<個人的な評価:10点中7.5点>
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
下記、個人的な感想。
ネタバレあり。
日本ではまだ上映されてないけど、女神の継承 はとっくに観てたわ。
他の国では既に上映や配信されてる。私はマレーシアにいた時に従兄弟たちと観た。ドキュメンタリー形式なのがリアリティーあってゾクゾクする。下記、ネタバレあり感想なので注意。
この映画はタイのドキュメンタリーチームがタイ東北部イサーン地方を訪れ、村人が信仰するバヤンの霊に取り憑かれた霊媒師ニムの日常を記録しているPOV形式のドキュメンタリー風の映画。
観た率直な感想を言うけど、かなりリアリティーがあって面白かったし、タイ版のエクソシストという感じだが、後半でバイオハザードのゾンビ映画のようになって、一気に冷めた笑。後半はカオスで、まさにゾンビ映画。
個人的に後半のゾンビハザードのカオス展開は、あまり好きではない笑。そのせいで不気味さがいっきになくなった。だから、本当は評価は8にしたいが、後半と最後の展開に覚めたので、総合評価は7.5。
でも総合的にみて、かなり良作の憑依系のホラー映画だった。
洋風のエクソシストより、リアリティーある。POV形式でドキュメンタリードラマ風なのも、リアルさの理由だけど、それ以前に、私自身が、東南アジア(マレーシア&シンガポール)で長年暮らしてた事あったので。タイには住んだ事ないけど、距離的に近かったので旅行には何度も行った。
そしてタイのホラーは怖いと幼い頃から感じてた。
作中で出てた憑依された女、かなりリアルなんだよね。
急におかしくなるんじゃなく...
最初は、ただの精神病かな?と思えるような感じ。
日本やアメリカだったら、精神科に入院だろう。
でも、やっぱり東南アジアの他の国もそうだけど、タイは、けっこう呪いとか憑依とか精霊とか信じているから、悪魔の仕業なんじゃないかな?って考える人が、都会でも多い。それが村だったら、なおさら。作中で出てた不気味な数々の要素も、過去に聞いた事あるな〜ってものが多くて、親近感があったせいか、そのせいで余計にリアリティーを感じてしまった。
日本人が、洋風のデカい家のホラーより、日本の団地や家を舞台にしたホラーに、親近感というか不気味なナニカを感じるのと一緒で、その土地や国や信仰の事をある程度知っていると、さらに不気味なリアルさを感じてしまう。
映画の内容だが... 前半のメインキャラは、ニム。
ニムという霊媒師(バヤンの霊が憑りついた巫女)もリアル。
こういう田舎にいる普通のおばちゃんなのが、これまたリアル。
ニムもそうだけど、家族である兄や姉も、本当にキャスティングがリアル!!
本当に現地の村で採用したのかな?と思わせる。
ニムは霊媒師なんだけど、変なアクセサリーをつけまくった怪しい霊感商法のような見た目からしてインチキじゃね?と疑われるような霊媒師じゃなく、普通のおばちゃん、で村人達の間で信仰されている精霊バヤンの巫女。
自然豊かな場所だからこそ、自然への恐れという意味でも、こういう精霊信仰、土地の神々信仰とか、八百万神の日本も親近感があるのではないだろうか?
