僕が警備員を辞めた理由

我々がトラブルに巻き込まれるのは
何も知らないからではない。知っている
と思い込んでいるからだ。



これ、マーク・トゥエインの金言です。
今回は思い込みによるトラブル、心理的
死角とその対処について語ります。



警備教本にも出てくる心理的死角ですが、
多くは、思い込みによって発生する。



フェンスが風で揺れ、発報するアラームが
うるさいので、センサーを切ってしまう。
どうせセンサーは風にしか反応しない。



こうやっていると、有事の際に信用を失う
羽目になるのです。



本来なら、アラームの度に現場に行き
発報の真偽について確認すべきです。



そうでなければ、監視カメラで片時も
目を離さず監視するしかありません。



セキュリティーは、予算と手間の削減に
よって破れます。



上記のように手間を省いた怠りが、
トラブルの原因となっているのも
少なくない。



これを防ぐには、まず隊長や責任者が
あるべき形はこうだ、と示す必要があり。



例外があるなら、こんなケースだと
補足説明しましょう。



施設警備で一番やっちゃいけないのは、
火災と盗難（侵入事案）。これを防ぐ
牙城にするにはどうすべきなのか。



この思想をベースに、セキュリティー意識を
育てれば、警備員として伸びていきます。



次に、情報共有。



セキュリティーは経験値で磨かれていき
ますが、自分の体験がベースになるもの。



すなわち他人の体験もデータベースとして
活用すれば、心理的死角は減らせるのです。
人それぞれ、見えている景色は違う。



ノウハウの蓄積と継承がうまくいっている
組織ほど、警備では伸びていきます。



人から人への情報伝達が、思い込みひいては
心理的死角を減らしていく。



ここまでは、外部からの脅威に対する防衛で
ありました。



今から話すのは、内側のセキュリティー。
人間関係への配慮です。



隊長が嫌われていては、どんなに立派な
理屈を言おうと、響かない。



同僚と仲が悪ければ、情報共有どころでは
ないのです。



以前ある施設のクライアント側から、
警備隊で組ませる人間は、仲の良い人に
しなさい、という助言がありました。



何言ってるんだ、合わない人ともうまく
やっていくのも仕事だろう、という声も
あります。



しかしながら、警備の現場では最悪殴り合い
のケンカに発展する恐れもあります。足の
引っ張り合いどころではありません。



交通誘導警備も同じで、現場で組ませ
られない隊員同士は、名簿にお互い矢印で
✕が付いている。



セキュリティーは、一般の会社以上に
人間関係への配慮が要ります。



最後に、思い込みを排除するヒントとして
あるセキュリティーのプロの文言を引用します。
ちなみに４号（身辺警護）業務です。



それは親切=善良とは限らない、ということ。



見た目が良い人から、親切にされれば
ほとんどの人が、いい人と感じるはず。



まぁ親切な人に良い人が多いのはまぎれも
ない、事実なのでしょうが。



しかし中には、相手の懐に入るために良い人
を「演じる」人間も存在する。それだけなら
悪いことではないのですが。



人を欺こうという人間が、わざわざ本性を
ちらつかせる事もないのです。
つまり親切は、人間性の証明にならない。



交通・雑踏や貴重品運搬といった
２・３号業務では、馴染みの薄い話かも
しれません。



施設警備では、不審者を警戒する時の
参考にはなるでしょう。



ちなみに僕がかつて警備していた施設の
職員で腰が低く、外面もよい人がいました。



しかし、その人は密告魔だったそうで
僕ら警備に対しても警戒しろよ、と別の
職員からアドバイスがありました。



敵は外側よりも、身内を警戒したほうが
いい場合もあります。



例えば同僚に、上司や組織の批判をして
しまうと、自己保身のために同僚を売る
人もいないとは限らない。



〇〇さん、こんな事をいってましたよと。
非正規など、弱い立場だと契約更新の時や
人員削減の時に、足元をすくわれる恐れが。



警備業はその辺も含めた人間ウオッチング
です。思い込みを削減し人を見る目を磨く
修業と思えば、手ごたえも違うでしょう。

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