

図3 UNICORNマスト
図3 UNICORNマスト.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/en/policy/pdf/defense_equipment_unicon_reference_guide.pdf

長らく艦船技術者が夢見た、マスト周辺のごちゃごちゃした通信アンテナをひとまとめにしたユニコーンアンテナはステルス性能向上に役立つでしょう。

搭載されているだけでも、
・UHFアンテナ
・VHFアンテナ
・LINK16アンテナ
・IFFアンテナ
・方探アンテナ(逆探知系)
・TACANアンテナ(航空用)
・Wi~Fiアンテナ(FCネットワーク用?)

などいろいろあります。

よくぞここまで集合させて、すっきりとした形状にまとめきれたといえます。

図4 統合空中戦システム
図4 統合空中線システム.png
引用URL:https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11339364/www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/results/22/jizen/sankou/16.pdf

平成22年度に登場した、統合空中線システムの研究などを経てユニコーンは登場したといえます。

防衛装備庁はよく頑張ったよ!アンテナだらけのマストをよくまとめたよ!

もっと評価されても良いポイントかもしれません。

1.2 航海用レーダーは仕方がない!

もがみ型護衛艦の海上公試が始まったときに、回転式レーダーが付いている!なんて指摘がされました。

図5 回転式航海レーダー
図5 回転式航海用レーダー.jpg
引用wiki

航海用レーダーはXバンド帯の発信をしますが、GMDSS(海上における遭難及び安全に関する世界的な制度)にて反応がするためには民生用と同じ製品を使う形になります。

わざわざ専用品を作るよりも、安上がりとなります。
(私は漁船ですよ〜?と電波的に化けることもできる)

1.3 衛星通信亜アンテナはもっと仕方ない!

もがみ型護衛艦はユニコーンアンテナの前後に、衛星通信用アンテナを置いています。

図6 衛星通信アンテナ
図6 衛星通信アンテナ.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ffm/mogami/#3-3

大出力大容量データーの通信を行うには、どうしてもパラボラアンテナ方式が必要となります。

そのため丸いアンテナレドームを使用せざるを得ません。(中にパラボラアンテナが入ってる)

変に遮蔽版を置くと、衛星電波の利得がめちゃくちゃになり通信がうまくいきません。

まあこれも仕方ないでしょう。
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(2)HF(短波)アンテナは収納できなかったのね?

もがみ型護衛艦のアンテナ周りで特徴的なのが、HF(短波)無線機用アンテナが出ていることです。

図7 HFアンテナ
図7 こんごう型.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ddg/kongou/img/173_05l.jpg

こんごう型以降に船体後部に、太いHFアンテナが付くようになりました。

2.1 HF(短波)は何に使うの?

ここでHF(短波)と言っても、あまりなじみがないかもしれません。

身近にあるケータイ電波はUHFなど波長の短いものを使います。

図8 用途
図8 用途.gif
引用URL:https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/search/myuse/summary/eqsp001.gif

波長10m〜100m周波数帯3MHz〜30MHzが、短波の領域で船舶や航空機の通信に使用します。

短波通信が便利なのは、水平線越えの長距離通信が可能な点です。(その代わり雑音がひどい)

図9 洋上管制所
図9 洋上管制.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/E-4qeffVQA4GkWt?format=jpg&name=900x900

海上自衛隊航空集団には、洋上飛行をする航空機管制を行う管制所があります。

かつてこの通信管制室は撮影禁止だったので、海自航空集団がTwitterで写真掲載したのは驚きです。

海自では船舶通信やHS運用通信に利用するため、欠かせないものです。

ただ送信出力の大きさや、アンテナが長く大きくなるのが難点です。

2.2 ORA-19は偉大な存在!

短波通信空中線は以前から艦艇に搭載していましたが、アンテナだらけになり苦労していました。

そんな中で、短波空中線を共用して使えるORA-19受信空中線共用器が装備されるようになります。

図10 ORA-19
図10 ORA-19.png
引用URL:https://ssl.bsk-z.or.jp/kenkyucenter/pdf/25sannbakou11.25.pdf

空中線周りをすっきりさせたORA-19は、短波通信の偉大な存在といえます。

ちょうど艦船の煙突についてる2本のアンテナがHF送信アンテナであり、送信位置として他の電波機器に干渉しない位置となっています。

そんな短波通信アンテナは、やはりステルス性との闘いになります。

2.3 格納すると他の通信機器に影響する。

もがみ型護衛艦は、HF送信空中線や受信空中線は従来のままとなっています。

図11 みくま横から
図11 みくま横から.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ffm/mogami/#3-6

煙突付近でにて、飛び出ているのがHF送信空中線です。

ユニコーンの中に格納すると、各種の通信機器に電波干渉してしまうので格納をやめたのでしょう。
(マジにHF電波は通信機器に電波干渉します。)

ステルス化への最終関門は、通信アンテナとなるのは皮肉な話です。
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(3)ぐるぐる巻きにしてえなぁ〜!

潜水艦搭載のHFアンテナは、ループアンテナをぐるぐる巻きで複合空中線に格納しています。

図12 AN/OE-538
図12 OE-538.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ss/oyashio/#595-1

黄緑色のものが、潜水艦用のAN/OE-538複合空中線です。

3.1 短くしてぇ〜!

現職時代に聞いたのは、「HFアンテナもっと短くしてえ!特にHS甲板のやつ!」という悲鳴です。

図13 ヘリ甲板アンテナ
図13 ヘリ甲板アンテナ.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/dd/akizuki/#118-3

折り畳み式にはなっていますが、HSパイロットから一番文句が出るのがヘリ甲板のアンテナ類です。

電波の送受信には最も適していますが、発着艦には邪魔です。

ぐるぐる巻きにすると短くできるけど、電波利得が低下するしな〜!

中々苦労の連続です。

3.2 アンテナから見るもがみ型も面白い!

もがみ型護衛艦はステルス性に配慮した形状となりましたが、HFアンテナは従来の形状となりました。

電波干渉を考慮すると仕方ないですが、まだまだステルスの道は遠いところです。

HFアンテナなんてイラン!とすると、搭載HSとの交信ができません。

図14 N-AS-299
図14 N-AS-299.jpg
引用wiki

N-AS-299のように短い短いものもあるけど、出力が足りなくなります。

けっこうもがみ型もいろんな面からみると、面白いですよ!
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2023年04月11日

GTエンジン沼にはまってみないか?