ニムも人当たりが良い普通のおばちゃんで、「病気だったら医者にいってください。私は、悪霊がついてたらそれを祓うだけですよ」って言ってたのが、良い。
こういうハッキリ言う人の方が信用できるんだよね。
物語はドキュメンタリー形式。
ドキュメンタリーチームが、霊媒師ニムの日常を記録している途中で、ニムの義兄が死んでしまったので、その葬式に。そして、ニムの姪っ子、ミンクに出会う。最初は、父親の葬儀なのに悲しんでいる感じもなく、周りへの態度も失礼で、酔っぱらって暴言を吐いたりで、なんか嫌な感じのビッチだな...という印象なんだけど。ただの態度が悪い不良娘にも見えるし、ナニカおかしい?ようにも見える。
視聴者である私達はミンクが当初、どんな性格の娘か知らないし、葬式で初めて彼女にあった。
だから、なおさら彼女に対する印象は不透明。これが元々、すごく良い子で、急にああなったら、オカシイ!と思うんだけど。ただ元々、夜遊びが激しく、素行も悪い女だったら、あれが通常なのかなとも思う。
しかし、その後、どんどんミンクに異変が。
当初は、次の巫女に選ばれた為の体調不良だと考える人も多くいた。
けど、これはナニカ違うぞ?と叔母である霊媒師ニムは、ミンクの症状はヤバいと思い始めてた。ミンク自身も、かなり苦しんでいるようだし、断片的な記憶喪失にもあっている。
ミンクの異変、憑依の前兆がリアリティーあるのが、この映画の面白いところ。
他の映画にありがちな、急にある日突然、変な模様が身体に浮かび上がるとか、急に発狂して悪魔の言葉を話すとか、明らかに悪魔の仕業だ!ってわかるものではない。
ミンクの異変は、不正出血とか、生理が急にくるとか。すごくリアリティーあるんだよね。
普通だったら、婦人科系の病気を真っ先に疑うだろう。
身体が痛むのも、頭痛がするのも、それらは医学的に病気なのではないか?ともいえる。
病院にはいったようだが、病院の医者も、理由はわからないとの事。
ただのヤブ医者じゃないのか、ちゃんと大きな病院で観て貰ったら病気って判明するのではないか?
現代人の私のような視聴者なら、そう考えるよね。
病気なのか、巫女の継承で通る道なのか、本当に呪い(もしくは憑依)なのか、ミンクの異変の原因の謎に対する周りの反応が、リアリティーがあって、さらに不気味度が増す。
しかし、話がどんどん進んでいくうちに、これは医学的に説明できる病気じゃなく、ナニカが恐ろしい悪魔的なものが関係しているな!と、納得がいくようになる。
ここまでくるテンポが絶妙に良い。
ミンクが、どんどんヤバい奴になっていく。
ミンクと自殺した実兄との近親相姦も明らかになっていく。
自殺した兄の霊が憑いているのではないかと、霊媒師ニムは考えたが、実際は、違った。
もっと恐ろしく大きいナニカが関係していた。
ミンクに憑依してたのは、一つの悪霊ではなく、たくさんの悪霊の悪意が一つになった巨大な凶だ。
とても禍々しい。つまり、彼女にがたくさんの悪霊が憑いていたのだ。
先祖に殺された者達の恨み、人間のエゴで食わる為に殺された多数の動物の恨み。
そう、動物の霊も沢山ついていた。
ミンクの両親が、違法で犬肉を売りさばいてたのも伏線だったね。
さすがに、霊媒師ニム一人の力ではどうにもできない。
他の霊媒師の力も借りて、たくさんの霊媒師たちで、除霊をしようって事になる...
そのためにも準備がいる。
その儀式の準備の間にも、ミンクの異常行動は、日に日に、ヤバくなっていった...
ミンクみたいなヤバい奴と一緒に暮らしたくないな〜
赤ちゃんも家にいるのに危険だよ。
つか、ここまで酷いと、悪魔だか何だか知らんけど、もう精神病院の隔離病棟の一番ヤバい所に入れた方が、まわりも安全でしょ。
しかし、ここは村。
なんとか、霊媒師たちの力で収めようとする。
娘を救いたい母親の一心もあるのだろう。
しかし、それが、本当の地獄の始まりだった。
儀式の準備中に、霊媒師ニムが突然死した。
彼女はなぜ死んだのか不明だった。しかし、ああいう形で死んだ方が、幸いだったのかも。
のちにおこる地獄絵図を思えばなおさら。
ニムは予兆を感じてたんだよね。儀式がうまくいかないと、誰も助からないと...
ニムがいなくても、儀式は予定通り進められる。
ニムのかわりに、ノイが、バヤンの巫女になるが.............まあ、結果うまくいかない。
その後は、もう地獄絵図ですよ。
ミンクに憑りついた沢山の悪霊や動物霊は、まわりの人にもどんどん憑依していって、カオス。
人が獣やゾンビのようになって、人を獣のように食い散らかす。まさにバイオハザード。
最後は誰も救われずに終了。
面白かったが、最後のバイオハザード化は、ついに、投げたか!!!!と投げやり感を感じてしまった笑。
アジア風なリアリティーある不気味さが面白かったんだが、最後は、アメリカンなロックな地獄絵図で終わった。