最初に言っておくとこのゲーム、凄いです。
凄いというと安易な語彙だけど、フリーゲーム史上ここまで、ゲームを作るぜ!!!という熱意に溢れたゲームはなかった、のレベル
しかもこれだけでも大変なクオリティなのに、まだまだバージョンアップを予定しているということで、更に進化するゲームというのだから恐ろしい
このクオリティで未完成なんてとんでもない、100%が120%になるといったほうが正しい
▼ジェイルアイランドは隅々まで「ゲーム」しており、昨今にありがちな退屈なムービーを見るだけの時間などは一切ない(まあフリゲは大抵ムービーないけど)
徹底的に遊び、ゲームプレイの要素を追及しており、ギミックに溢れている
子供の頃ゲームブックやテレビゲームに夢中になった作者が、大人になり高いセンスと技術で理想のゲームブックを作った、というバックグラウンドストーリーを勝手に想像してます
▼全ての要素で恐ろしいまでに技術力の高さと手間暇のかかっていることが感じられ、これを自作ゲームと呼んでいいのかさえ疑問に思ってしまうレベル
何が決定的に他作品と違うかというと、フリーゲームの大部分は素人が作っているが、本作は作者が商業作品にも携わっているプロということ。
自作ゲームってアマチュアゲームとも呼ぶんだけど、これはプロが作ったアマチュアゲームという珍しい作品なので、他の作者からするとチートでしょう(笑)。技術的にはプロなので、他が比較にならないくらい手が込んでます
正直他の自作ゲームより技術的なクオリティは段違いに高い(素人のゲームにも素人ならではの良さはあるが、やはりプロは違うなと)
▼タイトルの通り、少女が監獄から抜け出すことが目的のゲームブック・パソコンゲーム
まず驚かされたのが、そんなゲームブックをモチーフにした画期的なゲームデザイン。
ゲームブック風ゲームは、フリーゲームでもRUINAのような良作もありますが、あくまで「ゲームブック風」であり、本質はあくまでRPG
だがジェイルアイランドは、本当にパソコンで遊べるゲームブック(+α)そのもの
つまり膨大なフラグ管理やバグも常について回るわけですが、それらを破綻なく、よく構成したなとたまげた。普通ならデバッグでパンクする
▼しかもその膨大なゲームページの多くには絵がついてるんですよ。作画崩れも殆どない。それも立ち絵の使い回しなんてせこい真似はせず、全て描きおろし
これにもたまげた。
作中に漫画ページそのものもあって、グラフィック枚数は圧倒的に多い。それだけで本が数冊出来てしまうほどの物量だ。音楽もシーンによって変化するので、デジタルコミックを読んでいるようで楽しめる
更にはなんとドット絵アニメーションまでもがお手製
▼謎解きの独創性も非常にユニーク。ボールタオルに尿をつけて番犬向けのトラップにしたり、普通では思いつかないような解法がある。
▼ここまで書くとかなり複雑なゲームに思えるが、非常に親切設計で、フラグを立てたポイントには一括でページ移動ができる。
実は序盤、これに気づかずかなり右往左往してしまった(笑)。知ってると膨大なページから回答を探したりフラグをメモする必要がないので、攻略はさほど難しくない。ただ、フラグ立てをしないまま進めてしまうと、後々どこにそれがあるか分からず、かなり手間取るかも
▼桃本というお色気ページの拘りも想像を絶する熱量で思い付くかぎりほぼすべてのプレイがある。
お色気要素にも作者のグラフィックセンスが遺憾なく発揮されており、1シーンにつき4分岐と6枚のスチルがあり、恐ろしいまでに丹念に作られており、これにも驚愕
ただし欠点と言うか特徴としては、リョナ、エログロ度が極めて高いので、プレイヤーを選ぶということでしょうね
エロも、グロ寄りのエロなので
女性キャラは妊娠もしてないのに、みんな母乳を発射しまくりです
▼作中の戦闘シーンがゲームブック(ゲームファイル)を閉じて別のファイルを開く(ミニゲームで勝負)、という、こちらは逆にテレビゲーム的スタイルなのも面白い。ただ難易度激高なので、もっとイージーでもよかったかと
▼シナリオもただ監獄から脱出するだけではなく各章ごとにバリエーションがあり、飽きさせない(ただ最終章が脱出ではなく、よくある、皆で世界救おうぜ!という旧ロープレ的なノリなのだけは、やや唐突に思った)
▼謎解きの難易度は非常に高い。かつ、普通のゲームではあまり出題されないタイプの謎解きなので、詰まったらもう全く解けないかも。
推理ADVのような文章からロジカルに推理するものでもなければ、ゼルダのようなパズル的謎解きでもない難しさ
この世の果てで恋を唄う少女YU-NOでも唐突にピクロスが出てきたが、あれ以上に難しい
終盤の唐突なアクションゲームもかなりの高難易度
もっともこれらは全て、攻略ページへのブラウザ起動リンクから解答が見れるので、極端に言えば全てスルー可能。こんなところまで親切設計