『エンジンはいいぞ〜GTエンジンはいいぞ〜!』
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軍事において武器システムにはまる人は多いけど、意外と少ないのがエンジン好きの人です。

艦内に格納されてしまうから、目立たないという難点のあるかもしれません。

図1 GTエンジン
図1 GTエンジン.jpg
引用URL:https://weblio.hs.llnwd.net/e7/img/dict/sgkdj/images/105136.jpg

艦船に使われるガスタービンエンジン(GT)を知ると、いっぱいありすぎて目移りします。

文句が出る海自艦船GTエンジン組み合わせも、実はちゃんと意味があったりします。
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(1)ロールスロイス最高だろ〜!(空自への煽り)

航空自衛隊ではイギリスロールスロイス社エンジンに対して、これでもかと文句があるでしょう。

図2 F-1支援戦闘機
図2 F-1支援戦闘機.jpg
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/F-1__(航空機)#/media/ファイル:Mitsubishi_F-1_03.jpg

まあF-1支援戦闘機の推力不足はいがめなかったのは事実です。

1.1 海自のGT化をもたらしたロールスロイスエンジン
海上自衛隊では1970年代後半に、はつゆき型護衛艦にてGTエンジン搭載が計画されます。

図3 はつゆき型護衛艦
図3 はつゆき型護衛艦.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/dd/hatsuyuki/img/main.jpg

はつゆき型の前には、ディーゼル搭載の「やまぐも」「みねぐも」型や蒸気タービン搭載の「たかつき」型がありました。

対潜戦の静粛化を考えると、ディーゼルや蒸気タービンから転換する必要がありGTエンジンが選択されたところがあります。

1.2 21型フリゲート(アマゾン級)の成功を受けて
そんな中で1969年に建造が始まり、1974年から就役が始まったイギリス21型フリゲート(アマゾン級)の成功が世界に報じられます。

図4 21型フリゲート
図4 21型フリゲート.jpg
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/21型フリゲート#/media/ファイル:HMS_Arrow_(F173)_underway_c1982.jpg

世界で初めてGTエンジン搭載の軍艦として完成度の高さを出したので、はつゆき型としてもイギリスに習ってGTを選択していきます。

タインRM1C(巡航用)とオリンパスTM3B(高速用)の2種類にてガスタービンを切り替えて使用する方法になります。

図5 RM1C
図5 RM1C.jpg
引用URL:http://www.uk-kk.co.jp/img/english/product/img09.jpg

途中でロールスロイス社に併合されることになり、1社供給となります。

1.3 なぜ異なる2種類のエンジンを使用したか?
よく聞かれる質問として、なぜ異なるGTエンジン搭載を行っているのか?というものがあります。

理由としては、大出力GTエンジンがまだ登場していなかったというものがあります。

1970年代だと、船舶用GTエンジンにて1軸に対して2基使用しないと最大速力(30ノット)まで行けなかった状態です。

さらには、減速機(ギア)の問題がありました。

図6 減速機
図6 減速機.gif
引用URL:https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/00198/images/170_01l.gif

高速回転するGTエンジンからの回転シャフトを減速してプロペラに動力を伝えるには、慎重な設計が必要です。

成功実績のある物を選択していくのが、基本となります。

あさぎり型では、ロールスロイススペイSM1Aを4基搭載してCOGAG方式にて運転方式の多様化に成功します。
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(2)LM2500は魔法のエンジンにあらず

イージス艦に搭載されていたことで、魔法のエンジンのように言われたLM2500エンジンがあります。

図7 LM2500エンジン
図7 こんごう型.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ddg/kongou/img/173_02l.jpg

平成になって登場したLM2500エンジンには、色々悩まされたものです。

2.1 扱いやすいが出力がねえ?

GE社のLM2500エンジンは、1970年には登場していましたが信頼性の面でまだ実績がなかったところがあります。

最初に船舶用として搭載した、スプルーアンス級駆逐艦(1975年就役)の運用実績が少ない中ですぐに切り替えるわけにはいきませんでした。

図8 スプルーアンス級駆逐艦
図8 スプルーアンス級駆逐艦.jpg
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/スプルーアンス級駆逐艦#/media/ファイル:US_Navy_010618-N-6626D-002_USS_Hayler_(DD_997)_underway.jpg

登場したばかりのLM2500についても、1980年代には必要推進力を1軸1基で賄えるほどではありませんでした。

海上自衛隊で注目されたのは、オリバー・ハザード・ペリー級の実績が(1軸2基の信頼性)顕著に出てきたことです。

その後イージス艦導入と共に、LM2500導入が始まります。

2.2 むらさめ型以降の発展型につながる。
むらさめ型にてLM2500(高速追加用)とロールスロイスSM1C(巡航用)の併用ということが始まりました。

批判も多い組み合わせですが、当時の導入数が少ないLM2500を補完するものとしてSM1Cを併用することになります。

図9 SM1C
図9 SM1C.jpg
引用URL:http://www.uk-kk.co.jp/img/english/product/img08.jpg

LM2500エンジンは、IHIがライセンス生産・オーバーホールを担当することになり整備キャパが不安視されたところがあります。

故障対処や部品供給態勢が整ってきた2000年ごろからようやく、信頼性を持ったといえます。

2.3 LM2500不足問題
LM2500については、2001年のインド洋派遣が始まったことから慢性的な予備機不足に悩まされます。

図10 インド洋派遣
図10 インド洋派遣.gif
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/approach/kokusai_heiwa/terotoku/images/gaiyou1.gif
灼熱の環境にて、エンジンの故障も頻発してくることになります。

さらに防衛費削減によりエンジンオーバーホール間隔の延伸が行われ、部品不足による整備待ちエンジンが積みあがることになります。

エンジン屋さんがどうしてもLM2500を好きになれない理由は、苦難の歴史があります。

さらにM事案により、予備機増強を含めたLM2500購入がストップすることがありました。
(機関科の人たちが、大号泣しながら修理する羽目に・・・)

海自にもIHIに予備エンジンがない危機的状況が、1年ほど続いたことがあります。
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(3)エンジン屋さんのライフはもうゼロよ!

