参考:東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密
https://www.momat.go.jp/exhibitions/550
竹橋駅1a出口から徒歩約2分の案内通り地上に出たら東京国立近代美術館が目視出来たが、家を出るのに遅れ到着が11:20になってしまった。
1F企画展ギャラリーの見学を始めるが最初に「横山大観《生々流転》1923年」があり32メートル強の絹本墨画を見ようと待ち行列ができている。待つのは嫌だったので先に進み他の展示品を鑑賞した。1フロアを見終わったところで戻って《生々流転》を殆ど待たずに鑑賞することが出来た。
トーハクの千年以上前の重要文化財とは異なり明治時代以降制作されて古くても130年程しか経過していない重要文化財なのでどの作品も発色は良く綺麗で見ていて楽しい。特に巻き軸に描かれた日本画は古くなると変色し黒っぽくなって何が描かれているのか分かり難くなるのでこれは新鮮な鑑賞体験だ。
少子高齢化が進む日本で千年後に誰がこれらの重要文化財を鑑賞するのか分からないが今私が平安時代の重要文化財を見ている様な感覚になるのだろうか。
「原田直次郎《騎龍観音》1890年」は仏画を洋画の手法で描いており、そうと知らなければイラスト生成AIに「龍に乗った観音さまの仏画を洋画風に描いて」とプロンプトを入れたアウトプットみたいだ。芸術の基準は時代によって変わるのでそのうちAIによる作品が美術館に飾られるかもしれない。
他の美術館から借りている物は撮影不可だったがそれ以外は撮影可なので1点ずつ解説プレートのマークを確認しながら気に入った作品をカメラで残しながら90分間強じっくり鑑賞した。昨年の東京国立博物館150周年記念特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」より満足度は高く面白かった。
そのまま2階から4階で開催されている「所蔵作品展 MOMATコレクション」「修復の秘密」を見て回った。現代の測定技術を駆使し絵画の修復を作者の意図に沿って最低限だけ行う苦労が語られていて勉強になる。
参考:修復の秘密
https://www.momat.go.jp/exhibitions/r4-3-g4
7室では1953〜1954年に開催された「抽象と幻想」展をプレイバックしており、当時の開催目的が「写真や映画の普及によりアートは写実主義から脱却する」というものだったというのは興味深い。「古沢岩美《プルトの娘》1951年」のリアルな描写は発表当時話題になったことだろう。
「冨井大裕《ゴールドフィンガー》2007年」と「ソル・ルウィット《ウォール・ドローイング#769 黒い壁を覆う幅36インチ(90cm)のグリッド。角や辺から発する円弧,直線,非直線から二種類を体系的に使った組み合わせ全部》1994年」を見ると作家が作った指示書通り他人が作品を制作しても評価されると知った。次のテーマは「生成AIのプロンプト」になっても問題ない訳だ。
参考:所蔵作品展 MOMATコレクション(2023.3.17−5.14)
https://www.momat.go.jp/exhibitions/r4-3
他には「岸田劉生《田村直臣七十歳記念之像》1927年」を見たら雰囲気が似ていて「スラムダンク《安西先生》」の肖像画の様で気に入った。
写真や映像作品も網羅しておりなるほど"近代"と銘打っているだけあると納得すると同時に実験的な作品もありちょっと首を傾げてしまうのもまた面白い。
15時半過ぎに東京国立近代美術館を出て有楽町駅近くで開催されている「世の中を良くする不快のデザイン展」へ向かった。
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