▼い〜びる、寮長編攻略。ひっかけ選択肢がかなり多く、フワっとした結末のノーマルエンドではない、明確な悲劇のバッドエンドが複数存在することが特徴。それもかなり悲惨な内容で悲しい。だがゲーム攻略的はフラグ立てはなく、間違えたら戻るだけなので難易度は低い
寮長シナリオは非常に完成度が高いゲームシナリオだった。5人のヒロインを攻略すると攻略可能になるというシステムをシナリオにからめ、フルに使いこなしている。
5人のシナリオをプレーしていると明らかに伏線だと感じる部分や、奇妙な引っかかりがあったのだが、それらがほぼすべて解消される、とてもカタルシスのあるシナリオとなっている。
芽衣子がウェディングドレスを着たいと言ってたり、和が性転換手術に関する台詞を言ってたり、ラストシナリオだけあってこれまでのシナリオを攻略したプレイヤーのみがわかる、にやりとできるネタも多い
14歳とはとても思えない大人びた寮長、
そんな寮長をまるで顧問のように使う真緒、
そもそも寮長って名前なんなの?学園内でも寮長呼ばわりだし、学園長まで寮長と呼ぶのはおかしいでしょ、
莉緒シナリオでの寮長と学園長の少し奇妙な会話と関係、
芽衣子シナリオでの病院での幽霊の存在
などがそれ
シナリオインは非常に簡単で、冒頭で早々に寮長向けの選択肢が出る。意外なことに無言を選べばシナリオイン(てっきり、一番気になる生徒や水泳選手の選択を寮長にするとインだと思ってた)
寮長シナリオは他と違って全編オリジナルで、使い回しの共通ルートが一切ない。よって日にちこそ飛ぶが、ボリューム的にも一番多いものとなっている。てっきり最後のオマケ程度に思ってたので、あまりにも物語も物量も重いシナリオには驚かされた
ラストヒロインだけあって、一番長い
▼14歳にはとても見えない大人びた寮長。いつも自分を優しくフォローしてくれる。真緒はそんな寮長に恋心を抱いていく(14歳以下にしか見えない少女にも恋心を抱くけど)。
真緒が寮長に惹かれていく過程、他のシナリオでは見られなかったものだから、非常に新鮮。他のシナリオでも、欲情だけはしてるけど
でも言うほど14歳か?
▼夜の学校で肝試しをする寮メンバー。真緒は寮長が何やら得体のしれないものと対峙しているのを見てしまう
この時点で私も察してしまった。あ!これマジでガチの奴や!って…
いやあ正直もうこの時点でシビれたね。一気に引き込まれた
中二病を題材にしたゲームに、本物の能力者が紛れてるなんて。OPのペルソナ4のパロディも実はあまりにも大胆不敵すぎる伏線だったんだなと理解して、ちょっと感動した。
伏線、伏線回収の素晴らしいゲームは数あれど、ここまでプレイヤー心理を逆手に取った手法はねーわ。実際、OPを見てこの展開を予想できたプレイヤーは0だろうからね、実に秀逸だ
完璧に見える寮長だが、どうやら何か人にいえない秘密を抱えているとわかる。それがどうやら、もう察しちゃったんだけど、完全にファンタジーで、そのせいで寮長は何か悩みを持っている…
真緒は例によってそれをしつこく聞き出そうとして、寮長に避けられる。そしてつかず離れずの、はい、いつもの展開
ここはパターン化しすぎてて少しダレた
▼仲を修復し、デートをする二人
真緒は思い切って寮長に告白しようとするも、言葉を遮られてしまう
寮長が実は過去にイービル学園を中退、転校していて、18歳なのはかなりの驚きだった
なるほど、だからテストはいつも100点なわけね…そりゃ前に受けたテストだろうからね。委員長の成績の良さも、伏線と見るべきかな
こんな14歳いるわけないんだけど、ゲームだし、そこを逆手に取られたね
かつての寮長は年齢相応の少女で、まさか親から捨てられた子供だったとは…
和は中二病じゃなかったが、寮長は中二病でもお嬢様でもないわけね…。最後にきてサブタイトルと真逆の内容に驚く
そのときの衝撃で能力者として覚醒し、それを裏で糸を引いてたのが学園長だったとはね。
(学園長の正体は最後まで謎だったが、裏社会の権力者か何かかなあ)