▼だがこのパソコンで遊べるゲームブック感は、かなり新しいプレイ感覚。新しいゲーム体験
一見(ワンプレー?)の価値あり
評価A+
85点
おすすめの一作。
(※このレビューで触れている製作背景などについて、事実とは異なる点があった模様です。コメント欄をご一読ください。)
【このカテゴリーの最新記事】
あのとき体験版だけ落とした記憶が
ご指摘ありがとうございます。記事を少し修正しました。
ゲームに対する感想や解釈は人それぞれですが、製作上の事実関係はその人(作者)のパーソナルにも関わるため、
寧ろ、丁寧に教えてくださって、とても助かりました。
「ジェイル」はとんでもない怪作でした。
システム派のフリーゲームとしては、今でも随一の完成度ではないでしょうか。
コメント欄でも時折名作としてその名があがりますが、「凄すぎてどうやって作ったかわからない」「技術的に見ればナンバー1のフリゲ」と評する人もいたほどです。
私はゲームライターではありません。
ブログ立ち上げ当初から何度か書いてますが、編集をしていたことがある、という程度です(編集にも原稿書きがあります。ゲーム関係ではありません)。それも3年前に辞めています。
ゲーム制作者としてはノンプロです。PC98の「Dante98」「ボコスカウォーズ」で製作したゲームをメーカーのコンクールに応募するも、見事落選しました。ほかにもノベルゲームも作ってました。
ブログ立ち上げ後は別名義でフリゲ1本、エロゲ2本、スマホゲーを1本作りました(エロゲ、スマホゲーは自分のサークルではありません)。
前に書いた「スマシです…」という記事は半分くらいネタですが、
「才能を感じない。ライターを降ろしたほうがいい」と酷評されたことは、事実です(なのに全く同じ人に、「〇〇シナリオは感動した」と書かれたことも…)。
感想や解釈はプレイヤーに委ねられるため、そのようにかなり厳しい批判も受けてきましたが、それでもゲーム制作はとても楽しいです。ふと気が付いた時には、何時間も経っているほどには。
仕事にしてしまったら現場の軋轢、予算との兼ね合い、上からのプレッシャーなど、様々な障害があるため、
たまにこうして趣味で作る程度が、自分には合っていると感じました。
そんな世界で鈍なくらさんは圧倒的な実力者であるため、作品および作者への多方面からの絶賛は、誰もが納得しているとさえ思っています。
しかしそんな鈍なくらさんでさえ時には酷評や炎上があると知り、鈍なくらさんにこのコメントをいただき、私も少し気持ちが楽になった次第です。
鈍なくらさん、そのことについても、重ね重ねありがとうございます。
2017年は酷評&炎上した時期でして、
点数式ブログレビュー・動画を避けており、読んだのは今だったりします。
ポイントを挙げてくださり、重ねて有難うございます!
恐縮ではありますが、以下ツッコミポイントだけ。
他は嬉しかったので、あまり気にされないでください!
>>フリーゲームの大部分は素人が作っているが、
本作は作者が商業作品にも携わっているプロ
素人作品です(*´Д`) 私は薬剤師で、本作は2作目。
名前を検索しても、学術論文しか出ません。
HNでゲーム会社様から御依頼を頂いたのは、本作の発表後です。
情報元が無い、思いこみになってしまってます。
>>子供の頃ゲームブック
本作は20代に作りました。じつは企画時に資料として
最新ゲムブを集め、そのとき初めて遊びました。昔のゲムブ体験は皆無。
当時「これはゲームなのか?」展など、最新の表現の試みに興味が。
なので本作は、思い出補正するタイプの遊びでは無いと思います。
>>ドット絵アニメーションまでもがお手製
手製でなく、アニメは自作 AI が全部描いてます。
暗号化プログラム、心理戦AIも全部、成長する自作 AI が担当してます。
最近は「Midjourney」が人気ですね。
厳しめな指摘をしてしまい、本当に申し訳ないです。
「実際に情熱かけた真実」と、注目ポイントが違ってしまうのが
ちょっと悲しかったため、口うるさく意見を述べてみました。本当ごめん。
「管理人様はゲームのライターをされたことがある」
(自作ゲーム? 商業作品?)と伺いました。
もし情報公開された際は、御作を遊んでみたいと思います!
また、本作は 2021年に EXシナリオを追加。
そこで本質的なギミックが明らかになるので、
よろしければ遊んでみてください!
セキュリティレベルが高い状態で表示されるメッセージの事と思われますが、
フリーソフト系は、それに引っかかりやすい傾向にあります(Avastがティラノをウイルスと判断したり)。
ただし、万が一問題が発生した場合、責任を取れるサイト、およびサークルなどは存在しません。
最終的には自己責任ということになります。
どうしても気になる場合、ウイルスチェックしてみてください。