『Mare of Easttown(2021)』
＜個人的な評価：10点中8点＞
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
とある小さな町を舞台にしたサスペンスミステリー。
一転二転三転して、思った以上に面白いサスペンスミステリーだった。ただのミステリーだけじゃなく、全7話とそこまで長くないのに、ストーリーが濃厚で、主人公をはじめ、キャラ一人一人が個性豊かで、それぞれ問題を抱えていて、伏線が上手い具合にあちこちに散らばっていて、納得のいく伏線回収だった。
主人公は、Kate Winslet 演じる刑事のメア・シーハン。
Kate Winslet といえば.....
そう、 Kate Winslet ！！！
タイタニックのローズ。
タイタニックは別に好きな映画ではないが、Kate Winslet の演技は良かったし印象的だったな。
今回のキャラは、あのローズの印象と正反対だが、ほぼノーメイクなのかな？？
タイタニックから、時がたったから、もう40後半だけど。
色んなタイプのキャラを演じられて良い俳優だ。
私の印象としては、日本の俳優って毎回似たようなキャラばっかり演じているから芸がないようにみえる。
毎回、恋愛のヒロインとか、年とったら母親役とか、いつも可愛いヒロイン役とか、年とったら母親役とか、もうウンザリ。たまには人肌脱いだと思ったら、つまらないエロ路線だし、そういう意味で脱ぐんじゃなく、ノーメイクで、不細工でもいいから、ガチで体重増加したり減らしたりで、体当たりの演技が増えたら、邦画も少しは人気出るんじゃないの？
ハリウッドの俳優たちは、そういう意味では、本当に色んな役柄に挑戦するから本当に、演技しているんだなと観ていて感じる。
今回、Kate Winslet 演じる主人公で刑事のメア・シーハンは、超不愛想な刑事。
けど、不愛想なんだけど、別にギャグじゃないんだけど、ところどころ面白いし憎めない笑。
母親との口喧嘩とか笑。母親も面白いキャラしているし。
そんなメアだけど、実は息子が自殺していて、まだ息子の死と向き合う事ができずトラウマを抱えている。
濃厚なストーリーだから内容は全部ここでは、書かないけど。
あらすじは、イーストタウンの刑事メア・シーアンが、1年前の少女失踪事件＆新たにおきた少女殺人事件の真相に迫っていく物語。これが、一転二転三転してかなり面白い。
舞台も登場人物もストーリーとしては面白い。小さな町で、町の人はみんな知り合いで友達。しかも血が繋がっている家族同士の人も多い。近所に兄弟家族が住んでいるとか、いとこが住んでいるとか。昔から、みんな家族ぐるみの付き合い。
知り合いだからこそ、親しいからこそ、感情を優先させてしまう事もある。
平和そうな町だが、1年前の少女失踪事件、そして新たにおきた殺人事件で、町が不穏に包まれる。
ここからネタバレになるが.......私は、事件の真犯人は当てた。
そこに至るまでも細かい事は推理できなかったが、真犯人は勘で当たったのだ。
てか、この人が真犯人だったら面白いなって思った人が本当に真犯人だった。
私は、二つの事件の犯人は別だなとは予想してた。それも当たった。
ミステリードラマを観る時は私もただの視聴者としてではなく、謎解きの感覚でアームチェア探偵として観るので、誰が犯人か考えながら観る。
誘拐監禁事件の犯人は、当てる事ができなかったけど、肝心の少女殺人事件の犯人は勘で当てた。
怪しい人はたくさんいた。
でも、実は、なんとなく、あの子が出てきた時から、あの子が犯人だったら面白いなと思って、その後、あの子の行動をみて、あの子が犯人かなと思った。
賢い子供だったから。
そう真犯人は、子供だった。
ただ、サイコパスではなく、正義感あふれる、家族を守りたい無垢な少年の犯行だった....
だからこそ悲しい。
亡くなった少女エリンも自業自得な面がある。殺されるべきではないと思うが、生きてた時にしてた事が、けっこうクズ。まずは、おじ（父親の従兄）と近親相姦の不倫をしてた。薬漬けの不良ではなく大人しい少女だったが.....しかし、おじ との間にできた子供を、当時付き合ってた高校生の元カレが父親って事にして、不倫＆近親相姦を隠蔽。つまり、その元カレに対して詐欺をしている。
まだ高校生である若い元カレに責任を負わせて、彼の子供と嘘をついてお金も請求したし面倒もみさせた。
だから元カレに嫌われてた。
でも、それは悪質なものではなく、若いながらも、必死に子供を想う純粋な心からきたもの。
子供は耳の病気で、手術が必要だったのだ。
それに赤ちゃんは元カレの子供だって事にしたのは、元カレの両親が優しい人で、こういう人達の側で、子供に育ってほしいと思ったから....
元カレが酷い奴でも、彼女は、元カレの両親が好きで、子供を託したかったのだ。自分の家庭が不遇な家庭だから。実際、血が繋がっていないとわかったあとも、元カレの両親は、その赤ちゃんを養子にしてまで我が子として育てたかったし...優しい人達なのだろう。
元カレは、最初、とんでもないクズだな！と思ったが.....実際は、根は悪い人ではなく、血が繋がっていないとわかったあとも、その赤ちゃんに情がわいていた....涙。
で、一番クズなのは、ジョン。従弟の娘と近親相姦して妊娠させて、子供の父親を隠蔽するという詐欺に加担した事。そして、エリン殺害。
しかも、その罪をビリー（ジョンの弟）に着せようとした事。ビリーもそれを承諾した事。
ただ、それが真実ではなかったのだ.......
