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2018年09月22日

規則が悪い

「先生方、思い切って指導してください。何かありましたら、私が責任を取ります。それが校長の仕事ですから」

九年目にして、初めて校長が気の利いたことを言った。と同時に、若手教員に動揺が走る。
「本当なんだろうか…。」

校長は、保護者をはじめとする対外的な折衝で、矢面に立つなど、下々の教職員には分からない苦労が多い。孤独であろうし、悩みも多く、プレッシャーも大きい。

しかし、それを知りつつ、理解しつつ、分かっていながら、それでも理解に苦しむことが起こる。

例えば、保護者からのクレーム対応。最終的には校長が対処し、相応の謝罪なり、改善対策を講じる。学校には、社会的に見たら理不尽なルール(規則)も多く、それによって、ごく一部の生徒と親が不適応を起こすことがある。

「圧倒的な生徒が従っているのだから、一人だけ許すわけにはいかないだろう。」
というのが、大方の先生の思いだ。すべてを個別対応するなら、もはやルールではなくなる。

「ルールを忠実に守らせようとして、それがトラブルになっている。真面目な先生ほど、その傾向が強い。だったら、ルールを変えるべきではないか。」
近隣のある校長は、そう職員会議で述べた後、
「保護者には、『ルールが悪い』と言った。だから、ルールを変えていきたい。」
と、高らかに宣言したそうである。

しかし、ほとんどの教職員は不満と不信感が高まっただけだった。日頃の校長の姿勢に納得できなかったのだ。

彼は、生徒指導で、保護者からのクレームがあったとき、必ず担当の教員を責めた。
「○○先生の指導が行き過ぎだから。」
「○○先生の言葉遣いが、ぞんざいだから。」
「○○先生のやり方が画一的だから。」

こういう背景があって、その学校の先生たちは、おそらく来春異動になるであろう校長に対して、カウントダウンを始めた。

大人げないが、気持ちが理解できないわけでもない。だが、日常の教育活動では、いろいろな部分で歪みが生じるだろうと思う。

『ルールが悪い』と言えば、保護者は納得できるのかも知れないし、「ルールを変えるべく検討します。」と言えば、クレームは収まるかも知れない。事実、理不尽なルールなら、変えていくのも良い。

しかし、それが自分自身の保身であって、つつがなく努めて、何事も問題も起こさず、校長生活を終えたいと思っているのなら、それは間違いであろう。そういう人に校長を務めて欲しくない。

私の学校で、若手教員が動揺した背景には、しばしば教員を責める姿勢が見られたからだ。「ルールが悪い」と言いかねない雰囲気もある。

過日退職した、私の尊敬する校長経験の先生は、たとえ保護者を敵に回しても、徹底的に教員を守り、学校の方針を貫き通したという。時に何時間でもかけて説得したこともあると聞いた。
「絶対に先生たちを守ります。」
という姿勢が、組織の一体感と、校長に対する信頼感を生む。

私心のない捨て身の対応が、結果、トラブルを収拾するということだろう。

私は、『人は変わる』、と信じて、もうしばらく見守っていこうと思っている。
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