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2014年03月06日

橋の下の不思議な祠 

冬の釣りの話が続いたので、ここで少し不思議な場所の話をひとつ。札幌から支笏湖に向かう国道453号線には大小様々な川が流れて、この上に川の数だけ暗渠を含めた橋が架けられている。そのひとつの橋の下の河川敷に、誰が何の目的で築いたか分からないが、奇妙な祠が祀られている。
2年前に、その川のポイント探しのために訪れた時に発見したもので、橋の上からは見ることができない。川から10メートルちかく離れていることで、春の雪代による増水の影響を受けなかったものと考えられ、見た目にも10年以上の歴史を感じさせる。

祠は、間伐材とベニヤ、青色の養成シートで周りを取り囲んでいるだけの素朴な作り。中には、手彫りのお地蔵様や観音様らしきものと錆びた手刀が並べられていて、正面にはお賽銭を乗せる三宝も置かれている。木彫りの人形は、日本画家・棟方志功さんの作品にでてくる女人の表情にそっくりで、それを意図して彫ったのでは。少し離れた橋脚の下には、鋸で切った真新しい直径10センチほどの間伐材が置いてあり、最近もここに来て作業した気配が感じられる。
また、これと同じような作りの人形が、民俗学者・柳田國男氏の遠野物語の中に出てきた「おしら様」と似ている気がする。東北に伝わる「おしら様」自体は、桑の木の先に男女の顔や馬の顔を書いたり彫ったりしたものに、布きれで作った衣を多数重ねて着せた農耕神や狩人の守り神らしいが、口寄せで知られるイタコの神様でもあるらしい。

この場所に祠を置いた目的自体ははっきりとしないが、普通に考えると地神様に安全祈願と山・川の実りに感謝するための祀ったものだろう。こうした考え方のほか、ここに住んでいたアイヌの伝統を引き継いで設けたもの。あるいは、半世紀ちかく昔にはこの場所が鉱山として栄え、金や銀を採掘するためにピーク時には500人を超える人間が暮らして、小学校や郵便局・巡査派出所なども設けられていた歴史がある。そのときの神事の名残かもしれない。
いくら趣味とはいえ、魚を殺生するのが釣り人の宿命なので、こうした場所に祠があると、どのような神様であろうと自然に手を合わせたくなる。もし見つけても、そっと手を合わせて立ち去ってもらいたい。
写真は祠に収められた木彫りの人形。誰がどのような目的で祀っているのか。

不思議な祠





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