もがみ型護衛艦のGTとしてロールスロイスのMT30が導入されることになりました。
図11 MT30
図11 MT30.png
引用URL:https://www.shintoa.co.jp/wp-content/uploads/kumano_mt30.png

川崎重工が整備とオーバーホールを担当することになります。

3.1 SM1A/Cとの両立は大丈夫か?

川崎重工としては、ようやくタインRM1CとオリンパスTM3Bの保守から解放されます。
(TM3Bは「はたかぜ」型2隻を残すのみ)

そんな中で、国産化したSM1AとSM1Cの面倒を見ながら、MT30の整備もしなくてはいけません。

スペイSM1Cについては、ましゅう型補給艦などにも使用され日本が一番の使用国となりました。

ロールスロイス社から部品が来ないから、2012年にはついに製造事業譲渡を受けて100%国産化となります。

図12 国産化
図12 国産化.png
引用URL:https://www.khi.co.jp/corporate/timeline/pdf/125history_19.pdf

ホントに大丈夫?ちゃんと供給できる?

3.2 M1A発電機については言うまでもない

海上自衛隊のGTについて、もっとヤバいのがM1Aシリーズですね。

図13 M1A発電機
図13 M1A発電機.png
引用URL:https://www.gtsj.or.jp/journal/contents/vol41no4_journal.pdf

ガスタービン発電機として開発されましたが、機関や電気員の恨みをどれだけ買ったことか・・・

GTエンジン沼は、ほんとに奥が深いぜえ〜!
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2023年03月05日

グロテスクな核弾頭のタワーだ!【軍事技術】

『30年の月日を経てカラーの核弾頭写真が出てきた!』
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本ブログでは、以前からロシアの核弾頭についての情報を追っかけてきました。

かつて1990年代に見た、NHKのソ連軍崩壊で見た核弾頭の写真が脳裏に焼き付いていたからかもしれません。

図1 SS-20
図1 SS-20.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EPjAB0kXkAAmMG8?format=jpg&name=large
そんな中で、30年の時を超えて謎とされたICBM「SS-18」の弾頭部のカラー写真が世の中に出回ることになりました。

1990年代では不明だった点など、グロテスクな核弾頭のタワー状況の詳細が分かります。
(前回記事):『【防衛省】陸自さん特定秘密漏洩してませんか?!
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(1)SS-N-23(R-29RM)の弾頭部は以前紹介したことがある

本ブログでは、ソ連海軍・ロシア海軍が装備していたSS−N-23(R-29RM)の弾頭部を紹介したことがあります。

図2 R29RM弾頭部
図2 SS-N-23.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/Dn5l3VwXoAAUkUJ.jpg

(関連記事):『【世界情勢】ロシアSLBM最高機密の写真が流失?!

その後も調べていくと、なかなか興味深くなるのが核弾頭の世界です。

1.1 SLBMの全長の短さはこうやって作り出すのか!

SS-N-23(R-29RM)については、ソ連海軍・ロシア海軍に装備されているSLBMです。

図3 全景
図3 全景.jpg
https://i1.wp.com/missilethreat.csis.org/wp-content/uploads/2016/08/makeyev-r29rm.jpg?resize=768%2C489&ssl=1

潜水艦の中にどうやってSLBMを収納するのか?普通の核弾頭搭載方向だと構造が大きくなります。

そんな疑問を解決したのが、下向きに核弾頭を搭載するという方式です。

図4 西側MIRV
図4 西側MIRV.jpg
引用wiki

アメリカ公式だと、上向きにつけるのが当たり前なのでソ連も同じように搭載していると思いこんでいたといえます。

1.2 SS-20のグロテスクな搭載法にヒントがあったのか!

かつて冷戦時代には、日本を狙うIRBMとしてのSS-20セイバーが有名でした。

図5 SS-20セイバー
図5 スミソニアン博物館.jpg

引用URL:https://ids.si.edu/ids/deliveryService?id=NASM-NASM2016-03799&max=900

アメリカスミソニアン博物館にてINF条約により破棄された、SS-20と共にパーシングUミサイルも展示されています。

スミソニアン博物館を訪問したときに実際にSS-20を見学した印象は、なんてグロテスクな光景なんだ!と思ったことがあります。

写真の中で発射カバーに覆われた写真しか見たことが無かったので、余計衝撃的でした。

1.3 SS-18mod4を追っかけて!

そんな中で興味が湧いてきたのが、ロシアのSS-18「サタン」の核弾頭です。

図6 SS-18サタン
図6 SS-18.jpg
引用URL:https://www.uatom.org/wp-content/uploads/2020/06/8e8c83a-26-satana-zrist-ludina-1050x689.jpg

特にSS-18mod4と呼ばれる、ソ連崩壊直前に配備が始まった10発のMIRVを搭載したバージョンはどんな弾頭形状をしているのか不明でした。

1990年代に、NHKの番組でSS-18mod4の写真が当時のスクープとして登場したことがあります。

図7 SS-18mod4写真
図7 SS-18弾頭写真.png
以前の参考記事:『【世界情勢】核弾頭は上に付ける?下に付ける?にて、情報提供をいただき写真を掲載しました。

やや不鮮明ながら、おそらく当時入手できた最高機密写真と言えます。

核弾頭を上下につなげて搭載して、直径を大きくすることなく多くの弾頭を搭載する技術と言えます。

そんな中で、2023年になってこの写真の大元と言える写真が発表されました。

30年の時を超えて、最高機密が世の中に出てきたといえます。
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(2)こいつがSS-18mod4の鮮明な核弾頭写真だ!

ウクライナ戦争が続く中で、ロシアの軍事サイトMilitaryRussia.ruにて突如SS-18mod4の弾頭部写真が公開されました。

図8 弾頭部カラー写真
図8 弾頭部カラー写真.jpg
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/942/DIzVV.jpg

以前NHKが報道した写真とは少し違いますが、SS-18mod4の弾頭部と考えてよいでしょう。

2.1 現在ではSS-18mod6に更新!

SS−18サタンについては、RS-28サルマートに更新が進んでいます。

図9 RS-28サルマート
図9 RS-28サルマート.jpg
引用URL:https://topwar.ru/uploads/posts/2021-08/1628052085_snimok.jpg

しかしながら、現状ではSS-18mod6(10発のMIRV搭載)が主力といえます。

2.2 写真の信ぴょう性は?