学園の生徒たちは中二病を拗らせたヒロインたちを完全に愛すべきマスコットとしてみなしているが、これが例外で寮長の受けたイジメが普通なんだろうな。そんな他のヒロインたちを、寮長は羨ましく見ていたのかな?同じゲームの中のストーリーなのに考えさせられる。
▼帰りの遅い寮長。真緒は学園で魔物と戦っている寮長と遭遇してしまう。
こう来るだろうとは思っていたが、まさか本当にバトル展開だとは(笑)。しかもここにきて唐突に新BGM
これまでと世界観が、違い過ぎる
中二病という表向きのテーマに本当のファンタジーを隠していたのが上手すぎる。まさに、木を隠すには森の中だ
寮長を守ろうと、盾になる真緒。好きな男を傷つけられ、ペルソナ召喚ポーズで(OPと違ってタロットカードに見立てたスマホはないが)魔力を集約する寮長
カットイン、効果音までペルソナ再現(笑)
シリアスシーンなのに唐突なパロディと見事なOP伏線回収にビビル。
いやあすごいねえ、OPを見た時、この展開を予想できたプレイヤーは1人もいないだろう。寮長も実は隠れ中二病なんだな、程度に思ってたもの。それがまさか丸々寮長の秘密を見せてたとはね、余りにも大胆不敵な伏線に笑っちゃうよ、感心してね
魔物を倒すことはできたが、真緒はケガを負ってしまう。思い悩んで末に寮長はみなの記憶を消して寮と学園を去ることを決断してしまう。最初はあれだけ寮と学園を去ることを拒否していたのに、真緒との距離が縮まったせいで去るようになってしまったのは悲しい展開だ
▼置手紙を残して去る寮長を、真緒は追う。必死で懇願するも、迷惑だ、あなたとは住む世界が違うといわれてしまう。いやあ、この住む世界が違うというテーマ、せえら編から共通しているが、あれは真緒の台詞だった。だが今回はヒロインの台詞。寮長もあの時の真緒と同じ気持ちだったんだろうなあ、って思わせるのが実に上手いシナリオ構造だ
「組織」「機関」に戻った寮長は新たな赴任先として別の学園を選ばれる。死人も出している危険地帯で、死んだ人間は謎の発狂を遂げていたという。現場に赴く寮長
そんな時、寮メンバーを残し、一人寮長を探しに河川敷に来ていた真緒と、かなり唐突に再会してしまう。
組織!!近っ!!赴任先も、近っ!!!
徒歩15分くらいじゃないか、これ。永遠の別れとして出て行ったのに、すげえ近い。この程度なら偶然会っちゃうこともありそうだけど…
まあ真緒たちの記憶を消すつもりだったから、距離は関係ないかもしれないけどさあ、
それにしても、ねえ…?
真緒はこれを逃したらもう寮長に会えないと思い必死に追いかけるが、能力で気絶させられてしまう
▼気絶から復帰し、それでも真緒は寮長を追って、学園内部に潜入
夜の学園で唐突に、センセ?と声を掛けられる
振り向いたらなぜかそこにはいないはずの奏。
いやあ、このあたりからの雰囲気がガラリと変わって怖いんですよ。芽衣子シナリオの病院もそうだったけど、このスタッフ、場の空気を換えるのがうまいな
明らかに雰囲気の違う奏に慄いていると、せえらが登場。
なぜか異様に慌てるせえらは、真緒に今すぐ一緒に帰ろう、奏から離れてと必死
まあもうベタな展開だけど、怖いね
何が怖いかって、5人の攻略でヒロインとの恋愛を見てきてるし感情移入してるもんだから、ヒロイン間や主人公との関係が壊れるのが怖い。壊れていく日常、ってな話は怖いね
親友のせえらを刺し殺してしまう奏
正直かなり緊迫感があった。
せえらの安否も確認せず、脱兎のごとく逃げだす真央(ここ言及なかったけど相当かっこ悪い。それゆえホラー度が高いが)
行く先々で真緒とヒロインの、さらにはヒロイン同士の争いが行われ、真緒は屋上で芽衣子を突き落として殺してしまう
もういい…もうやめてくれ…(どうせ生きてんだろと思いながらも、震え声)
幼馴染で一番仲のいい莉緒に血の付いた包丁を見られ、近づかないでと完全拒絶されてしまう…
終わった…
▼だがそこへ寮長の助けが入る。
我を失う真緒を殴る寮長。バシバシバシ!
バシ!
バシ!!
バシバシバシ!!