ジョンが一番クズという事に変わりはないけど。
でも実は、彼は殺人はしていなかったのだ。
ジョン＆ビリーは、ジョンの息子がエレンを殺してしまったのを知って、幼い息子を庇ったのだった。
クズなジョンでも、息子を想う気持ちは確かにあった.......
この作品に完璧な人間はいない。
主人公のメアだって、孫の親権を勝ち取る為に、とんでもない事をしてたし。
このドラマの何が面白いかって、殺人サスペンスミステリーなんだけど....
どの人間にも【闇】がある事と、どの人間にも【隠された真実】がある事。
一件、クズに見えた、エリンの元カレのディランだって、血が繋がっていない赤ちゃんに対して、実は優しい面もあった。元カノであるエリンの事はウザがってたどころか嫌ってたし、今カノのブリアナが、エリンに対して集団で暴行を加えるのを黙ってみてたし。
ただ彼は、赤ちゃんの事を虐待はしてなかった。
自分が冤罪で撃たれて入院して酷い目にあっても、赤ちゃんと血が繋がっていないとわかったあとも、彼は冷静を保ち、赤ちゃんを殺さなかったし、それどころか、最終的には優しさも見せた。
他のキャラもそうだ。
過去にクズな行動をしていても、改心しようと努力している人もいた。
また、一見、優しそうな人でも実際や闇を抱えているし、不倫や人殺しの隠蔽などしている。
そして、息子を守る為ならば、事件の隠蔽をする人もいる。
みんな奥が深い。
良い人なんかいない。主人公の刑事も含めて。
残念なのは、誘拐監禁の犯人に撃たれて亡くなった コリン・ゼイベルだ。
彼は良い刑事だったし面白い人だった。亡くなって英雄になったけど...
生きててほしかったな。名誉ある死かもしれないが、生きてないと意味がないよ。
そういえば、1人、本気でヤバい奴がいたわ。救いようがないクズ。
ジョンよりはるかにクズな奴が。そう、コリンを殺した少女監禁事件の犯人。
あまりにも脇役だったから忘れてたけど、誘拐監禁の犯人だったね。名前なんだっけ。
少女たち（若い娼婦）を誘拐監禁したのは、単に、自分の性的欲求をみたすためかな。
実にくだらない下品な理由だ。しかも、バレたら、出頭するどころか警官のコリンを殺害。
こういう奴は救いようがないし、セカンドチャンスはいらないだろう。
まあ、こいつは死んだから、セカンドチャンスもクソもなかったけど。
でも死んでいなくても、こういう類の奴は死刑でいいだろう。
こういう奴って、刑務所から出ても、再犯しそうだし。
複数の不倫や、従弟の娘（未成年）と近親相姦したジョンもクズなんだけど、息子を守る為に息子の殺人を隠蔽しようとしたので、彼は根っこに、まだ愛がある人だろう。
甥っ子の殺人を、隠蔽して、それどころか、自分が罪をすべて被って死のうとしたビリーは、一番スゴイキャラで良い奴すぎると思ったし。
ビリーが、なんだかんだで、一番自己犠牲の精神がすごい良い奴だったか。
あと、みんな親戚同士だから...
真犯人のライアン少年は、自分のいとこ（父親のいとこの娘）を殺害した事になるね。
真犯人と被害者は、血が繋がっている親戚同士。しかも未成年同士....
だからこそ、被害者のエリンは、ライアンを止めれると思ったんだろうな。
銃をもっているライアンを止めようと、銃をとりあげようとして、手を怪我。
パニックになったライアンが、銃をもう一発、撃った。
悲しい事件だった。
ライアンの動機が、サイコパスではなく、家族を守ろうとした事だから悲しい。
被害者のエリンも、息子の病気の為に、必死だったのが悲しい。
不倫は家族を傷つける。不倫は心の人殺しだ。
そして、不倫は、繊細な子供の心を傷つける。
ライアンが、ああなってしまったのは、実はジョン＆エリンが関係を持つ前からで、ジョンは以前にも人妻と不倫をしてたんだよ。（一度不倫する奴は二度も三度もする。）
その時、家族が崩壊しかけたから、それがトラウマになって、ライアンは、人一倍、家族を守る事に強いこだわりを持つようになった。障害をもっている妹をイジメた上級生を殴った時も、正義感が強い良い子だなと思ったが、本当に家族を守りたいだけの純粋な心だったのだ。
真犯人を、ただの変質者の大人の白人男性（ありきたりｗ）ではなく、被害者の親戚である少年にしたのが、このドラマの一番面白いポイントかな。この少年が犯人だったら面白いなと思ってたから当たった。しかもサイコパスではなく、動機も切なかったのが泣ける。
だからこそ色々と考えさせられる良いドラマだった。
メア・シーハンを演じたKate Winslet。
迫真の演技でした。