今回出てきた写真の信ぴょう性は、かなりデカいといえます。

図10 比較写真
図7 SS-18弾頭写真.png図8 弾頭部カラー写真.jpg

比較すると、1990年代に出てきた写真は反転写真だった可能性があります。

今回の写真はより精巧に細部までわかるようになっています。

2.3 やはり最新型は10発搭載か?

最新のSS-18mod6は、10発のMIRV搭載と言われていますがその可能性を示すものとしてカラー写真を分析すると出てきます。

図11 詳細写真
図11 弾頭検討写真.jpg

グロテスクな核弾頭のタワーともいえる光景が、よく見えます。
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(3)おそロシアは奥深い

おそロシアなんて呼ばれる世界は、やはり奥深いものがあります。

今後とも、冷静に観察を続けていきたいと思います。
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posted by sstd7628 at 13:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 軍事技術

2022年12月02日

射程3000kmと感度3000倍って似てるよね?【軍事技術】

『んほお〜〜♡!トンじゃう〜〜〜♡!!』
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いきなり変な発言ですが、最近の反撃能力を睨んだ長射程誘導弾の話を聞くとこんなことを思い浮かべます

射程3000kmと感度3000倍って似てるよね?(対魔忍に浸食された思考)

図1 極超音速誘導弾
図1 極超音速誘導弾.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/yosan/yosan_gaiyo/2023/yosan_20220831.pdf

長射程を見据えるのはいいのですけど、後方支援態勢(弾薬庫など)が大変になるだろうなあ〜。

トマホーク巡航ミサイル導入に前のめりだけど、衛星通信やデジタルマップのことも考慮してるのかな?
(関連記事):『【軍事技術】イスカンデルのデコイ機能がついに露見?!
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(1)射程3000kmってIRBMじゃね?

防衛大綱や中期防の改訂により、反撃能力としての長射程誘導弾が大量に量産されるようになります。

図2 極超音速誘導弾
図2 極超音速誘導弾.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2020/poster/kenkyu_06.pdf

ひと昔前だったら大炎上ものだった、反撃能力の長射程誘導弾開発が行われることに時代の変化を感じます。

1.1 HGV(極超音速誘導弾)を日本が保有する時代になるとは!

ひと昔前だったら周辺国に軍事的脅威を与える!の掛け声で、研究さえできなかったであろうHGVの具体的な装備化計画が進むことに時代の変化を感じます。

図3 HGV
図3 HGV.png
引用URL:https://chanakyaforum.com/wp-content/uploads/2021/10/Hypersonic-1.png

弾道ミサイルと違い、極超音速で低空を飛行することで敵策源地攻撃の切り札となるでしょう。

北朝鮮を始め、中国や世界各国が必死になって開発しているところですので順当な開発といえます。

1.2 射程3000kmまで延伸するんか?!

そんな中で、研究開発中の極超音速誘導弾について射程3000kmまで段階的に射程延伸するというニュースが登場してきました。

図4 島嶼防衛用高速滑空弾
図4 島嶼防衛用高速滑空弾.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2019/doc/fukuda.pdf

12式SSM能力向上型と共に開発が進む島嶼防衛用高速滑空弾にて、とりあえず早期装備型で射程1000km・発展型で射程2000kmを目指すことになります。

そんな中で、本命の極超音速誘導弾(HGV)にて射程3000kmを目指すというニュースが流れています。

北海道から発射して、南西諸島の防衛に寄与するという発想はなかなかすごい時代です。

しかし射程3000kmと聞くと、感度3000倍!のフレーズに似てきています。

信管の感度も3000倍になってたら嫌ですね〜!

1.3 やっぱIRBM・・・?

しかし射程3000kmという長射程となると、いくら島嶼防衛用の極超音速滑空弾(HGV)です!と主張しても世界から疑念を持たれそうですね〜?

図5 IRBM
図5 IRBM.png
引用wiki

今は絶滅したソ連のSS-20など、中距離弾ミサイルに近い状況になるかもしれません。

一応攻撃型兵器の保有は憲法違反になるので、島嶼防衛用として射程3000kmに制限する形になるでしょう。

弾道飛行しないから弾道ミサイルじゃないもん!という論理で何とかミサイル技術管理レジーム(MTCR)から逃れてほしいところです。
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(2)トマホークミサイル導入交渉は15年遅い!

反撃能力の整備に関して、トマホーク巡航ミサイル導入の話が持ち上がってまるで既定路線のようになっています。

図6 トマホーク巡航ミサイル
図6 トマホーク巡航ミサイル.jpg
引用wiki

国産ミサイル導入までのつなぎとして、お手軽に導入できると踏んでいるのでしょうが後方支援態勢が考慮されていない?

2.1 トマホーク導入は15年遅い!

私ペンギンはかつて海自にいたころに、対艦型トマホークミサイル(射程450km)導入の話をよく聞きました。

図7 対艦型トマホーク
図7 対艦型トマホーク.jpg
引用URL:http://www.ausairpower.net/USN/BGM-109B-Cutaway-S.jpg

海自としては、射程の短いハープーンや90式SSMではいずれ長射程化している中国のSSMに対抗できなくなると危機感を抱いていました。

2004年の16大綱でも調達計画に言及するほど、長射程トマホークの導入が言われていましたがあまり盛り上がらず結局導入する機会を逃してしまいました。

もしもあの時に導入計画が進んでいれば、トマホーク巡航ミサイルの対地型導入もすんなりいったでしょう。

しかしながら危機が目前に迫った状態で、いきなりトマホーク導入は議論が15年遅かったとしか言いようがありません。

2.2 電子マップは?システム改修は?

