2018年06月04日
ショアトラウトから渓流魚へ
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初夏の小樽内川上流を行く
ルアーによるショアトラウト釣行に替わり、6月からはフライによる渓流釣行をレポートする。
渓流は、海と違って魚の再生力に限界がある。それがために、ブログで川の名前を明記して釣行記を掲載した途端、非難の嵐が巻き起こる。その渓流に通い詰めている釣人にとっては、死活問題だからだろう。
要は釣人の心構えの問題なのだが、自分もこれまで固有名詞を出した上でリリースの呼びかけを行なってきた。ところがある出来事を切っ掛けに、小さな渓流での釣行記は固有名詞を載せないことにした。
場所を特定できないようにすることは、一方で記事を捏造する事も可能だ。それでなくても、極めて現実感に欠ける内容となる。そこら辺のさじ加減をうまく出来ないか、と迷った末に思いついたのがブログを読まれている方たちとの相互通信。
ブログのコメント欄に、氏名とメールアドレス、キャッチ&リリースの実行を記載してもらう代わりに、ブログに掲載した河川の情報を伝えることにした。当然コメント欄に送られた内容は、ブログに載ることはない。こうした取り組みで、何人かの読者に情報を伝えることができた。
その場しのぎで情報を引き出そうとする人は、こんなに手間のかかることはしないだろう、との考えからだ。もしご希望の方がおられたら、この手続きを経てコメント欄に連絡ください。
また、固有名詞も、基本的に渓流釣りの新刊本に掲載されている有名河川は、すでにその存在が知られているとの考えから、一部の川を除いて掲載することにした。
今回更新する小樽内川は、札幌市街から1時間圏と近いのにも関わらず、本格的な渓流釣りの楽しめる川として、フライやルアー、餌釣りの釣人から人気を集めてきた。さっぽろ湖に流れ出る下流域、国際スキー場手前の中流域、そして春香山登山道に沿って流れる上流域と3つのポイントに分類できる。
チヤラ瀬やザラ瀬、滑床、大渕小渕、小滝やフリーストーンといったそれぞれ別の顔を持ち、棲息する魚種も微妙に異なっている。特に、流れ出るさっぽろ湖は、いとうやブラウンも棲息するといった話もあり、休日は大物狙いの釣人で溢れている。
自分がいつも入渓するのは、春香山の登山道に沿った上流部。この時期、高山をバックに持つ山岳渓流は、雪代が納まり切れず、増水と低い水温で釣りにならないのが実状。
これに対して小樽内川の流れ出る春香山は、ハイキングがてらに登れるほど標高が低い。そのため、森を流れる涌水河川とまではいかないが、水温の上昇は早い。今回の釣行でも8℃と、立ちこんでも寒さを感じなかった。
入渓したのは5月30日。この冬、朝里峠を経由して何度も小樽に向かったが、そのたびに小樽内川に目を向けてきた。つい半月前には、雪代による増水で溢れかえっていたのに、5月下旬には水位も落ち着き、上流では遡行が可能となった。
今回も春香山の登山口から、4キロ先の崖下のポイントを目指す。途中で1台の乗用車が林道脇に止まっていた。2人組の釣人らしいが、挨拶もそこそこに上流へ向かう。なぜか、足を進める毎にブヨほどの黒くて小さな羽虫が増えてきて、顔といわず体中にまとわりつく。どうやら大量発生しているようだ。
たまらず、林道の左に流れる小樽内川に非難。予定よりも随分はやく入渓してしまった。仕方なく、ここから竿を出したが、淵や倒木の下、早瀬など、いつもは魚の溜まっている場所なのに反応がない。
「まだ水温が低くて活性していないのか」と、少し落胆しながら遡行を続ける。アタリが出たのは入渓した地点から20分先の場所。蛇行しているために距離換算ができないが、多分200メートルも昇っていないはず。
ヒットしたのは、#10のカディスには小さすぎる15センチほどの岩魚で、すぐにバレた。その後に再び沈黙が続く。2匹目をようやく手にしたのは、入渓から30分後。20センチを越える岩魚だった。この場所からアタリが頻発するが、4回に3回はバラす。
この日の天気予報は、午後から石狩中部に雷注意報が出されたほか、夕立などの警戒もアナウンスされた。なので、どうしても昼前までには脱渓しなければならない。ところが、入渓地点の沈黙が嘘のように、昇り詰めるほどアタリが増えてくる。そして、ヒットしたのは全て岩魚だった。
それにしても、なぜあの場所からアタリが出たのだろう、と思いついたのはやはり釣人の存在。アタリの出てきた地点は、林道からも離れて、藪こぎでもしなければ入渓できない場所。また、下流から釣り上がるにしても距離がありすぎる。
先ほどの2人釣連れがそこまで遡行したのか、あるいは前日に多くの釣人が入ったのか、どちらかだろう。
結局この日は、釣りを昼で切り上げた。やはり山の中の雷は怖い。そして、いくら鉄砲水の心配のない小樽内川とはいえ、徒歩で1時間以上をかけて戻るのは辛い。ショアトラウト釣行は厳しい釣果が続いたが、今回の釣行で渓流フライは先行きの明るさを感じている。
写真@A小樽内川上流の景観。岩魚はすでに本番を迎えたBC上り詰めるほどに魚影が増し、逃げられた魚も数知れず
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