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2014年03月25日

ブラウントラウトの話 

 外来種の認定を受けているブラウントラウトは、外来種ランクとしてブルーギルと並び最高のA1にある。これは「緊急に防除対策が必要な外来種」ということで、魚ではこの2種類だけ。生息状況で、2010年の調査では伊達から襟裳までの内浦湾沿線の河川と函館から福島にかけて地域を拡大。また道東では釧路や知床、紋別の河川でも確認されている。初めて報告されたのは1980年で虹鱒や川鱒の卵に混入して移入、その後密放流されたものと見られている。

 私が初めてブラウンを知ったのは、今から30年ほど前の1980年代。千歳のママチ川で「側面に赤い斑点を持つ魚が釣れたが、気持ちが悪いのでリリースしないで殺した」という釣り人の話から。自分の目でブラウンの存在を確認したのは25年前の支笏湖。10センチ前後のピン子にも関わらず、どぎつい赤い斑点の魚という記憶が残っている。同じ赤い斑点を持つオショロコマは渓流の宝石で、ブラウンは化粧の濃い場末のホステスという印象だった。その後は、あちこちの釣りで大変お世話になりそのイメージも払拭したが、当時は「やまめや岩魚の生息を犯す外来種」として非常に嫌われていた。
ママチ川
 北海道の渓流や湖釣りの指南本をいくつも上梓している鍛治英介氏や、山谷正氏の本にはブラウン釣りの話は出てこない。初版本が1986年と1990年というように、ブラウンが道内で確認されてから間もないということもあると思う。ただ、その後に追記して出版された本にもブラウンの名前は出てこなかった。そのほか、現在の魚の生息状況や河川改修に伴う環境立地の変化など、初版本を出版した当時と大きな違いが見られないのは残念だ。
ある作家の本の中で恵庭湖(恵庭ダム)でのブラウンの話が出てくる。1980年代当時、恵庭湖にブラウンを放流して、大きくなっていく様子を描いている。当時は、密放流に対する取り締まりがなかったことで、罪の意識はなかったと思う。その後の恵庭湖でブラウンの話を聞いたことはない。多分駆除されたのだろう。
 ブラウンは、道内で生息が確認されてから35年が経つ。存在自体の良い・悪いは別として、釣りの対象魚となったのは事実。産卵期に入って活動が活発化する千歳川や静内川では、多くの釣り人がその姿を追い求めている。ほかの魚と同じくリリースを心がけたいと思っている。最後の落ちがない話しとなって申し訳ありません。
千歳・ママチ川では、当初外道扱いをうけたブラウン。写真はママチ川

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