トマホーク巡航ミサイルを導入するときに問題となるのが、電子マップとシステム改修です。

電子マップとは、TERCOM(地形等高線照合)とDSMAC(デジタル式情景照合)の機能を活用するための基礎情報です。

図8 TERCOMとDSMAC
図8 TERCOM.jpg
引用URL:https://vcdn1-vnexpress.vnecdn.net/2013/08/31/328070-397-1377930533.jpg?w=680&h=0&q=100&dpr=1&fit=crop&s=he9xSzeXwZIaBxp_gFSWVg


電子マップ基礎情報が膨大であり、単にミサイル本体を買っていてイージス艦のVLSに搭載すれば反撃能力を獲得できるわけではありません。

トマホークシステム(TWS)導入の初期費用を米軍資料で読んだことがありますが、普通に対艦ミサイルを買い増しした方がいいくらいの準備費用が発射までにかかります。

図9 イージス艦発射
図9 イージス艦発射.jpg
引用wiki

米海軍でのイージス艦からの発射映像に慣れすぎてしまって、日本のイージス艦からも簡単に撃てると思われているかもしれません。
(下手をすると防衛省上層部や国会議員も思ってるかも・・・)

しかし日本のイージス艦のイージスシステムからは、TWS(トマホーク武器システム)などの機能を完全にオミットしているため最初からプログラム構築をし直す必要があります。

イージスシステムのプログラムは膨大なソースコードがあり、簡単にこの機能追加!ができないところがあります。

図10 こんごう型護衛艦
図10 こんごう型護衛艦.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ddg/kongou/img/173_05l.jpg

こんごう型護衛艦導入の時は、日本独自の機能(FCS-2・NOLQ-2・127mm主砲など)追加で非常にシステムインテグレーションに苦労したと聞いています。

この時日本はTWS導入をしないため、完全にシステムから切り離した「ジャパンカスタム」仕様になっています。

2.3 TWS導入にはプログラム全部総入れ替えになるぞ〜!

BMD器材の導入時にもかなりシステムインテグレーションには苦労したのに、一度オミットしたTWSの機能を導入するのは容易ではありません。

ただ発射機能のコントロールだけでなく、システム全般や衛星通信系統まで影響を及ぼすためプログラム総入れ替えになるでしょう。

そのためミサイル本体約1億円だ〜!と騒いでも、LCCで考えるととんでもなく高価になる可能性もあります。(プログラム構築・電子マップデーター費用・米国との連接)

そもそも米国が売却してくれる確約は?(英国がようやくトマホーク売却となったのに?)
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(3)これからも反撃能力には注視が必要!

日本もようやく危機感に目覚めて、反撃能力の長射程誘導導入に動くことになりました。

図11 12式SSM能力向上型
図11 運用構想.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/2020/pdf/jizen_08_honbun.pdf

しかしながら、開発には時間がかかるためトマホークが導入されるか?12式能力向上型配備が間に合うか?となるでしょう。

トマホークミサイル導入は、米国の気分次第でどうにでもなるためしっかりと今後を見据える必要があるといえます。

これからの状況を注視していきましょう!
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2022年10月03日

軍艦のステルス性の誤解と効果の狙いについて!【軍事技術】

『軍艦のステルス性は数秒でも探知を遅らせるのが目的!』
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2022年になって、米海軍駆逐艦ズムウォルトやフリーダム級LCSが横須賀に寄港するなどなかなかぶっ飛んだ時代となりました。

軍艦のステルス性を極めたような、駆逐艦ズムウォルトはもはや別次元のものとなっています。

そんな中で、最近の軍艦によくあるステルス性を求めてカクカクした形状となるこにどんな意味があるのかという疑問があるようです。

レーダーに映らないというより、レーダー探知を遅らせることが目的といえます。
(前回記事):『【世界情勢】現代補給戦は恐怖の物量戦!
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(1)駆逐艦ズムウォルト来訪!

2022年になり、あの米海軍ズムウォルトが横須賀に来訪したことはかなり驚くべきことです。

図1 駆逐艦ズムウォルト
図1 駆逐艦ズムウォルト.jpg
引用URL:https://cdn.dvidshub.net/media/thumbs/photos/2209/7436955/1000w_q75.jpg

もはや未来の軍艦と思われましたが、艦砲が開発中止となりアーセナルシップ状態です。

1.1 最近の軍艦なんでステルス性を追求するの?

海上自衛隊も、むらさめ型護衛艦以降はステルス性を追求した設計となり「もがみ」型護衛艦はステルス性を優先した設計となりました。

図2 もがみ型護衛艦
図2 もがみ型護衛艦.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ffm/mogami/img/1-10.jpg
まあつるペタだの、軍艦の威厳が無いだの散々な言われようですがステルス性を追求している以上仕方ありません。

私も参考記事で散々、ステルス性を追求したロシア艦に文句を言っています。
(参考記事):『【ロシア】ソ連感の無い軍艦なんてただのロシア軍艦だ!

なんでここまでステルス性を追求するのか?理由としてはレーダー探知をできるだけ遅らせることに重点を置いているからです。

1.2 従来設計だとレーダーに探知されやすい!

以前のようなゴテゴテとした軍艦であると、装備品がむき出しとなりレーダー反射断面積(RCS)が大きくなってしまいます。

図3 あさぎり型護衛艦
図3 あさぎり型護衛艦.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/dd/asagiri/img/152_01l.jpg
あさぎり型護衛艦の右舷後部格納庫に至っては、ステルス性が損なわれる!と散々批判を受けたものです。
(設計当時の1980年代はまだステルス性の配慮はなかったため)

いろんな平面や曲線が折り重なると、どうしてもステルス性が損なわれるものです。

レーダーの発達とステルス研究の成果により、1990年代から軍艦にも対レーダーステルス性を追求するようになったのです。

1.3 レーダー探知が少しでも遅れるのを目指す!

軍艦がステルス性を追求して、各国とも似たような設計となるのはどうしても避けられない状況です。

図4 フランスアキテーヌ級駆逐艦
図4 フランスアキテーヌ級駆逐艦.jpg
引用wiki
フランスのアキテーヌ級駆逐艦もどこかで似たような設計になっています。

図5 対艦ミサイル補足
図5 対艦ミサイル補足.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EsGNgDNVQAAl3Jd?format=jpg&name=small

とにかくレーダー探知・艦ミサイルのシーカーが目標補足する時間を数秒・数マイルでも遅くできると、生き残れる確率がぐっと上がります。

そのため艦艇のステルス性追求は、全く無意味ではありません。
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(2)航空機とは違う艦艇のステルス性・RCS低減の意義!

ステルス戦闘機などでは、可能な限りレーダーに映りにくい設計を行っています。

図6 F-35A戦闘機
図6 F-35A戦闘機.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/asdf/equipment/sentouki/F-35/images/gallery/f35img0004.jpg

しかしながら、艦艇の場合は航空機とは少しばかりステルス性への考えが違います。

2.1 シー・シャドウみたいにはいかない!

