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2014年03月18日

HPラブクラフトを入門書に 

 プロフィールに実話怪談本の収集が趣味と書いたが、フィクションのホラー小説も結構読んでいるつもりだ。新しくは、都市伝説をモチーフとした話やリング、呪怨などの新感覚ホラーなど。ホラーを読みだした時期の日本の出版界は怪談物が中心だった。ホラー小説に入り込んだきっかけは、創元推理文庫が発刊した怪奇小説全集から。
その怪奇小説全集に、HPラブクラフトの「ダンウィッチの怪」が載っていた。「タゴン」や「ランドルフ・カーター」もの、「忘却の彼方」という初期の作品から「アウトサイダー」「ピッグマンのモデル」「クトゥルフの叫び声」「チャールズ・ウォードの不思議な事件」と続いた中期、後期にかけて発表した作品のひとつだ。こうしたラブクラフトの作品はいくつも映画化もされていることから、気づかないうちにご覧になっている人も多いと思う。
所有するラブクラフト
 「ダンウィッチの怪」の発表のあとには「闇に囁くもの」「インスマウスの影」「超時間の影」など、怪奇小説で傑作という評価の高い作品が日本でも次々に発刊された。HPラブクラフトの何が凄いのかは、読んでもらえれば分かると思う。1937年に47歳で亡くなるまでのわずか16年間に書きしたためた作品は、後世の作家にも大きな影響を与えた。ホラー作家で米国の第1人者スティブン・キングもその一人だ。

人類が誕生する以前の宇宙と地球を舞台に、地球に訪れた生命体が地下深く、あるいは深海や氷の壁の中で再び甦る手段を探るというコズミックホラー。中期から後期にかけて一貫して流れているのは「クトゥルフ」「アザトース」「ヨグ・ソトース」という人類誕生前の地球の旧支配者たちと、それを著した禁断の魔道書「ネクロノミコン」の存在。
米国の魔女裁判で知られた、マサチューセッツ州に実在する都市「セイレム」を中心に、アーカムやミスカトニック、ダンウィッチ、インスマウスなどの空想の街が物語の舞台となる。異人類と人間との掛け合わせ、死者の復活、術法書による旧支配者の召喚など、ある程度の年齢を重ねたいま読んでも色あせないのは、ラブクラフトの壮大な宇宙や深遠の地域への深い洞察力に彩られたと感性と、積み重ねてきた重厚なプロットによるもの。作品を発表した当時、すでにDNA配列や遺伝子操作などによる再生を匂わせている。

3月13日のブログで記したように、日本のホラー小説は実話怪談本に主流が移り代わって、フィクション系は頭打ちの傾向にある。それは、同じ土俵の上で戦っているからで、分野の異なるコズミックホラーを読み返してみてそのことに気付く。太古の地球と宇宙への憧れと恐怖を題材としHPラブクラフトが再び評価されることを期待している。
所有しているHPラブクラフトの単行本。ラブクラフト全集は1974年に初版が出版された








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