(2019年投稿記事です。)
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防衛省から、F-35B戦闘機導入決定の発表がありました。
前々から言われているのに、なんで決定に時間が掛かるのか?
そこに知られざる、政府調達に関わる裏側があります。
語られることのない、防衛装備と政府調達のお話!
(前回記事):『サイバー戦を第二の敗北としないために』
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(1)F-35B導入でうまい表現だな〜(汗)!
防衛省が、以前より選定を進めていた「短距離離陸・垂直着陸戦闘機(STOVL)」の機種がF-35Bに決定しました。
図1 F-35B戦闘機
引用URL:https://media.defense.gov/2016/Nov/09/2001666462/600/400/0/161104-N-VR008-0102.JPG
機種選定の経緯を防衛省の発表から見ると、
・平成31年4月25日:提案希望者に対し提案要求書手交
・令和元年6月24日:提案者から提案書を受領
(米国政府提案のF−35Bのみ)
・令和元年8月16日:防衛省において機種決定
という経過をたどっています。
このニュースで、Twitterでうまい表現をされた方がいらっしゃいます。
(ドンガメ六号様のTwitter)
引用URL:https://twitter.com/dongame6/status/1162328986287927296
「サバを味噌で煮込んだ料理の候補」→「サバの味噌煮に決定」
正しく今回のF-35B戦闘機選定の、訳が分からん状態を表現しています。
1.1 すぐに決められんのか〜い!
皆様からは、F-35Bになるのか常識だろ!なんてお叱りがきそうです。
ただ、部内で装備品調達に関わっていたものとして、
『いろいろとあってすぐに決定できないんですよ〜(泣)』
と弁解せざるを得ません(本当にごめんなさい!)
1.2 どれも財務省が悪いんや〜!
弁解の言葉を言わせていただくと、
『どれもこれも財務省が悪いんや〜(怒)!』
ということになります。
具体的には
・「予算決算及び会計令」(通称:予決令)
・「WTO政府調達制度(GPA)」(WTO:世界貿易機関)
が原因です!
防衛装備品調達の裏で、手足を縛る政府調達が悪いんや〜!
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(2)WTO政府調達ってなんだろう?
今話題になっているWTOですが、防衛装備品の調達にも影響があります。
まずWTO政府調達とは、いったい何でしょうか?
2.1 政府調達は自由貿易の協定だよ!
WTO政府調協定は、世界の自由貿易のために結ばれた協定です。
政府が行う大規模調達に関して、自国企業のみを優先せず国際的に入札しましょうという概念です。
図2 WTO(世界貿易機関)
このWTOの協定で、一定額以上の政府調達は原則国際入札になります。
たしか物品だと、1500万〜2000万円以上になると該当します。
この金額を超えると随意契約は、相応の理由が必要になります。
本来安全保障上の軍事関係は、政府調達から除外できるのですが・・・
財務省の規定により、防衛省の装備品も準用されます。
図3 政府調達の流れ
引用URL:http://www-gpo3.mext.go.jp/kanpo/gpoflowgs.gif
(SDR:特別引出権、IMFで規定する通貨単位)
戦闘機はF-35Bしかないのですが、政府調達の手順に従う必要があります。
そのため国際的に入札公告で宣伝・受付・提案書受付の手順を踏みます。
さばを味噌で煮込んだ料理を募集!は、かなりこの制度を表現した良い表現です。
(具体的な物品名が書けないのが政府調達の悩みどころ!)
2.2 過去に初等練習機で揉めたことも・・・
防衛省では政府調達で、過去に国際問題になったこともあります。
航空自衛隊の初等練習機を巡るものです。
T-7(SUBARU)とPC-7Mk-U(スイスピタラス社)の競合です。
図4 T-7とPC-7
引用URL:wiki
このような過去があり、できるだけ防衛装備品の国際入札はやりたくないんですが・・・
金を握っている財務省には勝てません・・・(涙)
2.3 FMSは国際入札の対象外!
米国とのFMSについては、政府調達の枠外となります。
ただし、機種選定の透明性確保というところから政府調達の手順が踏襲されます。
F35B戦闘機が欲しい!と、調達要求にすぐに書けたらどんなに楽が出来るやら・・・
防衛装備品の調達には、一見無駄に見えるような手順を踏む必要性があります。
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(3)もう少し防衛装備品調達の簡素化を!
防衛装備品の調達と選定に関しては、いろいろ複雑な手続きがあります。
今回のF-35B戦闘機の機種選定についても、一応の手順を踏んでいます。
ただM事案(守屋事案)によって、調達が複雑化した経緯があります。
さすがに会計検査院から、
『もうちょっと簡素化しろやぁぁ!』
と突っ込まれて、随意契約が結びやすくなった経緯があります。
今回のF-35B戦闘機のような、サバの味噌煮を選定しやすい方式を模索すべきでしょう。
・『契約件名に品名を入れるんじゃねえ(怒)!』
・『競争入札の公平性が崩れるだろう!』
契約部門から突っ込みを入れられまくる、調達部門にいた身として心から感じます。
サバの煮込みが欲しい!と書かせてくれえぇ!
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