って、殴りすぎじゃないか?なんぼ何でも
まあそれだけ真緒が正気を失ってたってことだろうけど
寮長の連続ビンタで正気を取り戻す真央
他のメンバーはみな無事だと言われ明るい
だが寮長は住む世界が違うといっただろう、なぜ来たのだと激怒する
が、それを抱擁で受け取める真緒。おお、能力者じゃなくても、男だ!かっこいい!!さっきまで死にそうだったのに
ここで初めて、今まで避けられていたから出来なかった告白をする真緒は、寮長とキスをする
うーん、とてもいいシーンだ。やはり恋愛ものはキスシーンが肝心だ
寮長も何かを言いかける
お互いの気持ちを確かめ合った二人だったが、学園に救った魔物や悪霊が集結し、危険な状態に。
寮長は全ての力を開放し、魔物や悪霊を成仏させる
寮長が組織を辞められる理由を作る、ちょっと作為的なシーンだがこれはアツイ
▼舞台はそして唐突に1年後。なんの障害もなくなり、自由恋愛の末、結婚をして結ばれる2人。
芽衣子のときは卒業した3年後だったが、1年とは早い。当然まだ在学中で、19歳の中学三年生だ。19歳って事もあって、年齢を気にせず結婚したんだろう
幸せそうな二人の写真を神妙に見つめるヒロインたち。認めるのは悔しいが寮長ならと自らを慰める
2人で歩く真緒と寮長。言い忘れてたと、キリの悪い告白をした寮長に大好きといわれる。
これ、凄くいい演出だ。
恋愛ものではキスシーンと、お互いを好きという台詞は最重要だと思ってるので、
寮長のキリの悪い台詞をここで回収したことにかなり驚いた、上手いシナリオだなって。
だからこのシーンがなかったらここまで評価しなかった。まあ1年も経ってるのに恋人、夫を好きとも言わなかったのかよとはツッコみたいが
昔の笑顔だった自分の写真を見て、先生にならあの時よりももっと素直に笑えると、スローなテキストで、寮長のモノローグ。粋な演出、ヒロインの成長が垣間見える感動的ラストシーンだ
▼疑問は、真緒の能力は、結局なんだったんだろう、ということ。魔物が見えるし、寮長の障壁も突破した、バッドエンドでもすぐには寮長を忘れなかった
真緒も能力者っぽいが、学園長は普通の子といってるし、謎だ
例えば奏ノーマルエンドなど、これまで寮長が余りにも万能に人の心を動かしてたのは能力だったのか、と思うと途端にいいシナリオがブラックだな
寮長の名前も、結局プレイヤーには謎だったが、これは秘密にしたほうが美学があるのでいい。
でも一応考察とも言えない駄洒落からの推察をしてみる。登場人物は全て元ネタがある。
寺井 莉緒 ⇔テラリオン
北上 奏⇔ギター上、ギター上手ぇ、奏?
八十記 せえら⇔ヤンキー
岸岡 芽衣子⇔冥界の騎士
阿部高 和⇔くそみそテクニック
だから寮長はこの2文字に関連する名前…うーん、多分本名は「領 蝶子」だ、うん、これに違いない(適当)
▼非常に素晴らしいシナリオだった。文句なしで面白い。95点、はっきりいって感動した。
今作はVIP感が殆どないのがよかったね。オプションメニューの2ちゃんねるキャラクターが浮いてるくらいだよ。
もうVIPゲーをナメてるなんて事は全くない。むしろ、次もVIPゲーをやると思ってる。なんか、VIPゲーは大半がギャルゲーかギャルゲーっぽいほかのジャンルだから、プレー日記がギャルゲーだらけになってるけどね
え、大絶賛なのになんで100点じゃないの?って?
それはね、オマケシナリオが寒すぎるから
まさか本当に最後の最後になって、真緒が中二病に罹るとか、余りにもエキセントリックなオチでしょ
VIPで寮長のことをネタにしたスレ立てをしてコテは魔王。
だがクソスレで、中二病、カスとまで叩かれる。パンツうpとか最高に寒い展開だから。
それに組織のことはトップシークレットだろ。寮長が危険なら尚更
ギャグにしても超えちゃいけないライン、考えろよ
本編EDで本当の笑顔を手に入れた寮長が、最後怒り笑いとかスベってるわ。
▼さて総評すると、本作い〜びる☆あいっ!は
ヒロイン
寮長>せえら>莉緒>芽衣子>奏>和
シナリオ
寮長>せえら>和>莉緒>>芽衣子>>奏
の順で良かった。
そしてこのゲームの総合評価は、90点
いやあ面白かったね。
蛇足でスベってるが、かなりの良作でしょう。ボリュームも十分で、トータルプレーは20時間近かった。最初の所感の通り、マイナーなのが惜しいね。ほんと。
なんか微妙だな、と思うシナリオや拙い部分は当然ありますが、このゲームが大好きです。
今からでも、遊んでよかった
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