19/12/13(金)『Dr.STONE』24話「声は無限の彼方へ」が放送された。
千空たち科学王国の国民全員の協力でついに携帯電話が完成した。そのお披露目会で千空は巫女が伝承してきた百物語から始祖達の墓標の中にレコードが隠されていると気付く。今まで開発してきた部品を使い蓄音機を作り瓶の底を使ったガラスのレコードをかけると約3700年前の父親たちの声が再生された…というストーリー。
ガラスであれば腐食せず何千年も保管出来き、再生もアナログ的な方法で技術的なハードルは低い。聴く方はこれで良いが制作はどうしたのだろうか?
宇宙ステーションから帰還した宇宙飛行士たち6人は無人島に着地してしまい現代文明の恩恵を得られない。ガラスのモース硬度は5なので硬度10のダイヤで溝を掘ることは出来るかもしれない。しかしマイクだけではなく、一定高速回転数を維持するモーターやガラスレコードを吸着するターンテーブル、溝を掘るだけの針圧を掛けられるアームといった高性能な機械がないとダイレクトレコーディングを行うことは出来ない。
まあフィクションにこんなツッコミを入れるのもヤボだと分かっていてAV Phileとしてオーディオの世界はこんなに簡単ではないと言いたくなってしまう。きっとアニメ制作会社でも音響制作陣は同じことを考えながら音を付けて行ったのではないだろうか。(^_^;;
実際遠い未来に音声データを残すのであればどんな方法があるのか。ガラスにポリエチレン面を作り、そこに音溝を刻みガラスを溶かすフッ化水素に漬ければポリエチレンの削り具合に応じてガラスが溶けて溝が出来ないだろうか。もっとも溶解では溝の精度は低そうだ。
現実的な方法であれば塩化ビニールの代りに粘土を使い録音後に焼いて堅くして保存性を高めることだろうか。これも粘土を乾燥させたり焼いたりすると縮んだりして溝が変形していまいまともに再生出来なくなる恐れがありそうだ。
音溝の上に細かな砂を降り積もらせ化石にすれば高精度のまま遠い未来へ残せそうだが、高圧を掛ける必要があり、自然に任せるには余りに偶然性に依存して発掘出来るかも分からないとはバクチ過ぎる。
人類が音再生を手に入れたのは1877年エジソンのフォノグラフ発明だ。ここまで待たされた訳だと思う難易度だ。
アニメの第一期は今回で最終回。第二期の「STONE WARS」の放送が楽しみだ。