艦艇の究極のステルス性を追求したのが、米国で開発された「シー・シャドウ」でしょう。

図7 シー・シャドウ
図7 シーシャドウ.jpg
引用wiki
米国で1982年に就役した実験艦シー・シャドウは、水上艦の究極のステルス性を追求したものです。
かなりステルス性に優れていましたが、乗員の居住性や武器搭載などに問題がある状況です。

水上艦は、戦闘にてできるだけ遠距離の目標を探知すると共に居住性確保のためある程度の容積が必要です。

そうすると、ある程度妥協してできるだけレーダー反射(RCS)が少ない設計となります。

2.2 水上艦のRCS低減はいろいろな方法で!

航空機のRCSについて、360度全方向のデーター表は結構出ています。

図8 航空機RCS
図8 航空機RCS.png
引用URL:https://www.researchgate.net/profile/Henning-Heiselberg-2/publication/224186083/figure/fig5/AS:393073545760771@1470727444716/Frequency-averaged-polar-RCS-of-a-metal-model-of-aircraft-fighter-F-35.png

同じように、艦艇でもステルス性を図る指標としてRCS(レーダー反射断面積)があります。

図9 艦艇RCS
図9 艦艇RCS.PNG
引用URL:https://www.c-130.net/forum/download/file.php?id=30480&mode=view

艦艇の場合、真横のRCS共に艦首・艦尾のRCSも結構大きいものがあります。

その他、角度によってはRCSが低くなるところもあり結果としてRCSを低減させるには外板を傾けていくのが一般的になります。

2.3 AC-14アンカーが意外とステルス性の問題となる!

海上自衛隊でも、昔に艦艇の洋上でのRCS計測をいくつもの艦艇で行い意外な結果が出たことがあります。

各艦艇とも、設計段階でのRCS予測クリアする結果でしたが意外なものがステルス性を失わせる結果が出たことがあります。

図10 護衛艦アンカー
図10 護衛艦アンカー.jpg
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/dd/takanami/img/113_04l.jpg

それは、艦艇に当然装備されているAC-14アンカーがRCS増加の要因となることでした。

洋上で航行している護衛艦は、AC-14アンカーが艦首の外壁に張り付いていますがこのアンカーが意外とRCSを増大させている原因と判明しています。

図11 フォーミダブル級フリゲート
図11 フォーミダブル級フリゲート.jpg
引用wiki

19DD(あきづき型)にてアンカーの艦内格納が検討されましたが、船価上昇の原因となるため「もがみ型」護衛艦になってようやく、フォーミダブル級フリゲートのような格納型になったのです。

もがみ型護衛艦のステルス性追求の方法として、アンカーの艦内収納が行われました。
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(3)ISAR(逆合成開口レーダー)には弱いよ!

艦艇のステルス性追求は、レーダー探知を少しでも遅らせる効果がありますが苦手なものもあります。

図12 逆合成開口レーダー
図12 ISAR.png
引用URL:https://www.slideserve.com/hugha/advanced-synthetic-aperture-radars-powerpoint-ppt-presentation

逆合成開口レーダーと呼ばれるレーダーは、艦艇の揺れによる電波の乱れを利用して目標探知を行うためステルス性があまり意味をなさない場合もあります。

しかしながら、ISARが搭載できるのは今のところ航空機が中心です。

将来的には、ISARを持った水上レーダーも登場するでしょうが今のところはカクカクのステルス性追求で十分でしょう。

今後の技術革新を迎えると、艦艇のステルス性も変化するかもしれませせんよ〜!
電波のステルス性は、キツネとタヌキの化かし合いです!
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2022年06月29日

VLSの洋上再装填が話題なので・・・【軍事技術】

『VLSの洋上再装填は難しいのよね〜』
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ここ最近、護衛艦などのVLS搭載艦について洋上での再装填が話題になっています。

図1 洋上再装填
図1 VLS洋上再装填.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/CsPhy51UEAAczac?format=jpg&name=360x360

一応Mk41VLSについては、洋上にて航行中でも再装填ができるけど非常に難しいところがあります。

現代では、洋上で再装填よりも最寄りの港にて再装填する方が効率的といえます。

アーセナルシップを用意するか、革新的な装填システムの出現が望まれます。
前回記事):『【海上自衛隊】護衛艦「じんつう」やっちまったなぁ〜
\こちらもご参考に!PR/

(1)VLSの洋上再装填は難しい!

イージス艦を始めとしたVLSについては、弾薬庫と発射システムを兼用した便利な装備となりました。

図2 VLS
図2 ロシアVLS.jpg
引用URL:https://www.navyrecognition.com/images/stories/news/2017/november/UKSK_Russia_VLS.jpg

ロシアなどの東側諸国でも、VLSが主流となってきています。

1.1 垂直発射システムは革命的!

VLSが登場する前には、GMLS-3ミサイル発射機のように箱形のミサイルランチャーを使うことが多くなっていました。

図3 Mk29
図3 Mk29.jpg
引用URL:https://www.seaforces.org/wpnsys/SURFACE/Mk-29-launcher_DAT/Mk-29-missile-launcher-062.jpg

8発のミサイルを発射した後は、再装填には時間がかかっていました。

図4 シースパロー再装填
図4 シースパロー再装填.jpg
引用URL:https://www.seaforces.org/wpnsys/SURFACE/Mk-29-launcher_DAT/Mk-29-missile-launcher-021.jpg

中々大変な作業でもあり、大量のソ連軍対艦ミサイル豊和攻撃には即応性を欠くものでした。

そんなときに登場したVLSは、多数のミサイルを保管して即応射撃ができる優れものでした。

1・2 VLS装填はクレーンを使って吊り上げる!

