通学電車で毎日見かける同じクラスの女の子。気性が荒く言葉遣いが悪くて、素行の悪いグループに属していた。
同じクラスなのにグループが違うので会話はほぼゼロ。
でも、ふとした拍子に電車内で言葉を交わした彼女は非常に気の弱い性格をしていて。
うわぁ〜来たな〜これ。
来ちゃったな〜久しぶりに。
痛みのある青春ものが。ダーク系青春が。
青春(青春ストーリー)ってみずみずしくて鮮烈だけれど、このような陰鬱とした土色の青春も好きなんだよな
青春の色も形も人それぞれだからな
小説を書いている高校生の修司は、今風にいうとクラスのボッチで陰キャ。
彼女はおろか友達すらいない。
クラスメイトの香澄は、今風にいうとリア充陽キャ。スクールカーストの上位にいる女子
まるで接点がない2人だったが、修司は電車内でそんな香澄に話しかけられるのよね。でも余りにも学校での様子と違うから、それが彼女だとは気づかない
ここはではお約束だが、香澄に彼氏らしき男がいる設定がやや珍しいだろう
修司は仲睦まじく登校する2人を見て、更に陰鬱とする
香澄もかつて小説を書いていたが、ある事件で止めてしまっていた。クラスでは一時すら交わらないふたりの、電車内だけの関係が続く。小説について熱っぽく語り合うふたりが微笑ましい
しかし、やはりこんないびつな関係はそう長くは続かない
修司の小説が、香澄のいるグループの連中に見つかってしまい…
ここから全ての伏線を回収し、急速なくらい一気に畳みかけるストーリーは必見である
んー、それでね、実はね。これ私だけの感覚かもしれないけどね。
読了して「あの名作映画」を思い出したんだよ。読了というか、終盤の展開で既に同じ匂いを感じていたかな。
そう「秒速5センチメートル」を
断っておくが「秒速5センチメートル」と「偽りの夢」はまるで似ていない
「偽りの夢」はNTRもなければ、ロケットも飛ばない
設定もキャラクターもさっぱり違うが、エンディングから受ける印象が近いんだよね。世界観も「One more time,One more chance」っぽい
後ろめたいようでいて、妙に前向きだ
ハッピーエンドでも、バッドエンドでもない。悲しいし切ないのに、とても綺麗なラストシーンだ
この独特の感覚を味わえるフリゲは希少かもしれない
通常シーンには立ち絵がないが、小説の再現シーンにだけファンタジーな立ち絵が出て来るのは、違う雰囲気を味わえてよかったな
そして現実と小説のクロスオーバーで修司と香澄の関係を完結させるのは、上手い演出だね
台詞もなかなか面白い。
「自分のシナリオを完璧だと勘違いしている男子生徒のために、小道具をそろえたり発声練習をしろというの?」
「愛してやるから愛し返せよと傲慢な理由で接していただけだ」
「友達ごっこが無くなったかわりに、本当の友達がいないことがより鮮明になった」
…がお気に入りだ
残念なのは誤字脱字がかなり多いこと。本文に記号までもが紛れ込んでいる
香澄のキャラも、もっと掘り下げられたかもね。何故あのグループに属しているのか、スルーで終わってしまった。でも大体予想はつくし、本筋からするとどうでもいいかもしれない
評価C
65点
修司が小説を書くので、創作をやってる人間なら共感する部分もあるんじゃないでしょうか
やはりクリア後に変化するタイトル画面が最高ですね。ここのカタルシスは物凄い。
余談ですが香澄の所属するリア充グループ……
作中だと完全に悪役ですが、ぶっちゃけ間違ったことは何一つ言っていませんね
というかこれが一般的な感覚じゃないかと。小説と舞台脚本の違いへの指摘とか、正論ですしね
もしこれが「第三者目線」「傍観者目線」で見たストーリーなら、厄介者はクラスにすら馴染めない修司なんでしょうね。
では次は、あなた目線でご覧ください
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