VLSの採用によって、対空ミサイルやVLAなどについてはミサイルセルに入れて保管・装填ができるようになりました。

図5 VLS装填
図5 VLS.jpg
引用URL:http://www.rimpeace.or.jp/jrp/umi/yokosuka/040407msdf.jpg

Mk41VLSだと、ミサイルセルが約5mの長さとなるため岸壁にてクレーンを使って吊り下げにて装填していきます。

1発1発ごとなので、結構時間がかかることが問題といえるでしょう。

装填の前には、使用済みミサイルセルを引き出すという作業もあるため非常に時間がかかります。

イージス艦では、洋上にて再補給装填を行うためのクレーンが装備されていた時期もあります。

図6 再装填クレーン
図6 再装填クレーン.jpg
引用URL:https://www.seaforces.org/wpnsys/SURFACE/Mk-41-VLS_DAT/Mk-41-VLS-047.jpg

しかしながら、洋上にて実際に装填作業をすると非常に危険であることが判明してほとんど利用されなくなりました。

図7 米軍装填
図7 米軍装填.jpg
引用URL:http://www.rimpeace.or.jp/jrp/umi/yokosuka/040407missileincg1.jpg

現在では、米海軍では洋上台船(バージ)に横付けして装填する方法を取っています。

想像以上に、洋上での再装填は困難を極めます!
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(2)洋上は波で揺れる!

洋上でのVLS再装填を困難にしているのは、自然現象ともいえる洋上の波が絶え間なく揺れることです。

図8 波揺れ
図8 波揺れ.jpg
引用URL:https://www.sunflower.co.jp/cargo/safety/img/bonding-01.jpg

当たり前ですが、洋上では波の揺れの影響を受けます。

2.1 どんなに静かな海でも波で揺れる!

荒れていない海面は、時として鏡のような風景を映し出します。

図9 海面
図9 海面.jpg

しかしながら、海面はわずかに揺れていいるものです。

静かな海面で、錨を入れてVLSを再装填すればよいというわけではありません。

少しの揺れでも、VLSの装填部分は結構動き回ります。

2.2 わずか1度の揺れでも結構動く!

艦船の船底から、上甲板までの高さを約10mと仮定します。

図10 VLSの計算
図10 VLSの計算.png
洋上にて装填しようとするとき、ローリング(横揺れ)が1°あるだけでも約17cmのずれが発生します。

そんな中を、精密機械であるミサイルを入れようというのはかなり厳しといえます。

ミサイルセルにてある程度強度が保たれているとはいえ、精密機械にはあまり良い環境とは言えません。

ミサイルをひん曲げようものなら、ミサイル屋さんからめちゃくちゃ怒られます。

そんな経緯もあり、洋上再装填があまり実施されなくなったといえます。

自衛艦隊後方幕僚部での演習に参加したときも、再集結地点にてミサイルの再装填を行いました。
(参考記事):『【幕僚編H】再補給・JTF再編成、離島奪還への作戦準備!

2.3 アーセナルシップなら問題がなかった!

イージス艦が洋上配備となったころから、洋上再装填の問題が取り上げられていました。

洋上再装填の問題に対して、米軍がか考えていたのがアーセナルシップです。

図11 アーセナルシップ
図11 アーセナルシップ.jpg
引用URL:https://i3.read01.com/9-z73_IarAfC7DjvXM4NJus/0.jpg

VLSを大量に搭載した、アーセナルシップが配備されていれば洋上再補給の問題も解決していたでしょう。

しかしながら、非現実的なアイデアとして不採用となりました。

何か革新的なアイデアが登場しない限り、VLSの洋上再装填という問題は続くでしょう。
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(3)外付けVLSもアリかな?

Mk41VLSのように、艦内にVLSを搭載することが洋上再装填を難しくしているところがあります。

図12 スラヴァ級
図12 スラヴァ級.jpg
引用wiki

スラヴァ級のように、艦の側面に搭載するという手法もあります。

3.1 Mk48VLSを上甲板に搭載する手法もある!

Mk41VLSが、洋上再装填を難しくしているのあればMk48VLSを上甲板に張り付ける手法もあります。

図13 オランダ海軍カレルドル―マン級
図13 カレルドル―マン級.jpg
引用URL:https://www.seaforces.org/wpnsys/SURFACE/Mk-48-VLS_DAT/Mk-48-VLS-Karel-Doorman-class-04.jpg

オランダ海軍カレルドル―マン級フリゲートなどで見られた、ヘリコプター格納庫の側面にVLSを搭載する方法もあります。

重量バランスは厳しくなりますが、上甲板にVLSを設置するというのも一つの手段でしょう。

なかなか、すぐには解決しない問題です。

3.2 技術革新を待つしかない!

補給艦が横付けして、大型クレーンにて一気に引き抜くという手法も考えられますがなかなか難しいでしょう。

VLSの洋上再装填には、革命的な技術革新と発想の転換を待つしかありませんよ〜!
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posted by sstd7628 at 15:52| Comment(8) | TrackBack(0) | 軍事技術

2022年03月21日

イスカンデルのデコイ機能がついに露見?!【軍事技術】

『イスカンデルミサイルの機能がようやく露見!』
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2022年2月24日に開戦したロシアーウクライナ戦争は、そろそろ1か月にもなろうとしています。

図1 イスカンデルミサイル
図1 イスカンデルミサイル.jpg
引用wiki

ロシアが実戦投入を行った、イスカンデルミサイルについても相当数が使用されています。

その中でナゾとされていたイスカンデルミサイルのデコイ機能がついに露見する事態となりました。
(2022年3発23日追記部分あり)
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(1)こいつがデコイ弾か!

イスカンデルミサイルについては、開戦初期から弾道ミサイルの使用が確認されるようになりました。

図2 SS-21不発弾
図2 弾道ミサイル.png
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FNaoGJjVIAA4rD6?format=png&name=small

SS-21「トーチカU」の不発弾が道端に落ちている写真も、出てくるようになってきました。

1.1 イスカンデルのクラスター弾頭部品も確認される!

弾道ミサイルの中には、SS-26イスカンデルMミサイル特有の弾頭に使われる部品も散見され都市攻撃に使用されているようです。

図3 弾頭部品
図3 被害車両.jpg
引用URL:https://video.newsserve.net/v/20220317/1332859448-Russia-Using-Cluster-Bombs-and-Thermobaric-Weapons-in_hires.jpg

鳥籠のような部品については、SS-26イスカンデルのクラスター弾頭特有と言えます。

図4 クラスター弾頭
図4 クラスター弾頭.jpg
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/185/YpLCC.jpg

そんな中で、イスカンデルミサイル着弾の地域周辺で妙な物体が発見されるようになりました。

1.2 噂のイスカンデルのデコイか!?

最初はクラスター弾の不発弾ともいわれていましたが、電子回路が内蔵されたものが発見されています。

図5 不発弾
図5 不発弾.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FN32POJXEAQlawZ?format=jpg&name=360x360


なんだこりゃ?と思っていましたが、海外軍事専門家から「イスカンデルミサイルのデコイ」ではないか?との見解が出されています。

図6 指摘サイト
図6 指摘サイト.png
引用URL:https://twitter.com/CAT_UXO/status/1502936791665491970

爆発物の専門家も、イスカンデルミサイル持っている囮弾(デコイ)機能に使用される子爆弾「penetration aids(9B899 (9Б899))」ではないかという指摘をしています。

2006年に配備が始まって以来、ナゾとされてきたデコイ機能がついに正体を現したことになります。

1.3 どこから射出されるのか?

しかしながら疑問として、デコイがどこから射出されておとり機能を果たすのかについても推定が出ています。

図7 イスカンデル後部
図7 イスカンデル後部.jpg
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FN23ZRFUYAIxwI6?format=jpg&name=small

写真で示されている、イスカンデルミサイルの後部ノズル脇にある小さな穴から射出される可能性が高いようです。

ここからであれば、弾頭部分を保護したままデコイを射出できそうです。

1.4 (2022/3/23追記)ノズル付近に配置して熱焼損を起こすんじゃないかな?

いつも見ていただいているサイサリスさまから、ミサイルの噴射口付近に電子機器を置いた場合の熱対策の疑義が示され、私としてもハッと気づかされたところがありました。
(まだまだ勉強不足な部分がありました・・・)

ミサイルのロケットノズル先端部だと、3000℃〜4000℃くらいまで温度が上がるはずです。

そこで調べれてみると、2003年(平成15年)11月のH2A6号機の打ち上げ失敗が参考になるでしょう。

図8 H2A6号機
図8 H2A拡大図.jpg
引用URL:https://www.jaxa.jp/press/2003/11/img/20031130_h2af6_pic07.jpg

この事故は固体ロケットモーター(SRB-A)2本のうち、1本について燃焼ノズルの破損で正常分離できなかったものです。

固体ロケットモーターのノズル付け根部分には、温度センサーなど電子機器が設置されているのですが興味深いデーターがあります。

図9 温度データー
図9 温度データー.gif
引用URL:https://www.jaxa.jp/press/2003/11/img/20031130_h2af6_pic06.gif

発射から、ノズル損傷が起こる60秒過ぎまでノズル付け根部分の温度が25℃前後で安定しているのです。

どうやら、ロケットモーターケース後部の空間は一定の温度が保てるようです。

そのことを踏まえて、SS-26「イスカンデル」の原型となったSS-21「トーチカU」の断面図を見てみましょう。

図10 SS-21断面図
図10 SS-21.jpg
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/191/oU7ky.jpg

SS-21のロケットモーター後部に空間があることから、ここにデコイをセットしておけば熱焼損を最小限にできるものと思われます。

一応推測の領域を出ませんが、H2Aの固体ロケットモーターのデーターから十分に熱対策ができると思われます。

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(2)北朝鮮KN-23に同様の機能はあるのか?!

ロシアのイスカンデルミサイルにおけるデコイの正体が判明した場合、類似品である北朝鮮KN-23にも同様の機能があるのか気になります。

図11 KN-23
図8 KN-23発射.jpeg
引用URL:https://awsimages.detik.net.id/visual/2019/07/26/2d734568-753d-4c5b-97f7-41ab61792b50_169.jpeg?w=715&q=90

もし同じ機能を持っているならば、ミサイル防衛に重大な問題となります。

2.1 KN-23の後部写真から推察する!

最近では、KN-23の発射においてはほとんど射撃シーンしか登場していません。

しかしながら2019年5月4日に初の射撃をしたときに、KN-23の後部が映った写真があります。

図12 KN-23後部
図9 KN-23後部.jpg
引用URL:http://www.b14643.de/Spacerockets/Specials/Pukguksong_GLBM-2/2_1.jpg

貴重な後部写真によって、KN-23とイスカンデルミサイルの比較検討ができることになります。

2.2 KN-23には射出口はない模様!

イスカンデルミサイルとKN-23の比較検討を行ったサイトの写真に、貴重な情報がありました。

図13 比較写真
図10 比較写真.jpg
引用URL:http://www.b14643.de/Spacerockets/Specials/Pukguksong_GLBM-2/analysis4_a.jpg

2019年の発射段階では、ロケット後部にデコイ射出口のようなものは存在していません。

現状では、イスカンデルミサイルと同じようなデコイ機能はないと考えられます。

2.3 ロシアからの技術提供があるならば警戒が必要!

北朝鮮のKN−23については、1990年代のイスカンデルミサイル試作品を模範にした可能性もあります。

図14 イスカンデル試作品
図11 イスカンデル試作品.jpg
引用URL:http://militaryrussia.ru/i/284/816/CkG3p.jpg

今後ロシアから直接技術支援などが起きた場合、デコイが搭載される可能性も否定はできないでしょう。

さらなる技術流失に注意が必要と考えます。
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(3)ミサイル防衛はKN-23を撃墜できるか?

ロシアでは、イスカンデルミサイルの空中発射型Kh-47M2 キンジャ―ルの使用まで起こりました。

図15 キンジャ―ル
図12 キンジャ―ル.jpg
引用wiki

弾道ミサイル防衛にも、今後力を入れる必要があります。

3.1 KN-23を自衛隊は迎撃できるか?

現状北朝鮮のKN-23ミサイルについて、あまり日本のミサイル防空での話が出てこないところがあります。

射程500〜800kmという情報に踊らされているところもあります。

ロシアのイスカンデルミサイルは、射程1000kmまで延伸する能力があるという話をこのブログで何度もしてきました。
(関連記事):『【北朝鮮】イスカンデルミサイルもどきを再整理してみる!
(関連記事):『【世界情勢】イスカンデルミサイル使用と各所紛争頻発!


詳しい情報分析を求めると共に、日本のミサイル防衛の脅威としてとらえるべきだと考えます。

ウクライナはどこまで粘れるか?停戦交渉の行方を見守るしかありません。
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posted by sstd7628 at 13:35| Comment(8) | TrackBack(0) | 軍事技術
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